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RiskReversal Pod · 2026年5月22日

ウォール街の強気派ブライアン・ベルスキー、S&Pが8000台に上昇する前に調整を予想

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この記事でわかること
  • ウォール街の雄ブル、ブライアン・ベルスキーが語る「調整の後にS&Pは8,000台へ」 本エピソードでは、リスクリバーサル・ポッドのホスト、ダン・ネイサンが、ヒューミュラス...
  • [2:00] 新ETF「HIS」の戦略と銘柄選択の哲学 ベルスキーが新たに立ち上げたETFのティッカーは「HIS」で、これは「Humiculus Investment S...
  • ベルスキーの銘柄選択プロセスは、1990年代初頭にダイン・ボズワースで「パンクなストラテジスト」だった頃に開発した独自の手法に基づく。トップダウン分析と言っても、マクロ経...
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ウォール街の雄ブル、ブライアン・ベルスキーが語る「調整の後にS&Pは8,000台へ」

本エピソードでは、リスクリバーサル・ポッドのホスト、ダン・ネイサンが、ヒューミュラス・インベストメント・ストラテジーズの創業者兼CIOであるブライアン・ベルスキーを迎え、S&P500の今後について深く掘り下げた。ベルスキーは、2025年に見事に的中させたS&P7,000予想を経て、2026年は「利益主導型市場」であると主張し、マグニフィセント・セブンから残りの493銘柄への主役交代が進むと予測する。しかし彼は同時に、更なる上昇の前に調整局面が訪れると警告し、そのタイミングと引き金、そして最終的にS&Pが「8のつく水準」で年末を迎えるという強気のシナリオを、ユーモアと具体性を交えて語った。

2:00新ETF「HIS」の戦略と銘柄選択の哲学

ベルスキーが新たに立ち上げたETFのティッカーは「HIS」で、これは「Humiculus Investment Strategies」の頭文字である。彼はさらに3つのETFを申請中だと明かした。このポートフォリオは、S&P500をアウトパフォームすると彼らが考える45銘柄で構成されている。特筆すべきは、この戦略が2017年から実際に運用されており、2022年の厳しい相場でも5年ベースで好パフォーマンスを維持してきた点だ。2025年は25%上昇し、しかもマグニフィセント・セブンをアンダーウェイトした状態での達成だった。

ベルスキーの銘柄選択プロセスは、1990年代初頭にダイン・ボズワースで「パンクなストラテジスト」だった頃に開発した独自の手法に基づく。トップダウン分析と言っても、マクロ経済指標や原油価格を追うのではなく、バリュエーション、利益成長、オペレーティング・パフォーマンス、そしてテクニカル特性を市場→セクター→業種→個別銘柄の順に評価する。彼はS&P500の全11セクター(実際は12セクター)に少なくとも1銘柄ずつ組み入れ、戦略的に選んだセクターをオーバーウェイトする。現在はコミュニケーション・サービス、産業、公益事業を選好している。ターンオーバー率は22%と極めて低く、ヘッドラインや恐怖に振り回されず、規律を守ることが基本方針だ。

8:30S&P7,000予想を的中させた理由と2026年の市場構造

ベルスキーは2025年、S&P500に7,000の目標株価を設定し、4月の関税ショックによる売りにも動じず、年末までその見解を変えなかった。彼は2023年を「弱気相場の底値からの回復」、2024年を「AIブームの本格化」、2025年を「利益主導への移行」と位置づける。2026年の最大のテーマは「利益主導型市場(earnings-driven market)」であると強調する。これはモメンタム主導型市場とは根本的に異なり、年間のリターン構造が約半分になる傾向がある。しかし、市場が上昇しないという意味ではなく、上昇ペースが緩やかになるということだ。そして利益主導型市場では、歴史的に調整局面が発生する確率が高い。

実際、2026年Q1の決算シーズンはこのテーゼを裏付けた。ファクトセットのデータによれば、マグニフィセント・セブンの利益成長率は前年同期比63.2%と、2021年Q2以来の高水準。一方、残りの493銘柄の利益成長率も17.4%と、2021年Q4以来の高水準を記録した。S&P500が年初来約9%上昇し、等加重指数が約7%上昇したのは、この「利益の広がり」を反映している。ベルスキーは、投資家が過去のリーダー銘柄と流動性に安心して回帰する「念のための上昇(just in case rally)」が起きていると指摘。しかし、これは1995〜96年の「ニフティ・フィフティ」的な動きであり、いずれ解消されると見ている。

10:45マグニフィセント・セブン vs. 残りの493銘柄 — 主役交代の兆し

ベルスキーは、マグニフィセント・セブンから他の493銘柄への「正常化」が起きつつあると確信する。彼は「私は何年もこの正常化を願って祈ってきた。政治もマクロも金利も正常化しつつある。利益とパフォーマンスの正常化こそが市場の次の波だ」と語る。彼のチームは2022年第4四半期からテクノロジーセクターをオーバーウェイトしてきたが、セクターの時価総額が大きくなりすぎたことと、利益とパフォーマンスの標準偏差(分散)が拡大していることを理由に、ニュートラルに引き下げた。代わりにコミュニケーション・サービスを増やしたのは、同セクターの方がファンダメンタル特性が優れ、かつセクター規模が小さいため、より高いトラッキングエラーを取れるからだ。

ダン・ネイサンは、マグニフィセント・セブンが493銘柄の3〜4倍のEPS成長率を誇る現状を指摘しつつ、調整が起きるとすればトップ10銘柄の利益減速が引き金になる可能性を問う。ベルスキーはこれに同意し、投資家が過去のリーダーと流動性に安心して群がる「念のための上昇」が起きていると分析。しかし、この動きは長続きせず、正常化が進むと予想する。

14:00ウォルマートの警告、消費者動向、そして小売リスク

ウォルマートは時価総額1兆ドルを超える小売大手だが、同社の決算発表後、株価は急落した。ベルスキーは、ウォルマートが「エブリデイ・ロー・プライス」を維持するために、高まるインプットコストを価格転嫁せずに吸収している点を指摘。これは同社のビジネスモデル上の強みだが、短期的には逆風となる。彼は、ウォルマートからターゲットへのペアトレードを提案する。ターゲットは新CEOの下でオペレーション改善が進んでおり、ベルスキーのバリューポートフォリオにも組み込まれている。

一方、ディアの決算では、米国・カナダ向けの需要が15〜20%減少するとのガイダンスが発表され、株価は下落。肥料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が背景にある。ベルスキーは、こうした短期的な逆風は「一時的(transitory)」であり、ディアやキャタピラーのような優良企業はAIによるオペレーション効率化の恩恵を受けると主張。産業セクター全体について「人々がまだ十分に注目していない場所」と評価し、パーカー・ハニフィン(自社ETFで保有)のような銘柄に注目する。

17:15ディア、産業株、そしてAIが「旧経済」株にもたらす恩恵

ベルスキーは、産業セクターがAIの恩恵を受ける可能性を強調する。キャタピラーが「AI株のように見える」パフォーマンスを示しているのはその証左だ。彼は「我々は何度もサイクルを経験してきた。眠そうな名前が市場平均以下のバリュエーションで取引されているのに、突然上昇し始める。その時、アンテナが立つ」と語る。

ただし、産業セクターETF(XLI)はS&P500の新高値を確認できていない。また、銀行株(BKX)も同様に確認できていない。JPモルガン・チェースは指数に対して「ひどいパフォーマンス」だとベルスキーは指摘。しかし彼は金融セクターに強気の立場を崩さない。「米国には600の上場銀行と4,000の銀行があり、過剰なキャパシティがある。規制緩和と統合が進む中で、JPモルガンが現在の水準で取引されているのは理解できない」と述べ、金融セクターこそが市場の「幅広化」を牽引すると主張する。

20:00金融セクターへの強気、航空・運輸、そして住宅市場

ベルスキーはデルタ航空を自社ETFで保有し、ユナイテッド航空も小型株商品で保有している。彼は「航空会社は永遠に買って保有するものではない。循環株だ」と認めつつも、現在の経営陣の質の高さを評価する。フェデックスは分割計画(フレイト部門と航空貨物部門への分離)が好感され、UPSより良好なパフォーマンスを示している。

住宅市場については、30年固定金利が6.5%と高止まりしている。ホーム・デポは52週安値圏で推移し、20%以上下落している。ベルスキーはホーム・デポを「犬のように取引されている」と表現しつつも、同社のブランド力と長期保有の価値を信じて手放さない。一方、ロウズはバリュー株として配当利回りが高く、より好意的だ。プルテ・グループやKBホームのような伝統的な住宅建設会社は、原材料を低価格で調達済みであり、金利低下が実現すれば大きな恩恵を受けると見る。

26:45金利の行方 — 10年債利回りはどこへ向かうのか

10年債利回りは3月初めの3.95%から上昇し、4.55%で推移している。ベルスキーは、長期的な正常化レンジとして3.50〜4.50%を想定。原油価格(WTI)が中東情勢の落ち着きとともに低下すれば、金利も落ち着くと予想する。ただし、FRBが利下げに踏み切るとは考えていない。「FRBは利下げしない。しかし、10年債利回りは行き過ぎている」と述べ、利下げなしでも利回りが自然に低下するシナリオを描く。

ダン・ネイサンは、経済が堅調で利益成長が二桁なら、なぜ金利が下がるのかと疑問を呈する。ベルスキーは「マグニフィセント・セブンの利益成長が2〜2.5%ポイント減速し、その分が他の493銘柄に移れば、市場はそれを好感する」と応じる。つまり、金利低下自体が株価のカタリストになるのではなく、利益の幅広化こそが次の上昇局面の原動力になるという論理だ。

31:00SpaceX、OpenAI、AnthropicのIPOリスク — バブルか、それとも新時代か

SpaceX(ナスダック上場予定、時価総額約2兆ドル)、OpenAI(9月上場予定)、Anthropicの3社が相次いでIPOを計画している。ベルスキーは「この3つの大型IPOが出てくることは、非常に大きな逆張り的なネガティブ材料だ」と警戒する。彼は1990年代末から2000年代初頭の市場を研究した経験から、今回の状況を「あの時とは違う」としつつも、懸念を表明する。

特にOpenAIについては、CFOが保守的なトーンに変わりつつある一方、サム・アルトマンCEOがそれを打ち消す「現実歪曲フィールド」を持っている点を問題視。アンソロピックはエンタープライズ向けに強みを持ち、より堅実だと評価する。ベルスキーは「IPOから1年間は買わない」という自身のルールを挙げ、ナスダックによる高速インデックス組み入れ(fast-track)にも懐疑的だ。

ダン・ネイサンは、これらのIPOが成功しなければ、VCファンドの出口戦略が滞り、2022年のような状況を招くリスクを指摘。ベルスキーは逆に、もしOpenAIやAnthropicのいずれかがIPOを来年に延期すれば、それが市場のセンチメント改善と絶好の買い場になるとの逆説的な見方を示す。

39:00AI銘柄 — バブルか、ブームか、それともまだ始まったばかりか

ダン・ネイサンはAI銘柄のバリュエーションについて「ばかげている」と断言し、「これはバブルだ。バブルは長く膨らみ続ける可能性があり、そこで多くの金が稼げる。しかし、多くの人、特に個人投資家が傷つくことも確かだ」と警告する。彼は、サンディスクが20ドルから1,500%上昇した例を挙げ、半導体メモリー株のパラボリックな動きに疑問を呈す。

ベルスキーは、こうした銘柄を「逃した」ことを認めつつも、半導体メモリーはテクノロジーセクター全体で最も利益変動の大きい業種だと指摘。「今回は違う」という主張には「めったに違わない」と応じる。彼は、サンディスクやシーゲイトのような伝統的な企業が急騰するのは、投資家が「最初にAI関連、次にその周辺、そしてさらにその先」と追いかけている結果であり、調整の引き金は「最も上昇したものが最も下落する」という形で訪れると予想する。

45:45ソフトウェア銘柄の「SaaSアポカリプス」とウォール街が見逃しているもの

ダン・ネイサンは、ServiceNowが2025年の最高値から65%下落した事例を挙げ、SaaS銘柄の急落を「SaaSアポカリプス」と表現。ServiceNowは今後2年間で年20%の売上・利益成長が見込まれ、粗利率78%という優良企業にもかかわらず、株価は戻らない。その背景には、AIネイティブ企業がSalesforceやServiceNowのような「既製のツール」ではなく、自社で内部システムを構築する動きがあると指摘。VCがポートフォリオ企業に「自社構築を勧めている」という証言も紹介する。

ベルスキーは「赤子を風呂の水と一緒に捨てている(baby in the bathwater)」と表現し、まだ時間が必要だとしながらも、一部のSaaS企業はAIを活用した使用量ベースの課金モデルに移行できる可能性を認める。彼は45銘柄の集中ポートフォリオを運用する利点として、「すべてを保有する必要がない」ことを挙げ、200〜250銘柄を抱える大型ファンドは下落時にも同様に損失を被ると警告する。

48:00調整のタイミングと弱気相場の条件

ベルスキーは、2026年後半に「夏の失速(summer swoon)」が発生し、その後秋から年末にかけて再び上昇すると予想。調整の深さについては、S&P500が7,000〜7,100まで下落した後、年末に向けて10〜15%の上昇を見込む。彼は「年末のS&Pは8のつく水準になる」と明言する(具体的な目標は中間見通しで発表予定)。

本格的な弱気相場(ベアマーケット)の条件としては、経済の本格的な減速が必要だと述べる。「今後2年以内に通常の景気後退が来る」と予想し、その引き金として「3C」(消費者、クレジット、設備投資)を挙げる。特に設備投資主導の景気後退(2001年のようなケース)が2〜3年後に発生する可能性を指摘。その場合、15〜20%の下落があり、それが2009年から続く「25年周期の長期強気相場」の一部としてのリセットになるとの壮大な見解を示す。

まとめ

このエピソードの核心は、ベルスキーが「利益主導型市場」というフレームワークを通じて、2026年の相場を読み解いた点にある。彼はマグニフィセント・セブンから他の493銘柄への主役交代を確信し、その過程で調整が避けられないと警告する。しかし、その調整こそが次の上昇局面への「絶好の買い場」になるとの逆説的なメッセージは、強気派でありながら現実的なリスク認識を持つ彼のスタイルを象徴している。特に、AI銘柄のバブル的側面と、SpaceX・OpenAI・AnthropicのIPOが市場に与える影響についての議論は、現在の市場参加者にとって極めて示唆に富む。ベルスキーの「25年周期の長期強気相場」という壮大なテーゼは、短期的な調整を超えた視点を提供し、リスナーに「今何をすべきか」ではなく「次に何が来るか」を考えさせる内容だった。

要点

  • ベルスキーは2026年を「利益主導型市場」と定義し、モメンタム主導型に比べリターンは約半分だが、調整後の買い場が重要になると主張
  • マグニフィセント・セブンの利益成長率は63.2%と高いが、残り493銘柄も17.4%と堅調で、主役交代の兆しが明確
  • 新ETF「HIS」は45銘柄で構成され、ターンオーバー率22%と低く、規律ある銘柄選択が強み
  • ウォルマートの決算は消費者へのコスト転嫁の限界を示唆し、ターゲットへのペアトレードを提案
  • ディアやキャタピラーのような産業株は短期的逆風があるが、AIによる効率化で中長期的に恩恵を受ける
  • SpaceX・OpenAI・Anthropicの大型IPOは市場のセンチメントに大きな影響を与え、成功しなければ2022年型の調整リスク
  • 半導体メモリー株(サンディスク、シーゲイト、マイクロン)のパラボリックな上昇は調整の引き金になり得る
  • ベルスキーは年末のS&P500に「8のつく水準」を予想し、調整後は10〜15%の上昇を見込む