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Cloudbase Mayhem Podcast · 2026年5月11日

#266 Serena Ronchi and the Comeback

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この記事でわかること
  • 空への帰還:セリーナ・ロンキが語る、墜落事故からの回復と恐怖との闘い パラグライダー競技の頂点に立ったスイス人パイロット、セリーナ・ロンキ。2021年に起きた深刻な墜落事...
  • [0:00] 事故の瞬間——「完璧な日」が一瞬で地獄に変わる 2021年、セリーナはアルプスでのビバークツアーの最終日を迎えていた。友人と4日間飛び、最後は一人で帰路につ...
  • ところが、木々が異常な速さで揺れ始めた。「風がないのに、何だこれは?」と彼女は思った。高度は地上約50メートル。サーマルだろうと判断し、そのまま進入を続けた瞬間、翼が大き...
こんな人向け

自分では見つけにくい海外Podcastの話題に、日本語で気軽に触れたい人。

出典Podcast

Cloudbase Mayhem Podcast / Gavin McClurg

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空への帰還:セリーナ・ロンキが語る、墜落事故からの回復と恐怖との闘い

パラグライダー競技の頂点に立ったスイス人パイロット、セリーナ・ロンキ。2021年に起きた深刻な墜落事故で背骨と脚を骨折し、神経損傷により歩行すら困難になった彼女が、5年後には再びXCコンテストのスポーツクラスで総合3位、女子1位に返り咲いた。このエピソードは、ホストのギャビン・マクラーグがセリーナと交わした、事故の詳細、リハビリの過酷さ、そして何よりも「恐怖」という目に見えない敵との長い闘いを描く。彼女の語り口は驚くほど率直で、時に涙を交えながらも、飛ぶことへの尽きない愛情に満ちている。単なるカムバック物語ではなく、心身の限界と向き合い、自分自身の弱さを受け入れることの大切さを教えてくれる、深く人間味あふれる会話だ。

0:00事故の瞬間——「完璧な日」が一瞬で地獄に変わる

2021年、セリーナはアルプスでのビバークツアーの最終日を迎えていた。友人と4日間飛び、最後は一人で帰路につく予定だった。その日は「リスクが10段階の1」という、まったくの無風で暑い日。彼女は着陸のために美しい谷へアプローチを始めた。風速はわずか時速10キロ。広い草地が見え、安全に降りられると思った。

ところが、木々が異常な速さで揺れ始めた。「風がないのに、何だこれは?」と彼女は思った。高度は地上約50メートル。サーマルだろうと判断し、そのまま進入を続けた瞬間、翼が大きく崩壊した。彼女は意識を失い、次に気づいたときには両脚を骨折し、背中に激痛が走っていた。背骨の2つの椎骨を骨折し、うち1つは深刻な損傷。右脚も粉砕骨折していた。さらに悪いことに、脚の感覚がほとんど失われていた。片方の脚は感覚がほぼ100%消失し、足を動かすことすらできなかった。

彼女は「ダストデビル(塵旋風)に巻き込まれたのではないか」と推測する。無風の高温日に発生する局地的な渦が、着陸寸前の彼女を襲ったのだ。幸いにも数人の目撃者がすぐに駆け寄り、救急車を呼んだ。緊急手術の後、2週間の入院を経て、彼女はリハビリクリニックへ移された。そこで5ヶ月間、再び歩くこと、足を動かすことを一から学び直した。

6:54恐怖の正体——「サーマルの中で翼がまた閉じるのではないか」

事故から6ヶ月後、セリーナはプロパイロットのクリーゲルによるタンデムフライトで初めて空に戻った。雪の上での離陸、スキーブーツさえ履けない状態だったが、そのフライトは「人生で最も美しい日の一つ」だったという。彼女は喜びの叫びをあげ、涙を流した。しかし、その後のソロフライトは恐怖との闘いの連続だった。

恐怖は特に「サーマルの中」で襲ってきた。翼が再び閉じるのではないかという不安。彼女はアルプスでの事故だったため、平地や小さな山でのフライトには問題がなかったが、強いサーマルに入ると恐怖が頭をもたげた。問題は、彼女が「一日中飛び続けるクロスカントリー」を望んでいたことだ。早く離陸し、遅く着陸する。しかし恐怖のせいで早々に降りざるを得ず、そのフラストレーションは計り知れなかった。

「恐怖は敵ではない。それは自分が何を処理できるかについての情報を与えてくれる」と彼女は語る。彼女が選んだ道は、無理に押し進むことではなく、恐怖を「尊重する」ことだった。穏やかなコンディションで何度も飛び、グラウンドハンドリングを50時間以上行い、自信を再構築していった。

17:16脳の再配線——催眠療法と自己対話という武器

恐怖を克服するためにセリーナが用いた最も効果的な方法の一つが、心理療法士による催眠療法だった。セッションでは、自分が本当に安心できる場所を想像し、その感覚を身体的なサイン(例えば両手の人差し指を合わせる)と結びつける訓練を行った。飛行中にストレスを感じたとき、その指のサインを行うことで、脳を安全な状態に誘導するのだ。

さらに彼女は「ポジティブ・セルフトーク」を実践した。サーマルの中で自分にこう言い聞かせる。「よくやっている、セリーナ。素晴らしいサーマルで上がっている。高く上がれば上がるほど安全だ。さあ、行こう。君は翼を素晴らしくコントロールできている」。これは単なる自己暗示ではなく、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような状態にある自律神経系を再訓練する、認知行動療法的なアプローチだ。

しかし、完全な回復には年月を要した。事故から5年が経ち、800時間以上の飛行経験を積んだ今でも、彼女は「事故前ほど精神的に強くはない」と認める。高度3000メートルにいても、スピードバーを押すことに不合理な恐怖を感じることがある。それでも彼女は飛び続ける。なぜなら「飛ぶことが最高の療法だから」だ。

24:36競技と自己制限——「プッシュ」と「尊重」の狭間で

セリーナは事故後、クロスカントリー競技には参加しないことを選んだ。理由は明確だ。「スピードバーを押しすぎなければならない状況で、自分が望まないコンディションに追い込まれる」からだ。しかし、ハイク&フライ・レースには魅力を感じている。スピードバーを多用する必要がなく、より戦術的で、楽しみながら参加できるからだ。

彼女は現在、OZONEのフォトンからSKYパラグライダーのマーリンに機体を変更した。マーリンはよりソフトな2ライナーCグライダーで、旋回やスピードバーの操作が身体的に楽だという。「Cグライダーでまだまだ学べることがある」と彼女は言い、Dグライダーへの移行は考えていない。恐怖と向き合いながら、自分の限界を少しずつ広げていくプロセスを大切にしているのだ。

2024-2025年のXCコンテストシーズンでは、ブラジルのセルトンで469km、441km、437km、342kmという大飛距離を記録。さらに地元スイスのリーダーアルプからは325kmのアウト&バックを達成した。このフライトでは、シャモニーまで一直線に飛び、「流れに乗っている」感覚を味わったという。しかし、彼女の目標は距離を伸ばすことではなく、「年々空の中でより良く感じること、自信を得ること」だと強調する。

33:01ブラジル・セルトンの魅力——雲に導かれる自由

セリーナにとって、ブラジルのセルトンは特別な場所だ。彼女は事故後、ほぼ毎年この地を訪れている。理由は「フラットランドでの飛行」と「人々の優しさ」にある。晴天時には一日中積雲が広がり、その雲の下を風に乗って漂うように飛ぶ。アルプスのように絶えず地形と格闘するのではなく、流れに身を任せる感覚。これが彼女の恐怖を和らげるのに役立っている。

しかし、セルトンにも恐怖の種はある。ダストデビルだ。事故の原因がダストデビルだったセリーナにとって、着陸時に再び遭遇するのではないかという恐怖は根深い。「着陸時にダストデビルに遭うのは極めて稀だと自分に言い聞かせなければならなかった。事故のせいで夢を諦めてはいけないと」。彼女はそう語る。

地元の人々の温かさも、彼女が毎年戻ってくる理由の一つだ。「早めに着陸してしまっても、彼らは大きな腕を広げて迎え入れてくれる。水をくれ、椅子を出し、食べ物を分けてくれる。ボムアウトしたことなんて忘れてしまうほどだ」。

42:03恐怖を抱えるパイロットへのアドバイス——「小さな一歩」の積み重ね

セリーナが同じような恐怖を抱えるパイロットに送るアドバイスは、実践的で温かい。まず、事故後に使用する機体の選択が重要だ。彼女自身は事故前と同じCグライダーを選んだが、今振り返ると「ハイBグライダーの方がより早く自信を取り戻せたかもしれない」と反省する。より扱いやすい機体を選ぶことで、恐怖に圧倒されずに済むという。

次に、グラウンドハンドリングを徹底的に行うこと。さまざまな風況で50時間もの練習を積んだ経験が、空中での自信につながった。そして、SIV(安全訓練)については、無理をしないことの大切さを強調する。彼女はSIVでフルストールを再び行えるようになるまでに3年かかった。湖の上で泣きながら挑戦し、それでもできなかった日々があった。「プッシュしすぎると、結局やめてしまう。小さなステップを踏むしかない」。

最後に、心理療法士の助けを借りることを勧める。催眠療法は彼女にとって大きな助けとなった。恐怖は克服すべき敵ではなく、自分自身を理解するための情報だと捉える視点の転換が、回復の鍵だった。

46:56事故の意味——「もし事故がなかったら」という問い

ギャビンが「事故が起きてよかったと思う部分はあるか」と尋ねると、セリーナはしばし沈黙した。多くのアスリートが「あの事故があったから今の自分がある」と語るのに対し、彼女の答えは複雑だ。「事故がなかったら、今ごろどんな人生だっただろうとよく自問する。とても難しい質問だ」。

彼女が確かに感じているのは、「瞬間をもっと楽しむようになった」ということだ。「人生は時に非常に辛く、信じられないほど速いスピードで変わることを知った。自分の背中の状態を考えると、どれだけ長く今の活動を続けられるかわからない。だから、可能な限り人生を楽しみたい」。事故は彼女に「限りある時間」を意識させ、より深く現在を生きることを教えたのかもしれない。

しかし、それを「事故があってよかった」と単純に言い切ることはできない。彼女の口調には、まだ答えの出ていない問いに対する誠実な迷いがにじんでいた。

まとめ——恐怖と共に生きる勇気

このエピソードが特別なのは、セリーナ・ロンキが「完璧なカムバックストーリー」を演じていない点にある。彼女は今も恐怖と闘い、時には早々に着陸し、時には飛ぶ代わりに湖で泳ぐことを選ぶ。それでも彼女は飛び続ける。なぜなら、飛ぶことが彼女にとって「最高の喜び」だからだ。

彼女の言葉は、パラグライダーに限らず、何らかのトラウマを抱えるすべての人に響く。恐怖は消えるものではなく、それとどう付き合うかを学ぶものだ。そして、最も重要なのは「自分の限界を尊重しながら、それでも夢を諦めないこと」だというシンプルな真実。セリーナの静かで力強い語り口は、リスナーに「自分もまた、前に進めるかもしれない」という希望をそっと手渡してくれる。

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