
アメリカの1兆ドル規模の中国鉱山企業追跡レース — メタルズ・ロイヤルティ・カンパニー創業者兼CEO、ブライアン・パエス=ブラガ氏と共に
- アメリカの「兆ドル級」鉱物資源争奪戦:中国に数十年遅れを取った米国が、今まさに始める逆転劇 このエピソードは、ホストのGuy AdamiとDan Nathanが、Broa...
- [0:00] マーケットの二面性:VIXは低いが個別株は荒れる Dan Nathanはまず、ダウ平均が最高値を更新し、S&P500とナスダックもほぼ最高値圏にあり、VIX...
- Guy Adamiはこの現象を「環境の変化」と捉える。「もし全シリンダーでヒットしなければ、即座に罰せられる。特に、直近で急騰した銘柄はなおさらだ」と述べる。しかし興味深...
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RiskReversal Pod / RiskReversal Media
アメリカの「兆ドル級」鉱物資源争奪戦:中国に数十年遅れを取った米国が、今まさに始める逆転劇
このエピソードは、ホストのGuy AdamiとDan Nathanが、Broadcomの急落やSpaceXの大型IPOなど週間のマーケット動向を分析した前半部と、AdamiがMetals Royalty CompanyのCEO Brian Paes-Bragaにインタビューした後半部で構成されている。核心的なテーマは、中国が19/20の重要鉱物を支配する現状に対する米国の「鉱物独立」の緊急性だ。Paes-Bragaは、米国がシェール革命でエネルギー支配を確立したように、今後10年で鉱物分野でも同様の変革が起きると主張する。会話のトーンは、マクロの楽観論と個別株の異常なボラティリティが共存する市場への警戒感と、鉱物問題に対する「知られざる危機」への切迫感が交錯する、緊張感のあるものだ。
マーケットの二面性:VIXは低いが個別株は荒れる
Dan Nathanはまず、ダウ平均が最高値を更新し、S&P500とナスダックもほぼ最高値圏にあり、VIXが15.5を下回る「凪」の状態にあることを指摘する。しかし彼は、この表面的な平穏に強い違和感を抱いている。その理由は、個別株のボラティリティが異常に高いからだ。Broadcomは水曜日の引け後に決算を発表し、AI関連収益のガイダンスが市場予想を下回ったことで、翌日には16.5%も急落した。時価総額2.3兆ドルの巨大企業が、一晩で評価額の6分の1を失ったのである。
Guy Adamiはこの現象を「環境の変化」と捉える。「もし全シリンダーでヒットしなければ、即座に罰せられる。特に、直近で急騰した銘柄はなおさらだ」と述べる。しかし興味深いことに、Broadcomの急落は半導体セクター全体に連鎖しなかった。競合のMarvellは4%上昇し、TSMCも切り返した。Adamiは「Broadcomの決算自体は悪くなかった。指標は非常に良好だった。しかし市場が注目していた一部の項目でわずかに届かなかっただけで、これだけの反応が起きた」と解説する。これは、バリュエーションが極限まで拡張した環境では、わずかなミスも許されないという警告だと彼は言う。
パターン・デイ・トレーディングルール撤廃と市場構造の変化
Dan Nathanは、SECと規制当局がパターン・デイ・トレーディングルール(PDTルール)を撤廃したことに言及する。PDTルールとは、25,000ドル未満の口座を持つ投資家が5営業日以内に4回以上のデイトレードを行うことを制限する規則だった。この撤廃により、個人投資家のレバレッジ取引が増加し、個別株のボラティリティはさらに高まる可能性がある。
Adamiはこの流れを「市場のカジノ化」と表現する。トランプ大統領自身も最近「市場は巨大なカジノになった」と認めたという。Adamiは「COVID期に私たちが受け入れた『ゲーミフィケーション』という概念が、2026年には独自の生命を得ている」と警鐘を鳴らす。彼は、結局は市場が下落し、投資家が傷つくことでしか、かつての秩序は戻らないのではないかと懸念する。Dan Nathanもこれに同意し、消費者金融保護局(CFPB)の機能停止、予測市場やイベント契約の急増、そしてPDTルール撤廃と、投資家保護の「ガードレール」が次々と取り外されている現状を憂慮する。
Googleの逆襲とSpaceX IPOがもたらす資金の大移動
Broadcom急落の日に、Googleは4%近く上昇した。Adamiはこの現象を「第三階層の思考」と呼ぶ。市場は、GoogleがBroadcomの単なる顧客ではなく、自社設計のTPU(Tensor Processing Unit)を持つAIの勝者であると認識し始めているという。Googleは最近850億ドルの資金調達を実施したが、Adamiは「4.5兆ドルの企業にとって850億ドルは大した問題ではない。むしろ、GoogleがAI競争で最終的に勝つという認識が広がっている」と分析する。
Dan Nathanは、この資金調達の方法に注目する。Googleは自社株買いではなく、エクイティ(株式)を売却してAI投資資金を調達している。これは「自社の株式よりもAI投資の方が長期的に良いリターンを生む」という経営陣のシグナルだと解釈できる。そして、この文脈でSpaceXのIPO(6月12日予定)の重要性が浮かび上がる。SpaceX、xAI、Anthropic、OpenAIといった企業は、いずれ公開市場に資金を求めざるを得ない。Adamiは「資金はどこかから回ってくる。SpaceXのような大型IPOが実現すれば、テック株全体の資金フローが大きく変化する」と予測する。
さらに、SpaceXのIPOを巡る異例の状況も話題に上る。36もの銀行がマーケティングに関与し、手数料は通常の5-6%から1%に圧縮された。そして何より異例なのは、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO自身が高額資産家向けにこの銘柄をマーケティングしている点だ。Adamiはこれを「トップガン マーヴェリック」の冒頭シーンになぞらえ、「マッハ10に達した後、さらに押し込んで10.1にしたら機体が崩壊した。我々は今、その『さらに押し込む』段階にあるのではないか」と皮肉を込めて語る。
鉱物危機の実態:中国が19/20の重要鉱物を支配
後半は、Guy AdamiとBrian Paes-Bragaの対談に移る。Paes-Bragaはまず、自身の経歴を簡潔に説明する。カナダで20歳から株式ブローカーとしてキャリアをスタートし、その後マーチャントバンカーとして活動。2015年にはリチウム会社Lithium Xを創業し、後に中国企業に売却した。彼は「文明は採掘に依存している。しかし西側諸国はこの『汚い産業』をオフショアリングし、気づけば中国が支配する世界が出来上がっていた」と振り返る。
Paes-Bragaが提示するデータは衝撃的だ。「エネルギー関連の重要鉱物20種類のうち、19種類のサプライチェーンを中国が支配している」。これは単なるレアアースの問題ではない。鉄鉱石、銅、ニッケル、コバルト、マンガンなど、現代社会の基盤を支えるあらゆる金属が対象だ。米国では、鉱山の発見から生産開始まで平均29年かかる。一方、中国は過去30年にわたり、政府と企業が一体となって戦略的に鉱物資源の確保を進めてきた。Paes-Bragaは「中国はこれを国家の存亡に関わる問題として扱ってきた。米国もようやく同じ認識を持ち始めたが、遅れは数十年単位だ」と警告する。
シェール革命とのアナロジー:鉱物版「エネルギー独立」への道
Paes-Bragaは、現在の鉱物危機を10-15年前の米国のエネルギー情勢と比較する。当時、米国はOPECへの石油依存が国家安全保障上の脅威と認識され、超党派の課題として取り組まれた。その結果、パーミアン盆地やバッケンでのシェール開発に数千億ドルが投じられ、米国は世界有数のエネルギー超大国に変貌した。
「我々は同じ岐路に立っている」とPaes-Bragaは言う。「しかし鉱業には特有の難しさがある。石油は45-60日で井戸を掘り、生産を開始できる。鉱山はゼロからイチにするのに10年、20年かかる」。彼は、米国政府がすでに約290億ドルのコミットメントを行っていると指摘し、「この10年で数千億、場合によっては数兆ドル規模の投資が必要になるだろう」と予測する。
Adamiは、AIデータセンターの建設に伴う銅需要の爆発的増加を持ち出す。「ハイパースケーラーは1カ所で4-5万トンの銅を使用する。供給が需要に追いつけない」。Paes-Bragaはこれに同意し、チリでは新たな大規模銅山の発見が難しく、コンゴはインフラが課題だと補足する。「世界最高の鉱山起業家の一人が、プロジェクトを軌道に乗せるのに30年かかった。時間が我々の敵だ」。
Metals Royalty Companyのビジネスモデル:メザニン・レンダーとしての役割
Paes-Bragaは、自社のビジネスモデルを「鉱山会社への代替資本提供者」と説明する。具体的には、開発後期または生産間近のプロジェクトに対して、ロイヤルティ(鉱区使用料)やストリーム(将来の生産物の一部を購入する権利)の形で資本を提供する。これは金融用語で言えば「メザニン・レンダー」に近い。資産担保型であり、鉱山が生産を開始すれば数十年にわたってキャッシュフローが継続するという特徴がある。
同社は2025年上半期に、ミネソタ州メサビ鉄山脈のプロジェクトに1億3,250万ドルを投資した。このプロジェクトにはすでに25億ドルが投じられており、2025年後半に初回生産を予定している。Paes-Bragaは「我々はポートフォリオ・アプローチを取る。すでにニッケル、銅、コバルト、マンガン、鉄鉱石を保有しており、周期表を順に埋めていく」と語る。同社の目標は、年間3-5件の大型取引に絞り、フリーキャッシュフローの最大化を図ることだ。
Adamiが「金属価格の下落リスクは?」と問うと、Paes-Bragaは「ロイヤルティ・カンパニーは鉱山会社よりも価格変動の影響を受けにくい。さらに、価格が下落する局面こそ、我々にとっては最高のディールが生まれる時期だ」と答える。彼は過去の成功例として、リチウム価格がトン当たり5,000ドルの時にLithium Xを創業し、価格が22,000ドルに上昇したタイミングで売却した経験を挙げる。
地政学的戦略:ラテンアメリカとアフリカを巡る米中の角逐
Paes-Bragaは、中国がアフリカで25-30年前から戦略的にプレゼンスを拡大してきたことを指摘する。「道路を建設しているのも、労働力も、すべて中国だ。彼らは誰よりも早くチャンスを見抜いた」。一方、米国はトランプ政権下でベネズエラへの関与を強化した。Paes-Bragaはこれを「非常に賢明な動き」と評価する。「ベネズエラは鉱物と石油に恵まれている。より強いベネズエラは、より強いラテンアメリカを意味する」。
同社は「ティア1の法域」(米国、カナダ、オーストラリア)に焦点を当てつつ、ラテンアメリカの安定化に伴い、同地域への投資機会が拡大すると見ている。Paes-Bragaは「米国は、中国がアフリカでやったことをラテンアメリカでやるべきだ。そして我々はそのプロセスで資本提供者としての役割を果たせる」と述べる。彼は世界を3つの超大国で整理する。「ロシアは国内にすべての資源を持つ。中国は国外、特にアフリカに求めた。米国はラテンアメリカを活用すべきだ」。
鉱業の人材不足と「忘れられた産業」の再生
Paes-Bragaは、鉱業が直面するもう一つの深刻な問題として人材不足を挙げる。「鉱業はオフショアリングされ、忘れ去られた産業になった。優秀な人材はテクノロジーや金融サービスに流れた」。彼は「我々には、資本を投入するだけでなく、優秀な若者をこの分野に引き付ける使命もある」と語る。
Adamiは「人間は、何かを心配しなければならなくなるまで心配しないものだ。もしかすると、ある金属が実際に手に入らなくなる『決定的瞬間』が来るかもしれない」と応じる。Paes-Bragaは「我々はその瀬戸際にいる」と認めつつも、米国が世界最大の資本市場と準備通貨を持つ強みを活かせば、中国の数十年のリードを短期間で縮められる可能性もあると楽観的な見方を示す。
まとめ
このエピソードが最も強く印象づけるのは、米国の「鉱物独立」が単なる投資テーマではなく、国家安全保障の根幹に関わる問題だという認識である。Paes-Bragaの主張は明確だ:中国は30年かけて戦略的に鉱物サプライチェーンを掌握したが、米国は今からでも本気で取り組めば、シェール革命の再現は可能だ。ただし、鉱業には石油よりもはるかに長いリードタイムがかかるため、即効性は期待できない。Metals Royalty Companyのビジネスモデルは、この「時間と資本のギャップ」を埋めるものとして位置づけられている。前半のマーケット分析と後半の鉱物危機の議論は、一見無関係に見えて、「バブル的な楽観論」と「見過ごされた地政学的リスク」という対照的なテーマで共通している。このエピソードは、投資家に「目に見えるリスク」と「見えにくいがはるかに大きなリスク」の両方を認識するよう促す、示唆に富む内容だ。
要点
- BroadcomはAI収益ガイダンスのわずかなミスで16.5%急落。時価総額2.3兆ドルの企業でも、バリュエーションが拡張した環境では一瞬で罰せられる。
- パターン・デイ・トレーディングルール撤廃により、個人投資家のレバレッジ取引が増加し、個別株のボラティリティはさらに高まる可能性がある。
- GoogleはBroadcom急落日に4%上昇。市場はGoogleをAI競争の長期的勝者と見なし始めている。
- SpaceXのIPO(6月12日予定)は、テック株全体の資金フローを大きく変える可能性がある。ジェイミー・ダイモン自らがマーケティングする異例の展開。
- 中国はエネルギー関連重要鉱物20種のうち19種のサプライチェーンを支配。米国は数十年の遅れを取っている。
- 米国の鉱山開発は平均29年かかる。石油(45-60日)とは桁違いのリードタイムが必要。
- Metals Royalty Companyは、開発後期の鉱山プロジェクトにロイヤルティ/ストリーム形式で資本提供する「代替資本提供者」。ポートフォリオ・アプローチで価格変動リスクを分散。
- 鉱物問題はシェール革命と同じ構図。超党派の国家的取り組みと数千億ドル規模の投資が不可欠。