
The Paragliding Podcast, エピソード6
- パラグライディング・ポッドキャスト エピソード6:アルプス特集号の深掘り 本エピソードでは、『Cross Country Magazine』の編集者タルキン・クーパー...
- [0:01] 飛行の優先順位とマスタークラスの教え エピソードは、Calef Letorneyの印象的なアドバイスで幕を開ける。「飛行できる日を無駄にしてはいけない」...
- タルキンはこのアドバイスを強く支持し、自らも「時間を確保しろ。自分自身に飛行の許可を与えろ」と強調する。エドも同意しつつも、実際にはこのアドバイスに従うのが年々難しく...
自分では見つけにくい海外Podcastの話題に、日本語で気軽に触れたい人。
The Paragliding Podcast By Cross Country Magazine / Cross Country magazine
- Calef Letorneyは「飛行できる日を決して無駄にするな。仕事がなければ飛行の日だ」と主張し、友人や家族の誘いを「巧妙にかわす」技術の重要性を説いた
- 第266号はアルプス特集で、複雑な山脈構造や気象用語を初心者にもわかりやすく解説。モンブランのハイク&フライ、満月飛行、ベルニナ山塊でのトップランディングなど多様な体験記事を収録
- レッドブルX-アルプス・チャレンジャーでは、ルーキーのAaron Mattis(スイス)とRomy Sweder(医師)がワイルドカードを獲得。43歳のKriegelが全体優勝し、2分未満の驚異的パッキング技術で順位を挽回した
- Calefのアクティブパイロティングでは、スピードバー全レンジの日常的使用と、サークリング中の「外側の手」によるピッチコントロールが核心。空気の動きを「鏡のように映し出す」比喩が印象的
- ケッセンテスティバルでタルキンは13機のウイングをテスト。自身のGin Bandit 2で最長飛行を達成し、Advance Tauは「スポーティすぎる」と評価。Supair Delight 5ハーネスは中間パイロット向け入門ポッドとして推奨
- EN-Cクラスでは2ライナー設計がトレンド。Advance Tau、UP Torre、BGD Tigra、Mac Para Elixir、Swing Sphaera 2 RSがアスペクト比6.5〜6.7で競合。Nova NexoはローBクラスでスクールとXCのギャップを埋める新製品
- 5月25日にJustin PutoとAntoine Cabiakが393km飛行を達成したが、野生生物保護区内からの離陸のため記録非公認。しかし400km突破は時間の問題と予測される
- XP(Xペリグナン)はプロからアマチュアまで幅広い参加者を許容する「冒険型レース」としての魅力を維持。Kriegelの参戦で競技性がさらに高まる見通し
パラグライディング・ポッドキャスト エピソード6:アルプス特集号の深掘り
本エピソードでは、『Cross Country Magazine』の編集者タルキン・クーパーとエド・ユーイングが、同誌第266号のアルプス特集を軸に、パラグライディングの最新情報を語り合う。タルキンはレッドブルX-アルプス・チャレンジャーとケッセン・スーパーパラグライディング・テスティバルでの体験を持ち帰り、13機のウイングをテスト飛行した経験を共有。さらに、Calef Letorneyによるマスタークラスの一部が紹介され、アクティブパイロティングの実践的アドバイスが提供される。会話は終始リラックスした雰囲気で、専門知識と個人的な体験談がバランスよく織り交ぜられている。
飛行の優先順位とマスタークラスの教え
エピソードは、Calef Letorneyの印象的なアドバイスで幕を開ける。「飛行できる日を無駄にしてはいけない」というのが彼の核心的なメッセージだ。仕事がなければ、それは飛行の日だと定義し、友人や家族からの誘いを「巧妙にかわす」技術が重要だと説く。風が強い日はロッククライミング、雨の日は雑用をすればいいが、飛行に最適な日は絶対に譲ってはいけないという。
タルキンはこのアドバイスを強く支持し、自らも「時間を確保しろ。自分自身に飛行の許可を与えろ」と強調する。エドも同意しつつも、実際にはこのアドバイスに従うのが年々難しくなっていると認める。この「飛行の優先順位」というテーマは、エピソード全体を通じて繰り返し登場する重要なモチーフとなる。
Calefはさらに「ハードに休暇を取れ」と提唱する。つまり、休暇を最大限に活用し、パラグライディングに没頭する時間を意図的に作り出せというのだ。このマスタークラスの完全版は、同誌のウェブサイトで購読者のみが視聴できる。
アルプス特集号の内容
エドは第266号の編集者として、アルプス特集の全体像を説明する。この号の目的は、アルプスを「大きな俯瞰図」として捉え、特に初めてアルプスを訪れるパイロットに向けて、複雑な地形や気象条件をわかりやすく解説することだ。
アルプスは一見単一の山脈のように思えるが、実際には無数の異なる山脈が連なって構成されている。この号では、「谷風」「南北の分かれ目」「西アルプスと東アルプス」「フェーン(フォーン)」「ビースト」といった、アルプス特有の用語を丁寧に解説。マルクスが作成した素晴らしい地図も掲載されている。
特集記事には以下の内容が含まれる: - Tim Rochasと仲間たちによるモンブランのハイク&フライ(標高4,808m、滑走距離3,000m以上)の体験記と実践的アドバイス - Tom Payneによる「オルタナティブ・アルプス」— 100kmや200kmのビッグトライアングルではなく、湖でのSIVトレーニング、アクロの学習、満月飛行など21の楽しみ方を提案 - Luca Godenziによるベルニナ山塊での4,000m峰へのトップランディング体験記(Romano Salisの写真付き)。彼のインスタグラムでは360度魚眼レンズで撮影された映像が中心だが、この記事では彼の内面的な哲学とリスク管理の考え方が詩的に綴られている
タルキンは昨年、Tom Payneと実際に満月飛行を体験したことを語る。夜間の発射は「すべてが間違っているように感じられた」といい、ヘッドトーチだけを頼りに、眼下にチューリッヒの灯りがちらつく中を飛行した。ケーブルが見えない恐怖はあったが、事前に着陸場を下見し、「ケーブルはない」というトムの言葉を信じて飛んだという。
レッドブルX-アルプス・チャレンジャーの舞台裏
タルキンは、レッドブルX-アルプス本戦への予選イベントとして開催された「チャレンジャー」の詳細を報告する。3日間のイベントは以下の構成だった: - 1日目:マウンテンラン(山岳走行) - 2日目:ドル風のハイク&フライレース(400m登って直線飛行を3回繰り返す、通常の装備でスピードウイングやミニウイングは禁止) - 3日目:従来型のハイク&フライ(80kmのタスク)
この形式には批判もあった。1日目に飛行がなかったこと、ノックアウト方式(76名の選手がスタートラインに立ったが、最終日には約40名のみが進出)が過酷だったことなどだ。しかし、このイベントの主目的は次世代の才能を発掘するプラットフォームを提供することだった。
ルーキー部門の勝者には、レッドブルX-アルプス本戦へのワイルドカード出場権が与えられた。男子はスイスのAaron Mattis、女子はRomy Swederが受賞。Romyは医師であり、前年のレッドブルX-アルプスではKriegelをサポートしていた経験を持つ。彼女はワイルドカード獲得後、「できるかわからない。スポンサーもいないし、準備が整うか不安だ」と語ったという。
全体優勝は、43歳のベテラン、Kriegelが獲得。彼は2日目に、わずか2分未満で装備をパッキングする驚異的な技術で多くの順位を挽回した。タルキンは「何度ビデオを見ても、どうやってあんなにきれいに空気を抜いて折りたたむのか理解できない」と感嘆する。Kriegelは現在もAdvance社のR&Dを支援しており、今後のXペリグナン(XP)でどのウイングを飛ばすか注目される。
フランスの若手選手たち(Luca Bona、Francois Montori、Pierre Remy)も参加したが、ワイルドカード獲得には至らなかった。Lucaは「Born to Fly」の勝者であり、3日目の開始時に優勝を宣言していたが、結果的に苦戦した。しかしタルキンは、このイベントが若手選手のショーケースとして機能し、次回のレッドブルX-アルプスではフランス代表選手の顔ぶれが変わる可能性があると予測する。
Calef Letorneyのアクティブパイロティングマスタークラス
エピソードの中核をなすのが、Calef Letorneyによるマスタークラスの抜粋だ。彼はアクティブパイロティングを「地上での準備」と「空中での技術」に分けて解説する。
スピードバーの使用法: Calefは、着陸地へのグライド中でも「無意識にブレーキを引いて終わり」にするのではなく、常にスピードバーを使う習慣をつけるよう推奨する。特に向かい風の状況では、全レンジのスピードバーを使いこなせるように練習すべきだという。「本当にフルバーが必要な時は、たいていエキサイティングな状況で、乱気流も伴う。日頃からフルスピードレンジに慣れておく必要がある」と強調する。
スピードバー使用時のピッチコントロールは、リアライザーで行う。手順は以下の通り: 1. ブレーキから手を離し、ラップを解く 2. リアライザーとのコンタクトを確立(感触を掴む) 3. 圧力がなくなったらリアライザーを引き下げる
サークリング(旋回)中のアクティブパイロティング: Calefは「空気を鏡のように映し出せ」と表現する。風がささやくように優しければ、修正も小さく。風が鼻を殴るように強ければ、素早く鋭い前腕の伸展で応戦する。
サークリング中は、予測可能なパターンがある: - コア(上昇気流の中心)に当たった時や向かい風に入った時:グライダーが後ろに下がる傾向 - 追い風に回った時やコアから外れた時:グライダーが前にダイブする傾向
重要なのは「外側の手」の役割だ。Calefは「内側の手は理想的な旋回直径を設定し、外側の手が実際のアクティブパイロティングを行う」と説明する。コアから外れてグライダーがダイブしたら、ブレーキで叩いてスパイラルを防ぎ、コアに当たってグライダーが後ろに下がったら、手を上げて対応する。この外側の手の動きが「魔法」だと彼は言う。
ケッセン・スーパーパラグライディング・テスティバル
タルキンはレッドブルX-アルプス・チャレンジャーの後、ケッセン(Kössen)でのテスティバルに参加した。ケッセンはオーストリアの村で、ドイツ国境のすぐ南、キームゼー湖の南に位置する。北アルプスの石灰岩山脈が広がり、ドイツの平野部から北風が吹き込む地形だ。
この場所の特徴は、標高約1,400〜1,500mの山頂から1,000mの標高差を滑空できること。ゴンドラで上がり、そのまま発射場に出れば、10〜15分の飛行が可能で、徒歩移動は一切不要。冬季にはアクロパイロットたちが1日10〜13回のフライトをこなすという。
4日間のイベントには約600名のパイロットが登録。ドイツ語圏アルプス最大のフェスティバルだ。タルキンはこの4日間で13機ものウイングをテスト飛行した。これは「4年間で飛ばした数よりも多い」という。
テストしたウイング一覧: - Ozone Vibe GT - Gin Bandit 2(自身のウイング) - Air Design Vivo 3(および軽量版Livy 2) - Niviuk Hiko - Skywalk Arak - Nova Nexo(新発売のローBクラス) - UP Keebo X(初のミッドB 2.5ライナーとされる) - BGD Epic - Advance Tau(Tau、Thetaではない) - Skywalk Pace - Niviuk X(Nivex)
タルキンは「SIV(Simulated Incident Vehicle、緊急時対応訓練)と同じくらい有益だった」と振り返る。どのウイングも素晴らしいが、微妙な違いがある。ブレーキトラベルが長いもの、反応が鋭いもの、ラインの色分けがされているものなど、個性は様々だ。
特筆すべきは、Supair Delight 5ハーネス。これは中間パイロットがアップライトからポッドへ移行するための入門用ポッドハーネスで、非常に快適だったという。唯一の欠点は、プロテクションがフォーム素材であるため、エアインフレート式に比べてコンパクトに収納できない点。ハイク&フライにはやや不向きだが、重量は3.5kgと5年前なら軽量クラスだった。
タルキンは自身のGin Bandit 2で最長の飛行(1時間超)を達成し、「恋に落ちる」心配は無用だったと語る。Advance Tauは「少しスポーティすぎる」と感じ、より快適でパッシブセーフティ重視のスペクトラムを好む自身の好みを再確認したという。
EN-Cクラスの新ウイングとテスト結果
同誌のチームメンバーであり、オランダ人インストラクターでもあるErwin Voogtが、EN-Cクラスの新ウイングについて詳細な分析を提供した。
注目すべきは、各メーカーがEN-Cクラスで2ライナー(2本のラインセット)設計を採用し始めている点だ。これらのウイングはアスペクト比6.5〜6.7で、EN-Cクラスの上位に位置する。
テストされたEN-C 2ライナー: - Advance Tau:Advance初のEN-C 2ライナー。3ライナーのSigmaやTrangoよりも上位に位置づけられる - UP Torre:同様に3ライナー版より高性能 - BGD Tigra:Cure 3の軽量版だが、アーク(弧)がよりフラット - Mac Para Elixir:Verveの兄弟機で、より高いアスペクト比 - Swing Sphaera 2 RS:サプライズの一台。前モデルはEN-Dだったが、新型はEN-C認証を取得。PWC(パラグライディングワールドカップ)レベルの性能とEN-Cの安全性を両立
また、Novaからは新しいローBクラスのNexoが発表された。これはスクール用ウイングとクロスカントリー用ウイングのギャップを埋める製品で、ドイツでは認められていないが、スクールウイングとしても使用可能。カラーコードされたライン、簡単な発射、安定した着陸挙動、良好なサーマリング性能が特徴だ。
アルプスでの記録的近距離飛行と今後のレース
5月25日、東アルプスで注目すべき飛行があった。Justin PutoとAntoine Cabiakの2名が、ほぼ400kmのサーキット飛行を達成したのだ。正確には393km。しかし、この飛行には問題があった。彼らが離陸した場所が野生生物保護区内であり、違法空域からの離陸となったため、記録として公認されない。
エドは「彼らは自ら間違いを認め、謝罪した」と説明する。特別な気象条件の日だったため、通常の発射場ではなく、より高く、より東向きの場所を選んだ結果のミスだった。XCトレント(オンラインのフライト追跡プラットフォーム)には記録が残るが、国内記録としては認められない。しかし、この飛行は「誰かが間もなく400kmを達成する」方向性を示している。
その他のニュース: - SRS(スーパーレースシリーズ)では、Pepe MelekiとVanya Egvicがバッサーノで優勝 - ハンググライダー欧州選手権がイタリアアルプス山麓で開催中(140kmタスク) - XP(Xペリグナン)が間もなく開幕。同号では参加者、ルート、注目ポイントを詳報
XPはレッドブルX-アルプスよりも「カジュアル」だが、競技性は高い。Kriegelがチャレンジャーで優勝した以上、XPでも手を抜かないだろう。タルキンは「彼はプロアスリートとして、勝つために行く。絶対に最高であろうとするマインドセットを持っている」と評する。XPの魅力は、プロからアマチュアまで幅広い参加者が混在し、「48位でも構わない。10日間ピレネーを旅したい」という冒険心を持つ人々も参加できる点にある。
まとめ
このエピソードは、パラグライディングというスポーツの多層的な魅力を凝縮している。技術面ではCalef Letorneyのアクティブパイロティングが具体的で実践的であり、装備面では13機のウイング比較が購入判断の貴重な参考資料となる。競技面ではレッドブルX-アルプス・チャレンジャーの内幕と若手選手の台頭が、このスポーツの進化を示している。そして何より、「飛行できる日を無駄にするな」というシンプルながら力強いメッセージが、パイロットの人生観そのものに問いかける。単なる技術情報の羅列ではなく、情熱と実用性が融合した、パラグライダー必聴の内容だ。
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