
好きなことを自然に収益化する方法
- ニューヨーク在住のアシュリー・グラント(Ashley Grant)という女性が、自身の香水への情熱をビジネスに変えた「Scent Social Club」というツアー...
- エピソード全体を通して、二人は「個人的独占(personal monopoly)」という概念を様々な事例を通じて探求する。ニューヨークの美術館で非公認ツアーを開催し3...
- [0:24] 香水ツアーと情熱の参入障壁 Shaan Puriは毎週木曜日に妻とのデートを習慣にしているが、その際にポッドキャストのリスナーであるアシュリー・グラント...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
My First Million / Hubspot Media
- アシュリー・グラントの香水ツアー「Scent Social Club」は、個人ツアー500ドル、企業向けグループツアーを提供し、ニューヨークで本業として成立している。彼女の成功は「最高になること」ではなく「唯一になること」を目指した結果だ。
- Nick GrayのMuseum Hackは、無料の美術館ツアーに「盗みたいアート5点」という工夫を加え、1人200ドルで提供し、年間290万ドルの収益で売却された。
- SlackのCEOによる「We Don't Sell Saddles Here」の教えは、製品そのものではなく、その製品がもたらす感情やライフスタイルを売るべきだというもの。Nikeはジョギングの喜びを、Lululemonはヨガのライフスタイルを売った。
- 元警官によるマフィアツアーはAirbnbで年間100万ドルを稼ぎ、リスティング自体を売却して複数の元警官が運営するビジネスに発展した。
- ドリー・パートンは「I Will Always Love You」の権利を保持し続けたことで、ホイットニー・ヒューストンのバージョンから数千万ドルのロイヤリティを得た。エルビス・プレスリーの権利要求を断った決断が鍵だった。
- ドリー・パートンの「Imagination Library」は1995年から3億2500万冊以上の本を無料配布し、故郷の郡では卒業率を65%から94%に引き上げた。
- Equine Networkは馬愛好家向けのニッチメディアから、年間8,500万ドルの収益を上げる企業に成長し、3億ドルで売却された。馬の年間維持費は約3万ドルで、所有者は他の何よりも馬を優先する。
- レブロン・ジェームズはNikeとの生涯契約を担保にした30年物債券で3億ドルを調達し、税金を支払うことなく資金を得た。これはデヴィッド・ボウイの「ボウイ債」と同様の手法だ。
ニューヨーク在住のアシュリー・グラント(Ashley Grant)という女性が、自身の香水への情熱をビジネスに変えた「Scent Social Club」というツアー事業を始めた。参加者は事前にタイプフォームで性格や好みを伝え、当日は3つの店舗を巡りながら、彼女がその人に合う香水を提案するというものだ。この話をきっかけに、Shaan PuriとSam Parrは「情熱こそが参入障壁(moat)になる」というテーマについて深く掘り下げていく。趣味やニッチな関心を収益化する方法、そして「最高になること」よりも「唯一になること」の重要性が議論の中心となる。
エピソード全体を通して、二人は「個人的独占(personal monopoly)」という概念を様々な事例を通じて探求する。ニューヨークの美術館で非公認ツアーを開催し300万ドルの収益を上げたMuseum Hack、マフィアの歴史を巡る元警官のツアー、馬愛好家向けのメディア帝国を築き3億ドルで売却したEquine Networkなど、情熱を原動力にしたビジネスの成功例が次々と紹介される。さらに、ドリー・パートンの死を受けて彼女の驚くべきビジネス感覚と慈善活動を称賛し、レブロン・ジェームズの革新的な資金調達方法についても分析する。
香水ツアーと情熱の参入障壁
Shaan Puriは毎週木曜日に妻とのデートを習慣にしているが、その際にポッドキャストのリスナーであるアシュリー・グラントという女性が主催する香水ツアーに参加した。彼女は元コンサルタントで、ニューヨークの香水店が集まるエリアで、参加者の性格や好みを事前にヒアリングし、3つの店舗でそれぞれ3つの香水を紹介するというツアーを開催している。ツアー料金は個人向けが約500ドルで、企業向けのグループツアーも行っており、彼女にとってこれは副業ではなく本業だという。
Shaanはこの体験を通じて「熱意は参入障壁になる」と指摘する。彼自身は香水に全く興味がなかったが、アシュリーの案内で実際に香水を購入しそうになったという。彼女はShaanのことを「マスキュリンな男性で、ストイックでリーダーシップがあり、時代を超越した価値観を持つ」と特徴づけ、それに合う香水を提案した。Shaanはこれを「ホロスコープより優れている」と表現し、占い師のようなコールドリーディング技術と、実際に販売する高マージン商品を組み合わせたビジネスモデルだと分析する。
Sam Parrはこのビジネスモデルを称賛し、彼女が「ニューヨークの香水ガール」としての個人的独占を築きつつあると指摘する。彼女のInstagramのフォロワーは約15,000人で、まだ大きな影響力はないが、Shaanは「彼女はあと一つのフォーマットを見つければ、現在の10倍の規模になる」と予測する。通行人を捕まえてその人のための香水を選ぶという30秒のリール動画が、彼女の成長の鍵になるかもしれないというのだ。
Museum Hackと「鞍を売るな、乗馬の喜びを売れ」
ShaanとSamの友人であるNick Grayは、Museum Hackというビジネスを立ち上げ、3〜4年で300万ドルの収益を達成した。ニューヨークのメトロポリタン美術館などでは無料ツアーが提供されているが、彼は「退屈だ」と感じ、よりエキサイティングなツアーを1人200ドルで提供し始めた。彼の特徴的なアプローチは「今日盗みたいアート作品を5点紹介する」というもので、この小さな工夫が大きな違いを生んだ。
Museum Hackは年間290万ドルの収益を上げた時点で売却され、約100人のブロードウェイ志望者やコメディアン、俳優などのクリエイティブな人材をツアーガイドとして雇用していた。Nickはその後、「2時間のカクテルパーティー」の専門家として再発明し、そのテーマでベストセラーの本を執筆した。Samは「Nickの強みは、2時間のカクテルパーティーに対する熱意が地球上で誰よりも強いことだ」と評する。
この議論から、SamはSlackのCEOが書いた「We Don't Sell Saddles Here」というブログ記事を紹介する。Slackがビデオゲーム会社からピボットしてローンチした日に社内向けに書かれたこの記事では、馬具を売る代わりに乗馬の喜びを売るべきだと説かれている。Nikeがジョギングというライフスタイルを売り、Lululemonがヨガのライフスタイルを売ったように、Slackも「優れたチームコミュニケーションの感覚」を売るべきだというメッセージだ。
アシュリーの香水ツアーも同じ原則を適用している。彼女は香水そのものを売るのではなく、自分自身を表現し、洗練された印象を与えるという体験を売っているのだ。Shaanは「彼女は馬具ではなく乗馬の喜びを売った」と要約し、これが彼女のビジネスが成功している理由だと分析する。
体験型ツアーの可能性と具体的事例
ニューヨークには、元警官がマフィアの歴史を案内するAirbnb体験ツアーがあり、年間100万ドルの収益を上げている。3時間のツアーでは、マフィアの有名な事件が起きたレストランや場所を巡り、最後はツアーガイドと提携しているレストランで食事をするという内容だ。この元警官は自分のAirbnbリスティングを他の人物に売却し、現在は5〜7人の元警官が同様のツアーを提供している。
Shaanは、このような「歴史と食」を組み合わせた体験ツアーは、年間数十万ドルを稼ぐ可能性があると指摘する。彼自身もニューヨークを訪れた際に、友人Davidが案内するフードツアーに参加し、各停留所で最高のフローズンヨーグルトやバーガーを楽しんだ経験がある。彼の妻はAirbnbで働いており、Airbnb Experiencesに関わっていたため、旅行先では必ずフードツアーを利用しているという。
もう一つの事例として、Shaanはニューヨークの隠れ家的な寿司店「Sendo Sushi」を紹介する。オーナーのGuy Allenは、10年間Instagramで寿司への情熱を発信し続け、寿司に関するコーヒーテーブルブックも出版していた。その結果、彼が無標識の階段とドアの奥に8席だけのレストランをオープンすると、すぐにニューヨークで最も予約が取れない寿司店になった。Shaanは当初このビジネスプランを「ひどいアイデアだ」と評したが、実際にはDoorDashでのデリバリー事業が数百万ドルの収益を生んでおり、レストランの半分以上がデリバリー用のキッチンになっているという。
ドリー・パートン:エンターテイナーからビジネスウーマンへ
Sam Parrは長年Shaanがドリー・パートンを知らないことをからかってきたが、彼女の死去を受けて、その驚くべき生涯とビジネス感覚を称賛する。テネシー州のスモーキー山脈で12人兄弟の4番目として生まれ、5歳で最初の曲を書き、10歳でステージに立った。彼女は1億枚以上のレコードを売り上げ、10のグラミー賞を受賞したが、本当に印象的なのはその後のビジネスでの成功だ。
ドリー・パートンはテネシー州に「Dollywood」というディズニーワールドに相当する遊園地を所有し、年間数百万人の来場者を集めている。彼女の純資産は5億ドル以上で、これはアーティストとしては非常に稀な数字だ。彼女の最も有名な曲の一つ「I Will Always Love You」は、エルビス・プレスリーが購入を希望したが、権利の50%以上を要求されたため断ったという逸話がある。その後、ホイットニー・ヒューストンが歌ったバージョンが大ヒットし、ドリーはそのロイヤリティだけで1990年代に数千万ドルを稼いだ。
ドリー・パートンの慈善活動も特筆に値する。読み書きができなかった父親への敬意から、1995年から3億2500万冊以上の本を子供たちの家庭に無料で送る「Imagination Library」を運営している。また、故郷の郡で中学2年生と3年生の卒業率が65%しかなかった問題に対し、ペアを組んで両方が卒業したら500ドルを支給するというプログラムを実施し、卒業率を94%にまで引き上げた。彼女自身は子宮内膜症のため子供を持てなかったが、「神が私に子供を授けなかったのは、みんなの子供を私の子供にするためだった」と語っていたという。
Shaanは、ドリー・パートンが共和党員から民主党の社会主義者まで、あらゆる政治的立場の人々から愛されていたことに驚きを示す。トランプ前大統領も民主社会主義者も彼女への追悼の意を表明し、ラッパーやテイラー・スウィフトなども個人的なエピソードを添えて追悼した。Samは「彼女は単なる歌手ではなく、生涯を通じて正しいと思うことを繰り返し行った人物だ」と総括する。
Equine Network:ニッチ市場の巨大ビジネス
Samは「ローピング(投げ縄競技)」というニッチなスポーツから生まれた巨大ビジネスを紹介する。2000年代初頭、AndyとTomという二人の人物がActive Interest Mediaという会社を設立し、セーリングや馬などのニッチな趣味に関する雑誌を買収し始めた。彼らは馬の所有者向けのメディアであるEquine Networkを立ち上げ、雑誌からウェブサイトへと移行したが、月間訪問者数は60万人程度と小規模だった。
しかし、彼らはウェブサイトに広告を出稿している企業の一つが「馬用トレーラーのロードサービス(AAAのようなもの)」を提供していることに注目した。馬を運搬するトレーラーが故障した場合、通常のロードサービスでは対応できない特殊なニーズがあるのだ。彼らはこのビジネスをほぼ無価値に近い価格で買収し、そこから馬関連のビジネスを次々と買収・立ち上げていった。
現在、Equine Networkは馬用のフライコントロール事業(45,000人が年間300ドルを支払う)、全米最大のローピングイベント、年間200ドルのストリーミングネットワーク「Ride TV」、バレルレーシングやジャンピングイベント、馬用ソフトウェアなど、多岐にわたる事業を展開している。年間売上は8,500万ドルで、利益率は20%台後半、従業員数はわずか200人だという。約6ヶ月前に3億ドルで売却され、元WWEの社長とCEOが経営に参画している。
Samは「馬を所有する人々は、馬のために家賃を払えなくなるまで馬を手放さない」と指摘し、馬の年間維持費が約3万ドルかかるにもかかわらず、馬の所有者は非常に熱心であると説明する。Hamptonのメンバーで馬関連のソフトウェアを開発しているSamという人物も「馬の世界は誰もが想像するよりはるかに大きい」と語っていたという。Shaanはこの話に感銘を受け、「ニッチダウンできなくなったら、さらにニッチダウンする」という原則を引き出した。
レブロン・ジェームズの革新的資金調達と文化の変化
Shaanはレブロン・ジェームズが行った画期的なビジネス手法を紹介する。レブロンは2018年に、Nikeとの生涯契約を担保にした債券発行を行い、3億ドルを調達した。この債券は30年物で、利率は5%未満と低く設定されている。レブロンはNikeとの契約を売却したのではなく、それを担保に融資を受けた形であり、契約から得られる将来の収入の upside は保持している。
この手法は、デヴィッド・ボウイが音楽カタログの将来収入を担保に5,000万ドルを調達した「ボウイ債」に似ている。レブロンの場合、この債券は格付け機関によって米国債よりも安全と評価され、複数の機関投資家が参加した。レブロンのマネーマネージャーはビヨンセなども担当している人物で、このアイデアを提案したという。重要なのは、レブロンがこの3億ドルに対して税金を支払う必要がない点だ。ローンは課税対象ではないため、彼はこの資金を他の投資に回すことができる。
Shaanはまた、アスリートの間で「お金の話」がクールになるという文化の変化を指摘する。以前は派手な消費がステータスだったが、現在は「NBAの契約金には手をつけず、靴の契約だけで生活している」「42のガソリンスタンドを所有している」といった財務的な賢明さを自慢するアスリートが増えている。これは彼らがポッドキャストを持つようになり、お金に関する会話が最もバイラルになるクリップだからだという。
レブロンはこの分野の先駆者で、マクドナルドやコカ・コーラのスポンサー契約を断り、代わりにピザチェーンのBlaze Pizzaのオーナーになる道を選んだ。Shaanは「従業員ではなく雇用主になること、マーケティング報酬を受け取るのではなくオーナーになることが目標だ」とレブロンの哲学を説明する。さらに、レブロンがワイン収集やゴルフなど伝統的に白人富裕層の趣味とされてきた活動に熱中していることも、文化の変化を示す例として挙げられる。
結びに
このエピソードの核心は、「情熱を収益化する」ことの本質を多角的に探求した点にある。香水ツアーのアシュリー・グラントから、馬愛好家向けメディア帝国のEquine Networkまで、共通するのは「自分が本当に好きなこと」を出発点にしていることだ。彼らは市場調査や競合分析からビジネスを始めたのではなく、自分の熱意を信じ、それを磨き上げることで「市場で唯一の存在」になった。
特に印象的なのは、ドリー・パートンの生涯だ。彼女は単なるエンターテイナーではなく、自分の権利を守り、慈善活動を通じて地域社会に貢献し、あらゆる立場の人々から愛される人物だった。彼女の「神が私に子供を授けなかったのは、みんなの子供を私の子供にするためだった」という言葉は、逆境を意味づけ直す力の素晴らしい例だ。
また、レブロン・ジェームズの債券発行は、アスリートのビジネス感覚が進化していることを示している。彼は単に高額な契約を結ぶだけでなく、自分の将来収入を資本として活用する方法を編み出した。このエピソード全体を通じて、ShaanとSamは「情熱こそが最も強力なビジネスの原動力になる」というメッセージを様々な角度から伝えている。
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