
Gavin Baker - AI市場の不安 - [Invest Like the Best, EP.485]
- 2024年7月の株式市場は、AI関連銘柄にとって「1ヶ月で2022年を再現した」ような混乱の月だった。公開市場ではAI銘柄が軒並み最高値から40〜60%下落する一方、...
- ベイカーは、市場が認識していない重要な事実として、AnthropicやOpenAIといった非公開企業の業績が公開市場から見えていないことを挙げる。さらに、Firewo...
- [00:02:35] 市場の混乱と現場の現実の乖離 ベイカーは7月の市場を「2022年を1ヶ月に凝縮したようなもの」と表現する。AI関連銘柄の多くが1ヶ月で40〜60...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts
- 2024年7月のAI銘柄の下落(最高値から40〜60%)は、ファンダメンタルズの悪化ではなく、市場の認識ギャップによるものであり、現場の需要指標はすべて加速している。
- 旧型GPUの価格が契約価格から50〜60%上昇しており、契約満了に伴う再価格設定がハイパースケーラーの営業キャッシュフローを大幅に押し上げる可能性がある。
- オープンソースモデル(GLM 5.2、Kimi K3)の台頭はフロンティアモデルのマージンを減らすが、トークン需要の弾力性を高め、AIインフラ全体の需要を押し上げる。
- 市場参加者がClaudeに依存した情報処理を行うことで、売買が同期化し、ボラティリティが増幅されている。
- メモリ供給契約(LTA)の破棄は、循環産業における将来の割り当てリスクを考慮すれば、ゲーム理論的に非合理的であり、NVIDIAの優位性を強化する。
- NVIDIAの「クレジットラッパーと収益分配」モデルは、ギガワットあたりの収益を増加させ、競争優位をさらに強固にしている。
- AIネイティブ企業のトークン支出は総報酬コストの20〜30%に達し、労働代替が急速に進行している。
- AI業界の最大のリスクは規制であり、データセンターに対する誤解(水使用量の10,000倍過大評価など)を解消するためのPR活動が急務である。
2024年7月の株式市場は、AI関連銘柄にとって「1ヶ月で2022年を再現した」ような混乱の月だった。公開市場ではAI銘柄が軒並み最高値から40〜60%下落する一方、シリコンバレーの現場では需要の減速を示す定量的指標は一つも見当たらず、むしろGPUの価格上昇、DRAMのスポット価格高騰、トークン消費量の加速など、あらゆる指標が加速している。この「市場の認識」と「現場の現実」の乖離こそが、今回のエピソードの核心である。投資家のGavin Baker(ギャビン・ベイカー)は、Atreides Managementの創業パートナー兼CIOであり、ホストのPatrick O'Shaughnessy(パトリック・オショーネシー)との対談は今回で7回目となる。前回の出演からわずか2ヶ月という異例の短期間での再登場は、それだけ状況が流動的であることの証左だ。
ベイカーは、市場が認識していない重要な事実として、AnthropicやOpenAIといった非公開企業の業績が公開市場から見えていないことを挙げる。さらに、Fireworks、Baseten、Togetherといったオープンソース推論クラウドの台頭により、GLM 5.2やKimi K3といった中国製モデルの登場でオープンソースの需要が急加速している。市場は半導体企業のキャッシュフローとハイパースケーラーのフリーキャッシュフローの乖離に注目するが、そこには非公開企業の存在が欠落している。そして、GPUの長期契約価格とスポット価格の間に生じている「歴史的な乖離」が、この市場混乱を理解する鍵となる。本稿では、この対談の全容を詳細に解説する。
市場の混乱と現場の現実の乖離
ベイカーは7月の市場を「2022年を1ヶ月に凝縮したようなもの」と表現する。AI関連銘柄の多くが1ヶ月で40〜60%下落した一方で、彼がシリコンバレーで接触した企業からは、AI需要の減速を示す定量的指標が一つも報告されていないという。むしろGPUの可用性、GPUレンタル価格、DRAMのスポット価格、トークン成長率など、あらゆる指標が加速している。この乖離の背景には、公開市場がAnthropicやOpenAIといった非公開企業の業績を把握できないという構造的問題がある。
特に注目すべきは、旧型GPUの価格が垂直に上昇している現象だ。2024年から2025年にかけて、誰もがGPU価格の緩やかな低下を予想していた。その前提で長期契約を結んだ企業は多いが、実際にはスポット市場の価格が契約価格を大幅に上回っている。ベイカーは、ある企業が数ヶ月前に1GPU時間あたり2ドル台半ばで借りていたBlackwellクラスターと同一のものを、7ヶ月後には4ドル弱で借りようとしている事例を紹介する。これは50〜60%の価格上昇であり、需要の強さを如実に示している。
この契約価格とスポット価格の乖離は、今後のキャッシュフロー加速の原動力となる。契約が満了し、再価格設定が行われるたびに、コンピュートの収益性は向上する。Microsoft、Meta、Amazonの営業キャッシュフローは、2024年の28%成長から2025年には32%へと加速しており、一時的な項目を調整すれば35%に達する。これは大規模な加速であり、NVIDIAの次世代チップRubinの本格稼働前の数字である点を考慮すれば、さらなる成長余地がある。
オープンソースの「ダークマター」とトークン経済
市場の混乱の引き金となったのは、中国のDeepSeek系モデルであるKimiとGLM 5.2の登場だ。これによりオープンソースモデルの性能が飛躍的に向上し、市場は「フロンティアモデルの優位性が崩壊する」と過剰反応した。しかしベイカーは、この見方を明確に否定する。トークンはトークンであり、生成に必要な計算リソース(FLOPs、メモリ、電力)は同じだからだ。オープンソースがシェアを奪うことは、フロンティアモデル層のマージンが減少することを意味するが、それは同時にトークン需要の弾力性を高め、全体のコンピュート需要を押し上げる。
オープンソースは公開市場にとって「ダークマター」のような存在だとベイカーは言う。公開市場はその規模を測定できないが、推論クラウドの成長を見れば需要が明確に加速していることが分かる。NVIDIAのJensen Huang(ジェンスン・ファン)CEOが世界最大のオープンソース支援者であることも、オープンソースがNVIDIAのビジネスに悪影響を与えていない証拠だ。フロンティアモデルが90%の粗利益率を享受する世界よりも、多様なモデルが共存する世界の方が社会にとって健全であり、結果的にコンピュート需要全体を拡大させる。
市場は「オープンソースの台頭=AIインフラ需要の減少」と誤解したが、実際は逆だ。コスト削減はフロンティアモデルのマージンから発生しており、AIインフラ層のマージンは不変だ。企業がルーターを導入してタスクに応じて最適なモデルを選択するようになれば、GPUコンピュート時間の総消費量はむしろ増加する。安価なトークンにシフトすることで、同じ予算でより多くのトークンを消費できるようになるからだ。
信用市場と資本サイクルのリスク
ベイカーが今回の市場混乱で唯一「本物の懸念」と認めるのが、信用市場の動向だ。実質利回りの上昇、クレジットスプレッドの拡大、NVIDIAのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の急騰は、AIインフラ建設が債務に依存し始めていることを示唆する。Metaが先週発行した社債の価格設定が予想よりも悪かったことも、信用市場の緊張を物語っている。もしこの建設ラッシュが債務に依存するならば、2000年のインターネットバブル崩壊と同じ資本サイクルの罠に陥る危険性がある。
しかしベイカーは、この懸念は「コンピュート不足」という前提の下では解消されると主張する。契約価格とスポット価格の乖離が再価格設定を通じて解消されれば、ハイパースケーラーの営業キャッシュフローは現在のコンセンサス予想(1.3〜1.4兆ドル)を大きく上回る可能性がある。仮にBlackwell世代の収益化率が現在の2世代前のAmpere並みに留まったとしても、約2兆ドルの営業キャッシュフローが生み出され、約7,000億ドルの信用需要が不要になる。つまり、コンピュートの再価格設定が進めば進むほど、信用への依存度は低下し、資本サイクルのリスクは後退する。
重要なのは、市場が「債務による過剰投資」を懸念しているのに対し、実際には「営業キャッシュフローによる自己資金調達」が可能な状況にあることだ。ベイカーは、もし信用が逼迫しても、それはコンピュート不足を悪化させるだけで、既存のコンピュートの価値をさらに高めることになると指摘する。「問題が解決策になる」という逆説的な構図だ。このため、彼は信用市場の動向を注視しつつも、最終的には「信用は問題にならない」という結論に達した。
Claudeが株式市場のウォルター・クロンカイトになる日
ベイカーが指摘する興味深い現象が、市場参加者の情報処理プロセスの均質化だ。彼の知る公開株式投資家のほぼ全員が、あらゆるニュースをClaudeまたはClaude Codeに投入し、その解釈に基づいて取引を行っている。Claudeは確率的なモデルであり、同じニュースに対して異なる投資家がほぼ同じ解釈を導き出す。これは、かつてウォルター・クロンカイトが「唯一の真実の声」として機能していた時代のメディア環境を想起させる。現在の株式市場では、Claudeがその役割を担っているのだ。
この現象の帰結として、市場の反応が極端に速くなり、かつ同質化している。ベイカーは、X(旧Twitter)で活動する「匿名半導体マフィア」の一員であるTBU氏が投稿した、日本のコンデンサ銘柄のチャートを紹介する。同氏は「6週間でコンデンサの完全なサイクルを経験した」と述べたが、実際に株価は垂直に上昇した後に急落した。本来なら3年かかるサイクルが、ファンダメンタルズが反映される前に、わずか6週間で完了してしまったのだ。
この「Claudeへの過度の依存」は、市場のボラティリティを増幅させる要因となっている。個々の投資家が独自の分析を行う代わりに、同じAIモデルの解釈に依存することで、売買のタイミングが同期化し、急激な価格変動を引き起こす。ベイカーは、Claudeは確かに賢いが、常に正しいわけではないと警告する。株式市場は本質的にベイズ確率的な未来解釈であり、単一のAIモデルに依存することは、多様性の喪失とシステムリスクの増大につながる。
トークン消費と労働代替の経済学
AIネイティブ企業におけるトークン消費の労働コストに対する比率は、驚くべき水準に達している。ベイカーが調査した範囲では、最も積極的な企業でトークン支出が総報酬コストの20〜25%に達しており、彼の友人であるDilip Patel(ディリップ・パテル)の会社では30%に達するという。中には50%という事例も報告されている。世界の知識労働市場が25兆ドル規模であることを考慮すれば、20%のトークン比率は5兆ドルの市場を意味する。この資金は労働代替か経済成長の加速のいずれかによって賄われることになる。
ベイカーは、AIネイティブ企業が人間の雇用を大幅に抑制している一方で、大規模な解雇は行われていないと指摘する。創業者が主導する企業では、COVID期の過剰採用を調整した後も、大規模な人員削減は見られない。これは、これらの企業がAIによる効率化よりも、今後の成長機会を見据えて人材を維持していることを示唆する。Cognition Indexのデータによれば、AIへの支出が最も多い企業は、そうでない企業よりも有意に速い成長を遂げている。
この労働代替の進行は、AIインフラ需要の持続可能性を支える重要な要素だ。現在、世界でエージェント型AIを活用している人は約50万人と推定されるが、地球人口は70〜80億人である。この数字が1%、1億人、5億人と増加するにつれて、コンピュート需要は爆発的に拡大する可能性がある。ベイカーは、この潜在的な需要の規模を考慮すれば、現在のコンピュート不足は「急性期」に過ぎず、今後も需要が供給を上回り続けると予測する。
メモリ供給契約のゲーム理論とNVIDIAの戦略
AIコンピュートの性能を決定する最も重要な要素は、FLOPsに対するメモリ(特にHBM DRAM)の比率だ。メモリを増やせば増やすほど、単位コンピュートあたりのトークン出力は増加する。このため、メモリ供給契約(LTA)は、AI業界の「ゲーム・オブ・スローンズ」における覇権争いの中心となっている。Amazon(Trainium)、Google(TPU)、AMD、NVIDIAの4社が主要プレイヤーであり、NVIDIAは他の3社を合わせたよりもはるかに大きな規模を持つ。
ベイカーは、LTAを破棄することのゲーム理論的リスクを詳細に分析する。仮に2027年か2028年に供給過剰が発生し、GoogleがLTAを破棄して価格交渉を試みたとする。しかし、メモリ業界は cyclical(循環的)であり、供給過剰の後には必ず供給不足が訪れる。LTAを破棄した企業は、次の供給不足時にメモリ企業から「裏切り者」として扱われ、割り当てを大幅に削減されるリスクがある。これは、ビジネス全体を破壊する可能性のある決断だ。Appleは圧倒的な購買力を持つためこのリスクを無視できるが、現在の市場には少なくとも4つの有力プレイヤーが存在し、状況は異なる。
NVIDIAはこの状況を巧みに利用し、新しいビジネスモデルを展開している。それは「クレジットラッパー(信用保証)と収益分配」を組み合わせた仕組みだ。NVIDIAはGPU購入者に対して直接資金を貸すのではなく、第三者の金融機関が融資を行う際の保証を提供し、その見返りとして継続的な収益の一部を受け取る。さらに、NVIDIAはAnthropicを含む主要なAI企業に積極的に出資しており、Jensen Huangはすべてのラボの進捗を見ているため、その強気な見通しには裏付けがある。この戦略により、NVIDIAはギガワットあたりの収益を大幅に増加させ、競争優位をさらに強化している。
推論クラウドの台頭とフロンティアモデルの未来
Fireworks、Baseten、Togetherといったオープンソース推論クラウドは、フロンティアラボとほぼ同等の成長率を達成しながら、キャッシュ消費は極めて少ないという驚異的なビジネスモデルを実現している。SaaSの「Rule of 40」指標で見ても、これらの企業は異常な数値を記録している。特にFireworksの新製品「Dexus」は、CursorやHarveyといったAIネイティブ企業にとって重要なツールとなっている。3行のコードで自社データをモデルに組み込み、RL(強化学習)でカスタマイズし、ルーターでクエリを最適なモデルに振り分けることで、フロンティアモデル単独よりも低コストで高品質な出力を得られる。
この流れは、フロンティアモデルの価値をむしろ高める可能性がある。ベイカーは、仮に120 IQのオープンソースモデルが低コストで利用可能になれば、それらをオーケストレーションする160 IQのフロンティアモデルの価値はさらに高まると指摘する。Cursorが発表した「フロンティアモデルで計画し、より単純なモデルにタスクを委譲する」というアプローチは、15倍の効率向上をもたらすとされ、これは人間の組織における専門家と一般社員の役割分担に類似している。
一方で、フロンティアモデルがASI(人工超知能)に到達した際には、蒸留(distillation)によりあらゆる知能レベルでコストが劇的に低下し、オープンソースの存在意義が消滅するという「RSIマキシマリスト」の見解も存在する。ベイカーはこの可能性を完全には否定しないが、多くのAIネイティブ企業が独自のドメイン特化データを蓄積している現状を考慮すれば、オープンソースの役割は今後も重要であり続けると考える。フロンティアトークンとオープンソーストークンの共存は、AIエコシステム全体の健全性を高める。
最大のリスクは規制と業界のストーリーテリング不足
ベイカーがAI業界にとって最大のリスクと考えるのは、規制だ。ニューヨーク州がデータセンターのモラトリアム(建設凍結)を検討していることは、その象徴的な事例である。一般のアメリカ人の間では、「データセンターは電気代を引き上げ、水を消費し、雇用を奪う」というネガティブな認識が広がっている。しかし現実には、Behind-the-Meter契約により、データセンターの建設は周辺地域の電気料金を引き下げる効果がある。また、データセンター開発業者は現在、病院や学校、警察署、消防署の建設を約束し、地域社会への貢献を求められている。
データセンターは、ベイカーが「私の生涯でブルーカラー賃金にとって最高の出来事」と表現するほど、配管工、電気技師、HVAC技術者などの雇用を創出する。しかし、ブルーカラー労働者を代表するはずの民主党が、これらの雇用を奪う政策を推進しているという逆説がある。この認識ギャップの背景には、AI業界のPR不足がある。ベイカーは、ある著者がデータセンターの水使用量を10,000倍過大評価した事例を紹介する。これは「ポパイ効果」と呼ばれる現象で、学術書の誤りが80年以上にわたって「ほうれん草は鉄分が多い」という誤解を広めたのと同様の構造だ。
ベイカーは、AI業界が自らのストーリーを積極的に語る必要があると主張する。データセンターが地域社会にもたらす利益(電力料金の低下、雇用創出、医療・科学の進歩)を、NFL中継やワールドシリーズなどの広告で伝えるべきだ。AIが希少疾患の治療や人命救助に貢献している事例(ASCOでの科学的ブレークスルー)は、もっと広く知られるべきである。業界が自らの真実を語らなければ、誰も代わりに語ってくれない。これが、AIの長期的な発展にとって最も重要な課題だ。
SpaceXの公開市場参入と軌道コンピューティング
SpaceXのIPOは、公開市場にとって最も重要な新規上場だが、市場はその価値を十分に理解していないとベイカーは指摘する。Grok 4.5のリリースとCursorの買収により、SpaceXのファンダメンタルズはIPO時点から改善している。同社は過去3年間で、誰よりも速く、低コストでコンピュートを導入できることを実証してきた。スポット市場の高値で大量のコンピュートを市場に投入したが、市場はそれを完全に吸収し、フレイトトレード(コンピュートの転売)は減速しなかった。これはコンピュート需要の強さを示す強力なシグナルだ。
あるSubstackライターの報告によれば、SpaceXは今後18ヶ月で8ギガワットのコンピュートを導入する計画だという。ベイカーはこの数字を「信じがたい」としながらも、Elon Musk(イーロン・マスク)の「不可能を遅らせることを専門とする」という言葉を引用し、完全には否定しない。SpaceXは現在、1ギガワットあたり約500億ドルで収益化しており、コンセンサス予想の来期収益730億ドルは、この8ギガワットの一部が稼働すれば容易に達成可能だ。Starlinkのコア事業やGrok 4.5、Cursorを考慮すれば、100億ドルのARR到達も時間の問題だ。
さらに、ベイカーは軌道コンピューティングの可能性に言及する。Benchmarkが資金提供したStarCloudは、SpaceXと提携し、Starlinkのレーザー技術を軌道コンピューティングに活用する計画だ。Benchmarkのパートナーが、内部打ち上げコストを持たない企業に「妥当な評価額」で出資したことは、軌道コンピューティングの実現可能性に対する強いシグナルである。Starshipの着陸成功も、この分野の進展を後押ししている。ベイカーは「私が狂っているのか、Elonが狂っているのか、Benchmarkが狂っているのか。全員が狂っている可能性は低い」と述べ、軌道コンピューティングが現実のものになりつつあると示唆した。
結びに
今回のエピソードは、市場の恐怖と現場の熱狂という極端なコントラストを浮き彫りにした。公開市場はAI銘柄を売り浴びせたが、シリコンバレーの現場では需要が加速し続けている。ベイカーは、この乖離の本質を「市場が非公開企業の業績を認識できない」という構造的問題と、「Claudeによる情報処理の均質化」という新しい現象に求めた。彼の分析は、単なる強気論ではなく、契約価格とスポット価格の乖離、メモリ供給契約のゲーム理論、NVIDIAの新しいビジネスモデルなど、具体的なメカニズムに基づいている。
最も印象的なのは、ベイカーが「自分は市場より強気だが、現場の誰よりも弱気だ」と認めた点だ。彼は自らの仮説を積極的に検証し、信用市場のリスクを深く分析した。しかし、その結果として「問題が解決策になる」という逆説的な結論に達した。AIインフラの収益性が向上すれば、自己資金調達が可能になり、信用への依存度が低下する。この好循環が続く限り、AIブームは持続可能だ。
最後に、ベイカーはAI業界の最大のリスクが規制であると警告した。データセンターに対する誤解とPR不足は、業界の成長を阻害する可能性がある。技術的な課題よりも、社会的な認識のギャップこそが、AIの未来を左右するかもしれない。このエピソードは、投資家にとって、市場のノイズに惑わされず、現場の定量的データに基づいて判断することの重要性を再認識させるものだった。
あわせて読む
同じ番組の別エピソードや、近いテーマの記事から続けて読めます。





