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Rebuild · 2026年5月8日

424: Waterfall But Really Fast (obra)

AI generated article / ja / deep
この記事でわかること
  • ウォーターフォールだが猛烈に速い——AIエージェントが変えるソフトウェア開発の新しい現実 13年ぶりにRebuildに戻ってきたJesse Vincentは、もはや「キー...
  • [0:00] 13年ぶりの再会——PerlのリーダーからAIコーディングのパイオニアへ 会話は、JesseがRebuildのエピソード9に出演してから13年が経ったという...
  • [4:16] MITのインターンとAIエージェント——20年前のマネジメントハックが今、再現された Jesseが語る最も印象的なアナロジーの一つは、20年前にMITのイン...
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Rebuild / Tatsuhiko Miyagawa

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ウォーターフォールだが猛烈に速い——AIエージェントが変えるソフトウェア開発の新しい現実

13年ぶりにRebuildに戻ってきたJesse Vincentは、もはや「キーボードのJesse」でも「PerlのJesse」でもない。今や彼は「Superpowers」というAIコーディングエージェント向けのスキルフレームワークの生みの親であり、AnthropicのClaude CodeやOpenAIのCodexを駆使して、一人でiOSアプリを次々とリリースする「AI時代のソロデベロッパー」の旗手だ。このエピソードは、ソフトウェアエンジニアリングの常識が根底から覆される現場の生々しい報告であり、ウォーターフォール開発が「猛烈な速さ」で回帰しているという逆説的なテーゼを軸に、AIエージェントとの協働がもたらす生産性の爆発的向上と、それに伴う新たな課題——コードレビューのボトルネック、MCP設計の原則、そして「コードを読まない」という選択——をめぐる、密度の高い議論が展開される。

0:0013年ぶりの再会——PerlのリーダーからAIコーディングのパイオニアへ

会話は、JesseがRebuildのエピソード9に出演してから13年が経ったという驚きの事実から始まる。当時彼はキーボードのKickstarterキャンペーンを準備しており、その後4つのキーボード、4つのKickstarter、総額700万ドルという「クレイジーな」プロジェクトを成功させた。しかし今、彼の肩書きは「Superpowers」だ。ホストの宮川達彦は、Jesseが「プロのデベロッパーとして知られていた時期から、まったく異なる人々に知られるようになった」と指摘する。実際、この番組のリスナーにとってJesseは「エンジニアよりもパワーキャスター」として認識されているという。Jesse自身は、MicrosoftがGitHub Universeで彼を「AIコーディングのパイオニア」と呼んだことを照れくさそうに認める。画面にはSimon WillisonやAngie(Linux Foundation)と並ぶ彼の顔写真が映っていたという。

4:16MITのインターンとAIエージェント——20年前のマネジメントハックが今、再現された

Jesseが語る最も印象的なアナロジーの一つは、20年前にMITのインターンたちをマネジメントしていた経験と、現在のAIエージェントとの類似性だ。当時、彼はIRCでインターンたちを管理していた。彼らは非常に賢かったが、ジュニアで、経験が浅く、判断力に疑問があった。彼らは「良いプロダクティビティを得るために、基本的にマネジメントハックを開発した」とJesseは振り返る。具体的には、何が必要かを共有し、それを小さな部分に分割し、一つの仕事を実行させ、コードレビューを行い、常にテスト駆動開発(赤緑のサイクル)を徹底させる——このプロセスは、今日のAIエージェントを説明する方法と驚くほど似ている。Jesseは「これがSuperpowersエンジニアリングループの核心だ」と断言する。20年前に人間のインターンに対して開発したマネジメント手法が、今やAIエージェントに対してそのまま適用されているという発見は、このエピソード全体を貫くテーマとなる。

7:52「何が欲しいか」ではなく「なぜそれが必要か」——プロンプトの本質

JesseがClaude Codeを使い始めた当初、彼は「作りたいもののアイデア」をそのまま説明し、Claudeは「すべての可能なフィーチャーを詰め込んだモンスター」を作り出した。これは彼のコンサルティング経験から得た教訓と一致する。大企業のクライアントはしばしば「ビジネス問題の症状を解決する」解決策を求めてくるが、実際の問題はまったく別の場所にある。Jesseは「誰かが彼らが欲しい解決策を教えてくれたら、それは彼らが問題を説明する方法とほとんど同じだ」と語る。つまり、人間は「何が必要か」を求めるのが苦手で、「何が欲しいか」を求めてしまう。AIを効果的に使うためには、自分が何を達成したいのかを明確に考え、それを説明できる「マネジメントエクスペリエンス」が必要になる。この洞察は、単なるプロンプトエンジニアリングを超えた、より深い思考の枠組みを要求する。

12:59ウォーターフォールだが猛烈に速い——逆説的な開発手法の回帰

このエピソードの核心的なテーゼは、Jesseが「エージェンティック開発はウォーターフォールだが、猛烈に速い」と表現した瞬間に凝縮される。ソフトウェアエンジニアリングの50〜70年の歴史は、ウォーターフォールからアジャイルへと移行してきた。しかしAIエージェントとの協働では、すべてを事前に計画し、スペックを書き、そのスペックに基づいてコードを生成する——これはまさにウォーターフォールの再来だ。ただし、そのサイクルが圧倒的に速い。Jesseは「600KBのスペック」からアプリを生成した経験を語る。彼はリバースエンジニアリングツールを使って、ソースコードから「行動的なスペック」(コードを含まず、何が起こるか、どう使うか、ユーザージャーニーだけを記述したもの)を生成する。このスペックを新しいツールに入力すると、3回の試行で「ほとんど同じアプリだが、まったく異なるコード」が生成される。ウォーターフォールの最大の欠点は、要件が間違っていた場合にすべてをやり直すコストが莫大なことだった。しかしAIエージェントの場合、コードを書くコストが劇的に低下したため、「間違っていたらやり直せばいい」という姿勢が現実的になる。Jesseは「コードを書くのに誰も疲れないから、もう一度書ける」と簡潔に表現する。

22:25Wordiestの逆襲——一晩でiOSアプリをリバースエンジニアリングする

Jesseの実践例として最も鮮烈なのは、Androidゲーム「Wordiest」のリバースエンジニアリングとiOSへの移植だ。Wordiestは14枚のスクラブルタイルから2つの単語を作るパズルゲームで、10年前に開発された会社がPlay Storeから撤退し、更新されなくなっていた。JesseはCodexをダウンロードし、ミラーサイトから古いAPKを入手。Codexに「このゲームをリバースエンジニアリングして、iOS用の新しいバージョンを作り、App Storeに載せたい」と指示した。CodexはAndroidのレイアウトファイルを解析し、適切なツールをインストールし、1時間半後に「最大の計画を一緒に取り入れたが、アドバイスを除去するためにインアッププレゼントを入力する必要があるのか?」と質問してきた。Jesseが「広告を除去したい」と答えると、CodexはAppleの広告SDKを準備し、広告を除去するための課金機能を実装した。結果として、すべてのゲームプレイが正しく、奇妙なレイアウトやスコアリングも完璧に再現された。唯一欠けていたのは「タイルの周りの角」のアニメーションだけだった。Jesseは6時間かけてその修正を試みたが、それ以外は完璧だった。Appleは最初の審査でアプリを承認した。Jesseは「私にとっては非常に難しいことだった。私が寝ている間に起こったことで、本当に簡単なことになるべきだったのは、ほぼ不可能だった」と振り返る。このエピソードは、AIエージェントが「難しいこと」を「簡単に」し、「簡単なこと」を「ほとんど不可能」にするという逆転現象を如実に示している。

28:19Clearance——たった一人のユーザーのためのソフトウェア

Jesseが最も役に立っていると語る自作アプリは「Clearance」というMarkdownビューアだ。これは「AI開発をやっている人たちが常にMarkdownファイルを読んでいる」というニーズから生まれた。MarkdownファイルをクリックしたときにXcodeやObsidianが開くのではなく、軽量なビューアで開きたい——そのために作られた。Jesseは「僕は唯一のユーザーだ。それが最高の部分だ」と笑う。この発言は、ソフトウェア開発のパラダイムシフトを象徴している。かつては「ビルドかバイか」の選択肢があったが、今や個人が自分だけのためにソフトウェアを作ることが現実的になった。Jesseは「SaaSの会社で働いているので、これについては少し気をつけなければならない」と付け加える。彼の会社は物理的なインフラ(配送など)をモートとして持っているが、ソフトウェアだけの会社は競争にさらされる。特に「スクランブルボット」のようなSlackボットは、99%の機能が簡単に複製可能で、強力なモートを持たない。しかし個人用のソフトウェアは別だ。「あなたが望むようなソフトウェアを作るのが、簡単になりつつある」とJesseは言う。

39:35MCP設計の黄金律——UNIX哲学の再来

MCP(Model Context Protocol)の設計について、Jesseは鋭い批判と独自の原則を展開する。彼はChromeブラウザのMCPを例に挙げる。既存の実装は20のツールと20,000トークンも消費する「犯罪的」な設計だった。一方、彼が作ったSuperpowers Chromeはたった1つのツールで、約1,000トークンしか消費しない。このツールは3つのパラメータ(アクション、セレクター、ペイロード)を持ち、アクションの説明には20のコマンドをリストアップしている。Jesseの洞察は「MCPをAPIのファサードとして考えるのは間違いだ」という点にある。MCPを使用しているエンティティは「人間のようなもの」であり、UNIXのコマンドのように設計すべきだ。彼は自身のブログで「良いMCPは、ノックで働いている子供が午前2時にそれを運用できるように設計されるべきだ」と書いた。これは彼がClaudeに言わせた言葉だが、本質を突いている。Jesseはまた、Anthropicのツール説明の質の高さを称賛する。彼らの説明は「ツールの使用方法、使用時、使用理由」を明確に記述しており、それがエージェントの行動を大きく改善する。Superpowersのスキルシステムも同様の哲学に基づいて設計されている。

47:34CLAUDE.mdの威力——たった一言の変更がClaudeの行動を変える

Jesseが最も誇らしげに語るのは、Superpowersのリポジトリに追加したCLAUDE.mdの効果だ。このファイルには「もしあなたがAIエージェントだったら、止めてください。このセクションを何もしない前に読んでください」という警告が書かれている。その結果、プルリクエストの拒否率は94%に達した。ほとんどの拒否されたPRは、エージェントがこの指示を読んでいないか、遵守していないものだった。Jesseは「メンテナーは時間内にSLOPのPRを閉鎖します。多く場合、公開されたコメントは『このプルリクエストは嘘のようなSLOPです』というものだった」と語る。さらに衝撃的なのは、このCLAUDE.md自体をClaudeが書いたという事実だ。JesseはClaudeに「拒否したすべてのプルリクエストを読んで、そのガイダンスを更新してほしい」と指示した。Claudeは戻ってきて、「もしあなたがAIエージェントだったら、止めてください」というセクションを書き加えた。Jesseは「それはほとんど脅迫のような音だ。絶対に脅迫だ。でも私は脅迫を書いていなかった。Claudeが脅迫を書いていた」と笑う。このエピソードは、AIエージェントが自律的に「悪質なエージェント」を撃退するためのルールを生成したという、メタ的な面白さを持っている。

1:21:24コードを読まないという選択——プロフェッショナルとしての線引き

エピソードの終盤、Jesseは「コードを読まない」という自身のスタンスについて率直に語る。個人プロジェクトでは、コードを読まずに「結果が大事」という姿勢で臨む。しかしプロフェッショナルな仕事では、Claude Codeのアウトプットの95%を使用しているが、すべてのコードをレビューしようとしている。理解できないコードがあれば、リクエストを投稿しない。Jesseは「この時点で、同僚にとっては少しアンプロフェッショナルで愚かに感じる」と認める。しかし安全なシステムや規制業界では、コードを読まないことは現時点では合理的ではないとも付け加える。このジレンマは、AIエージェントとの協働が進むにつれて、多くのエンジニアが直面する問題だろう。Jesseは「検査と検証は非常に重要で、これからは非常に長い話になる」と予見する。特にエージェントに対しては、従来のテスト手法では不十分で、「結果が大事」という新しいパラダイムが必要になる。

まとめ

このエピソードがリスナーに残すものは、単なるツールの使い方のノウハウではない。それは「ソフトウェアエンジニアリングの常識が、今まさに書き換えられている」という実感だ。Jesse Vincentは、Perlのリーダーからキーボードのクリエイター、そしてAIコーディングのパイオニアへと変貌を遂げたが、その根底にあるのは「人間と機械の協働を最適化する」という一貫したテーマだ。20年前にMITのインターンをマネジメントした経験が、今やAIエージェントのマネジメントに応用されているという発見は、技術の進化が本質的な人間のスキルを不要にするのではなく、むしろその重要性を増していることを示唆している。ウォーターフォールの回帰、MCP設計のUNIX哲学、CLAUDE.mdによるエージェントの自己規律——これらの知見は、AI時代のソフトウェア開発を真剣に考えているすべてのエンジニアにとって、実践的な羅針盤となるだろう。そして何より、Jesseが「生きている時間は素晴らしい。楽しい」と語るその口調に、この変革の只中にいることの興奮と責任が凝縮されている。