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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy · 2026年7月22日

Matthew Smith — 天然ガス:次のボトルネック - [Invest Like the Best, EP.483]

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • Matthew Smith(Chronometer Partners創業者兼CIO)は、18ヶ月にわたる米国天然ガス市場の徹底的な分析に基づき、2028年以降、AIデ...
  • [03:33] 18ヶ月の分析が導き出した結論:歴史的なガス不足の予兆 Matthew Smithは、Chronometer Partnersのチームと共に、米国のほ...
  • Smithの分析では、AIコンピューティングによる追加ガス需要は、確実性の高い案件(P50ベース)だけで日量約50億立方フィートに上る。これは、発電所の建設許可や電力...
こんな人向け

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出典Podcast

Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts

要点
  1. Matthew Smithの18ヶ月にわたる分析は、米国が2028年以降、AIデータセンターとLNG輸出の需要を満たすのに十分な天然ガスを生産・供給できず、2030年までに実働ガス貯蔵量を枯渇させる可能性があると結論づけた。
  2. 問題の根源は、シェール革命以降の「ガスは豊富」という市場の楽観論と、それに基づく生産・インフラ投資の不足にある。LNG輸出能力は2030年までに日量350億立方フィートへ倍増するが、生産量の上限は日量1,320億立方フィートと見積もられる。
  3. ガス資源自体は地下に存在するが、問題は「フロー」、すなわち必要なタイミングで市場に供給する能力にある。ガス処理施設、ギャザリングシステム、州間パイプラインの建設には長いリードタイムが必要であり、2028年までの逼迫には間に合わない。
  4. 価格上昇は「非有界かつ凸状」となり、1百万BTUあたり10ドル、場合によっては20ドル以上に達する可能性がある。これは電力価格に直接転嫁され、米国消費者に深刻な打撃を与える。
  5. 長期的な解決策として、大規模原子力発電(AP1000型)の早期建設が唯一の現実的な選択肢である。米国政府はLPOの2,600億ドルを活用し、2〜4基の原子炉を主導して建設すべきだ。
  6. 短期的には、住宅用太陽光発電が消費者を高騰する電力料金から守る有効な手段となる。ユーティリティ規模の太陽光発電所も、燃料費ゼロの恩恵を受ける「棚ぼた利益」の勝者となる。
  7. ハイパースケーラーは、現在の平坦なガスフォワードカーブに依存した投資判断を見直し、2028年以降の物理的なガス供給を長期契約で確保すべきである。さもなければ、DRAM不足と同様の危機に直面する可能性が高い。
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他のエピソード

Matthew Smith(Chronometer Partners創業者兼CIO)は、18ヶ月にわたる米国天然ガス市場の徹底的な分析に基づき、2028年以降、AIデータセンターとLNG輸出の急増により、米国は前例のない天然ガス供給不足に陥ると結論づけた。彼のモデルによれば、現在の生産能力とインフラの制約下では、米国の天然ガス生産量は最大でも日量1,320億立方フィート(bcf/d)が限界であり、一方でLNG輸出能力は2030年までに日量350億立方フィートへと倍増する。さらにAIコンピューティング需要が加わることで、同国は2030年までに実働ガス貯蔵量(working gas storage)をほぼ枯渇させる可能性がある。Smithはこの状況を「上振れリスクが非有界かつ凸状(unbounded and convex)」と表現し、ガス価格が現在の3.5ドルから10ドル、場合によっては20ドル以上に高騰するシナリオを描く。問題の根源は、シェール革命以降続いた「ガスは豊富にある」という市場の楽観論と、それに基づく投資不足にある。彼は、この危機を回避する唯一の長期的解決策として、大規模原子力発電(AP1000型)の早期建設を提唱する一方、短期的には住宅用太陽光発電の普及が消費者の保護策になると指摘する。このエピソードは、AI時代のエネルギー需給の根本的なミスマッチを浮き彫りにし、投資家や経営者に前例のないリスク認識を迫る内容となっている。

03:3318ヶ月の分析が導き出した結論:歴史的なガス不足の予兆

Matthew Smithは、Chronometer Partnersのチームと共に、米国のほぼ全ての天然ガス井戸、パイプライン、処理施設を原子力レベルでモデル化した。その結果、彼らは市場のコンセンサスとは根本的に異なる結論に達した。それは、2028年を境に、AIデータセンターとLNG輸出の需要が、米国が生産・供給可能なガス量を上回るというものだ。現在、米国の天然ガス生産量は日量約1,100〜1,120億立方フィートであり、その12〜15%にあたる日量150億立方フィートがLNGとして輸出されている。しかし、既に許可され建設中のLNGプロジェクトが完了すれば、輸出能力は2030年までに日量350億立方フィートに達する。この増加分(日量200億立方フィート)は、米国の追加生産可能量(日量約200億立方フィート)とほぼ同額であり、AIによる需要増加分を吸収する余地はほとんどない。

Smithの分析では、AIコンピューティングによる追加ガス需要は、確実性の高い案件(P50ベース)だけで日量約50億立方フィートに上る。これは、発電所の建設許可や電力購入契約(PPA)が既に締結されている案件を積み上げた結果だ。さらに、楽観的なシナリオ(P30以下)では、この需要は日量120〜150億立方フィートにまで膨れ上がる可能性がある。重要なのは、これらの需要予測が、ガスの供給制約を一切考慮せずに算出されている点だ。市場は「ガスは豊富にある」という過去15年間の常識に囚われ、供給サイドの限界を見過ごしている。

Smithは、この需給ギャップが2028年半ばから顕在化し始めると予測する。まず、米国の実働ガス貯蔵量(約4兆立方フィート)が、季節的な変動の範囲を超えて取り崩され始める。2029年には過去最低の貯蔵量を記録し、2030年にはほぼ枯渇状態に達する。このような構造的な供給不足は、これまでの一時的な価格高騰(2014年のポールボルテックスや2022年のロシア・ウクライナ危機時)とは質的に異なる。価格上昇は「非有界かつ凸状」、つまり天井知らずの様相を呈する可能性が高い。

04:56問題の根源はAI以前に決定づけられていた:LNG輸出とシェール革命の遺産

Smithは、現在の危機の種がAI登場以前に蒔かれていたと強調する。2010年以降のシェール革命により、米国は天然ガスの純輸入国から純輸出国へと転じた。Cheniere Energyを皮切りにLNG輸出が開始され、現在では日量150億立方フィートの輸出能力を持つに至った。この流れは、長期契約とプロジェクトファイナンスに裏打ちされたものであり、簡単に停止できるものではない。既に建設が進むLNGプロジェクトは、2030年までに輸出能力を日量350億立方フィートに引き上げる。これらのプロジェクトは、多くの場合、日本の電力会社や欧州のバイヤーとの20年以上の長期売買契約に基づいており、契約法の下で保護されている。

このLNG輸出の拡大が、AI登場以前から米国のガス需給を徐々に逼迫させていた。2010年代から2020年代初頭にかけて、電力需要はエネルギー効率の向上などにより横ばいだったが、LNG輸出が新たな需要の柱として成長していた。そこにAIデータセンターの電力需要が加わることで、需給バランスは決定的に崩れる。Smithは、LNG輸出を停止すれば問題は解決するという単純な考え方を退ける。それは「契約法」の問題であり、米国が世界のガス供給の約3分の1を担う立場にある以上、同盟国への影響も無視できない。

さらに、米国のガス生産会社の経営陣は、投資家からの圧力や低いガス価格(現在約3.5ドル/百万BTU)を背景に、新規掘削に慎重な姿勢を取っている。実際、Expand Energy(旧Chesapeake Energy)は、将来の価格上昇を見越して意図的に生産を削減(shut-in)している。掘削リグ数は減少傾向にあり、市場は2028〜2030年の逼迫を全く織り込んでいない。この「楽観的な慣性」こそが、問題を深刻化させる最大の要因だとSmithは指摘する。

11:38ガスは地下に存在するが、問題は「フロー」とインフラにある

Smithの分析の核心は、米国にはガス資源自体はまだ十分に存在するが、それを必要なタイミングで市場に供給する「フロー(流量)」が不足するという点にある。彼のチームは、主要なガス生産盆地(AppalachiaのMarcellus/Utica、Haynesville、Permian、Eagle Ford)の全ての企業が保有する鉱区(acreage)をデジタル化し、残存する掘削可能な井戸の位置と生産性を評価した。その結果、既存の鉱区から論理的に生産可能なガスの最大量は日量1,280〜1,320億立方フィートと試算された。これは、現在の生産量から日量約200億立方フィートの増加に相当する。

しかし、この「フロー」を実現するには、複数のインフラ制約を克服しなければならない。第一に、ガス処理能力(processing capacity)の不足だ。坑口から産出される天然ガスには、天然ガス液(NGL)や硫黄、窒素などが含まれており、パイプラインに注入する前に所定の品質(1,030 BTU)に調整する必要がある。現在、主要な盆地では処理能力に余裕がなく、新規の処理プラント建設には2〜3年を要する。第二に、ガスを井戸から処理施設や幹線パイプラインに運ぶ「ギャザリング(集約)」システムの拡張が必要だ。これらの小口径パイプラインへの投資は、生産増加に不可欠だが、現状の計画では不足している。

第三に、そして最も深刻な制約は、州間ガスパイプライン(interstate gas pipeline)の建設だ。過去10〜12年間で、実際に建設された主要な州間パイプラインは、AppalachiaとMid-Atlanticを結ぶMountain Valley Pipelineのみである。環境規制や許認可プロセスの複雑化により、新規パイプラインの建設は極めて困難になっている。現在の政権は規制緩和を進めているが、パイプライン建設には5〜10年のリードタイムが必要であり、2028年までの逼迫には間に合わない。Smithは、これらのインフラ制約を考慮すると、日量1,320億立方フィートという生産上限さえも達成が難しいと見ている。

22:212030年のシナリオ:貯蔵量枯渇と非有界な価格上昇

何も対策を講じない場合、2028年から2030年にかけての米国天然ガス市場は、前例のない危機に直面する。Smithのモデルによれば、2028年半ばには実働ガス貯蔵量が歴史的な最低水準を下回り始める。2029年には既知の全ての過去データを下回り、2030年には貯蔵量がほぼゼロに近づく。この時点で、ガス価格は需給の物理的な逼迫を直接反映し始める。これまでの価格高騰は、寒波や一時的な供給途絶によるものだったが、今回の危機は構造的な需要超過に起因するため、価格の上昇は持続的かつ急激なものとなる。

Smithは、価格が1百万BTUあたり8〜10ドルに達した場合、一部のスポットLNGカーゴが輸出されずに国内市場に留まる可能性があると指摘する。しかし、それだけでは問題は解決しない。契約済みのLNGカーゴを停止するには、日本や欧州のバイヤーとの契約違反が生じ、国際的な政治問題に発展する恐れがある。価格が20ドルに達する可能性も否定できず、Smith自身も具体的な価格予測を避けるほどだ。この価格高騰は、最終的に電力価格に転嫁され、米国消費者に直接的な打撃を与える。

このシナリオにおいて、最大の勝者はExpand Energy(旧Chesapeake Energy)だとSmithは言う。同社はHaynesville盆地の最も生産性の高い鉱区の約70%を支配しており、ガス価格上昇の恩恵を最も直接的に受ける。しかし、現在の株価はフォワードEBITDAの4倍と極めて低く、市場は全くこのシナリオを織り込んでいない。AppalachiaではRange Resourcesが有力な勝者候補だ。一方、敗者は米国消費者であり、特に低所得層ほど影響が大きい。また、ガスタービンメーカー(Caterpillar、Bloom Energyなど)も、需要が急減する2029年以降に生産能力を拡大しているため、大きな打撃を受ける可能性がある。

30:08原子力発電が唯一の長期的解決策:大規模AP1000への回帰

Smithは、天然ガス不足の長期的な解決策として、大規模原子力発電(特にWestinghouseのAP1000型)の建設を強く推奨する。彼は、小型モジュール炉(SMR)については「まだ科学実験の段階」と評価し、2030年代に必要とされる数十ギガワット級の電力を供給するには規模が不十分だと断じる。AP1000型は、中国で34基(うち約3分の1がAP1000ベース)が建設中であり、実績とスケーラビリティの面で優位性がある。米国でもVogel 3号機と4号機が運転を開始したが、建設コストは当初計画の3倍、工期は15年と、その経験は決して芳しいものではなかった。

しかしSmithは、Vogelプロジェクトから得られた教訓を活かせば、2033〜34年までに新規原子炉を稼働させることは可能だと主張する。そのためには、米国政府が主導して2〜4基のAP1000を建設し、サプライチェーンを確立することが不可欠だ。現在、米国エネルギー省の融資プログラムオフィス(LPO)には2,600億ドルの予算が割り当てられており、これを原子力発電に振り向けることで、民間企業の参入リスクを大幅に低減できる。原子力発電の関連企業としては、Cameco(ウラン生産、Westinghouseの49%を保有)やBWX Technologies(米海軍向け原子炉供給)が恩恵を受けると見られる。

Smithは、太陽光発電についても重要な役割を認める。特に、住宅用太陽光発電は、消費者が高騰する電力料金から身を守るための有効な手段となる。日中(午前10時から午後6時)のピーク電力料金を回避できるため、税制優遇措置が縮小された後でも、経済性が成り立つと彼は予測する。また、ユーティリティ規模の太陽光発電所は、燃料費がゼロであるため、ガス価格高騰による電力価格上昇の恩恵を直接受ける「棚ぼた利益(windfall)」を得る立場にある。XPLR(旧NextEra YieldCo)やClearway Energyなどがその候補だ。

37:57ハイパースケーラーとエネルギーCEOへの警告:物理的供給の確保が不可欠

Smithは、AIブームの主役であるハイパースケーラー(Google、Amazon、Microsoft、Metaなど)に対して、深刻な警告を発する。現在、エネルギーコストは彼らの総コストの約10%を占めるに過ぎないが、ガス価格が2〜3倍になれば、その割合は20〜30%に跳ね上がる。これは、DRAMメモリ不足が業界を直撃した2年前の状況に類似しているとSmithは指摘する。ハイパースケーラーは、現在の平坦なガスフォワードカーブを前提に投資判断を行っているが、その前提自体が崩壊するリスクを認識すべきだ。

彼らが今すぐ取るべき行動は、2028年以降の物理的なガス供給を長期契約で確保することだ。しかし、現時点ではそのような動きは全く見られない。Smithは、2028年のガス先物市場が流動性に乏しいことを理由に、市場が価格上昇を織り込んでいないと分析する。いずれ電力会社やガス発電事業者がヘッジを開始すれば、2028年の物理的なガスを巡って「ナイフファイト」が繰り広げられるだろう。この時点で、供給を確保できなかった事業者は、深刻な競争上の不利益を被る。

エネルギー業界のCEOに対しては、自社のビジネスモデルがガス価格の高騰にどれだけ耐えられるかを検証するよう求める。特に、燃料電池をベースロード電源として販売するBloom Energyのような企業に対しては、そのビジネスプランが物理的なガス供給の制約によって頓挫するリスクを指摘する。また、ガス火力発電所の建設を主力とするエンジニアリング・建設会社(ENCなど)は、2029年以降に新規案件が激減する可能性に備え、事業の多角化を急ぐべきだと助言する。結局のところ、全ての関係者は「ガス価格が10ドル以上になったらどうなるか」というシナリオを真剣に検討し、それに備えたリスク管理を行う必要がある。

結びに

このエピソードがリスナーに残すものは、AI時代のエネルギー需給に対する深い警鐘である。Matthew Smithの分析は、単なる価格予測を超えて、米国経済と社会の根幹を揺るがす可能性のある構造問題を浮き彫りにした。彼の主張の核心は、市場の楽観論(complacency)が、物理的な制約(インフラ、資源のフロー、規制)によって打ち破られるという点にある。この問題は、AIの進化を阻害するだけでなく、消費者の生活や国際的な同盟関係にも深刻な影響を及ぼし得る。Smithが提示した解決策(大規模原子力、住宅用太陽光、供給契約の早期確保)は、いずれも長いリードタイムを要するものばかりであり、今すぐ行動を起こさなければ手遅れになる可能性が高い。このエピソードは、投資家、経営者、政策立案者にとって、目前の楽観論に惑わされず、5年後の現実を見据えることの重要性を痛感させるものとなった。

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