
0ドルで何でも買えるアプリを見つけた
- 韓国のZ世代が生み出した「何も買わないショッピングアプリ」から、伝説の投資家ニック・スリープの「共有規模の経済」理論、ゴールドマン・サックス元CEOロイド・ブランクフ...
- シャーンとサムは、韓国発の「ドーパミン・ウェブサイト」と呼ばれる新しいトレンドを皮切りに、東アジアのインターネット文化とビジネス戦略の特異性を分析する。彼らは、一見馬...
- [0:00] 韓国の「ドーパミン・ウェブサイト」と東アジアのインターネット文化 エピソードは、韓国のZ世代の間で流行しているという「ドーパミン・ウェブサイト」の話題か...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
My First Million / Hubspot Media
- 韓国のZ世代に人気の「ドーパミン・ウェブサイト」は、商品を購入せずにブラウジングやカートに入れるプロセスを楽しむアプリで、所有ではなく体験に価値を見出す新しい消費行動を示している。
- 伝説の投資家ニック・スリープは、コストコやアマゾンの成功を「共有規模の経済」で説明する。これは、規模の経済で得た利益を顧客に還元し続けることで、顧客基盤を拡大し、競合を圧倒する戦略である。
- ゴールドマン・サックス元CEOロイド・ブランクファインは、総資産20億ドル超と推定される一方で、Netflixの広告付きプランすら渋るなど、幼少期の貧困経験に根ざした独特の金銭感覚を持つ。
- カーライル・グループ創業者デビッド・ルーベンスタインは、税制スキームで得た資金を元手にPEファンドを創業した後、歴史的文書の収集・保存や執筆活動など、華麗なセカンドキャリアを築いている。
- ナット・ターナーが買収したカード鑑定会社PSAは、トレーディングカード市場において「信頼」を提供する第三者機関であり、そのビジネスモデルは「信用財」市場における「信頼の証人」としての役割を体現している。
- PSAのビジネスは、鑑定料収入に加え、鑑定したカードを保管する保管庫事業も展開しており、その収益構造は格付け機関と金庫会社のハイブリッドと例えられる。
- ヴィンテージデニムの世界では、色落ちのパターンや縫製方法など、専門的な知識に基づく評価基準が存在し、PSAのような第三者鑑定サービスのニッチな応用可能性が示唆される。
- 東アジアのインターネット文化(ライブストリーミング、モバイルゲーム、短尺ドラマなど)は、西洋とは異なる発展を遂げており、そのトレンドを早期に発見し、西洋市場に適用することでビジネスチャンスが生まれる。
韓国のZ世代が生み出した「何も買わないショッピングアプリ」から、伝説の投資家ニック・スリープの「共有規模の経済」理論、ゴールドマン・サックス元CEOロイド・ブランクファインの意外な金銭感覚、カーライル・グループ創業者デビッド・ルーベンスタインの華麗なるセカンドキャリア、そしてPSAというカード鑑定ビジネスの驚くべき収益構造まで。今回のエピソードは、一見無関係に見えるこれらのトピックを、ホストのシャーン・プリとサム・パーが軽快なテンポでつなぎながら、ビジネスの本質を掘り下げていく。彼らの議論の根底にあるのは、「既存の常識を疑い、別の角度から価値を再定義する」という視点だ。韓国の若者が「ショッピングの楽しさは所有ではなく、そのプロセスにある」と気づいたように、ビジネスにおいても「製品そのもの」ではなく「信頼」や「プロセス」に価値を見出すことで、巨大な市場が生まれる。このエピソードは、そんなビジネスの本質を、具体的事例とユーモアを交えて描き出す。
シャーンとサムは、韓国発の「ドーパミン・ウェブサイト」と呼ばれる新しいトレンドを皮切りに、東アジアのインターネット文化とビジネス戦略の特異性を分析する。彼らは、一見馬鹿げたアイデアの中に潜む本質的なニーズを見抜くことの重要性を説く。さらに、投資家ニック・スリープの「消費者余剰」という概念を紹介し、コストコやアマゾンがなぜ競合を圧倒できるのかを、従来の財務指標とは異なる視点で解説する。その後、ロイド・ブランクファインやデビッド・ルーベンスタインといった著名人の意外な素顔やキャリアパスを紹介し、最後にはカード鑑定会社PSAのビジネスモデルを「信頼の証人」という観点から分析する。この一連の流れは、単なるビジネスアイデアの羅列ではなく、成功するビジネスの根底にある普遍的な原理を探求する知的旅路となっている。
韓国の「ドーパミン・ウェブサイト」と東アジアのインターネット文化
エピソードは、韓国のZ世代の間で流行しているという「ドーパミン・ウェブサイト」の話題から始まる。これは、ユーザーが実際に商品を購入することなく、フードデリバリーのメニューを閲覧したり、レビューを読んだり、ショッピングカートに商品を入れて配送を追跡するプロセスを楽しめるアプリだ。シャーンは「Food Never Comes」というアプリを実演し、ウサギとカメのどちらの配送速度を選ぶか、フライドチキンのメニューを選び、カートに追加し、チェックアウトする一連の流れを説明する。しかし、実際に商品が届くことは決してない。この他にも、実際にタバコを吸わずに匿名のチャットルームで喫煙休憩の感覚を再現する「バーチャル喫煙所」なども存在するという。
サムはこのトレンドを「起業家精神の焦らしプレイ(blue balls of entrepreneurship)」と揶揄し、KiaやSamsung、K-POPといった素晴らしいものを生み出してきた韓国人が、なぜこんな馬鹿げたことをするのかと疑問を呈する。しかしシャーンは、この現象の背後には「ショッピングの楽しさの多くは、単にブラウジングしてカートに入れることにある」という洞察があると指摘する。実際に商品を所有することよりも、そのプロセス自体が dopamine(ドーパミン)を分泌させるのだ。この議論は、東アジアのインターネット文化が西洋とは全く異なる発展を遂げているという話題へと発展する。
シャーンは、かつてライブストリーミング市場を調査した経験を振り返り、アジアのライブストリーミングプラットフォーム(例としてYY.comを挙げる)が、視聴者が女性が麺を食べる様子を見ながら画面上を横切るチャットを読み、バーチャルなバラに何千ドルも費やすという、西洋人には理解しがたい文化を持っていたことを説明する。彼はこれを「部族の研究」に例え、その行動様式を理解し、再現しようと試みたという。この経験から、彼は「東アジアで流行っているものは、やがて西洋にも波及する」というパターンを認識する。具体的には、モバイルゲーム(Free Fire、PUBG Mobile)がその後のFortniteに影響を与え、ライブコマース(Whatnotが米国版として成功)がその例だ。そして現在、彼が注目する次のトレンドが「短尺ドラマ(short drama)」だ。これは、縦型画面で視聴する30〜60秒の短いエピソードで構成される連続ドラマで、アジアで爆発的な人気を博しており、米国にも波及するのは時間の問題だと予測する。
ニック・スリープの「共有規模の経済」と消費者余剰
話題は、アジア企業の戦略から、伝説的な投資家ニック・スリープ(Nick Sleep)の投資哲学へと移る。シャーンは、スリープが15年間で年平均20%以上のリターンを上げ、ファンドを畳んだ後は表舞台から姿を消した人物だと紹介する。彼のポートフォリオは長期間にわたり、コストコ、アマゾン、バークシャー・ハサウェイの3銘柄に集中していた。スリープの核心的な投資戦略は「共有規模の経済(shared economies of scale)」という概念に基づいている。
通常、企業は規模の経済(economies of scale)を達成すると、コスト削減分を自社の利益として吸収する。しかしスリープは、コストコやアマゾンのように、その利益を顧客に還元する企業こそが長期的に最も価値を生むと見抜いた。例えばコストコは、大量仕入れによるコスト削減分を価格に反映させ、会員に還元する。シャーンはこれを「消費者余剰(consumer surplus)」と呼び、具体的な数字を用いて説明する。仮に平均的な顧客がコストコでの買い物で年間1,000ドル節約できるとすると、年会費100ドルを差し引いても900ドルの余剰が生まれる。この圧倒的な価値提案が顧客を引き寄せ、さらなる規模の拡大を生み、それがまたコスト削減と価格還元を可能にするという好循環を生み出す。スリープは、従来のアナリストがコストコの10億ドルの利益を見るのに対し、彼は顧客に還元されている50億ドルの余剰を見ていたという。
シャーンは、この考え方をSpaceXに応用してみせる。SpaceXは打ち上げコストを100分の1に削減したが、その恩恵を政府や顧客に還元したことで、市場の80%を獲得した。今後もコスト削減を続け、Starlinkの加入者にその恩恵を還元すれば、アマゾンやコストコと同様の好循環が生まれる可能性があると指摘する。この議論は、ピーター・ティール(Peter Thiel)の「秘密(secrets)」の概念や、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)の「堀(moat)」の考え方と比較される。バフェットは、スニッカーズやコカ・コーラのような、顧客が自ら進んで選ぶブランド力を重視する。一方、イーロン・マスク(Elon Musk)は「堀」の概念を否定し、革新のスピードこそが防御になると主張した。これに対しバフェットは、「顧客は無名のチョコバーよりスニッカーズを選ぶ」と反論したという逸話が紹介される。
ロイド・ブランクファインの個人資産と意外な倹約
サムは、自身が行ったゴールドマン・サックス元CEOロイド・ブランクファイン(Lloyd Blankfein)とのインタビュー体験を語る。ブランクファインは、2008年の金融危機時に「悪の象徴」として糾弾された人物だが、実際に会ってみると非常に魅力的で、自虐的で、親しみやすい人物だったという。彼はブルックリンの貧しい家庭に生まれ、父親は郵便局員だった。ハーバード大学に進学したものの、学食を買う金にも困り、奨学金事務所から500ドルをもらって生活が変わったというエピソードを紹介する。その後、弁護士を経て、当時は低級とみなされていたゴールドマンのコモディティトレーダーとしてキャリアをスタートさせ、最終的にCEOにまで上り詰めた。
インタビューの中で、ブランクファインは自身の個人資産管理について驚くべき告白をした。彼は「Netflixの広告付きの安いプランすら払いたくない」と語り、BloombergやWall Street Journalの購読料を払うのも惜しいという。資産の80%は公開株式で、その90%を自分でデイトレードしているという。サムは、総資産が20億ドル以上と推定される人物が、Netflixの広告付きプランを渋り、デイトレードに没頭する姿に「億万長者の資産管理というより、むしろ誤管理だ」とコメントする。しかし、この不合理な行動こそが、彼を「普通の人」のように感じさせ、親近感を抱かせるのだと分析する。ブランクファインは、自身の出自や成功を自虐的に語り、インタビューの最後にサムがInstagram用の企画を持ちかけた際も「そんな可愛いことはやらないよ」と断ったというエピソードも紹介される。
デビッド・ルーベンスタイン:カーライル創業から歴史保存へのセカンドキャリア
続いて、サムはカーライル・グループ(Carlyle Group)の共同創業者デビッド・ルーベンスタイン(David Rubenstein)の魅力的なキャリアを紹介する。ルーベンスタインは、弁護士からジミー・カーター政権で働くが、カーターが再選に失敗したため、31歳で職を失う。彼は、マイケル・ルイス(Michael Lewis)が1993年に書いた「The Access Capitalist」という記事を引用し、ルーベンスタインが「1987年のエスキモー税詐欺(Eskimo tax scam)」と呼ばれるスキームで最初の資金を稼いだことを明かす。これは、アラスカ先住民に与えられた税制上の優遇措置を利用し、税額控除を売買するというものだった。彼と友人数名は、この取引で約20億ドルを仲介し、2,000万ドルの手数料を得た。この資金を元手に、1987年にカーライル・グループを設立する。
カーライルは、当初はメキシコ料理レストランチェーン「Chi-Chi's」の買収など、あまり成功しなかった。しかし、ルーベンスタインはワシントンD.C.での人脈を活かし、政権交代で職を失った元政府高官を積極的に採用する戦略をとる。彼らは防衛産業関連企業の買収に特化し、政府とのコネクションを活かして巨大なPEファームへと成長した。現在、カーライルは約5,000億ドルの資産を運用している。
しかし、サムが最も魅了されたのは、ルーベンスタインのビジネス成功後の「セカンドキャリア」だ。彼は5〜6冊の歴史書を執筆し、Bloombergで自身のインタビュー番組を持ち、マグナ・カルタや独立宣言書の写し、リンカーン大統領の奴隷解放宣言書などの歴史的文書を私財で購入し、修復や展示に貢献している。ワシントン記念塔やリンカーン記念堂の修復費用も負担し、ケネディ・センターの運営やケン・バーンズのドキュメンタリー制作も支援している。サムはこのキャリアを「壮大なシャルキュトリー・ボード(前菜盛り合わせ)のようだ」と表現し、一つのことに特化するのではなく、多様な興味を追求する生き方に強い魅力を感じると語る。ルーベンスタイン自身は「自虐的なユーモアが私のスタイルだ。それは人をリラックスさせる」と語り、自身の成功を「特別に優れた投資家というわけではなく、ただ懸命に働き、人脈を作り、人と人をつなぐのが得意だっただけだ」と謙虚に振り返る。
ナット・ターナーのPSA買収:信頼の証人ビジネス
シャーンは、起業家ナット・ターナー(Nat Turner)が買収したカード鑑定会社PSAのビジネスモデルを、深く掘り下げて分析する。ターナーは、広告テクノロジー企業をGoogleに売却した後、家族の病気をきっかけに医療ベンチャー(Flatiron Health)を創業し、2018年に約20億ドルでロシュに売却した。その後、彼が約8〜9億ドルで買収したのが、トレーディングカードの鑑定・認証で圧倒的なシェアを持つPSAだ。
シャーンは、PSAのビジネスを「credence goods(信用財)」という概念で説明する。信用財とは、消費した後でもその品質を評価することが難しい財のことだ。医療サービスがその典型で、手術を受けた患者は自分の外科医の腕前を正確に評価できない。トレーディングカードも同様で、カードの状態や真贋は専門家でなければ判断が難しい。PSAは、この「情報の非対称性」を解消する第三者機関として機能する。彼らが発行する鑑定書は、カードの価値を保証し、市場での取引を円滑にする。この「信頼」こそがPSAの最大の資産であり、競合他社が容易に模倣できない強力な参入障壁(moat)となっている。
PSAのビジネスモデルの優れた点は、その収益構造にある。シャーンは、PSAのバックログ(未処理の鑑定依頼)が1,400万枚、1枚あたりの鑑定料を平均30ドルと仮定すると、それだけで4億ドルの受注残があると計算する。さらに、鑑定したカードを保管する「保管庫(vault)」事業も展開しており、これは一種の「フォートノックス」のようなものだ。このビジネスは、ムーディーズ(Moody's)のような格付け機関と、金庫会社のハイブリッドと例えられる。シャーンは、この「信頼の証人(trust tax)」ビジネスは、他の分野でも応用可能だと指摘する。例えば、アイビーリーグ卒業生のトップ1%を評価するシステムや、ユースアスリートの能力を評価するシステムなど、第三者による信頼できる評価が求められる市場は数多く存在する。
デニム鑑定の世界とニッチ市場の可能性
サムは、自身が熱中しているというヴィンテージデニムの世界について熱く語る。彼は、Redditの「rawdenim」や「rawfades」といったコミュニティで、デニムの色落ち(fade)を鑑賞する文化があることを紹介する。デニムの価値を評価する基準は多岐にわたる。膝裏の「ハニカム(honeycombs)」と呼ばれる色落ちのパターン、バックパッチの素材(紙か革か)、リベット(銅製の鋲)の色味、そして何より重要視されるのが「チェーンステッチ(chain stitch)」と呼ばれる裾の縫製方法だ。これは現在では製造されていないユニオン・スペシャル社のミシンでしか縫えず、裾上げだけで70ドルもかかるという。
最も価値のあるデニムは、1800年代にカリフォルニアの金鉱夫のために作られたリーバイス(Levi's)の初期モデルで、バックルが付いた「バックルバック(buckleback)」と呼ばれるタイプだ。これらは古い鉱山で発見されることがあり、20,000ドルの価値がつくこともある。特に日本のコレクターが熱心で、日本のメーカーはアメリカのヴィンテージデニムを驚くほど精巧に復刻(reproduction)しているという。サム自身も、1947年製のリーバイスを復刻した日本のメーカーのジーンズを履いており、そのディテールを自慢げに披露する。
この議論は、PSAのような第三者鑑定ビジネスが、デニムのようなニッチなコレクターズアイテムにも応用できる可能性を示唆する。特にハンドバッグの分野では、すでにeBayなどで信頼できる鑑定の需要が存在する。サムは、自身もヴィンテージのハンドバッグを購入する際、出品者の評価を信頼するしかない現状を挙げ、PSAのような専門的な鑑定サービスが求められていると指摘する。このように、一見するとマニアックで小さな市場に見えても、信頼というインフラを提供することで、巨大なビジネスに成長する可能性が示唆される。
結びに
今回のエピソードは、一見すると脈絡のないトピックの寄せ集めのように見える。しかし、その根底には「価値の再定義」という一貫したテーマが流れている。韓国の若者は「ショッピング」という行為の価値を「所有」から「プロセス」へと再定義した。ニック・スリープは「企業価値」を「利益」ではなく「顧客に還元する余剰」で測るという新しい指標を提示した。ロイド・ブランクファインやデビッド・ルーベンスタインは、成功後の「人生の価値」を、単なる金銭的成功ではなく、多様な経験や社会貢献に求めた。そしてPSAは、トレーディングカードという「遊び」の世界に「信頼」という価値を注入し、巨大な市場を創出した。
このエピソードがリスナーに残すのは、ビジネスや人生における「当たり前」を疑うことの重要性だ。既存の枠組みや常識にとらわれず、別の角度から物事を見ることで、新たな価値や機会が浮かび上がってくる。シャーンとサムの軽快なトークは、そのための思考の「型」を、具体的事例を通じて提供してくれる。彼らは決して「正解」を押し付けるのではなく、自らも驚き、楽しみながら、リスナーを知的探求の旅に誘う。このエピソードは、単なるビジネス情報番組ではなく、世界の見方を変えるためのツールキットなのだ。
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