
2026年のシードラウンド調達方法:Ask Jason | E2294
- 本エピソード「How to Raise a Seed Round in 2026: Ask Jason」は、Jason Calacanisがホストを務め、Lon Harr...
- [3:25] 投資家の「まだ早い」という言葉をどう解釈するか Richard Corral(Quanto社CEO)からの質問は、1,000兆ドル規模のリード投資家から「革...
- Jasonは、創業者はまずY Combinator、Techstars、Antler、a16z、PearX、Sequoia ARC、自身が運営するFounder Univ...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
This Week in Startups / Jason Calacanis
本エピソード「How to Raise a Seed Round in 2026: Ask Jason」は、Jason Calacanisがホストを務め、Lon Harrisが進行役として視聴者からの質問を投げかけるQ&A形式で進行した。Jasonは、2026年におけるシードラウンド調達の具体的なファネル(150社にコンタクト→50社と初回面談→20社と2回目面談→2件のタームシート獲得)を提示し、創業者に求められる営業的な姿勢を強調した。また、投資家の「まだ早い」という言葉を真に受けるのではなく、その投資家の過去の行動パターンを見極める重要性を説いた。さらに、AI時代におけるスタートアップの差別化戦略、ハードウェアスタートアップへの投資家の認識変化、シリコンバレー特有の助け合い文化、そしてJason自身が嫌いな人物としてマーク・ザッカーバーグとサム・アルトマンを挙げた理由など、多岐にわたるトピックが議論された。エピソードの後半では、Lon Harrisのヨーロッパ旅行談や美術館でのマナーに関する持論が展開され、リラックスした雰囲気で締めくくられた。
投資家の「まだ早い」という言葉をどう解釈するか
Richard Corral(Quanto社CEO)からの質問は、1,000兆ドル規模のリード投資家から「革新的だがまだ早い」と言われた場合の対処法を尋ねるものだった。Jasonは、投資家の言葉と行動を切り離して考えるべきだと主張する。投資家が何を言うかよりも、これまで実際にどのようなステージのスタートアップに投資してきたかを調べることが重要である。例えば、ファミリーオフィスが過去5年間に7件しか投資しておらず、そのすべてが友人が持ち込んだPE案件で、1件あたり3,000万ドルを投じているのであれば、25万ドルや12.5万ドルのシード投資を期待するのは非現実的だ。
Jasonは、創業者はまずY Combinator、Techstars、Antler、a16z、PearX、Sequoia ARC、自身が運営するFounder UniversityやLaunch Acceleratorといった、明らかにアーリーステージ向けのプログラムに応募すべきだと助言する。これらのプログラムで最初の12.5万ドルや25万ドルを調達し、最初の5社の顧客を獲得した後で、先の投資家に再アプローチすれば、彼らはより後期のラウンドで参加できる可能性がある。重要なのは、投資家の「良い人」としての態度と、実際の投資行動の間にあるギャップを認識することだ。
さらにJasonは、シードラウンド調達の具体的な数値目標を提示した。目標とする150のシードファンドに連絡し、50件の初回ミーティングを設定し、そこから20件の2回目ミーティングに進み、最終的に2件のタームシートを獲得するというファネルである。2回目ミーティングに進んでもらえない場合、それは投資家が本気で検討していない証拠であり、2回目ミーティングの数こそが真の進捗指標だとJasonは述べる。Lon Harrisはこれを、コンテンツクリエイターが何百本もの動画を作成してようやく成長するプロセスに例え、どの分野でも同様の粘り強さが必要だと補足した。
Founder Community College構想とベンチャーキャピタリスト育成プログラム
XユーザーのØnProtonsからは、Founder Universityに加えて「Founder Community College」を創設する提案が寄せられた。これは、AIによって駆動される50万ドルから500万ドルの収益を上げる個人経営企業の波に対応し、資金調達やキャップテーブルではなく、ツールと製品構築に特化した教育プログラムを求めるものだ。Jasonはこのアイデアに強く共感し、自身も週末に「学位」を授与するための認定法について調査していたと明かす。
Jasonは現在、自社のベンチャー部門向けに「Associate in Training」プログラムを計画している。これは6人を採用し、リサーチャーからアナリスト、アソシエイトへと3年間で育成するもので、給与は6万ドルから9万ドルのレンジで設計されている。このプログラムの特徴は、参加者に学費を請求するのではなく、給与を支払う点にある。しかし、多くの親から「子供を参加させたいので年間6万ドルを支払ってもよい」という申し出があったことから、Jasonは有料プログラムの可能性を検討し始めた。
Jasonは、既存のKauffman Fellowsプログラム(2年間で授業料8万ドル)を競合として認識し、自身のプログラムはそれより優れたものにできると主張する。具体的には、サウジアラビアや東京での実際の投資業務への参加、メディアトレーニング(ニュースレター作成、ソーシャルメディア運用、ポッドキャスト制作)を含む点が差別化要因となる。Jasonは、Founder UniversityとVenture Universityの2つのトラックを設け、学生が片方を専攻しもう片方を副専攻とする制度を構想している。ただし、米国で正式な「学位」を授与するには地元の大学との提携が必要であり、現在は「証明書」の発行にとどまると述べた。
スタートアップ評価基準の10年間の変化
XユーザーのSergeDawgからの質問は、10年前と比較してアーリーステージのスタートアップ評価がどのように変化したかを問うものだった。Jasonは、製品を市場に投入しプロダクトマーケットフィット(PMF)を達成するために必要な資本と時間が劇的に減少したことを最大の変化として挙げる。Web 1.0時代には、シードラウンドで300万ドルを調達し、12ヶ月かけて製品を準備するのが一般的だった。PR会社に月1万ドル、オフィスに月2.5万ドル、250万ドルの信用状、法務費用10万ドル、人事・経理担当者の雇用など、数え切れないほどの必須経費があった。
クラウドコンピューティングとY Combinator時代の到来により、このコストは30万ドルにまで低下した。3人の創業者がリモートでラーメンを食べながら、6ヶ月以内にスタートアップを立ち上げられるようになった。そして現在は、いわゆる「Vibe Coding」の時代である。創業者は無料のサーバークレジットを活用し、対面で会うことなく製品を出荷し、最初の顧客を獲得する。Jasonは、アイデアから最初の顧客、さらにはある程度のPMFまでの期間が、数週間、あるいは週末にまで短縮されていると指摘する。
この変化の具体例として、Jasonは自身の番組が実施している「TWiST Bounties」プログラムを挙げた。リアルタイムファクトチェッカーとアノテーションツールの2つのバウンティに対して、30日以内に15件の応募があり、そのうち3件は非常に質が高かったという。Jasonは、これらのプロジェクトを単なる賞金獲得で終わらせず、実際にスタートアップとしてインキュベートする意向を示している。このように、アイデアから実装、そして事業化までのサイクルがかつてないほど高速化している。
フロンティアラボ(OpenAI、Anthropic)との差別化戦略
Founder Universityの卒業生であるMahika Golani(Treya社)からの質問は、OpenAIやAnthropicといったフロンティアラボが自社と同じ垂直領域に製品をリリースした場合、スタートアップはどのように差別化すべきかというものだった。Jasonは、大規模言語モデル(LLM)のインターフェースは、混乱や複雑さを避けるために特定の機能を追加しないという原則があると指摘する。これこそがスタートアップのチャンスである。
具体例として、Jasonはかつて存在した旅行スタートアップ「Rome」を挙げた。RomeはChatGPTのAPIを活用して、ユーザーが旅行日程を計画できるサービスを提供していた。しかし、ChatGPT自体が同様の機能を提供し始めたため、Romeは投資家に資金を返還して事業を停止した。Jasonは、Romeが取るべきだった戦略として、マルチプレイヤーモードの実装を提案する。複数の旅行者が同時にリサーチし、投票で日程を決定し、最終的なアジェンダを作成する機能は、ChatGPTが単体では提供しない付加価値である。
さらに、コミュニティ、サポート、現地ガイドとのマッチングといったサービスを組み合わせることで、より強固なmoat(参入障壁)を構築できる。Jasonは、東京旅行の際に地元の食ガイドを雇う体験や、ローマでゴルフカートツアーのガイドが修道女に5ユーロを渡して一般公開されていない地下室を見せてくれたエピソードを紹介し、AIだけでは代替できない人間のネットワークとローカル知識の価値を強調した。Lon Harrisも、AIを検索エンジンの代わりとして使いながらも、最終的にはViatorやTripAdvisorといった専門プラットフォームと併用するのが現実的だと補足した。
投資家と創業者の真のアラインメントとは何か
Tripara.onx(女性向け本格出会い系アプリ)の創業者からの質問は、セクターやステージといった表面的なカテゴリーを超えて、投資家と創業者の真のアラインメントをどう評価するかというものだった。Jasonは、投資家ごとにシグナルとプロセスが異なると説明する。例えば、True Venturesの投資家は40年のキャリアを通じて、優れた投資はすべて友人の紹介から生まれたという経験則から、メールでの問い合わせは一切受け付けず、他のVCやポートフォリオ創業者からの紹介のみでミーティングを設定する。
一方、Jason自身のファーム(Launch Accelerator)は、毎週200~500件の応募の中から25件と面談し、年間で3,000~5,000件のミーティングを実施した結果、100社に投資している。Jasonは、創業者はCrunchbaseなどのツールを使って、自社のステージやセクターに投資実績のあるファームを150社リストアップし、それぞれの投資パターンを研究することを推奨する。例えば、自身がThumbtack(マーケットプレイス)やWealthfront、Robinhood(フィンテック)に投資した実績があるように、創業者は「あなたはフィンテックのマーケットプレイスに投資した。私はまさにそれをやっている」とアピールすべきである。
Jasonは、資金調達を「営業ファネル」として捉えるべきだと強調する。各投資家を「セールス」として qualification(資格評価)し、彼らがアクティブに投資しているか、リードするのかフォローするのか、チェックサイズはいくらか、紹介のみを受け付けているのかを確認する。もし10社の優良VCに会いたいのであれば、まず彼らのポートフォリオ企業の創業者50人に連絡を取り、20人と会い、そのうち2人の紹介を通じてVCのパートナーにたどり着くというプロセスが必要だ。Lon Harrisは、これを10代の頃の夏休みのアルバイト探しに例え、100件の応募を出してようやく1件の面接を得るのと同じだと述べた。
シリコンバレーのスタートアップ文化とハードウェアへの認識変化
視聴者からの質問「ブートストラップのハードウェア創業者にとって、プロトタイプが完成し収益化が近づいた時、そのまま収益を追求すべきか、戦略的人材を早期に迎えるべきか」に対して、Jasonは明確に投資家を探すべきだと答えた。その理由として、投資家のハードウェアに対する認識が180度変化したことを挙げる。かつて「ハードウェアは難しい」と敬遠されていたが、今では「ハードウェアは数少ないmoat(参入障壁)の一つ」と見なされている。
具体例として、JasonはPlaud(AI録音デバイス)、Whoop(フィットネストラッカー)、Eight Sleep(スマートマットレス)、Terra Kaffe(スマートエスプレッソマシン)、Cafe X(ロボットバリスタ)などを挙げた。これらのハードウェア製品は、ユーザーのロックインを生み出し、データの忠実度を高める手段として機能する。Jason自身も過去に多くのハードウェア企業に投資してきたが、Dropcam(Ringの競合)やスマート煙探知機など、失敗も経験している。それでも、Kickstarterでのクラウドファンディングや、初期採用者からプレミアム価格で資金を集める手法は依然として有効だと述べた。
さらにJasonは、ロボティクスがハードウェアの次の大きな波になると予測する。彼は、ヒューマノイドロボットが将来的に1時間あたり1~2ドルで稼働するようになり、「Automaton as a Service(AaaS)」というビジネスモデルが成立すると主張する。例えば、Amazonが倉庫作業員に時給27ドル(諸経費込みで35ドル)支払っているのに対し、Figure社のロボットを時給4ドルで提供し、メンテナンス要員を常駐させる。消費者向けには、月額299ドルで500時間のロボット利用時間を提供し、超過分は1時間あたり1ドルを追加するという、自動車リースに似たモデルを提案した。Lon Harrisは、このビジネスモデルの頭字語が「AaaS」であり、「Ass(お尻)」とかけて「君のAssをカバーする」という洒落になると笑いを誘った。
Jason Calacanisがシリコンバレーで最も嫌いな人物
XユーザーのShawn Sullyからの最もスパイシーな質問は、「シリコンバレーの中で、あなたが最も嫌いな人物は誰か」というものだった。Jasonはためらうことなく、マーク・ザッカーバーグ(Meta CEO)とサム・アルトマン(OpenAI CEO)の2人を挙げた。ただし、それは個人的な感情ではなく、彼らのビジネス上の判断に対する批判であると断った。
ザッカーバーグについては、人類のために正しいことをする機会があるたびに、常に自己利益を優先してきたとJasonは非難する。具体的には、10代の少女のメンタルヘルスへの影響(摂食障害や不安症)に関する内部報告を無視したこと、パートナープログラムで協力者を搾取したこと、プライバシー問題への対応などが挙げられる。Jasonは、ザッカーバーグが成長への執着から、他社のアイデアを露骨にコピーし、パートナーを裏切る行動を繰り返してきたと述べ、その「自己中心的で冷酷な意思決定」がテクノロジー業界全体の評判を傷つけたと主張する。
サム・アルトマンについては、Jasonの友人であるイーロン・マスクを裏切った(「shiv'd」)ことを理由に挙げた。Jasonは、The New Yorker誌のサム・アルトマンに関する記事(Ronan Farrowと共著)が彼の行動を「社会病的」と評したことに言及し、自身はその記事へのコメントを断ったと述べた。しかし、Jasonはこれらの人物が歴史上最も成功したビジネスリーダーの二人であることも認めており、「自己利益を優先し、人間関係を燃やしても気にしない能力が、並外れた成功への近道である」と皮肉を込めて語った。Lon Harrisは、ハイレベルなテックCEOには、一般社会では「嫌な奴」と見なされるような性質が自己選択的に集まる傾向があると補足した。
美術館マナーとLon Harrisのヨーロッパ旅行
エピソードの後半は、Lon Harrisのイタリアとギリシャへの旅行談で締めくくられた。Lonは初めてのイタリア旅行で、ローマでは16世紀の教皇のスタッフが住んでいた建物を改装したAirbnbに滞在し、ゴルフカートでのクリプトツアー(地下墓地巡り)が最高の体験だったと語る。フィレンツェでは、巨大なチーズの輪にブランデーを注いで火をつけ、その中でパスタを和える名店「Osteria Pastella」を訪れた。しかし、ローマとフィレンツェの観光地は非常に混雑しており、美術館では来場者が絵画の前で立ち止まってスマートフォンで写真を撮り続ける姿に苛立ちを覚えたと述べた。
Lonは、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やカラヴァッジョの「メドゥーサ」のような有名作品は、Google画像検索で高解像度の画像がいくらでも見つかるのに、なぜわざわざ自分で撮影する必要があるのかと疑問を呈する。Jasonもこれに強く同意し、特に360度カメラ(i360)を持ち歩く観光客を「自分がその場所で最も重要でない人物であることに気づいていない」と痛烈に批判した。Jasonは、美術館が閉館後の時間帯(例:午後6時から8時、8時から10時)に、入場料を100ユーロに値上げしたプレミアム体験を提供するアイデアを提案した。これにより、混雑を避けてルーブル美術館を午後11時に訪れ、モナリザを数人だけで鑑賞するという夢のような体験が可能になると述べた。
結びに
本エピソードは、2026年におけるシードラウンド調達の実践的なノウハウから、AI時代のスタートアップ戦略、ハードウェアへの投資家の認識変化、そしてシリコンバレーのトップリーダーに対する率直な評価まで、Jason Calacanisの投資家としての生の声が凝縮された内容であった。特に印象的なのは、資金調達を「営業ファネル」として捉え、150社へのコンタクトを当然の前提とする姿勢である。これは、多くの創業者が「良い製品を作れば資金は集まる」と考えがちな幻想を打ち砕く、厳しい現実を示している。また、フロンティアラボとの競争に対して「LLMがやらないことをやれ」というシンプルなフレームワークは、AI時代のスタートアップにとって普遍的な指針となるだろう。
さらに、Jasonがマーク・ザッカーバーグとサム・アルトマンを名指しで批判したセグメントは、単なるゴシップではなく、テクノロジー業界における倫理と成功のジレンマを浮き彫りにした。彼は「自己利益を優先する冷酷さが成功につながる」と認めつつも、それが業界全体の評判を損ねていると警鐘を鳴らす。この二面性こそが、Jason Calacanisという人物の複雑さを象徴している。最後の美術館マナー談義に至るまで、投資の話から人生の哲学までがシームレスにつながる、TWiSTらしい密度の高いエピソードであった。
要点
- シードラウンド調達の現実的なファネルは、150社にコンタクト→50社と初回面談→20社と2回目面談→2件のタームシート獲得であり、これを営業活動として真剣に取り組むべきである。
- 投資家の「まだ早い」という言葉は無視してよい。重要なのは彼らの過去の投資行動であり、言葉ではない。アーリーステージ向けのアクセラレーター(Y Combinator、Founder Universityなど)で実績を作ってから再アプローチすべきである。
- AI時代において、スタートアップがフロンティアラボ(OpenAI、Anthropic)と差別化する方法は、LLMが提供しない「マルチプレイヤーモード」「コミュニティ」「現地サポート」などの付加価値機能を構築することである。
- ハードウェアスタートアップに対する投資家の認識は180度変化し、今やハードウェアは「moat(参入障壁)」として評価される。Kickstarterやプレミアム価格での初期販売は依然として有効な資金調達手段である。
- 投資家と創業者の真のアラインメントを見極めるには、セクターやステージだけでなく、投資家の投資プロセス(紹介のみか、オープンか、リードかフォローか)を徹底的にリサーチすべきである。
- Jason Calacanisは、マーク・ザッカーバーグを「人類の利益より自己利益を優先する姿勢」、サム・アルトマンを「イーロン・マスクへの裏切り」を理由に、シリコンバレーで最も嫌いな人物として挙げた。ただし、彼らが歴史上最も成功したビジネスリーダーであることも認めている。
- 美術館では、スマートフォンで写真を撮るよりも、その場の雰囲気を体験することに集中すべきである。閉館後のプレミアム時間帯を高額で提供するビジネスモデルが、混雑問題の解決策となり得る。