
55回 知ってますか?「三為契約」 これを知らないと、あなたは、不動産会社のカモになります!
- 55回「三為契約」——これを知らないと、不動産会社のカモになる このエピソードでは、不動産取引において頻繁に使われるものの、一般の買い手・売り手にはほとんど知られていない...
- [4:59] 三為契約とは何か——「第三者」のための契約が、なぜ「業者のため」になるのか 三為契約とは、「第三者のための契約」を略した不動産業界の用語である。「三」は「第...
- 具体例として、前回の地面師詐欺の被害者である伊藤社長のケースが再確認される。通常の不動産取引では、売り主A社が物件を所有しているはずだが、この詐欺では登記名義人が別のBさ...
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教科書からは学べない! 「不動産の学校」「投資の学校」 / TOKYO FM
55回「三為契約」——これを知らないと、不動産会社のカモになる
このエピソードでは、不動産取引において頻繁に使われるものの、一般の買い手・売り手にはほとんど知られていない「三為契約(さんためけいやく)」という仕組みが、なぜ不動産会社だけを儲けさせ、消費者を損させるのかが徹底的に解説される。ホストの咲本慶喜(株式会社GO STRAIGHT代表)とアシスタントの古賀涼子が、前回取り上げた地面師詐欺の実例を引きながら、合法でありながらモラルに疑問が残るこの契約手法の実態を、具体的な数字と取引の流れで明らかにしていく。専門用語に頼らず、初心者にも理解できる語り口で、不動産投資の「教科書には書いていない」現実を突きつける内容だ。
三為契約とは何か——「第三者」のための契約が、なぜ「業者のため」になるのか
三為契約とは、「第三者のための契約」を略した不動産業界の用語である。「三」は「第三者」の「三」、「為」は「~のため」の「為」をとったものだ。しかし、この名称は実態を正確に表していない。咲本は、この契約が実際には「第三者のため」ではなく、「間に入った不動産会社(A社)のため」に機能する仕組みだと指摘する。
具体例として、前回の地面師詐欺の被害者である伊藤社長のケースが再確認される。通常の不動産取引では、売り主A社が物件を所有しているはずだが、この詐欺では登記名義人が別のBさんになっていた。これは、A社がBさんと売買契約を結び、代金の残金をまだ支払っていない段階で、すでに自分を「売り主」と名乗って次の買い手を探していたからだ。咲本は「これは違法ではない」と断言する。売買契約さえ締結していれば、登記名義人でなくても売り主を名乗ることは法的に可能なのである。
通常の取引と三為契約の違い——リスクを取らない不動産会社
通常の不動産取引では、A社がBさんから物件を買い取り、残代金を全額支払ってから自分の名義に登記し、その後で次の買い手Cさんを探す。これが「オーソドックスな取引」だと咲本は言う。GO STRAIGHTもこの方法を徹底している。
しかし、三為契約では話が違う。もしA社がBさんから物件を買う前に、すでにCさんという買い手が見つかっている場合、A社は「わざわざ銀行からお金を借りて残代金を払い、登記費用を負担するのは無駄ではないか」と考える。そこで、BさんからCさんへ、A社を飛ばして直接登記を移す方法がとられる。つまり、B→A→Cという2回の登記を、B→Cという1回の登記で済ませてしまうのだ。これによりA社は、自己資金を一切使わず、銀行金利も払わず、登記費用も節約しながら、売買差益だけを獲得できる。
登記費用の実態——司法書士は儲かっていない
ここで咲本は、登記費用に関する一般的な誤解を解く。多くの人が「登記代」と呼んでいる金額のうち、実に8割から9割は「登録免許税」という国に支払う税金である。司法書士が受け取る手数料はごく一部に過ぎない。例えば、都内の小さな戸建てで30万~50万円、駅前の土地なら数百万円の登記費用がかかるが、そのほとんどが税金だという。咲本は「司法書士が現金を全部懐に入れているわけではない」と強調し、誤解のないように代弁した。
三為契約の法的条件——「飛ばし」を可能にする細かい縛り
BさんからCさんへ直接登記を移す「飛ばし」が合法であるためには、元のAB間の売買契約に「BからA社に売買するが、A社の名義にはしないで、新しい消費者Cさんの登記にします」という趣旨の文言が含まれている必要がある。この条件をクリアすれば、法律上は問題ない。咲本は「効率を考えると確かにいい」と認めつつ、この仕組みがA社にとっては「ノーリスクで利益が取れる」ものだと指摘する。
三為契約のメリットは誰のものか——A社だけが儲かる構造
古賀が「最終的なお客さん側のメリットは何か」と問うと、咲本は「ないんですよ」と即答する。この例では、メリットがあるのは間に入ったA社だけだ。元の所有者Bさんは、本来もっと高く売れた可能性があるのに安く買い叩かれ、最終的な買い手Cさんも、本来もっと安く買えたはずの物件を高い価格で購入することになる。
咲本は、不動産業には2つの事業形態があると説明する。一つは「仲介業」で、手数料収入を得るため自己資金は不要だが、利益も限られる。もう一つは「買取再販業」で、自己資金や銀行借入を使って物件を買い取り、リスクを取った上で大きな利益を得る。三為契約は、この「買取再販業」のリスクだけを排除し、利益だけを最大化する方法だ。本来リスクを取るべき業者が、他人の金で確実に利益を得ている構造がここにある。
三為契約のモラル問題——大手仲介会社でも禁止の動き
この三為契約は、実は大手の仲介会社の一部現場で禁止されつつある。なぜなら、一般の売り主が大手仲介に任せる理由は「安心」だからだ。もし大手仲介が三為スキームを使い、しかも最初から買い手が決まっていたとなれば、「安く買い叩いたのではないか」と疑われ、信用を失うリスクがある。咲本は「表面化して事件になれば、大手の看板を背負った会社は大問題になる」と述べ、一部の現場では三為スキームを使う業者との取引自体を避ける動きがあると明かした。
ワンルームマンション投資における三為契約の実例——消費者がカモになる流れ
咲本は、より身近な例としてワンルームマンションの転売を挙げる。中古ワンルームマンション(価格2500万円程度)を購入しようとする初心者投資家の小賀さん(仮名)が、ある不動産会社から物件を紹介される。この会社は登記名義人ではないが、三為スキームを使って元の所有者から2000万円以下で買い取っている。小賀さんには2500万円で提示し、「月内契約なら100万円値引きします」と営業をかける。小賀さんは「2400万円で買えた」と得した気分になるが、実際には業者はノーリスクで400万円の利益を得ている。
元の所有者が2000万円以下で売らざるを得なかった背景には、ワンルーム投資に失敗した事情がある。フルローンで購入した物件の残債が2400万円程度残っているのに、毎月の家賃収入ではローン返済が賄えず、持ち出しが続いている。こうした「焦り」や「困窮」を買取再販業者は見抜いており、足元を見て買い叩くのだ。そして、新しく買った小賀さんも、やがて同じように儲からず、同じ業者に売却を相談し、再び三為スキームで転売される——この循環が繰り返される。
消費者に必要な「正しい目」——教科書には書いていない現実
咲本は、不動産投資の入門書やYouTubeのノウハウ動画では、こうした「儲からない現実」や「業者の裏事情」が決して語られないと指摘する。バラ色の面だけが強調され、結果として多くの初心者が「失敗予備軍」になっていく。三為契約は合法だが、知識がない消費者は知らないうちに不利益を被る。だからこそ、消費者自身が知識を高め、「正しい目」を養わなければ、いつまでも儲からないままだと咲本は警告する。
まとめ
このエピソードの核心は、「三為契約」という合法の枠組みが、いかに不動産会社だけを儲けさせ、消費者を損させるかという構造の解明にある。合法であるがゆえに表面化しにくく、被害者も自分が損をしたことに気づきにくい。咲本の語り口は、業界のプロとしての実務経験に裏打ちされており、単なる理論ではなく、実際の取引現場で起きていることを具体的な数字と流れで示している。不動産投資に興味がある人ほど、この「教科書に書いていない」知識を知っておくべきだというメッセージが強く残る回だった。
要点
- 三為契約とは「第三者のための契約」の略で、不動産会社が自己資金を使わずに利益を得るための合法スキームである。
- 通常の取引では売り主が物件を買い取ってから転売するが、三為契約では元の所有者から直接買い手に登記を移す「飛ばし」が行われる。
- この仕組みにより、不動産会社は銀行金利や登記費用を節約し、ノーリスクで売買差益を得られる。
- 登記費用の8~9割は登録免許税という税金であり、司法書士の手数料はごく一部である。
- 三為契約は大手仲介会社の一部現場で禁止されつつあるほど、モラル上の問題をはらんでいる。
- ワンルームマンション投資の失敗者が、焦りや困窮を利用されて安く買い叩かれ、三為スキームで転売される循環が存在する。
- 不動産投資の入門書やYouTubeでは、こうした業界の裏事情やリスクは決して語られない。
- 消費者が「正しい目」を養わなければ、不動産会社だけが儲かり続ける構造から抜け出せない。