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This Week in Startups · 2026年6月24日

ビデオゲームの未来がダイニングテーブルに戻る理由

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • Jason Calacanisがホストを務める「This Week in Startups」の今回のエピソードは、全く異なる二つのスタートアップへの深掘りインタビュー...
  • 後半では、Alex Wilhelmがホストを務め、極超音速無人航空機を開発するHermeus(ハーミウス)の共同創業者兼会長AJ Piplicaにインタビューを行った...
  • [0:00] Board:対面型ゲーミングの新カテゴリー創造 Brynn Putnamが創業したBoardは、24インチのタッチスクリーンを内蔵したテーブル型ゲーム機...
こんな人向け

英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。

出典Podcast

This Week in Startups / Jason Calacanis

要点
  1. Boardは、24インチタッチスクリーンと物理ピースを組み合わせた対面型ゲーミングコンソールであり、家族や友人が集まる「ダイニングテーブル」の体験をデジタル時代に再定義する。
  2. Brynn Putnamは、Mirrorの成功後、Boardの資金調達において「不完全でも体験を体感させるデモ」の重要性を強調。ハードウェアスタートアップは、技術の完成度よりも顧客体験のストーリーテリングが鍵となる。
  3. Boardの価格は399ドルで、ハードウェアの利益率は低く抑え、ゲーム販売(約35ドル)やクリエイター向けサブスクリプションで収益を上げるモデル。これは、スクリーンタイムに悩む親世代の「家族の絆」へのニーズを捉えている。
  4. Hermeusの「Dark Horse」は、マッハ5で飛行する極超音速無人機。ターボジェットからラムジェットに空中でモード変換する「Chimera」エンジンが中核技術であり、これは実用化された例がない。
  5. Hermeusは、SpaceXのビジネスモデルを模倣し、米軍(DIU)との契約で飛行データを提供する代わりに研究開発費を賄う「顧客にR&Dを支払わせる」戦略を採用。シリーズCで3.5億ドルを調達した。
  6. 軍事用途が主だが、Hermeusの技術は大西洋横断を90分にするなど、臓器や生鮮品の超高速貨物輸送という商業的可能性も秘めている。
  7. 両インタビューに共通するのは、既存の市場や常識に挑戦する「カテゴリー創造」の重要性と、顧客を巻き込んだ資金調達・開発プロセス(SpaceXモデル)の有効性である。
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他のエピソード

Jason Calacanisがホストを務める「This Week in Startups」の今回のエピソードは、全く異なる二つのスタートアップへの深掘りインタビューを軸に展開された。前半では、元バレエダンサーであり、Lululemonに売却したフィットネスミラー「Mirror」の創業者でもあるBrynn Putnamが、彼女の新たな挑戦であるテーブルトップゲーミングコンソール「Board」を紹介した。Boardは、24インチのタッチスクリーンと物理的なゲームピースを組み合わせることで、デジタルゲームの没入感とアナログなボードゲームの対面での交流を融合させた、まったく新しいカテゴリーの製品である。Putnamは、ハードウェアスタートアップの資金調達、製造戦略、そして「スクリーンタイム」に対する子育て世代の懸念を逆手に取った製品設計について、具体的な数字と経験に基づいた洞察を語った。

後半では、Alex Wilhelmがホストを務め、極超音速無人航空機を開発するHermeus(ハーミウス)の共同創業者兼会長AJ Piplicaにインタビューを行った。Piplicaは、マッハ5(音速の5倍)での飛行を目指す「Dark Horse」計画の全容を解説。既存の戦闘機開発が20年以上、数百億ドルを要するのに対し、Hermeusは年間1機のペースでプロトタイプを開発し、顧客である米軍から研究開発費を賄うという、SpaceXを彷彿とさせるビジネスモデルを採用している。このインタビューでは、革新的なエンジン技術「Chimera」の仕組みから、軍事用途を超えた商業的可能性、そしてアメリカの製造業と国防における「アメリカン・ダイナミズム」の重要性まで、多岐にわたる議論が展開された。

0:00Board:対面型ゲーミングの新カテゴリー創造

Brynn Putnamが創業したBoardは、24インチのタッチスクリーンを内蔵したテーブル型ゲーム機である。最大の特徴は、画面に置かれた物理的なゲームピースを認識する点にある。従来のタッチスクリーンが同時に認識できるのは10点までだが、Boardは独自のAIソフトウェアスタックと、導電性と非導電性のプラスチックを特殊なパターンで成型したピースを用いることで、無制限のタッチポイントと物理オブジェクトの認識を可能にした。ピースには電子回路やセンサーは内蔵されておらず、製造プロセスも含めて完全に自社開発された技術である。Jasonはこのデモに感銘を受け、「3台買う」と即座に宣言した。

Putnamは、この製品が単なるデジタルゲームやボードゲームの延長線上ではなく、まったく新しいカテゴリーを創出するものだと強調する。特に、家族や友人が同じ画面を囲み、物理的なピースを介して交流する体験は、個々が没入するビデオゲームや、ルール説明が複雑で世代を超えたプレイが難しい従来のボードゲームが抱える課題を解決する。彼女自身、3歳から22歳までの5人の子供を持つ母親として、家族全員が楽しめる共通のアクティビティを求めたことが起業の原点だと語る。製品には「Omakase」(協力型料理ゲーム)や「Spycraft」(脱出ゲーム)など、直感的に遊べる7つのゲームがプリインストールされており、追加ゲームは約35ドルで購入できる。

9:42ハードウェアスタートアップの資金調達と製造戦略

Putnamは、ハードウェア製品が完成していない段階での資金調達について、独自のアプローチを語った。彼女は、製品の技術的な完成度を追求する前に、顧客体験を「ハッキーな方法」でも良いので具体的に示すことの重要性を説く。Mirrorの時も、機能しないプロトタイプを使って「鏡越しに画面が見える体験」を投資家に体感させ、シードラウンドを調達した。Boardでも同様に、不完全ながらも「物理ピースで遊ぶ楽しさ」を伝えるデモで初期資金を集めた。「ストーリーテリングこそが資金調達の本質」であり、投資家に製品のビジョンを感情レベルで理解してもらうことが、過度なエンジニアリングに資金を費やすよりも重要だと主張する。

製造面では、Mirrorでの教訓を活かし、Boardではアジアのティア1メーカーと協業した。Mirrorは大型で重量があったため、輸送コストを考慮してメキシコで製造したが、Boardはタイの工場とパートナーシップを結び、同社がPelotonやPortal向けに持つディスプレイ製造のノウハウを活用した。これにより、サプライチェーン全体を自社で管理する必要がなくなり、開発期間を大幅に短縮できたという。Jasonはこの戦略を、地政学的リスクや関税を回避する上でも賢明だと評価した。製品価格は399ドルで、ハードウェアの利益率は低く抑え、ゲーム販売やプレミアムピース、クリエイター向けサブスクリプションで長期的な顧客価値(LTV)を獲得するモデルを採用している。

17:09スクリーンタイム問題と「善きテクノロジー」の可能性

Boardの製品設計の根底には、現代の子育てにおける「スクリーンタイム」への深い理解がある。Jasonは、10代の子供を持つ親として、デバイスの使用時間をアプリレベルで制限するなど、常に「子供を画面から引き離す」ことに苦心している現状を打ち明けた。Boardは、画面を「個人の孤立した体験」ではなく「家族を結びつける共有の場」として再定義することで、このジレンマに対する解決策を提示する。画面がテーブルの上に水平に置かれ、全員が顔を合わせながらプレイするという設計は、ソファに並んでそれぞれがスマホを見る時間とは一線を画す。

Putnamは、この「テクノロジーを善き目的に使う」という視点が、女性創業者である自身のバックグラウンドに起因する可能性を示唆した。Jasonもこれに同意し、利益追求だけでなく社会的な善を考慮する姿勢は、しばしば見過ごされがちな重要な要素だと指摘する。Boardは、単なる娯楽製品ではなく、家族の絆を深め、創造性を育むためのツールとして位置づけられている。例えば、子供がクリエイターツールで自分だけのマーメイドのピースをデザインし、それを実際にゲームで使える体験は、受動的な消費ではなく能動的な創造を促す。これは、テクノロジーがもたらす「分断」ではなく「結合」の可能性を示す好例である。

29:42IP戦略とプラットフォームとしての未来

Boardのビジネスモデルは、ハードウェア販売にとどまらず、ゲームストアとクリエイターエコシステムを含むプラットフォーム戦略へと拡張している。Putnamは、初期に投資家や顧客から「モノポリー」などの既存ボードゲームを単に移植することを勧められたが、あえてそれを避け、Boardの技術にネイティブな体験を提供することに注力した。彼女は、この戦略を「Monopoly Go!」のアプローチに例え、愛されるIPを新しい技術で再解釈することの重要性を強調する。現在はLucasfilmなどの大手IPホルダーと協議中であり、単なる移植ではなく、物理ピースとデジタル世界が有機的に融合したオリジナル体験の開発を目指している。

Jasonは、このプラットフォームの可能性を高く評価し、Nintendo、Roblox、LEGO、そしてコレクタブルズビジネスを一つにしたような存在だと評した。特に、ユーザーが自作ゲームを公開・販売できるコミュニティ機能は、Robloxのようなクリエイターエコノミーを生み出す可能性を秘めている。Putnamは、Board上でゲームを開発すること自体が最も楽しいゲームの一つだと述べ、ユーザー生成コンテンツ(UGC)がプラットフォームの成長を牽引すると予想する。また、将来的にはDungeons & Dragons向けの大型テーブルや、ポーカーテーブル市場への参入も視野に入れており、ハードウェアのバリエーション展開も計画している。Jasonは「絶対に会社を売るな」と助言し、長期的な視点でのIPOを推奨した。

35:32Hermeus:極超音速無人機「Dark Horse」の全貌

後半のインタビューは、HermeusのAJ Piplicaが、同社の最終目標である極超音速無人機「Dark Horse」について説明することから始まった。Dark Horseは、SR-71(戦略偵察機)よりも速く、小型で、無人であることを特徴とする。マッハ5(音速の5倍)での飛行を可能にし、現代の戦場、特に長距離での作戦において、敵の防空網を無力化する「非対称的なアドバンテージ」を米軍に提供することを目指している。Piplicaは、無人であることの利点として、パイロットのリスクを排除できること、そして極超音速という人間の反応速度を超えた領域では自律システムが不可欠であることを挙げた。

このプロジェクトの核心は、同社が開発した「Chimera(キメラ)」エンジンにある。これは、ターボジェットエンジンとラムジェットエンジンを組み合わせた「タービンベース複合サイクルエンジン」である。離陸からマッハ3までは既存のF100ターボジェットエンジンを使用するが、その際、超音速で流入する高温の空気(マッハ3で約430℃)をプリクーラーで冷却する必要がある。マッハ3を超えると、エンジン内部の空気の流れを切り替え、圧縮機やタービンを持たない極めてシンプルな構造のラムジェットモードに移行する。このモードでは、衝撃波を利用して空気を圧縮するため、機械的な可動部品が不要となり、マッハ5以上の速度に対応できる。Piplicaは、このモード切り替えを実際の飛行で実現した例はこれまで存在しないと述べ、その技術的難易度の高さを強調した。

48:37軍事から商業へ:極超音速のユースケースと資金調達モデル

Hermeusのビジネスモデルは、SpaceXのそれを範としている。Piplicaは、顧客(米軍)に飛行サービスを提供し、その対価で研究開発を賄うという「顧客にR&Dを支払わせる」モデルを採用している。同社は、国防イノベーションユニット(DIU)との契約を通じて、極超音速飛行のデータを提供する見返りに資金を得ており、これはSpaceXがNASAとの間で結んだ商業軌道輸送サービス(COTS)契約と同様の構造だと説明する。このアプローチにより、HermeusはこれまでにKhosla VenturesがリードしたシリーズCラウンド(3.5億ドル)を含め、総額5億ドル以上の資金を調達しているが、Piplicaは今後も数十億ドル規模の資金調達が必要になる可能性を認めつつ、同時に収益も拡大していくと予測する。

軍事用途が第一義ではあるが、Piplicaは商業的な応用可能性についても言及した。貨物、特に臓器や花、ロブスターなどの生鮮品の超高速輸送が最初のターゲットとなる。大西洋横断を90分で結ぶことができれば、世界は「地域」のように身近になる。これは、蒸気船や鉄道、コンテナ化がそうであったように、輸送速度の向上が経済成長を牽引するという歴史的な教訓に基づいている。Alexは、Hermeusの開発速度とコスト効率の高さを、従来の防衛大手(プライム)と比較して称賛した。F-22やF-35の開発に20~25年と300~600億ドルもの費用がかかったのに対し、Hermeusは年間1機のペースでプロトタイプを開発し、はるかに少ない資本で前進している。これは、アメリカの製造業と国防における「アメリカン・ダイナミズム」の象徴的な事例である。

結びに

今回のエピソードは、一見すると全く異なる二つのスタートアップを紹介しながら、成功する起業家に共通する本質的な要素を浮き彫りにした。Brynn Putnamは、既存の市場カテゴリーに囚われず、自身の子育て経験という「ニーズ」から新しい製品カテゴリーを創造した。彼女の語る「不完全でも体験を先に見せる」資金調達法や、製造における柔軟なパートナーシップ戦略は、ハードウェアスタートアップを目指す全ての起業家にとって貴重な実践的教訓となる。一方、HermeusのAJ Piplicaは、極超音速という前人未到の技術領域に挑む際に、SpaceXの成功モデルを応用し、顧客を巻き込んだ資金調達とアジャイルな開発プロセスを実践している。両者に共通するのは、「不可能」とされる領域に挑戦する意志と、それを現実にするための現実的なビジネス戦略である。このエピソードは、テクノロジーの最前線で戦う起業家たちの、情熱と戦略が融合した生の声を届けており、単なるニュース解説を超えた深い示唆に富んでいる。

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