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Cloudbase Mayhem Podcast · 2026年7月23日

#277 空の支配者、チャンドラー・パパスと共に

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • 空を極める:チャンドラー・パパスが語るパラグライダー指導の哲学と安全な飛翔 パラグライダーは単なるアドレナリンを求めるスポーツではなく、自然との対話、自己判断の連続、...
  • [0:00] パラグライダーとの出会いと伝説のインストラクターたち チャンドラー・パパスがパラグライダーと出会ったのは、9歳か10歳の頃。父親のケータリング事業のイベ...
  • 32歳の頃、彼はグライダー(滑空機)のレッスンを受け始める。その最中、教官がサーマル(上昇気流)の説明をしていると、窓の外にパラモーター(動力付きパラグライダー)が現...
こんな人向け

自分では見つけにくい海外Podcastの話題に、日本語で気軽に触れたい人。

出典Podcast

Cloudbase Mayhem Podcast / Gavin McClurg

要点
  1. チャンドラー・パパスはデイブ・プレンティス(クエルボ)、ディクソン・ホワイト、スティーブ・メイヤー、クリス・サンタ・クローチェなど、複数の伝説的インストラクターから学んだ経験を持ち、その経験から「複数の指導者から学ぶことの価値」を強く信じている
  2. 良い指導者を選ぶには、電話でのリサーチ、現場見学、既存の生徒との対話を通じて「十分な情報を得た上で決断」することが重要であり、急かす学校は避けるべき
  3. パラグライダーのリスクは「判断力」「質の高い指導と継続教育」「適切な装備」の三要素で管理でき、事故の95〜98%はこれらのどれかが欠けている
  4. 「安全は二の次」という逆説的なフレーズは、安全だけを前面に出すと感謝の気持ちが失われ、結果的に判断力を鈍らせるという意味
  5. 4つのログブック(オンライン記録、行動記録、成功記録、改善点)をつけることで、自分の現在地を正確に把握し、無理な判断を防ぐことができる
  6. 感謝の気持ちを持って飛行に臨むことで、ego(自我)や競争心による無理な判断が減り、結果的に安全で長距離の飛行が可能になる
  7. 恐怖と直感を区別し、空中では「恐怖に意味はない」と割り切ってフロー状態に戻る技術が、安全な飛行には不可欠
  8. 「速くなる前に上手くなれ」——焦らず、旅路を味わい、コミュニティの「群れの真ん中」にいることが、長く安全に飛び続ける秘訣
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他のエピソード

空を極める:チャンドラー・パパスが語るパラグライダー指導の哲学と安全な飛翔

パラグライダーは単なるアドレナリンを求めるスポーツではなく、自然との対話、自己判断の連続、そして感謝の気持ちを持って臨むべき人生そのものの縮図である——。Cloudbase Mayhem Podcastのホスト、ギャビン・マクラーグが、アリゾナ州とオレゴン州で長年指導者として活動するチャンドラー・パパスを迎えた今回のエピソードは、初心者からベテランまで全てのパイロットに響く、深く実践的な内容となっている。パパスは自身がデイブ・プレンティス(通称クエルボ)、ディクソン・ホワイト、クリス・サンタ・クローチェといった伝説的インストラクターたちから学んだ経験を基に、「良い指導者の見つけ方」「判断力の養い方」「感謝の心が安全な飛行につながる理由」を、具体的なエピソードと共に語っている。終始リラックスした雰囲気ながら、その言葉の一つ一つには長年の現場経験と真摯な指導者としての哲学が込められている。

0:00パラグライダーとの出会いと伝説のインストラクターたち

チャンドラー・パパスがパラグライダーと出会ったのは、9歳か10歳の頃。父親のケータリング事業のイベントで、着陸してくるハンググライダーを目にした瞬間、「あれをやる」と宣言したという。父親はゴルフやテニスを勧めたが、彼はBMXやスケートボードにのめり込み、しばらく夢は忘れ去られていた。

32歳の頃、彼はグライダー(滑空機)のレッスンを受け始める。その最中、教官がサーマル(上昇気流)の説明をしていると、窓の外にパラモーター(動力付きパラグライダー)が現れた。「あれは何だ?」と尋ねると、「パラグライダーだ」と答えが返ってきた。「動力がないやつは飛べないんだろ?」と食い下がると、教官は「いや、山から飛び降りて、サーマルで上昇するんだ」と説明。その瞬間、彼の心は完全にパラグライダーに奪われ、それ以降グライダーのレッスンには二度と通わなかった。

運命的な偶然が重なる。当時の彼女が「友達の彼氏がパラグライダーをやっている」と紹介してくれた相手こそ、デイブ・プレンティス、通称「クエルボ」だった。パパスはクエルボの下で訓練を始めるが、クエルボがすぐにオーストラリアのワールドチームに帯同して去ってしまう。「待っていられない」と思ったパパスは、アリゾナ州フラッグスタッフの「クレーターズ」と呼ばれる有名なフライトサイトへ向かう。そこで出会ったのがディクソン・ホワイトだ。

しかし、ここで問題が起きる。クエルボとディクソンの間には確執があり、周囲から「クエルボに習ったとは言うな」と忠告されていたのだ。パパスはそれを隠してディクソンの指導を受けるが、偶然クエルボの知り合いが「クエルボと一緒なのか?」と声をかけたことで嘘が発覚。ディクソンは「お前、誰にも習ってないって言ったな?」と問い詰めたが、その後は「まあいい、一緒にやろう」と指導を続けてくれたという。

さらに運命は皮肉な展開を見せる。パパスがP2(初級ライセンス)の認定を待っている最中、ディクソンは心臓発作で急逝してしまう。葬儀の場で他のインストラクターに認定を頼むタイミングを逃したパパスは、ユタ州ソルトレイクシティのCloud9に電話をかけ、「もうP2のスキルはあるので、サインだけしてほしい」と率直に伝える。電話に出たスティーブ・メイヤーは当然ながら「そんなことはできない。ここに来てプログラムをやり直せ」と答えた。

結果的に、パパスはクエルボ、ディクソン、スティーブ・メイヤー、そしてポイント・オブ・ザ・マウンテンで出会ったクリス・サンタ・クローチェなど、5人から6人の世界クラスのインストラクターから学ぶことになった。「当時は余計な費用と時間がかかって不満だったけれど、今振り返ると最高の出来事だった」とパパスは振り返る。彼はこの経験から、「異なるインストラクターから学ぶことの価値」を強く信じるようになった。

12:30良い指導者・学校の選び方

パパスは「全てのインストラクターが全ての生徒に合うわけではない」と断言する。特にアメリカでは、学校までの移動に大きな負担がかかるため、選択肢が限られている。彼が重視するのは「十分な情報を得た上での決断(fully informed)」だ。

具体的には、以下のステップを推奨している: - 電話で徹底的にリサーチし、複数の学校と話をする - 実際に訓練現場を訪れ、指導の様子を見学する - すでにその学校で学んだ生徒たちと話をする - 契約やデポジットを急かされないか確認する

パパス自身は入門コースの最初の段階で、生徒に「このスポーツにかかる本当のコスト」を包み隠さず伝える。ウイングやハーネスだけでなく、フックナイフ、無線機、コンサーティーナ(ウイング収納用の折り畳み具)、会費など、初期費用がかさむことを明確に説明する。「私はひどいセールスマンだと言われる」と笑うが、この正直さが結果的に「最後までやり遂げる生徒の割合を高めている」という。

また、パパスはハワイでサーフィンを学んだ経験から、ある女性インストラクターの教え方を引用する。彼女は最初のレッスンで「30分間、ただ海を眺めて、何が見えるか教えてくれ」と言った。波の大きさ、風向き、サーファーたちのパドルアウトの位置——それらを観察させた後、彼女は「波のタイミング」「風のライン」「エチケット」を教えた。「彼女は『教える』のではなく、『学ぶための雰囲気を作り出していた』」とパパスは語る。アインシュタインも「私たちは教えるのではなく、学ぶための雰囲気を作り出すのだ」と言ったという。

パパスはこの哲学をパラグライダー指導に応用している。「もし私のスタイルが合わないなら、他の学校を紹介する。それでいい。大事なのは、自分に合った指導者を見つけることだ」と語る。

29:35リスクの伝え方と「安全は二の次」の真意

パラグライダーは危険なスポーツだ。しかし、インストラクターは「死ぬかもしれない」と最初から強調しすぎると、生徒を怖がらせてしまう。一方で、リスクを軽視すれば、生徒が後で「こんなに危険だとは知らなかった」と後悔する。このジレンマに、パパスはどう向き合っているのか。

彼は「パラグライダーは安全か?」という質問に対して、三つの要素を挙げる:

1. 判断力(Judgment):天候とサイトを読み、自分の限界を知る力 2. 質の高い指導と継続教育:独学では身につかない、直感に反するスキルがある 3. 適切な装備:最新で整備されたギアを使い、細部まで把握する

「事故報告の95〜98%は、この三つのうちのどれかが欠けていた」とパパスは指摘する。そして「安全は二の次(Safety Second)」という一見逆説的なフレーズを紹介する。これは「安全を軽視していい」という意味ではない。むしろ、安全だけを前面に出しすぎると、パラグライダーの本質的な喜びや感謝の気持ちが失われ、結果的に判断力を鈍らせるという逆説だ。

「なぜパラグライダーをするのか?」と自問した時、答えは「人生を最大限に生きたいから」だ。その根源にあるのは「感謝(gratitude)」の気持ち。パパスは、感謝の心を持って臨むほど、無理な判断をしなくなり、結果的に安全な飛行ができると主張する。

36:04「安い失敗」と判断力の育て方

「判断力はどうやって身につけるのか?失敗せずに学ぶ方法はあるのか?」というギャビンの問いに対し、パパスは「安い失敗(cheap mistakes)」の重要性を認めつつ、より体系的なアプローチを提案する。

彼が推奨するのは「4つのログブック」だ: 1. オンラインログブック:飛行記録をデジタルで管理(Google Earth連携など) 2. 「やったこと」のログ:その日の飛行で何をしたか 3. 「うまくいったこと」のログ:今日の良かった点 4. 「次に改善したいこと」のログ:次回の目標

「自分が今どこにいるのかを正確に把握しているパイロットは、無理な挑戦をしなくなる」とパパスは言う。また、グラウンドハンドリング(地上でのウイング操作練習)の重要性を強調し、「飛行時間に対するカイト(凧揚げ練習)の割合」を意識するよう促す。「40時間飛んでいて、カイトの時間がその4%しかないなら、もっと増やそう」という具体的な指標を示す。

さらに、「群れの真ん中にいること(being in the middle of the flock)」の重要性を説く。経験豊富なパイロットたちに囲まれることで、「今日はちょっと早く来すぎたんじゃないか?」といったフィードバックが自然と得られる。コミュニティこそが最大の安全装置だとパパスは考える。

46:20感謝の心がもたらす判断力の向上

パパスは、Skywalkのアーミッシュ(ドイツの平坦地帯のエキスパート)から学んだエピソードを紹介する。アーミッシュはいつも一番最初に飛び立つため、しばしば「爆撃(bomb out:すぐに降りてしまう)」する。ギャビンが「それで落ち込まないのか?」と尋ねると、アーミッシュは「なぜ落ち込む必要がある?飛んだし、安全に着陸した。祝うべきことだ」と答えたという。

この考え方にパパスは強く共感する。彼自身、ヒケアンドフライ(登山+飛行)のレースを主催しており、「歩いて下山することも祝うべきだ」と語る。両膝に軟骨がなく、9回の手術歴がある彼にとって、歩くことは痛みを伴うが、「飛べたこと、無事に帰れたこと」に感謝する姿勢が、結果的に無理な判断を防ぐという。

パパスは自身のフライトデッキに、笑顔のステッカーや家族・パートナー・犬の写真を貼っている。これは、トーイング競技中に友人デイブが妻と子どもの写真をデッキに貼っていたのを見て「それだ!」とひらめいたアイデアだ。「イライラし始めたら、それを見て『俺は今パラグライダーをしている。これほど素晴らしいことはない』と自分に言い聞かせる」という。

「感謝の気持ちを持てば持つほど、無理な判断をしなくなる。結果として、より遠くへ、より安全に飛べるようになる」——これがパパスの核心的なメッセージだ。

59:36フロー状態と「恐怖 vs 直感」の見分け方

パパスは「フロー状態(flow state)」に入ることの重要性を強調する。しかし、そのためには「恐怖(fear)」と「直感(intuition)」を区別する必要がある。

「恐怖は時に正当なシグナルだが、多くの場合、単に『慣れていない』というだけの理由で発生する」とパパスは言う。彼は生徒に「今日の調子は1から10で?」と尋ねる。9と答えた生徒には「なぜ10じゃない?」と問いかけ、装備も天候も準備も整っているなら「10だ」と言い切らせる。この「肯定の決断(affirm decision)」が、フロー状態への入り口になる。

一方で、「直感」は無視してはいけない。パパス自身、最近「3番目にひどい着陸」を経験した。その日は仲間とのチームフライトに興奮しすぎて、無意識に「いつもより強気な判断」をしてしまったという。「あの時、感謝の気持ちを失っていた。『もっと獲ってやろう』という欲が出て、冷静さを欠いた」と反省する。

彼が実践するのは「シンプルに考えること」だ。「空中にいる以上、恐怖に意味はない。恐怖を感じたら、それが直感かどうかを冷静に判断する。直感なら着陸を選ぶ。ただの恐怖なら、『これがやりたかったんだ』と言い聞かせて、フロー状態に戻る」。この切り替えは「電球のスイッチを入れるくらい簡単」だとパパスは言う。

1:08:1350時間目の自分へのアドバイス

エピソードの終盤、ギャビンは「もし今の自分が、50時間目の自分にアドバイスできるとしたら、何を言うか?」という定番の質問を投げかける。

パパスの答えは明確だった:「もっと感謝の気持ちを持ち、旅路を味わえ。そして、そんなに焦るな」。

彼は振り返る。初期の頃、ego(自我)が大きく、「誰よりも遠くへ飛びたい」という競争心から無理を重ねた。リザーブパラシュートを実際に投げた経験も「ただの傲慢さ」が原因だったという。地元クラブの政治的な揉め事に腹を立てたまま飛び立ち、スピードバーを引きすぎて危うい状況に陥ったこともある。「私生活でうまくいかないことがあると、『飛んでスッキリしよう』と思った。でも、パラグライダーはそんなスポーツじゃない。全ての精神を集中させなければならない」。

「スキーなら、考え事をしながらでも滑れる。でもパラグライダーは違う。航空機を操縦しているんだ。100%の集中が必要だ」とパパスは強調する。「速くなる前に、まず上手くなれ(get good before you get fast)」——これが彼の信念だ。

まとめ

今回のエピソードは、単なる「パラグライダー入門講座」ではない。チャンドラー・パパスが語るのは、技術論を超えた「人生哲学としてのフライト」だ。彼の指導の根幹にあるのは「感謝の気持ち」であり、それが判断力を研ぎ澄まし、結果的に安全で充実した飛行を可能にするという逆説的な真理である。伝説的インストラクターたちから受け継いだ情熱と、自らの失敗から学んだ謙虚さが、彼の言葉に重みを与えている。初心者にとっては「良い指導者とは何か」を考えるきっかけとなり、ベテランにとっても「なぜ飛ぶのか」という原点に立ち返る貴重な機会となるだろう。

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