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RiskReversal Pod · 2026年6月11日

ワーシュ初のFOMC、スペースX上場、バイス株最新情報

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この記事でわかること
  • マーケットの矛盾と新たな投資フロンティア:Warsh初のFOMC、SpaceX上場、そして「悪徳銘柄」の変容 本エピソードでは、ホストのDanny MosesとDan...
  • [0:02] 好景気なのに売られる市場——AI主導経済の逆説 Danny Mosesは、先週金曜日に発表された強い雇用統計を受けて市場が売られた現象を「良いニュースで...
  • Dan Nathanはこの矛盾を、GDPに対するAIインフラ投資の貢献度の大きさで説明する。雇用統計自体は良好で、賃金上昇がインフレを上回っていない点は安心材料だが、...
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マーケットの矛盾と新たな投資フロンティア:Warsh初のFOMC、SpaceX上場、そして「悪徳銘柄」の変容

本エピソードでは、ホストのDanny MosesとDan Nathanが、好調な雇用統計にもかかわらず売りが先行した市場の逆説的な動きを出発点に、AIインフラ投資が経済全体を牽引する構造と、その反転リスクを深掘りしている。さらに、Kevin Warsh新FRB議長の初会合における反対票の可能性、SpaceXのIPOを巡るNASDAQとFTSE Russellのインデックス編入競争、そしてGoogleとAnthropicとのコンピュート契約に潜む90日間の解約条項という「リップスティック」の実態に迫る。後半では、医療用大麻のスケジュール3再分類を追い風にNYSE上場を果たすTrulieveの動きと、予測市場KalshiがDraftKingsやFanDuelのデータプロバイダー業界を根本から変えつつある構図を、具体的な数字と因果関係で描き出している。

0:02好景気なのに売られる市場——AI主導経済の逆説

Danny Mosesは、先週金曜日に発表された強い雇用統計を受けて市場が売られた現象を「良いニュースで売られる」典型例と位置づける。10年債利回りは着実に上昇し、フェデラル・ファンド・フューチャーは今年1.5回以上の利上げを織り込み始めている。問題は、これまでAIとデータセンター建設が経済成長のほぼ全てを担ってきた点にある。原油価格や金利が上昇しても市場は無関心だったが、今やその「無関心」が終わったとMosesは指摘する。皮肉なことに、実体経済の消費者セクターは予想以上に底堅いにもかかわらず、市場は売られた。

Dan Nathanはこの矛盾を、GDPに対するAIインフラ投資の貢献度の大きさで説明する。雇用統計自体は良好で、賃金上昇がインフレを上回っていない点は安心材料だが、失業率は4.3%と依然として高い。問題は、もしデータセンター投資が減速すれば、GDPへの貢献が消失し、その穴を高所得消費者が埋められるかどうかだ。成長が鈍化しつつインフレが高止まりすれば、雇用市場はさらに弱体化し、FRBは極めて困難な立場に立たされる。ただしNathanは、10年債利回り4.5%という水準は約1年前の水準と同程度であり、パニックになるレベルではないとも指摘する。Carter Braxton Worthが繰り返し指摘するように、市場が経済データをどう解釈するかは「泥のように濁っている」とNathanは言う。データが悪化して利下げ観測が再燃する方が、かえってボラティリティを高め、センチメントに悪影響を与える可能性がある。

Mosesはさらに、AI関連株が市場全体の富の効果を支えている点を強調する。たとえ市場全体が横ばいでも、AI・データセンター株が急落し消費者株が堅調という「ローテーション」が起きれば、それは経済にとってむしろマイナスだという。なぜなら、大半の投資家が保有するのはAI関連株だからだ。翌日に控えるCPI(消費者物価指数)はコア2.9%、総合4.2%と予想されており、これがFOMC前最後の重要指標となる。さらに、メキシコのインフレデータが予想以上に強かったこと、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の更新が未了であること、地政学的リスク(イランのヘリコプター撃墜事件とトランプの報復示唆)が重なり、市場の不確実性は高まっている。注目すべきは、イラン関連のヘッドラインで市場は急落したが、原油は反応しなかった点だ。

5:09Warsh初のFOMC——反対票ゼロはあり得ない

Mosesは、Kevin Warsh新FRB議長にとって初のFOMC meetingが極めて難しい舵取りを強いられると指摘する。前回4月のパウエル議長最後の会合では、4人が反対票を投じた。そのうちの1人、Stephen Myronは利下げを求めて反対したが、彼は既に退任している。残る3人の理事(Kashkari、Hammock、Logan)は引き締めバイアスを持っていた。Warshは初会合で波風を立てたくないだろうが、反対票がゼロになるとは考えにくいとMosesは言う。

ここでMosesは、予測市場Kalshiの「反対票ゼロか?」という契約に注目する。現在「Yes(ゼロ)」が70セント、「No(ゼロではない)」が32セントで取引されている。Mosesは「No」を32セントで買う(リフトする)と明言する。KashkariかLoganのいずれかが、政治的メッセージを送るために反対票を投じる可能性が高いからだ。たとえWarsh自身が引き締めバイアスを持っていたとしても、全員が同調するとは限らない。前回の4人の反対者のうちMyronが退任したことで「ゼロ」の確率が上がったと見る向きもあるが、Mosesは「2人か3人の反対が出る」と予想する。

Nathanは、こうしたイベント契約の流動性の問題を提起する。スポーツやその他の垂直領域では人気があるが、金融市場関連の契約はまだ取引量が少ない。しかしMosesは、自身がKalshiを実際に使っている経験から、機関投資家やトレーダーが徐々に参入しつつあると反論する。「ボリュームがボリュームを呼ぶ」段階に入りつつあり、Warshが会見でどのような言葉を使うかといった契約も登場している。さらに、パウエルはまだ理事として議決権を持つが、Warshの初会合で反対票を投じるとは考えにくい。Lisa Cook理事の最高裁判決が数週間以内に出る予定であり、これも新たな政治的波紋を生む可能性がある。トランプ大統領がこれまでFRBに対して異例なほど静かであることも、注目すべき点だ。

9:17SpaceX IPO——インデックス編入競争と「90日条項」の罠

SpaceXのIPOを巡っては、NASDAQ 100とFTSE Russell(「Footsie」)の間でインデックス編入を巡る駆け引きが起きている。S&P 500は収益性基準を理由にSpaceXの編入を認めない方針だが、NASDAQ 100は15取引日後に編入を認める。FTSE Russellはわずか5取引日後だ。さらにNASDAQは3倍の浮動株調整を適用するため、仮に時価総額750億ドルとすると、実質的なインデックス影響額は2250億ドルに達する。

Mosesは、このIPOのタイミングと、GoogleとAnthropicがSpaceX(xAI)と結んだコンピュート契約の関連性を重視する。Anthropicは今年9月頃のIPOを目指してS-1を提出済みで、Goldman SachsやMorgan Stanleyなど20以上の銀行が関与している。Anthropicは秋から3年間で12億ドルを支払い、11万基のGPUを確保する契約を結んだ。Googleも同様に約10億ドルの契約を結んでいる。合計22億ドルの収入が、月間10億ドルの損失を出していたxAIにIPO直前に流れ込む格好だ。

しかしNathanは、ここに重大な「但し書き」があると指摘する。両社とも、90日間の通知期間でこれらのコンピュート契約を解除できるのだ。さらに、xAIがコンピュート能力を提供できない場合、即時解約も可能だ。Nathanはこれを「豚に口紅を塗る」行為と表現し、Jim Chanos(著名な空売り投資家)なら飛びつくだろうと皮肉る。220,000基のNvidia GPUが棚に眠り、ただ減価償却されていくリスクは無視できない。

さらに、SpaceXのロケット打ち上げ失敗歴を考えると、公開市場の投資家がどう反応するかも不透明だ。民間企業時代は「貴重なデータが得られた」とポジティブに語られてきた失敗も、上場企業では株価に直結する。Nathanは、友人たちが2018年頃からSpaceXを保有していることに驚きを隠さない。彼らはFalcon Heavyの技術的詳細を知らず、単に「クールな会社」だから買ったという。Wall Street Journalが報じた、UNC Chapel HillやStanfordなどの大学エンダウメント(基金)が既に保有している事実は、むしろ警戒材料だ。エンダウメントとリテール投資家が既に組み込まれている中で、新たに買う主体がどれだけ残っているのか。

Mosesはここで再びKalshiの契約に言及する。NASDAQ 100が現在の29,000から2026年に32,000に達するかという契約は、54セントで「No」が取引されている。11%の上昇は決して非現実的ではないが、Mosesは「No」を選ぶ。もしNASDAQ 100が25,000〜26,000に下落すれば、この契約は80セントに上昇し、途中で利食いも可能だからだ。Nathanは、もしSpaceXのIPOが成功し半導体株への追い風となれば、SaaS株の復活も含めた全面高でNDXは11%上昇する可能性も否定しない。しかし、先週4%下落し、翌日には戻すような不安定な値動きは健全とは言えない。

14:14大麻銘柄の構造転換——TrulieveのNYSE上場が意味するもの

医療用大麻がスケジュール3に再分類された数ヶ月前、市場は一時的に盛り上がったが、嗜好用が含まれなかったことに失望もあった。しかし今、取引所とインデックス側がSpaceXに対して特別措置を取るのと同様に、大麻業界にも構造的な変化が起きている。New York Stock Exchange(NYSE)が、Trulieveの株式を明日からTRLVのティッカーで上場することを承認したのだ。

Trulieveは、医療用大麻事業と嗜好用大麻事業を分割し、別々の法人にスピンオフした。これまではカナダのトロント証券取引所(TCN)にしか上場していなかったが、NYSEへの上場は「この業界で何年も見てきた中で最大の出来事」とMosesは評価する。連邦レベルの銀行業務承認(SAFE Banking Act)すらまだ通っていない段階での、この「本物の上場」は画期的だ。

Trulieveの最大市場はフロリダ州だが、フロリダは医療用のみの市場である。Mosesの試算では、嗜好用事業の評価額は1.4〜1.5億ドル程度で、時価総額の大部分は医療用事業が占める。CEOのKim Riversが、ワシントンDCで過ごした時間がフロリダ以上だったという努力が実を結んだ形だ。Glass House(Porter CollinsとVincent DanielがSeawolf Capitalでロングしている銘柄)も、追随して上場する可能性が高い。Glass Houseは最大の温室栽培施設を持ち、Trulieveよりはるかに割安な「純粋プレイ」だとMosesは言う。

16:02予測市場が変えるデータプロバイダー業界——DraftKings、FanDuelのジレンマ

Mosesは長年、DraftKingsとFanDuel(Flutter Entertainment傘下)のビジネスモデルに警鐘を鳴らしてきた。その核心は、予測市場(Kalshiなど)の台頭が、両社の最も収益率の高い事業領域——ライブ・インゲーム賭博、パーレイ(複数選択式賭け)、キャッシュアウト——を侵食するというものだ。

今回のエピソードでMosesが注目するのは、データプロバイダー業界の地殻変動だ。Genius Sports(GNI)とSportradar(SRAD)は、これまでNFL、NCAA、イングランド・プレミアリーグなどの公式データを独占的に提供してきた。しかし、DraftKingsやFlutterが「自分たちのデータプロバイダーが競合にデータを提供するのは困る」と制約をかけていたため、両社は予測市場向けのデータ提供に踏み切れなかった。

ところが、SportradarがKalshiとデータ提供契約を結んだことで、状況は一変した。Sportradarは先日、Muddy Watersなどから未認可地域での事業を理由に空売り攻撃を受けていたが、この契約発表で株価は急騰した。Mosesの推論では、Genius Sportsも同様の契約を結ぶ可能性が高い。Geniusが持つNFL、NCAA、プレミアリーグのデータは、Sportradarにはない強みだからだ。

この動きの含意は大きい。DraftKingsとFanDuelのライブ賭博やパーレイの収益は、データプロバイダーに売上の一定割合を支払う構造になっている。予測市場が成長すればするほど、DraftKings/FanDuelの高マージン事業はカニバリゼーション(自己食い)を起こす。実際、DraftKingsは本日、イベント契約事業のラン・レートが13億ドルに達したと発表し、株価は上昇した。しかしMosesは、これは「自分たちの事業を食いつぶしている」に過ぎないと指摘する。Kalshiは5月だけで180億ドルの取引高を記録しており、そのうち130〜150億ドルがスポーツ関連だ。

NathanはDraftKingsのファンダメンタルズを冷静に評価する。2027年のコンセンサス予想では、売上高成長率13%、利益成長率58%、粗利率43〜44%と見込まれているが、株価は48ドルから1年で半減した。Flutterに至っては、昨年の高値から65%下落し、2020年の安値にほぼ等しい水準だ。FanDuelの米国CEOが解任されたことも不透明感を強めている。Mosesは「全ての株に値段はつくが、長期投資家として今買う気にはなれない」と断言する。2025年末時点の利益予想はまだ高すぎ、2026年の予想も下方修正が始まったばかりだ。負債も無視できない水準にある。完全なリセットが起きるまでは、投資対象として見るのは時期尚早というのがMosesの結論だ。

まとめ

本エピソードは、表面的な市場の動きの背後にある構造的な矛盾と、新たな投資フロンティアの胎動を鮮やかに描き出した。AIインフラへの過度な依存、FRBの政治化、SpaceXのIPOに潜む「出口戦略」の脆さ、大麻銘柄の制度的変革、そして予測市場が伝統的ギャンブル業界に突きつける破壊的競争——これらのテーマは、単なる短期的なトレードの材料ではなく、今後数年にわたって市場の構造を変えていく力を持つ。MosesとNathanの対話は、ウォール街の「常識」を懐疑的に検証し、数字と因果関係で語るスタイルが一貫しており、リスナーに「何が本当に重要か」を考えさせる力に満ちている。特に、Kalshiのイベント契約を具体的なトレード例として示しながら、予測市場が単なるギャンブルではなく、ヘッジや見通し形成のツールとして機能し始めている点は、示唆に富む。

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