
アドバイスライン:EO Productsのスーザン・グリフィン=ブラック
- 概要 本エピソードは、ホストのガイ・ラズとEOプロダクツ創業者スーザン・グリフィン=ブラックが、3人のアーリーステージの起業家からの相談に乗るアドバイスライン形式。ス...
- [4:51] スーザン・グリフィン=ブラックとEOプロダクツの現在地 ガイはまずスーザンに、2019年の初登場以降のEOプロダクツの状況を尋ねる。スーザンはCOVID...
- 特に印象的なのは、それまで3万ドル程度の取引しかなかった包装会社に対して、COVID後の在庫過多で200万ドルの支払い義務が発生したエピソード。スーザンは直接CEOと...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
How I Built This with Guy Raz / Guy Raz | Wondery
- ルチ(Yobi)には、D2Cのリピート率40%を活かしつつ、シカゴ地域のスパや医療機関に集中する「半径150マイル戦略」を提案。無料の教育コンテンツ配信と定期購入モデルの強化も助言。
- ピーター(Culture Wine Co.)には、カリフォルニア卸売の80%リオーダー率を評価しつつ、ナッシュビルやチャールストンなど「意図的な食文化のある都市」に集中する戦略を推奨。白ワインシフトと再生農業の差別化も強調。
- ドミニク(Canedog Coffee)には、ブランドに「バルバドス体験」をより明確に反映させること、まずカリブ海諸島全体でコンセプトを証明すること、米国では地域密着型スーパーマーケットチェーンに狙いを定めることを提案。
- スーザンはCOVID-19でハンドサニタイザーの需要が10倍に急増した後50%急落し、初のレイオフを経験。包装会社との200万ドルの債務を、CEOとの直接交渉で2年間の約束手形にしてもらった人間関係の重要性を語る。
- スーザンと元夫ブラッドは離婚後も共同経営を継続。「結婚期間より長く離婚状態にあるが、家族としての関係は変わらない」という姿勢が、創業者間の対立解決のモデルケースとして示される。
- ガイは一貫して「ストーリーこそが最大の資産」と強調。医師として娘のために開発した製品、南アフリカワインの品質革命、バルバドスの島体験——これらをどう伝えるかが、チャネル戦略以上に本質的。
- スーザンの「過去の自分へのアドバイス」は「自分が何者かを理解し、最初の100マイルを全力で攻め、人間関係を築け」というもの。これは全3件の相談に通底する普遍的な教訓。
概要
本エピソードは、ホストのガイ・ラズとEOプロダクツ創業者スーザン・グリフィン=ブラックが、3人のアーリーステージの起業家からの相談に乗るアドバイスライン形式。スーザンは自身の25年にわたる起業経験——創業者同士の離婚後も事業を継続した決断、COVID-19による需要の10倍急増とその後の50%急落、初のレイオフ経験——を踏まえ、チャネル戦略、ブランディング、地域密着型の拡大方法について実践的な助言を提供する。会話は温かく、各起業家の個人的なストーリーに深く寄り添いながらも、具体的な数字と戦略に基づいた議論が展開される。
スーザン・グリフィン=ブラックとEOプロダクツの現在地
ガイはまずスーザンに、2019年の初登場以降のEOプロダクツの状況を尋ねる。スーザンはCOVID-19の衝撃を詳細に語る。2020年3月、アナハイムのナチュラルプロダクツエキスポに向かう途中で展示会が中止となり、姉から「全員すぐに帰宅すべき」と連絡があった。翌朝、ミルバレーの小売店にはハンドサニタイザーを求める人々がブロック一周の列を作った。需要は10倍に急増したが、その後50%急落。最も困難だったのは、25年の歴史で初めてのレイオフを余儀なくされたことだという。
特に印象的なのは、それまで3万ドル程度の取引しかなかった包装会社に対して、COVID後の在庫過多で200万ドルの支払い義務が発生したエピソード。スーザンは直接CEOと交渉し、2年間の約束手形での支払いを認めさせた。「関係性がすべてを救った」と彼女は振り返る。
ガイは2019年のエピソードで語られた、スーザンと元夫ブラッドの離婚後も共同で会社を経営し続けた決断に言及。「大人の決断」「賢く、困難だが正しい選択」と称賛する。スーザンは「事業はもう一人の子どものようなもの。最高の利益のために行動した」と説明し、「裏切りはなく、他の誰かが関与したわけでもない」と強調する。二人は結婚していた期間よりも長く離婚状態にあるが、今も家族としての関係を保っている。
第一の相談:プロバイオティクススキンケア「Yobi」のチャネル戦略
最初の相談者はシカゴ在住のルチ・グプタ医師。彼女は小児科医であり、ノースウェスタン大学とルーリー小児病院で湿疹と食物アレルギーを研究する教授でもある。自身の娘が重度の湿疹と乳痂(クレードルキャップ)に生まれつき悩まされ、ステロイドや化学物質を含む製品を使わざるを得なかった経験から、プロバイオティクスベースのスキンケアライン「Yobi」を開発。皮膚科医や微生物学者のチームと共に処方を確立し、娘の肌を改善した後、患者にも効果が確認されたため事業化に至った。
Yobiは現在5製品(頭皮マスク、シャンプー、コンディショナー、スキンクリーム、ボディオイル)を展開。自社ウェブサイトとAmazonで販売し、小規模スパや医療機関への販売も始めている。昨年の売上は33万ドルで、今年は倍増以上を目指す。ルチの質問は「D2C(直接販売)に集中すべきか、それともスパや診療所などのプロフェッショナルチャネルに分散すべきか」というもの。
スーザンはまず、ルチの製品に強い共感を示す。「自分の子どもたちが小さかったときにこの製品があればよかった」と述べ、ステロイド以外の選択肢の必要性を認める。スーザン自身はD2Cの専門家ではないと断りつつも、「流通を広げることはすべてD2Cに還元される。露出とアドボカシーとアクセシビリティが増える」と指摘する。
ガイはD2Cの顧客獲得コストが上昇し続けている現状を指摘。しかしルチのウェブサイト経由のリピート購入率が40%と高いことに注目し、「既存顧客基盤への投資は極めて重要」と助言する。同時に、製品の背後にあるストーリー——娘のために研究ラボで開発したという医師の物語——こそが最大の資産だと強調する。「あなたの写真をパッケージに載せるべき。あなたが売っているのは信頼であり、製品だけではない」と述べる。
スーザンは地域密着型のアプローチを提案。「シカゴから半径150マイルから始め、そこから波紋のように広げる」という戦略だ。具体的には、シカゴ地域のすべてのサロン、スパ、メディスパ、ヘッドスパに直接アプローチすることを勧める。また、高級志向の独立系小売店(マーズ・アポセカリー、ジトマーズ、エレホンなど)との連携も提案。これらの店は長年顧客に真摯に向き合ってきた実績があり、口コミと良質な人脈が自然に広がっていくという。
ガイはさらに、ブログ記事を月次ニュースレターとして配信し、無料で価値ある情報を提供し続けること、QRコードの活用、定期購入の促進、3ヶ月未購入者へのリマインダー送信などを具体的にアドバイスする。「無料で役立つ情報を提供し、見返りを求めない。これがこの番組の秘訣だ」とガイは語る。
第二の相談:南アフリカワイン「Culture Wine Co.」のカテゴリー創造
第二の相談者はサンフランシスコ在住のピーター・アンドリュース。彼は「Culture Wine Co.」の創業者で、オーガニック農法と最小限の介入で造られる南アフリカのニューウェーブワインのみを輸入・販売している。ピーターは元シェフで、イタリアでワイン造りを経験し、高級ワイン小売店で年間5000万ドル規模の事業のエグゼクティブリーダーも務めた経歴を持つ。
2023年に創業したCulture Wine Co.は、D2Cウェブサイト(44州に発送可能)、カリフォルニアでの直接卸売、そしてテネシー・ジョージア・ワシントン州での販売代理店経由の3チャネルを展開。昨年は60%増、今年は150%増と急成長中。ミレニアル世代とZ世代をターゲットに、体験型マーケティングとコミュニティ形成に注力しており、シェナンブランに特化したワイン祭「Hela Shannon」も主催している。
ピーターの質問は「卸売とD2Cの間で時間とリソースをどう配分すべきか。同時に南アフリカワイン全体への需要をどう高めるか」というもの。
スーザンはまず、南アフリカワインの「aha moment」を尋ねる。ピーターは「南アフリカは新世界最古のワイン産地で、約400年の歴史がある。しかし最高品質のワインが造られるようになったのは、アパルトヘイト終了後の過去30年だけ」と説明。これまで米国市場では低価格帯のワインとして認識されてきたが、現在は有機農法の小規模家族経営ワイナリーが世界クラスのワインを生産しているという。「ミシュランレストランや優れたワインリストに載る価値がある」と強調する。
ガイは、カリフォルニアの直接卸売チャネルで80%のリオーダー率を達成している点に注目。「これは驚異的だ」と評価する。現在の売上構成は、カリフォルニア直接卸売が70%、D2Cが15%、その他が15%。ピーターは「D2Cにはまだ広告費を一切使っていない。卸売の活動が自然にD2Cを育てている」と説明する。
関税問題についてピーターは、2025年に30%だった関税が10%に引き下げられたが、ドル安と燃料費上昇で実質的に元の水準に戻っていると説明。ブルゴーニュやシャンパーニュと違い、南アフリカワインには価格転嫁の余地が少なく、マージン圧力が深刻な課題だと語る。
ガイは戦略的な市場選択を提案。ニューヨークやサンフランシスコだけでなく、ナッシュビル、オースティン、シカゴ、チャールストンなど「食とワインに関する意図的な会話が行われている都市」に集中すべきだと助言。ピーターはこれに強く同意し、「これまで南アフリカのプレミアムワインは少数の生産者が多すぎる州に分散され、消費者に認知されなかった」と反省。テネシー州の販売代理店と組んで3日間で100ケースを売った成功例を挙げ、「少数の州に集中し、販売チームやソムリエを直接トレーニングする」戦略を共有する。
スーザンは白ワインへのシフトという業界トレンドに注目。南アフリカは世界のシェナンブランの60%を生産しており、この品種に特化した戦略は時流に合っていると評価する。さらに「再生農業(リジェネラティブ)」をラベルや顧客との会話で強調することを提案。「オーガニックを超える差別化要因になる」と指摘する。
第三の相談:バルバドス発スペシャルティコーヒー「Canedog Coffee」の国際展開
第三の相談者はバルバドス在住のドミニク・ウィンダム=ギデンズ。彼は妻マンディと共に25年間、スペシャルティコーヒー焙煎業「Wyndham's Bajan Coffee Roasters」と「Canedog Coffee」を経営している。バルバドス生まれ育ちのドミニクは22歳で事業を始め、現在は年間売上200万ドル(米ドル)、年平均10%の有機的成長を達成。バルバドス国内ではホテル・レストラン・カフェ(Horeca)が80%、スーパーマーケットや土産物店などにも展開している。英国で25の賞を受賞し、米国・英国・カナダへのD2C販売も行っている。
ドミニクの質問は「島国に拠点を置くため、すべてのコストが3倍かかる。どのようにして国際的にスケールすべきか」というもの。
ガイはまずブランディングの問題を指摘。「Canedogという名前はバルバドスを何も語っていない。カリブ海のホスピタリティ、温かさ、音楽、文化、陽光——これらがブランドに反映されていない」と述べる。具体例として、ミシガン州在住の創業者がハワイのブティックで日焼け止めを売り出したSun Bumの事例を紹介。高級旅行者がハワイで体験した商品を帰宅後も購入できる仕組みを作った戦略だ。「人々はバカンスの体験を自宅で再現したい。あなたのコーヒーは『島の体験』を売るべきだ」と助言する。
スーザンもこれに同意し、「誰もがTシャツやマグカップを欲しがる。あのアートワーク、あのブランディング——それが本物で、旅の思い出を運ぶ」と述べる。しかしドミニクは、Canedogという名前がトレードショーで非常に好評だったと反論。「なぜか人々に響く」と語る。
ガイはさらに、まずカリブ海諸島全体でブランドを確立することを提案。マルティニーク、セントビンセント、グアドループ、モントセラト、英領ヴァージン諸島などに展開し、コンセプトを証明すべきだと助言する。しかしドミニクは、貿易協定の問題で隣の島に30分で届くはずの商品が、米国や欧州に送るよりも高くつくという現実を明かす。
ガイは最終的に、地域密着型のスーパーマーケットチェーン(例:テキサスのHEB)に狙いを定める戦略を提案。「2週間の米国出張を計画し、片っ端からバイヤーに売り込め。コーヒーを飲ませて、『これはあなたの人生を変える』と言え」とアドバイスする。また、既存のホテル顧客を活用し、「あなたの米国のホテルに私を派遣してコーヒーを売らせてほしい」と提案するアイデアも示す。
スーザンから過去の自分へのメッセージ
エピソードの締めくくりとして、ガイはスーザンに「もし過去の自分に一言言えるとしたら、何を伝えるか」と質問する。
スーザンは「自分がどんな人間で、何が大切かを本当に理解することが、あらゆる選択を形作る」と答える。そして「地元から始め、知っている人々と深く関わること。最初の100マイルを全力で攻め、そこで学び、そこから学ぶ人々と関係を築くこと。それが狂ったようにあちこちの市場を追いかけるよりずっと良い基盤になる。なぜなら、市場はいつでもそこにあるから。そして何より、人間関係がすべてを決める」と語る。
まとめ
このエピソードが最も印象的に伝えるのは、「地元から始め、人間関係を基盤に築く」という一貫したメッセージだ。スーザン自身がCOVID危機を乗り越えられたのも、包装会社のCEOとの信頼関係があったからこそ。ルチには「シカゴから半径150マイル」、ピーターには「ナッシュビルやチャールストンなどの戦略的都市」、ドミニクには「まずカリブ海諸島全体」——すべてのアドバイスに共通するのは、焦って広げるのではなく、確実に根を張ることの重要性だ。また、各創業者の「ストーリー」が最大の資産であるという指摘も印象的。医師として娘のために開発した製品、南アフリカのワイン文化の変革、バルバドスの島体験——これらをどう伝えるかが、チャネル戦略以上に本質的な問いとして浮かび上がる。
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