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This Week in Startups · 2026年8月27日

ビル・ゲイツ、AIによる大規模な雇用喪失を予見:これらのVCは反対 | E2330

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • ビル・ゲイツが発表した6,000語に及ぶ長文エッセイ「The Turbulent AI Era is Here」を皮切りに、今週のThis Week in Start...
  • 番組後半では、メタ社が29州と合意した過去最大級の171億ドルの子ども安全に関する和解金、StripeによるOpenRouter買収、そしてAIエージェント戦争の勃発...
  • [2:09] ビル・ゲイツのAI警告と雇用喪失の現実 ビル・ゲイツ氏が発表した6,000語のエッセイは、AIがもたらす未曾有の変革と、それに伴う社会の混乱を予測してい...
こんな人向け

英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。

出典Podcast

This Week in Startups / Jason Calacanis

要点
  1. ビル・ゲイツ氏は6,000語のエッセイで、AIが「最大の平等化装置」か「最悪の不正義の源」になると警告し、AI利用税、人間留保職、新国家機関の創設を提案した。
  2. シール・モーノットは、トークン課税よりも超過利潤課税やロボタクシーへの走行距離税など、特定の害に対する課税が合理的だと主張した。
  3. デイブ・マクルーアは、2016年以降、1億ドル以上の資金調達はIPOよりもプライベートラウンドが主流となり、現在は10対1の比率になっていると指摘した。
  4. 従業員向けテンダーオファー市場は、2023年の65億ドルから2026年には推定370億ドルへと急成長しており、IPOに代わる新たな流動性の源泉となっている。
  5. メタ社の171億ドルの和解は、金銭的な罰則よりも、スクロール中断、夜間ブロック、美容フィルターの再設計など、具体的な機能制限が中心となっている。
  6. StripeによるOpenRouter買収(約8億ドル)は、トークンのルーティングを掌握する戦略的な動きであり、50〜100倍の売上高倍率は「狂った価格」だが、中長期的には賢明な買収となる可能性がある。
  7. OpenAIのアクティブなエージェントユーザー数は、1月の20万人から8月下旬には2,000万人に達し、わずか2ヶ月で4倍に成長した。この成長が2027年のIPO計画の根拠となっている。
  8. 物理AI(ロボティクス)は、言語AIとは異なり、まだ勝者が決まっておらず、ハードウェアの難しさ自体が参入障壁となるため、新たな投資機会を生んでいる。
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他のエピソード

ビル・ゲイツが発表した6,000語に及ぶ長文エッセイ「The Turbulent AI Era is Here」を皮切りに、今週のThis Week in Startupsは、AIによる雇用喪失の脅威とそれに対する社会の対応策をめぐる白熱した議論から始まった。ゲイツ氏はAIを「これまで発明された中で最大の平等化装置になるか、最悪の不正義の源になるか」と位置づけ、現状では「計画がない」と警鐘を鳴らす。彼の提案は、新しい国家機関の創設、AI利用税、そして人間にのみ留保される仕事の法的確保という、野心的かつ物議を醸す内容だ。これに対し、VCラウンドテーブルのゲストであるシール・モーノット(Better Tomorrow Ventures)、デイブ・マクルーア(Practical Venture Capital)、そしてフセイン・カンジ(Hoxton Ventures)の3人が、それぞれの立場から鋭く反論を展開する。議論は、トークン税の実効性から政府によるAI企業への出資、さらには中国の自動運転ライセンス停止措置まで、具体的な政策案とその問題点に及んだ。

番組後半では、メタ社が29州と合意した過去最大級の171億ドルの子ども安全に関する和解金、StripeによるOpenRouter買収、そしてAIエージェント戦争の勃発といった、投資家視点から見た注目ニュースが次々と取り上げられた。特に、OpenAIのエージェント利用者数の爆発的成長を示すグラフや、非公開市場における従業員向け流動性イベント(テンダーオファー)の急増は、IPO市場の構造変化を如実に物語っている。パネリストたちは、Cursorの巨額買収がもたらしたインパクト、物理AI(ロボティクス)への投資機会、そして自身のポートフォリオにおける具体的な成功事例まで、実践的な知見を惜しみなく共有した。単なるニュース解説に留まらない、投資家たちの生々しい意見と戦略思考が詰まったエピソードである。

2:09ビル・ゲイツのAI警告と雇用喪失の現実

ビル・ゲイツ氏が発表した6,000語のエッセイは、AIがもたらす未曾有の変革と、それに伴う社会の混乱を予測している。ゲイツ氏は、AIが法律、医療、ソフトウェアといった分野の仕事を脅かし、一部の職業は「永久に消滅する」と警告する。彼の主張の核心は、AIの恩恵を最大化しつつ、その負の側面から社会を守るための「計画」が現状存在しないという危機感にある。具体的な政策提案として、AIの利用に対して課税する「AI利用税」、人間にしかできない仕事を法的に確保する「留保職」の創設、そしてAI時代に対応するための新しい国家機関の設立を挙げている。

これに対し、デイブ・マクルーアは、ゲイツ氏の主張のうち「一部の仕事が永久に消滅する」「悪意ある行為者が超大国の力を得る」という2点については同意を示した。しかし、なぜ今このタイミングでゲイツ氏がこのようなエッセイを発表したのかについては懐疑的で、「最近の悪い報道を払拭しようとしているのではないか」と推測する。シール・モーノットも、ゲイツ氏の指摘は「概ね正しい」と認めつつも、雇用喪失が実際にどの程度の規模で、どのような速度で進行するのかについては確信が持てないと述べる。彼は、ゲイツ氏が言及する仕事の多くは、20年以上前のアウトソーシングによって既に置き換えられてきた歴史があることを指摘し、今回の変化が本当に「すべてを変える」のか、それとも特定の人口層に限定されるのかは未知数だと語った。

フセイン・カンジは、より哲学的な視点からこの問題を捉える。彼は、自動化が進み、AIがより優れた能力を持つようになれば、人間は経済の運行において「邪魔者」になるという考えは「現実的な話」だと述べる。そして、もしコンピューターの1ドルが人間の知能の10ドル分に相当するという考えが正しければ、社会の高次認知機能を必要とする仕事でさえも置き換えられるのは時間の問題だと指摘する。カンジは、この問題はSF作家たちが何十年も前から警告してきた古くて新しい問題であり、カート・ヴォネガットの『自動ピアノ』やコリイ・ドクトロウの作品を例に挙げながら、人類がこの根本的な問いと向き合ってこなかったことを示唆した。

8:56マイクロローン、UBI、そして政府の役割

AIによる雇用喪失への具体的な対策として、パネリストたちは様々なアイデアを提示した。シール・モーノットは、サム・アルトマンが提唱したユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)が「機能しなかった」ことを認めつつ、その実装方法に問題があったと指摘する。彼は、単に現金を配るのではなく、返済義務を伴う資本へのアクセスを提供する方が良い戦略だと主張し、10年前に話題になったKivaのようなマイクロローン・プラットフォームの復活を提案する。モーノット自身は、20年前にインドのマイクロレンディングを支援するUnitusという会社の取締役を務めており、その経験から、マイクロレンディングが商業資産クラスとして確立したインドの事例を引き合いに出した。

デイブ・マクルーアは、AI時代のニューディール政策の必要性を説く。1930年代から50年代にかけてのテネシー川流域開発公社(TVA)や高速道路建設のような大規模公共事業は、もはや時代遅れであり、代わりに「高齢者や人々へのサービスを提供するケアエコノミー」や「芸術文化」への投資が重要だと主張する。彼は、感情的なサポートやケアの分野では、少なくとも短期的にはエージェントよりも人間が優位性を持つと指摘し、雇用が喪失した場合に備えた「再訓練予算」または「支援予算」の計画が必要だと訴えた。マクルーアは、もし社会が「権力と富を持つ少数の人類」と「置き換えられ貧しくなった大多数」に二分されれば、それは「1800年代のフランスのような状態」に陥ると警告する。

一方、ジェイソン・カラカニスは、より市場主義的な解決策を提示する。彼は、中国が武漢や北京、上海などの都市で自動運転車のライセンス発行を停止した事例を挙げ、これが失業したドライバーたちの不満に対応するための措置だと分析する。カラカニスは、米国でも同様の動きが起こり得ると予測し、AOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)のような政治家が、自動運転車のライセンスを30,000ドルから競売にかける制度を導入するかもしれないと述べた。彼は、このようなライセンス制度は、自動運転による社会的利益(事故減少、信頼性向上)を享受しつつ、その外部不経済に対して課税する合理的な方法だと主張する。

21:00政府によるAI企業への出資とトークン課税の是非

ビル・ゲイツ氏の提案した「AI利用税」について、パネリストたちはその実効性に疑問を呈した。デイブ・マクルーアは、トークンコストがゼロに向かって低下しているため、トークン課税は「減少する資産に課税することになる」と指摘し、このアイデアに反対する。彼は、むしろ企業がAIエージェントを雇用する際に、減価償却などの税制上の優遇措置が働いている現状を問題視し、より公平な競争条件を整える必要があると主張する。シール・モーノットも、トークンの使用を促進すべきであり、トークン課税は逆効果だと述べる。彼は、代わりに「異常な超過利潤」に対して課税すること、そしてロボタクシーのような特定の害を生むサービスには「1マイルあたりの税」を課すことを提案した。

より根本的な提案として、モーノットは政府がAnthropicやOpenAIのような企業の10%を保有し、国家債務の返済に充てるというアイデアを提示した。この一見反資本主義的な提案に対し、カラカニスは、トランプ大統領が脅しと利益誘導によって企業から株式を引き出している現状を指摘し、それが社会主義的なアプローチと本質的にどう違うのかと問いかける。これに対し、マクルーアはベネズエラとノルウェーの石油資源管理の対比を挙げ、同じ資源を持ちながら、法の支配と制度的な枠組みの違いが国家の運命を分けたと説明する。カンジは、ノルウェーの成功は石油発見以前に確立された水力発電と木材産業の発展に起因するという歴史的な洞察を加え、単純な資源の所有ではなく、制度の質が重要だと示唆した。

しかし、政府によるAI企業への出資には、深刻なガバナンス上の問題があるとモーノットは指摘する。政府が企業の株式を保有すれば、その企業の評価額を保護し、規制を緩和する金銭的インセンティブが生まれる。これが、サム・アルトマンがこのアイデアを提案する理由の一つかもしれないと彼は推測する。つまり、政府が出資者になることで、AI企業はより有利な規制環境を得られる可能性があるというのだ。この議論は、AIの利益を社会で共有する方法と、政府の介入がもたらす意図せぬ結果の間にある複雑なトレードオフを浮き彫りにした。

32:44メタ社の171億ドル和解とソーシャルメディアの功罪

メタ社が29の州と合意した171億ドルの和解は、同社がInstagramとFacebookで子供たちを中毒にさせたという主張に対するもので、その内容は金銭的な支払いをはるかに超えるものだ。合意には、15分間の連続使用後のスクロールを中断する「プロダクティブポーズ」、午前0時から6時までの夜間ブロック、学校時間帯(午前8時から午後3時)のプッシュ通知の廃止、年齢認証の強化、美容フィルターなどの有害機能の再設計、いじめに対するより強力な保護措置、そして独立監査人の設置が含まれている。カラカニスは、これを「テクノロジー企業に対するこれまでで最も厳しい和解」と評し、マーク・ザッカーバーグとアダム・モセリが、29人の州司法長官に訴えられる前に、自発的にこれらの措置を講じるべきだったと非難した。

フセイン・カンジは、この和解を「長い間待ち望まれていた」と評価しつつ、その効果に懐疑的な見方を示す。彼は、思春期前の子供や10代の若者がこれらのプラットフォームを利用すること自体を制限すべきだという立場を取る。また、171億ドルという金額は巨額に見えるが、メタ社の時価総額やフリーキャッシュフロー(約2,000億ドル)の10%程度に過ぎず、和解金の発表後、メタ社の株価は上昇した可能性が高いと指摘する。つまり、この和解はメタ社にとって実質的な打撃にはなっておらず、問題の根本的な解決にはなっていないというのだ。

これに対し、シール・モーノットは、メタ社が実際には2年前からこれらの対策の多くを自主的に導入していたと弁護する。彼の妻がInstagramで弁護士として働いているという事情もあり、10代のユーザーには午後10時から午前7時までのスリープモードや、60分間の利用後の自動通知などが既に実装されていたと説明する。今回の和解の違いは、これらの対策がFacebookやWhatsAppを含む全アプリに拡大されたことだと指摘した。モーノットはまた、ソーシャルメディアの肯定的な側面にも光を当て、自身がCOVID-19パンデミック中のうつ病をソーシャルメディアによって克服した経験を語り、10代の若者に創造性のはけ口を提供しているという利点を強調した。

デイブ・マクルーアは、自身の子育て経験から、ソーシャルメディアの影響は複雑だと述べる。彼は、パロアルトのレストランでスティーブ・ジョブズに偶然出会い、自分の子供たちがiPhoneとiPadで遊んでいることを伝えたところ、後にジョブズが自分の子供たちにはその年齢でデバイスを与えていなかったことを知ったという逸話を披露した。マクルーアは、シリコンバレーの子供たちが直面するプレッシャーや、12歳から17歳の間に増幅される社会的圧力、いじめ、身体イメージの問題について言及し、テクノロジーがそれらを「超人的なレベル」に増幅させると警告する。彼は自身の家族では、子供たちが17歳になるまでソーシャルメディアを禁止し、16歳の娘には「読み取り専用アカウント」しか許可していないと明かした。

46:29StripeによるOpenRouter買収と非公開市場の拡大

StripeがOpenRouterを買収したニュースについて、フセイン・カンジは、これは単なるウェブホスティングの買収ではなく、「情報レイヤー」の獲得だと分析する。OpenRouterは、AIモデルへのアクセスを仲介するプラットフォームであり、トークンが経済を通じてどのように消費されているかを正確に把握できる。カンジは、Stripeが決済のインフラ企業として、AI時代の「配管システム」の役割を担うことを目指しており、この買収は戦略的に理にかなっていると評価する。彼は、YouTubeやWhatsAppの買収が当初は疑問視されたが、後にその戦略的価値が明らかになった例を挙げ、この買収も5年後には「明らかに賢明な買収だった」と評価されるだろうと予測する。

買収価格については、シール・モーノットが「7億7,000万ドルから8億ドル」と報告し、これはOpenRouterの年間収益(1億ドルから2億ドル)の50倍から100倍に相当する「狂った価格」だと指摘する。しかし、カンジは、OpenRouterが単なるトークン販売ではなく、AIエコシステム全体のルーティング(経路選択)を掌握する可能性に価値があると主張する。彼は、OpenRouterが中立性を保つことが重要であり、多くの企業が独自のルーティングを構築し始めている現状を踏まえると、この買収は「中立性が最終的に重要になる」という賭けだと説明する。

一方、非公開市場の構造変化について、デイブ・マクルーアは重要なデータを提示する。2016年を境に、1億ドル以上の大型ラウンドはIPOよりもプライベートラウンドが主流となり、現在ではその比率が10対1にまで拡大している。年間約400件の大型プライベートラウンドに対し、1億ドル以上のIPOはわずか40〜50件だという。この結果、企業はより長く非公開のままであり、IPO市場は「5億ドルから10億ドルの時価総額」が要求されるようになった。その代わりに急成長しているのが、従業員向けのテンダーオファー(内部二次市場)であり、2023年の65億ドルから2024年には127億ドル、2025年には270億ドル、2026年には370億ドルに達すると推定されている。Databricks、Stripe、Canvaなどの企業では、ほぼ毎年このようなテンダーオファーが実施されている。

しかし、この非公開市場の拡大には大きな問題があるとカンジは指摘する。従業員は流動性を得られる一方で、一般の小売投資家は企業が公開されるまで投資機会を得られず、しかも公開時には評価額が天井知らずに高騰している。さらに、ForgeやEquityZenなどの二次市場で取引されている非公開企業の多くは、財務情報を開示しておらず、投資家は「雰囲気」だけで取引しているのが現状だと彼は警告する。市場が好調なうちは問題ないが、景気が後退すれば、2021年に時価総額30億ドルと評価されたHeadspaceが、わずか2〜3億ドルで買収されたような「SaaSの黙示録」が繰り返される可能性があると述べた。

55:54物理AIとロボティクスへの投資機会

AIの次のフロンティアとして、パネリストたちは物理AI(ロボティクス)に注目する。フセイン・カンジは、言語関連のAIはフロンティアモデル(OpenAI、Anthropic)が独占しつつあるが、物理世界のためのトランスフォーマーAIや生物学のためのAIはまだ「勝者が決まっていない」と指摘する。彼のファンド(Hoxton Ventures)は、インペリアル・カレッジ発のステルス企業に投資しており、従来のFigureやGeneralistなどのロボティクス企業とは異なる、より少ないトレーニングデータで効率的に動作する新しい技術を開発していると明かした。この分野は欧州でも盛り上がりを見せており、彼らにとっては追い風だと語る。

シール・モーノットは、Skild AIのデモに強い感銘を受けたと述べる。このカーネギーメロン大学発のスピンオフ企業は、人間がパンケーキを焼いたり、植物を植えたりする動作をカメラ付きリストバンドで学習し、その動作を再現するロボットを開発している。デモでは、ロボット犬の脚を切断しても、残った脚で歩行を学習し直すという驚くべき適応能力も示された。モーノットは、このようなロボットが家庭に導入される日を待ち望んでおり、掃除や料理をしてくれるロボットには10万ドルでも惜しくないと語る。彼は、ロボットの製造コスト(部品表)は約15,000〜20,000ドルであり、販売価格は20,000〜30,000ドル(トヨタ・プリウスと同等)になるだろうと予測する。

デイブ・マクルーアは、ハードウェアへの投資が5年前は「アンチ」だったのが、現在では「非常にプロ」に転換したという業界の変化を指摘する。彼は、ソフトウェアには参入障壁(moat)がないが、ハードウェアは依然として難しく、その難しさ自体が防御性を生むという投資家の論理を説明する。カラカニスは、イーロン・マスクが開発するヒューマノイドロボット「Optimus」の進化に言及し、マスクが個人的に見せてくれた最新モデルが6ヶ月前と比べてはるかに速く動くようになったと驚きを語る。彼は、もし100万台のOptimusがイチゴの植え付けなどの作業を行えば、イチゴの価格は1ポンドあたり25セントにまで下がるだろうと、物理AIがもたらす経済的インパクトを具体的に予測した。

1:16:49AIエージェント戦争とOpenAIの成長

番組の最後には、AIエージェント戦争の現状が議論された。ジェイソン・カラカニスは、自身が愛用する「Grok Bot」と、シール・モーノットが注目する「Instinct」という2つのエージェントを比較する。Instinctは、ConvictionとKleiner Perkinsが出資したシード企業で、シードラウンドで1億ドル、Aラウンドで5億ドル、そして10億ドル以上のオファーがあると噂される。このエージェントは、テキストメッセージで指示を送るだけで、フライトの予約からタスクの実行までを自動で行う。モーノットは、InstinctがChatGPT Workのように単に予約ページに誘導するのではなく、実際にクレジットカード情報を保管し、取引を完了させる点が画期的だと評価する。ただし、これはおそらく様々な利用規約に違反している可能性があると指摘する。

カラカニスは、Grok Botの実用性を強調し、YouTubeの動画を分析して5つの重要なクリップに分割し、キャプション付きの縦型動画を作成するタスクを、わずか3分で完了させた経験を語る。これは、以前なら時給1.5ドルのフリーランスのビデオ編集者に依頼し、3時間かかっていた作業だという。彼は、このようなエージェントが「マルチプレイヤーモード」(チームメンバーを追加して共同作業する機能)を実装すれば、その普及はさらに加速すると予測する。

一方、デイブ・マクルーアは、OpenAIが買収したOpenClawの開発者(ピーター)に対するサム・アルトマンの対応を「邪悪で皮肉的」だと非難する。アルトマンは開発者を買収して社内に取り込んだ後、OpenClawプロジェクトは勢いを失い、コミュニティは「有毒」な状態に陥ったと彼は述べる。マクルーアは、このようなプロジェクトが1ヶ月で熱狂から衰退へと転じるのを見たのは初めてだと驚きを隠さない。

そして、マクルーアはOpenAIの成長を示す驚くべきグラフを提示する。同社のアクティブなエージェントユーザー数は、1月に20万人だったのが、5月に500万人、7月に1,000万人、8月初旬に1,500万人、8月下旬には2,000万人に達し、わずか2ヶ月で4倍に成長したという。このデータは、OpenAIのCFOサラ・フライヤーが「2027年にIPOを実施する」と発言した根拠であり、同社の収益成長率がAnthropicを上回ったという報告とも一致する。マクルーアは、この成長率の「インフレクション(変曲点)」こそが、フライヤー氏が言及していたものだと説明する。

結びに

今回のエピソードは、AIがもたらす雇用喪失という人類規模の課題に対して、投資家たちがどのように向き合い、具体的な解決策を模索しているかを浮き彫りにした。ビル・ゲイツ氏の警鐘は、単なる悲観論ではなく、社会制度の再設計を迫る現実的な問題提起として受け止められた。パネリストたちの間では、トークン課税や政府出資といったトップダウン的な解決策への懐疑と、マイクロローンやケアエコノミーといったボトムアップ的な解決策への期待が交錯した。特に印象的だったのは、デイブ・マクルーアが提示した非公開市場の構造変化に関するデータであり、IPOがもはや唯一の出口ではなくなり、テンダーオファーが新たな流動性の源泉となっている現実は、スタートアップエコシステムの根本的な変容を示している。

また、AIエージェント戦争の勃発は、技術の進化が単なるツールの改善を超えて、人間の仕事の遂行方法そのものを変革しつつあることを示した。OpenAIのエージェントユーザー数の爆発的成長は、この変革がすでに現実のものとなっている証拠である。しかし、その一方で、メタ社の和解に見られるように、テクノロジーがもたらす負の側面への社会的な規制圧力も高まっている。投資家たちは、AIの可能性を最大限に活用しながらも、その社会的影響に責任を持つことの重要性を認識し始めている。このエピソードは、AI時代における資本主義の未来像を考える上で、示唆に富む内容であった。

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