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Trail Runner Nation · 2026年6月16日

EP 783: ランナーが検討すべきサプリメント

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • 概要 エピソード783では、トレイルランナー向けにクレアチンの可能性を深掘りしている。従来は筋トレやボディビルダーの領域とされてきたクレアチンだが、認知機能の維持、老...
  • --- [0:02] クレアチンとは何か——アナボリックステロイドとの誤解を解く Pardi博士はまず、クレアチンが「天然のステロイド」と呼ばれることの誤解を解く。ア...
  • --- [12:34] 副作用と水分保持——トレイルランニングにおける現実的な懸念 クレアチンの副作用についてPardi博士は「深刻なものはない」と断言する。ただし、...
こんな人向け

自分では見つけにくい海外Podcastの話題に、日本語で気軽に触れたい人。

出典Podcast

Trail Runner Nation / Trail Runner Nation

要点
  1. クレアチンはアナボリックステロイドとは全く異なり、ホルモン作用ではなくATPのバッファリングを通じてエネルギー代謝を支援する。
  2. 持久系ランナーへの効果は距離によって異なり、5km〜マラソンでは定常ペースへの直接効果は薄いが、ラストスパートや登り坂、レース中のサージで顕著な改善が見られる。
  3. 超長距離走では、24時間以上の睡眠不足状態における認知機能維持が最大のメリットであり、ラグビー選手の研究ではベースラインと同等のパフォーマンス維持が確認されている。
  4. ローディング期(1日20g×5〜7日)は必須ではなく、1日5gを3週間継続しても同じ筋飽和状態に到達するが、高用量(10g以上)は脳や免疫組織への送達に追加メリットがある可能性がある。
  5. 副作用は軽度で、主なものは初期の痙攣(水分不足に起因)とブローティングであり、十分な水分摂取と用量分割で回避可能。
  6. 製品選びは第三者機関テスト済みのクレアチンモノハイドレートが最も信頼性が高く、マイクロナイズド製剤は溶解性と吸収率で優れる。
  7. ベジタリアン・ビーガンは食事由来のクレアチンがゼロのため、筋クレアチン貯蔵量が40%増加する可能性があり、最も顕著な恩恵を受けられる集団である。
  8. クレアチンは腸管バリアの完全性維持にも寄与する可能性があり、暑熱環境下の運動で生じる腸管透過性亢進による炎症リスクを低減する効果が期待される。
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概要

エピソード783では、トレイルランナー向けにクレアチンの可能性を深掘りしている。従来は筋トレやボディビルダーの領域とされてきたクレアチンだが、認知機能の維持、老化対策、そして超長距離走における脳の疲労耐性といった、持久系アスリートにとって極めて重要な効果が近年の研究で明らかになりつつある。ホストのDon FreemanとScott Warrが、Qualia Life Sciencesの最高健康責任者である認知神経科学博士Dan Pardiを迎え、科学的根拠に基づきながらも実践的な「実験は自分で」の精神で、クレアチンの正体、適切な摂取量、副作用の実態、そしてトレイルでの活用方法を語り合う、軽快で情報密度の高い対話が展開される。

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0:02クレアチンとは何か——アナボリックステロイドとの誤解を解く

Pardi博士はまず、クレアチンが「天然のステロイド」と呼ばれることの誤解を解く。アナボリックステロイドはホルモン受容体に作用して筋肥大を促す合成化合物だが、クレアチンはホルモン作用を持たず、主にエネルギー代謝系、特に「ホスホクレアチン系」に働きかける。体内のエネルギー通貨であるATPは、1秒間に1細胞あたり約1000万分子が消費され、1日で体重全体に相当するATPが再合成されている。運動負荷が高まるとATP産生が追いつかなくなりパフォーマンスが低下するが、クレアチンはこのATPを「バッファリング」する役割を果たす。具体的には、同じ重量で8回しかできなかったベンチプレスが、クレアチンを10週間摂取すると10回できるようになる——これが最も直感的な効果の説明だ。重要なのは、この効果は1セット目ではなく、3〜4セット目の反復動作で顕著に現れる点である。Pardi博士は「クレアチンが最初にボディビルダーに受け入れられたのは、目に見える成果があったからだが、その価値はスポーツパフォーマンスだけに留まらない」と強調する。

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12:34副作用と水分保持——トレイルランニングにおける現実的な懸念

クレアチンの副作用についてPardi博士は「深刻なものはない」と断言する。ただし、摂取初期に一部の人が経験する「痙攣(cramping)」は、水分バランスの乱れに起因する。クレアチンは親水性の分子であり、1グラムあたり約50グラムの水を細胞内に引き込む。そのため、十分な水分を摂らないと筋肉細胞内に水分が集中し、一時的な痙攣が起こりうる。しかしこれは一時的で、継続的な問題にはならない。

ホストのScottはここで重要な質問を投げかける——夏の暑いトレイルで走る際、クレアチンによる細胞内の水分保持が、発汗による冷却に有利に働く可能性はあるか。Pardi博士は「生物学的には plausibility(もっともらしさ)がある」としつつも、直接的なエビデンスが不足しているため確定的な主張はできないと慎重な姿勢を崩さない。ただし、関連する知見として、非必須アミノ酸のタウリンが運動中の体温上昇を抑制する効果を持つことを紹介し、暑熱環境でのパフォーマンスにはタウリン2グラムの摂取が有用かもしれないと補足した。

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14:56持久系ランナーへの具体的な効果——距離別のエビデンス

Pardi博士は、クレアチンの効果をランニング距離ごとに整理する。まず、最大スプリント1回では直接的な効果は期待できない。効果が現れるのは「反復パフォーマンス」においてであり、トレーニングで繰り返し高強度の effort をこなせるようになることで、結果的に単発のスプリント速度も向上するという間接的なメカニズムである。

中距離(800m〜1マイル)では、タイムトライアル全体の成績は混合した結果だが、ラスト200mの「フィニッシュキック」において有意な改善が見られる。これはレース中のペース変動やサージ(急激な加速)が求められる戦術的な場面で特に有効だ。

5km〜マラソンの有酸素主体の距離では、定常状態のペース自体への直接的な改善はほとんどない。しかし、ラスト2〜400mのスパート、登り坂、レース中のサージといった「嫌気的スパイク」の場面、そしてグリコーゲンが枯渇する後半の疲労局面では効果が発揮される。さらに、炭水化物と同時摂取することでグリコーゲンのスーパーコンペンセーション(超回復)が促進され、ハードなセッション間の回復が速まり、累積的なトレーニングの質が向上する。

超長距離(ウルトラマラソン)については、エビデンスはまだ薄いが、Pardi博士は「認知負荷と極度の疲労下での持久力」に注目する。ウルトラランナーは24時間以上起き続けることがあり、これは睡眠不足状態と同等である。ここでクレアチンが脳のエネルギー維持に寄与する可能性が、睡眠不足研究から強く示唆されている。

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19:35睡眠不足と認知機能——ウルトラランナーにとっての革命的発見

Pardi博士が最も熱を込めて語るのが、クレアチンの認知機能維持効果である。ある研究では、エリートラグビー選手を24時間で3時間しか眠らせない極度の睡眠不足状態にし、戦術的判断を含むラグビースキルをテストした。クレアチンを摂取していない群はパフォーマンスが顕著に低下したのに対し、摂取群はベースライン(睡眠不足でない状態)とほぼ同等のパフォーマンスを維持した。Pardi博士は「これは驚異的だ」と評する。

さらに、ドイツの国立衛生研究所(NIH相当)の研究グループは、睡眠不足時に脳内の酸性度とアンモニア濃度が上昇し、これが血液脳関門の透過性を高め、クレアチンが脳に入りやすくなるメカニズムを解明した。つまり「ストレス下の脳はクレアチンを渇望する」状態になる。2024年4月に発表された最新研究では、より低用量(体重1kgあたり0.2g)でも同様の効果が確認されたが、高用量(同0.35g)ほどの効果の大きさは得られなかった。

ホストのDonは「これはレース当日に新しいことを試すなという鉄則に当てはまる。事前に実験が必要だ」と注意を促す。Pardi博士もこれに同意しつつ、ウルトラランナーがトレーニングで24時間走を経験することは稀であり、レース本番で初めて睡眠不足を体験することを指摘。その上で「1時間ごとに3グラムのクレアチンをドリンクに加える」という実践的なプロトコルを提案する。ただし、これはあくまで仮の数字であり、個人のGI耐性を事前にテストすることが不可欠だと強調する。

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22:14ローディング期とブローティング——実践的摂取戦略

Scottは以前、クレアチンを試した際に「ブローティング(腹部膨満感)」を経験したと打ち明ける。しかし今回はローディング期を設けず、1日5グラムから開始し、2ヶ月間継続したところ、膨満感は一切なく、筋力維持に明らかな効果を感じているという。

Pardi博士は、ローディング期(5〜7日間、1日20グラムを4〜5回に分割)を行わなくても、3週間で同じ筋クレアチン飽和状態に到達すると説明する。ただし、高用量(1日10グラム以上)には、筋肉を超えて脳や免疫細胞など他の組織にクレアチンを届ける追加的なメリットがある可能性が、近年の研究で示唆されている。ベジタリアンやビーガンは食事からのクレアチン摂取がほぼゼロのため、筋クレアチン貯蔵量が40%も増加する可能性があり、最も顕著な恩恵を受けられる集団だという。

Scottが使用しているQualia Lifeのクレアチンは「マイクロナイズド・クレアチン・モノハイドレート」という製剤で、通常のクレアチンモノハイドレートの粒子を微細化した「OptiCreatine」を採用している。これにより水への溶解性が向上し、吸収率が高まり、胃腸への負担が軽減される可能性がある。Pardi博士は「通常のクレアチンはグラスの底に残ることが多いが、マイクロナイズド製剤はほぼ透明に溶ける」と説明する。

摂取タイミングについては、運動前後で比較した研究があり、結果は「どちらでも同じ」だった。Pardi博士は友人で医師のTommy Woodの言葉を引用し「細かいことにこだわるな。自分が続けられるタイミングで、確実に摂取すること」とアドバイスする。

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33:50用量の個別化と製品選びの基準

体重による用量調整について、Pardi博士は「クレアチンは比較的安全な用量幅があり、個人が自分の反応を見ながら調整できる」と述べる。ブローティングやGI不快感が生じた場合は、サイリウムハスク(食物繊維)と一緒に摂取するか、1回量を分割することで改善できる。

製品選びの最重要基準は「第三者機関によるテスト」である。Consumer Labsのような独立した検査機関が定期的にサプリメントをテストしており、表示通りの成分が含まれているかを検証している。Pardi博士は「表示と実際の含有量が一致しない製品は非常に多い」と警告する。クレアチンの形態としては、クレアチンエチルエステルやクレアチン塩酸塩といった代替形態は、追加コストに見合うエビデンスがなく、長年の研究蓄積がある「クレアチンモノハイドレート」が最も信頼できる。ただし、マイクロナイズド加工されたOptiCreatineは溶解性と生体利用効率の面で実用的な優位性がある。

保存上の注意点として、クレアチンは湿気に弱く、開封・閉封を繰り返すと固まって使い物にならなくなる。Pardi博士は自身の経験を交えて「ナイフで20分かけて砕いたこともある」と笑い話を交える。

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35:04免疫系と腸管バリア——アスリートにとっての隠れたメリット

Pardi博士が「第二のハネムーン」と表現するほど熱心に語るのが、クレアチンの免疫系と腸管への効果である。運動、特に暑熱環境下での運動は腸管バリアの透過性を高め、本来体内に入るべきでない物質が漏出し、炎症や代謝障害を引き起こす。腸管の内壁を構成する「腸細胞(enterocytes)」はクレアチンをエネルギー源として利用でき、クレアチンが利用可能な状態では、ストレス下でも腸管壁の完全性が維持される。このエビデンスはまだ強固ではないが、Pardi博士は「アスリートにとって極めてエキサイティングな発見」と評価する。

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まとめ

このエピソードがもたらした最大の気づきは、クレアチンが「筋トレ専用のサプリメント」という枠を完全に超え、持久系アスリートの脳機能維持、老化対策、腸管保護、そして超長距離走における睡眠不足対策にまで及ぶ多機能な分子であるという点だ。Pardi博士の説明は、分子レベルのメカニズムから実践的な摂取プロトコルまで一貫しており、特に「ストレス下の脳はクレアチンを渇望する」という知見は、ウルトラランナーにとってレース戦略を根本から見直すきっかけとなる。ホストたちの「実験は自分で」という姿勢も相まって、科学的厳密さと現場の実用性が絶妙にバランスした内容だった。クレアチンを「とりあえず5グラムから始めてみる」という具体的なアクションに落とし込める点が、このエピソードの実践的価値を高めている。

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