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Lenny's Podcast: プロダクト | キャリア | 成長 · 2026年6月22日

世界で最もAI漬けのエンジニアチームを築く | Fiona Fung(Claude CodeおよびCoworkチームマネージャー)

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • AnthropicのClaude CodeおよびCoworkチームを統括するFiona Fungが、ソフトウェアエンジニアリングの役割が過去2年間で根本的に変容した実...
  • Fungが強調するのは、コーディングがボトルネックではなくなった世界では、「どれだけ野心的でいられるか」が新たな競争軸になるという点だ。エンジニアはもはや実装の困難さ...
  • [2:31] エンジニアリングの役割の変容:IBMのVimからClaude Codeへ Fungは自身のキャリアを振り返り、エンジニアリングの仕事が何度も劇的に変化し...
こんな人向け

英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。

出典Podcast

Lenny's Podcast: プロダクト | キャリア | 成長 / Lenny Rachitsky

要点
  1. Anthropicのエンジニアは2025年比で四半期あたり8倍のコードを出荷しており、コーディングはもはやボトルネックではない。新たな競争軸は「どれだけ野心的でいられるか」に移行している。
  2. Fungは全リポジトリにClaude Codeのリモートセッションを常駐させ、Slackやメトリクスへのアクセス権を与えることで、月次の振り返りをAIが生成したインサイトに基づいて行うマネジメント手法を実践している。
  3. 採用基準は「プロダクトセンスを持つクリエイティブビルダー」と「深いシステム専門家」の2軸に変化。AIが生成したコードの検証には、深いドメイン知識を持つ人材が不可欠である。
  4. AIツールに適応できる人とできない人の差は成長マインドセットの有無に起因する。恐怖を感じたときは「自分にコントロールできることは何か」を問い、一つ行動を起こすことが有効である。
  5. 小規模ビジネスへのAI普及はFungの情熱的なテーマ。Coworkが経費精算だけでなく、レストランのメニュー検索や市場分析に使われた事例は、AIの予想外のユースケースを示している。
  6. 計画立案は6ヶ月ロードマップから「JIT(ジャストインタイム)月次計画」に移行。毎週見直す軽量スプレッドシートで優先順位を合意し、状況変化に柔軟に対応する。
  7. 品質管理には「バッド(回復不能なエラー)vs サッド(回復可能な痛み)」というフレームワークを導入。各チームが主体性を持って定義し、ダッシュボードだけでなくユーザー体験の質を捉える。
  8. AIエージェントの非同期動作が増えるにつれ、コンテキストスイッチングの負荷が新たな課題として浮上。Fungは「20のエージェントが走っている」環境での集中時間の確保に苦心している。
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他のエピソード

AnthropicのClaude CodeおよびCoworkチームを統括するFiona Fungが、ソフトウェアエンジニアリングの役割が過去2年間で根本的に変容した実態を語る。同社のエンジニアは2025年比で四半期あたり8倍のコードを出荷しており、もはやコーディングはボトルネックではない。Fungは25年のエンジニア経験を持ち、MicrosoftでVisual StudioとTypeScriptを、MetaでFacebook Marketplace(現在年間1,000億ドル以上のGMVを生み出す)を立ち上げ、その後Instagramで500人規模の組織を率いた後、Anthropicに移った。本エピソードでは、AIによって変革されたチーム運営の実践、コードレビューの進化、採用基準の変化、そしてマネージャーとしてのルーティンの自動化に至るまで、具体的な戦術が詳細に語られる。

Fungが強調するのは、コーディングがボトルネックではなくなった世界では、「どれだけ野心的でいられるか」が新たな競争軸になるという点だ。エンジニアはもはや実装の困難さに制約されず、アイデアの質と優先順位が勝負を決める。彼女は「高エージェンシー(主体性)と高アカウンタビリティ(説明責任)は表裏一体」と述べ、チームメンバーに自由を与える一方で、仮説と成果の検証を求める文化を重視する。また、AIツールの導入で生まれた「孤独感」に対処するため、ペアワイズ・プログラミング・ランチやハッカソンを導入した事例も紹介される。Fungは、AIがエンジニアリングを変えるだけでなく、PMやデータサイエンスなど隣接する役割も急速に変容させつつあると指摘し、その中で「検証(verification)」が次なる大きな課題だと語る。

2:31エンジニアリングの役割の変容:IBMのVimからClaude Codeへ

Fungは自身のキャリアを振り返り、エンジニアリングの仕事が何度も劇的に変化してきたと語る。IBMのインターン時代はVimと端末デバッグが主流で、IDEすら使っていなかった。ところがMicrosoftのVisual Studioチームに配属され、初めてIDEに触れた衝撃は「より良いペイントプログラムかと思った」という逸話に象徴される。Visual Studioのエディタチームで働いた経験は、彼女に「ドッグフーディング(自社製品を自分で使うこと)」の重要性を植え付けた。当時はソーシャルメディアがなく、顧客からのフィードバックを得るのが難しかったが、自分たち自身がヘビーユーザーであることで迅速な改善が可能だった。

さらに、ソフトウェアの出荷方法も大きく変わった。CD-ROMに焼いて店頭に並べる時代には、製造期限という絶対的なデッドラインがあり、エンジニアリング時間は貴重なリソースだったため、綿密な計画が不可欠だった。しかし、オンライン出荷が可能になり、さらにAIによるコード生成が一般化した現在では、「コーディングはもはやボトルネックではない」とFungは断言する。Anthropicのデータが示すように、エンジニア一人あたりのコード出荷量は四半期で8倍に跳ね上がり、その影響はエンジニアリング組織全体の運営方法を根本から変えつつある。

9:28AIに浸透されたチームの実像:2026年のソフトウェアチーム

Fungが率いるClaude CodeおよびCoworkチームは、AIを最大限に活用した「AI-pilled(AI漬け)」なチームの典型例だ。彼女は全リポジトリにClaude Codeのリモートセッションを常駐させ、すべてのSlackチャンネルやメトリクスへのアクセス権を与えている。これにより、毎月チーム全体の成果を振り返る際に、Claudeが生成したインサイトをもとに「何が出荷されたか」「どのようなフィードバックがあったか」「どの分野に投資すべきか」を議論する。かつては手動でバレットリストを作成していた作業が、AIによって質の高い分析と共に自動化されている。

コードレビューも大きく変化した。Fungは「仕様や『良い状態の定義』をリポジトリにチェックインし、Claudeにそのフレームワークと照らし合わせて検証させる」方法を推奨する。これはテスト駆動開発(TDD)の進化形であり、かつては「まずブロッコリーを食べるようなもの」と感じられたテストファーストのアプローチが、AIによって効率的に実現できるようになった。Fung自身、Claude Codeの最初のバグ修正で「TDDでやってみて」と依頼し、テストを先に書き、失敗を確認してから修正コードを書くというプロセスをAIが完璧に実行した経験を語る。

16:55採用基準の変化:クリエイティブビルダーと深いシステム専門家

Fungは現在、2つのプロファイルの人材を採用している。一つは「プロダクトセンスを持つクリエイティブビルダー」であり、情熱を持ってアイデアを形にし、フィードバックを基に反復改善できる人材だ。もう一つは「深いシステム専門家」であり、AIが生成したコードの検証や、分散システムのような難しい部分を担当する。Claude Codeの初期はプロダクトジェネラリストが中心だったが、システムバックグラウンドを持つ人材が不足していることに気づき、採用戦略を修正した。

この変化は「野心(ambition)」の重要性と密接に関連する。Fungは、あるエンジニアが「以前は『それは難しい、複雑だ』と諦めていた機能も、今ではClaude Codeに任せれば実現できる」と語ったエピソードを紹介する。コーディングの壁が取り払われたことで、エンジニアの価値は「どれだけ大きなことを考えられるか」にシフトしている。彼女は「AIが誰にでもできることの天井を引き上げた」と表現し、これからのエンジニアには従来の技術力に加えて、プロダクト感覚と構想力が不可欠だと指摘する。

19:40成長マインドセットと恐怖への対処法

AIツールの急速な普及に適応できる人とできない人の差は、成長マインドセットの有無にあるとFungは断言する。MicrosoftからMetaへの移籍時に初めて「真の成長マインドセット」を体感した彼女は、「今まで成功させてきた方法を変えろと言われるのは怖い」という感情を理解しつつも、好奇心を持って学び続ける姿勢の重要性を強調する。恐怖を感じたときの対処法として、「自分にコントロールできることは何か」を問いかけ、「何か一つ、行動を起こす」ことを勧める。

Fungは自身の高校時代の経験を例に挙げる。コンピュータサイエンスに進みたいが学費が払えるか不安だった彼女は、カナダ国立銀行の高校生向け銀行テラー募集の張り紙を見つけ、最低賃金ながら応募した。嫌いだった会計のクラスとは無関係だったが、その経験が学費を賄う命綱となり、大学進学を可能にした。「何かをする。もし怖くなければ何をするか、と自問する」という彼女のアドバイスは、AI時代に不安を感じるすべてのエンジニアやナレッジワーカーに響く。また、「怖い洞窟の中にこそ、探している宝物がある」という言葉を引用し、キャリアにおいては「怖いこと」に一度は挑戦することが成長につながると語る。

25:52小規模ビジネスへのAI普及と格差への懸念

Fungが特に情熱を注ぐのが、小規模ビジネスへのAIツール普及だ。彼女は幼少期に香港からカナダに移住し、英語を話せない祖母が地元の毛糸屋で Cantonese を話す店主に出会い、コミュニティを見つけた経験から、小規模ビジネスが持つコミュニティ形成の力に深い共感を抱いている。自身もCoworkを使って経費精算の面倒から解放された体験から、同じように苦労している小規模ビジネスオーナーにAIの恩恵を届けたいと考えた。

実際に友人たちのCowork導入を手伝った際、予想外の使い方を発見した。レストラン経営者の友人は「ダウンロードフォルダがジャンク引き出しのようになっている」と悩み、Coworkにディレクトリへのアクセスを許可してメニューを探してもらった。さらに「このエリアの同種の料理と価格を比較して」と依頼し、市場分析まで行った。Fungは「AIツールは知識の格差を広げる可能性がある」と警鐘を鳴らし、リスナーに対し「AIに詳しい人が、まだ使っていない人や小規模ビジネスの手を取って導いてほしい」と訴える。具体的には、「AIで人生がどう変わったか」という体験談を会話のきっかけにすることを提案する。

31:46潜在需要の発見とジャストインタイム計画

Anthropicが競合他社に先駆けて大きな機会を掴む理由について、Fungは「潜在需要(latent demand)への感度」を挙げる。Claude Codeがコーディング以外の用途で使われ始めたことに気づき、それをCoworkという製品に発展させた。さらに、小規模ビジネス向けのバンドル機能「Claude for Small Business」も、ユーザーからの「このプラグインはあるの?」という質問をきっかけに生まれた。顧客が「飛び越えようとしている障壁」を見つけ、それをスムーズにするのが彼女のアプローチだ。

計画立案の方法も劇的に変わった。Fungはかつて6ヶ月のロードマップを作成していたが、3ヶ月も経たないうちに状況が変わり、ドキュメントが参照されなくなることに気づいた。現在は「JIT(ジャストインタイム)計画」を採用し、月単位の軽量なスプレッドシートで優先順位を合意するだけだ。それすらも毎週見直し、状況の変化に応じて柔軟に修正する。彼女は「役割の曖昧化(role blurring)」が進む中で、iOSとAndroidの組織を別々に持つべきか、完全自動レビューをどこまで推し進めるべきか、といった未解決の問いにも取り組んでいる。特に、20ものAIエージェントが非同期で動作する環境での「コンテキストスイッチングの負荷」は、まだ誰も解決できていない問題だと認める。

1:17:59チーム文化の維持:Fungが夜も眠れなくなる問題

急速な成長と変化の中で、Fungが最も重視するのはチーム文化の維持だ。「文化は生き物であり、壁に貼るポスターではない」と彼女は言い、多様な視点を尊重し、健全でオープンな議論ができる環境を守り続けることの難しさを語る。特にマネージャーに対しては、「うまくいっていないこと」を正直に話すことを強く求める。「すべて順調です」という返事が返ってくると、むしろ不安になるという。彼女は「燃えている部屋でコーヒーを飲む犬」のミームを引き合いに出し、表面だけの平穏を最も恐れる。

Fungはまた、AI時代における次世代エンジニアの育成についても大きな疑問を抱いている。自分たちが長年のコーディング経験を通じて培った「依存関係をダブルクリックして理解する」能力を、コードを書かずにどうやって教えるのか。彼女は「見習い制度やフェローシップのような新しい教育モデルが必要かもしれない」と述べ、この問題に対する明確な答えはまだ持っていない。しかし、パンチカードからAI時代までを生き抜いた元同僚がClaude Codeで楽しそうにコードを書いている話を紹介し、重要なスキルは時代とともに変化するという楽観的な見方も示す。

結びに

本エピソードがリスナーに強く印象づけるのは、AIがソフトウェアエンジニアリングを「コーディングの解放」から「検証と野心の時代」へと移行させたという認識である。Fungの実践的な知見は、単なる理論ではなく、世界で最も急速に成長するAI企業の最前線で日々検証されている。彼女が語る「高エージェンシーと高アカウンタビリティのバランス」「JIT計画」「バッドvsサッドの品質フレームワーク」といった概念は、AI時代のチーム運営に悩むすべてのリーダーにとって具体的な指針となる。特に、AIツールがもたらす「孤独感」という副作用に気づき、ペアワイズプログラミングランチというシンプルな解決策を導入したエピソードは、テクノロジーが進化しても人間的なつながりの重要性は変わらないことを示唆している。

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