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Cloudbase Mayhem Podcast · 2026年8月30日

#279 ベンジャミン・ケレットとの究極の飛行渡り

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • 究極の渡り鳥——ベンジャミン・ケレットの年間マイグレーションと冒険飛行の美学 ニュージーランド出身の冒険家・映像作家ベンジャミン・ケレットが、3年ぶりにCloudba...
  • [5:19] 年間マイグレーション——ニュージーランド、ヒマラヤ、ヨーロッパを巡る生活 ケレットは現在、タンデム飛行を生業としながら、年間を通じて世界を移動する生活を...
  • この移動パターンには、ブレグジットによる制約が影響している。イギリス国籍のケレットは、シェンゲン圏内に滞在できる日数に制限があるため、ヨーロッパのシーズン中にパキスタ...
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出典Podcast

Cloudbase Mayhem Podcast / Gavin McClurg

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究極の渡り鳥——ベンジャミン・ケレットの年間マイグレーションと冒険飛行の美学

ニュージーランド出身の冒険家・映像作家ベンジャミン・ケレットが、3年ぶりにCloudbase Mayhem Podcastに帰ってきた。ホストのギャビン・マクラーグとの対談は、彼の独特な「年間渡り鳥生活」——ニュージーランドの夏、ヒマラヤの春と秋、そしてスイスの夏というサイクル——を軸に、高高度飛行の過酷さ、機材選びの哲学、タンデム飛行のビジネス、そして「記録よりも体験」という彼の飛行観を深く掘り下げていく。ケレットは数字や記録を追わず、その日の最高にクールなことをやるという姿勢を貫く。このエピソードは、冒険飛行の本質と、それを生業としながら情熱を保ち続ける方法についての、示唆に富んだ会話となっている。

5:19年間マイグレーション——ニュージーランド、ヒマラヤ、ヨーロッパを巡る生活

ケレットは現在、タンデム飛行を生業としながら、年間を通じて世界を移動する生活を送っている。彼の基本的なスケジュールは、ニュージーランドの夏(南半球の夏)にクイーンズタウンでタンデム飛行を行い、春になると北インドのヒマラヤで約1ヶ月間のソロ飛行を楽しむ。その後ヨーロッパに渡り、スイスのラウターブルンネン(インターラーケン南方)で夏のタンデムシーズンを過ごす。秋には再びヒマラヤに戻り、そしてニュージーランドへ帰るというサイクルだ。

この移動パターンには、ブレグジットによる制約が影響している。イギリス国籍のケレットは、シェンゲン圏内に滞在できる日数に制限があるため、ヨーロッパのシーズン中にパキスタンやカナダへの遠征を挟むことで、滞在日数を調整しているという。パキスタンではカラコルム山脈でのビバーク飛行を、カナダではボルビブ(vol bivouac=山でのビバークを伴う飛行)を行った。

ギャビンが「外から見ると魔法のように聞こえる」と感想を述べると、ケレットはタンデムと個人飛行のバランスについて率直に語った。スイスでは、ユングフラウやアイガー、メンヒといった名峰のそばで飛行するため、適切な客と出会い、良いクロスカントリーの日であれば、4,000メートルまで上昇して氷河の上を飛ぶこともできる。そのため、個人飛行への「FOMO」(取り残される恐怖)は比較的抑えられるという。しかしニュージーランドでは事情が異なる。故郷の空は「心に近すぎる」ため、良いクロスカントリーの日には自分自身のバックカントリー飛行をしたいという欲求が強くなる。幸い、ニュージーランドの職場では直前の休みの申請が可能で、良い天気が予想される日にはソロ飛行に出かける自由度があるという。

9:58動機の変化——記録より体験、数字より美学

ケレットの飛行哲学は、近年明確に変化している。彼は「誰しも動機の波がある」と語り、自分自身に「何をしたいのか、何が目標なのか」と問いかけることがあるという。その答えとして彼が辿り着いたのは、明確な距離目標や数字を設定しないことだ。「300キロを飛ばなければならない」といった強迫観念は持たず、むしろ探検と、世界をユニークな方法で見ることに重点を置いている。

彼は「私は199キロや299キロで終わるのが得意なんだ」と自嘲気味に語り、大記録にあと一歩届かないことが多いと認めつつも、それを気にしていない様子だ。重要なのは「進歩している感覚」であり、前年より少し遠くへ飛べたり、少し大きなフライトができたりすることでモチベーションを維持している。しかし、それは「何が何でも」という姿勢ではない。「その日のために最高にクールなことをやる」というのが彼の信条だ。

この姿勢は、彼の映像制作にも反映されている。以前は複数のカメラを体に装着し、すべての瞬間を撮影しようとしていたが、それが飛行体験そのものを損なうことに気づいたという。「何をやっているんだ? 楽しみのためにやっているのに」と自問し、機材を大幅に簡素化した。現在はヘッドカム(ヘルメットに取り付けたGoPro)と、必要な時だけ使うセルフィースティックという最小限の構成だ。360度カメラやログ撮影、NDフィルターなど、美しい映像を生み出す高度な機材もあるが、それらは制作に膨大な労力がかかるため、シンプルさを優先している。

オーディオについては、前回の出演時からほとんど変わっていないという。GoProにマイクアダプターを介して有線のラペルマイクを接続し、ヘルメットの内側から顎の横に配置するというシンプルな構成だ。デッドキャット(風防)を装着し、映像と音声を別々に記録するのではなく、すべてGoProに統合している。この方式は95%の確率で機能するが、たまにマイクやアダプターが故障することもあるという。

17:08カラコルムの過酷さ——高高度飛行の現実

ケレットはこれまでに2回、パキスタンのカラコルム山脈を訪れている。彼はこの場所を「特別な世界」と表現し、そのスケールの大きさと山々の規模に圧倒されたと語る。「6,000〜7,000メートルで一日中飛んでいると、どの方向にも追い風があるように感じる」という彼の言葉は、この地域の飛行が他の場所とは根本的に異なることを示している。

この地域では、アントワーヌ・ジラール(Antoine Girard)が400キロの三角形フライトを達成しており、ケレットは「あれは世界記録だ」と敬意を表する。しかし、その記録を破ろうとするなら、パキスタンに行くしかないと彼は断言する。タジキスタンなど他の国でも可能性はあるかもしれないが、カラコルムの空は特別だという。

高高度飛行の課題は多岐にわたる。まず、酸素システムの問題がある。ケレットは「酸素システムは11時間のフライトには信頼性が不十分だ」と指摘する。複数のタンクが必要になるが、もし予期せぬ場所に着陸した場合、それらのタンクを運び出さなければならない。ビバーク飛行には酸素は「負担」でしかないため、彼は現地で順応(アクリマタイゼーション)することの重要性を強調する。アントワーヌとその仲間は2週間かけて、4,000メートルでの着陸と睡眠、降下、再上昇を繰り返し、体を高高度に慣らしていたという。

さらに、気温差の問題がある。離陸時は3,000メートルで暑く、飛行中に7,000メートルまで上昇すると気温はマイナス15度になることもある。つまり30度もの温度差を経験することになる。また、カラコルムでは対流圏界面(トロポポーズ)に近いため、雷雲の発達が非常に速い。雨雲が発生すると、谷を激しく吹き抜けるという。ケレットは「すべてが極端だ」と語る。

22:32救助の現実と安全マージン

カラコルムでの飛行における最大の懸念事項の一つが、救助体制の欠如だ。ケレットは「Rega(スイスの航空救助隊)はパキスタンにはいない」と率直に述べる。軍用ヘリコプターによる救助は可能だが、最低でも24時間はかかり、着陸場所も整地された場所が必要だ。ウィンチでの吊り上げ救助はできないため、崖の側面などに着陸してしまった場合、担架で運び出すしかない。つまり、救助を呼ぶ場合でも、ヘリが着陸できる場所まで移動し、岩をどかして着陸スペースを確保する必要がある。

このような状況を踏まえ、ケレットは初めてパキスタンを訪れた際、安全マージンを大幅に拡大したという。「自分のホームサイトではもう少し攻められるが、パキスタンでは理解できないことがあれば、すぐに着陸して翌日に備える」というのが彼のアプローチだ。彼は「間違った方向に10回間違える方がいい。間違った方向に1回間違えるよりは」と語り、保守的な判断を繰り返すことを選んだ。

また、高高度からの降下には時間がかかるという問題もある。7,000メートルから谷底の4,000メートルまで降下するには、5,000メートルもの高度差を処理しなければならない。スパイラルで一気に降下することは現実的ではなく、事前に十分な計画と余裕を持った行動が必要だ。ケレットは「緑のベルト」と呼ぶ、4,000メートル付近の放牧地帯が着陸可能な場所だが、すべての場所が着陸可能というわけではない。雪に覆われた尖峰や崖が多く、着陸可能な場所は限られている。

27:54酸素システムの実践的知識

酸素の入手方法について、ケレットは現地の溶接工場を利用していると語る。フンザにはいくつかの酸素システムが存在し、場合によっては借りることもできるが、基本的には自分のシステムを持ち込むのが確実だ。溶接工場には充填用のアタッチメントが揃っているが、ボトルの種類によって充填量が異なり、時には半分しか充填できないこともある。その場合、使用可能時間は約5時間に短縮される。

ケレットのシステムは「オンデマンドパルス」方式で、自動的に高度約3,000メートル(10,000フィート)で酸素供給が始まる。しかし、彼は離陸時にはすでにその高度に順応しているため、カニューラ(鼻に装着する酸素チューブ)を外して飛行し、5,500メートル程度まで上昇した時点で再び装着するという方法を取っている。体調に異変を感じたら、その時点で酸素を吸入するという実用的なアプローチだ。

ギャビンは自身のシステムについて、レギュレーターがボトルに直結しており、ハーネスの背面にボトルを収納するため、飛行中に調整ができないと述べる。一方、ケレットはコントロールボックスをコックピットの近くに配置できるシステムを推奨し、スイッチ一つでオンオフできる利便性を強調した。また、最近は2タンクシステムを導入するパイロットも増えているが、ハイキング時には「扱いにくくて仕方がない」と語る。

ケレットの酸素に関するアドバイスは明確だ。「初めて酸素を使うなら、すべてが完璧に機能するとは期待するな」。酸素システムはパイロットチューブ(飲料用チューブ)と同じく、練習が必要な機材だという。彼は「常に何かが起こる」と語り、高高度での手袋を外しての操作の難しさや、寒さの中での細かい作業の困難さを指摘した。

31:46カナダでの「キャラクター形成」と今後の展望

エピソードの後半は、カナダでの遠征についての話題に移るが、残念ながらこの部分は購読者向けのコンテンツとして切り離されている。ギャビンは「キャラクター形成」という言葉でカナダ遠征を表現し、ケレットの冒険が単なる飛行ではなく、困難を伴う自己成長の機会であることを示唆している。

ケレットは「空中観光客」という自己定義を繰り返し述べており、世界初の記録や偉業を目指すのではなく、氷河のそばを飛び、美しい景観を楽しむことを目的としている。この姿勢は、彼の映像作品にも一貫して表れており、多くの視聴者が彼の「美学の追求」に惹かれる理由となっている。

ギャビンはケレットについて「彼のアプローチで最も好きなのは、冒険と美学に焦点を当て、数字や記録には一切関心がないことだ」と語る。ケレットは大きなフライトもするが、XContest(オンラインのフライト記録共有プラットフォーム)での順位を競うことが目的ではない。「その日に利用可能な最高にクールなことをやる」というのが彼のモットーだ。

まとめ

このエピソードの核心は、冒険飛行における「記録」と「体験」の対立軸にある。ベンジャミン・ケレットは、世界最高峰の山々での飛行という過酷な環境に身を置きながらも、数字や記録に固執しないという逆説的な哲学を持っている。彼の年間マイグレーションは、単なる移動のサイクルではなく、タンデム飛行という生業と、個人の冒険への情熱を両立させるための巧妙なデザインだ。

カラコルムでの飛行に関する詳細な解説は、この地域の飛行がなぜ特別で、なぜ危険なのかを明確に示している。酸素システムの実践的な扱い方、順応の重要性、救助体制の限界、そして安全マージンの取り方——これらはすべて、高高度でのビバーク飛行を志す者にとって貴重な知識だ。

しかし、このエピソードが特に印象的なのは、ケレットの「空中観光客」という自己認識と、それを恥じることなく表明する姿勢だ。彼は「私はここで何かを証明しに来たわけではない」と語り、理解できない状況に直面したら迷わず着陸するという判断基準を持っている。この謙虚さと慎重さが、彼を何年にもわたって冒険飛行の世界で活躍させている原動力なのだろう。

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