
なぜHyperliquidは今、暗号資産で最も過小評価されている資産なのか w/ David Schamis
- なぜHyperliquidが暗号資産の中で最も過小評価されている資産なのか——David Schamis氏との対談 本エピソードでは、ウォール街のベテランであり、8億88...
- [0:00] Hyperliquidの現状——なぜ今、注目なのか Schamis氏が率いる新会社は、2024年7月に総額8億8800万ドルのファンドを発表。その約65%は...
- Schamis氏は、このファンドの存在意義を「希少性の解決」にあると説明する。HYPEは現在、CoinbaseやRobinhoodといった主要取引所に上場しておらず、米国...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
The Milk Road Show / The Milk Road Show
なぜHyperliquidが暗号資産の中で最も過小評価されている資産なのか——David Schamis氏との対談
本エピソードでは、ウォール街のベテランであり、8億8800万ドルもの資金をHyperliquid(ハイパーリキッド)のトークン「HYPE」に集中投資する新会社を率いるDavid Schamis氏が登場。Paradigm、Galaxy、Pantera、D1 Capitalといった業界最大手の支援を受ける同氏は、HYPEが「暗号資産全体で最も過小評価されている資産」であり、しかもCoinbaseにすら上場していないという逆説的な状況を指摘する。ホストのLG DoucetとJayが、HYPEの圧倒的な収益力、未上場ゆえの希少性、そして「すべての金融をブロックチェーンに載せる」というHyperliquidの壮大なビジョンについて、時に熱く、時に批判的な視点も交えながら深掘りしていく。
Hyperliquidの現状——なぜ今、注目なのか
Schamis氏が率いる新会社は、2024年7月に総額8億8800万ドルのファンドを発表。その約65%は既にHYPEを保有する投資家がトークンを現物出資する形で参加し、残り35%は現金での出資となっている。このファンドは、いわゆる「DAT(Digital Asset Trust)」と呼ばれる仕組みで、既存の公開企業に買収される形で上場を目指している。具体的には、Sonnet Biotherapeutics(ティッカー:SONN)という10年以上前から上場している企業と合併し、2024年11月中旬にクロージング予定。その後、株式統合(1対5)を経て、ティッカーは「PURR」に変更される。この「PURR」とは、Hyperliquidがメインネット立ち上げ時にテスト用として発行した最初のトークン名に由来しており、コミュニティ内では象徴的な意味を持つ。
Schamis氏は、このファンドの存在意義を「希少性の解決」にあると説明する。HYPEは現在、CoinbaseやRobinhoodといった主要取引所に上場しておらず、米国居住者が購入するのは極めて困難だ。この「買いたくても買えない」状況こそが、同氏のビジネスモデルの核心であり、同時にHYPEが過小評価されている最大の理由でもある。
なぜHYPEは過小評価されているのか——収益力とバリュエーションのミスマッチ
Schamis氏がHYPEに注目した最大の理由は、その圧倒的な収益力にある。Hyperliquidはオンチェーン上の永久先物取引所(perpetual futures DEX)の分野で断トツのシェアを誇り、直近の月間取引高は3000億ドルに達する。2024年8月には1億1000万ドル、9月には8800万ドルの収益を計上。1日あたりの収益は約300万ドルで、これは暗号資産全体で見ても、TetherとCircleに次ぐ3番目の規模だ。
さらに特筆すべきは、この収益の99%がトークンの自社買い戻しに使われている点である。つまり、HYPEホルダーは実質的に企業のフリーキャッシュフローを享受できる構造になっている。年間換算で10億〜15億ドルのフリーキャッシュフローを生み出すこのプロトコルが、約120億ドルの時価総額(流通供給量ベース)で取引されているということは、暗号資産の世界では驚くほど割安なバリュエーションだ。Schamis氏は「Coinbaseや他の暗号資産関連銘柄と比較しても、このマルチプルは魅力的だ」と強調する。
ただし、この120億ドルという数字には注意が必要だ。2024年11月にはコアチームへのトークンロック解除が予定されており、完全希薄化後の時価総額はもう少し高くなる。しかし、それでも「1兆ドル近い時価総額で取引されている銘柄がザラにある暗号資産の世界では、まだまだ割安」とSchamis氏は主張する。
Hyperliquidの未来——「すべての金融をブロックチェーンに」
Schamis氏が最も興奮しているのは、Hyperliquidの今後の成長可能性だ。同氏はシンガポールで開催されたHyperliquidのイベントに参加し、彼らのスローガンが「すべての金融をブロックチェーンに載せる(to be the blockchain to house all of finance)」であることを紹介。これは単なるキャッチフレーズではなく、具体的なプロダクトロードマップに裏打ちされている。
特に注目すべきは「HIP3(Hyperliquid Improvement Proposal 3)」と呼ばれる仕組みだ。これは、第三者がHyperliquidの技術基盤を借りて、独自の永久先物取引所を立ち上げられるようにするもの。例えば、米国株、欧州債券、不動産、さらにはプレIPO株(OpenAIやSpaceXなど)の永久先物市場を、取引所の基盤を一から構築することなく作ることができる。Schamis氏は「誰でも、世界中のあらゆる資産の永久先物市場を、Hyperliquidのエンジンを使って立ち上げられる。これは本当に画期的だ」と語る。
すでにVenturesという企業が、プレIPO株向けの永久先物市場をHIP3を使って立ち上げる計画を発表している。世界の株式市場だけでも約120兆ドルの規模があり、このTAM(Total Addressable Market)は事実上「すべての金融」に及ぶ。Schamis氏は「これまで多くの人が『他の資産もブロックチェーンに載せるべきだ』と言ってきたが、具体的な実装方法は誰も示せていなかった。HIP3はその答えを提示している」と評価する。
ビルダーコードとエコシステムの拡大
もう一つの重要な成長ドライバーが「ビルダーコード(Builder Codes)」だ。これは、PhantomやMetaMaskといったブラウザウォレットが、自社のアプリ内でHyperliquidの永久先物取引を提供できるようにする仕組み。ウォレット側は自前で取引所を構築する必要がなく、Hyperliquidのコードを埋め込むだけで、ユーザーに取引機能を提供できる。ユーザーから見れば、自分がHyperliquidで取引していることすら気づかないかもしれないが、裏ではHyperliquidに収益が入る仕組みだ。
Schamis氏は「PhantomやMetaMaskが自前で永久先物取引所を作ろうと思ったら、何年もかかり、巨額のコストがかかり、成功する保証もない。ビルダーコードを使えば、最小限の開発リソースでこれを実現できる」と説明する。この仕組みにより、Hyperliquidは事実上、暗号資産エコシステム全体の「永久先物エンジン」としての地位を確立しつつある。
さらに、Hyperliquidは独自のブロックチェーン「Hyper EVM」も運営しており、そのエコシステムにはすでに多くの開発者が集まっている。HYPEの貸付、流動性ステーキング、さらにはUSDHというネイティブステーブルコインの計画も進行中。現在、Hyperliquidのブロックチェーン上には約50〜60億ドル相当のUSDCが存在しており、これは全USDC流通量の約10%に相当する驚異的な数字だ。
課題と不透明感——トークンロック解除とコミュニティの声
Schamis氏は、投資家としての立場からHyperliquidの課題も率直に指摘する。最大の懸念は、2024年11月に予定されているコアチームへのトークンロック解除を巡る不透明感だ。市場は「彼らが大量に売却するのではないか」と懸念しているが、Schamis氏は「それは極めて可能性が低い」と見る。しかし、市場は不確実性を嫌うため、Jeff Yan(Hyperliquidの創業者)とチームがより明確な情報開示を行うべきだと提言する。
また、未発行の供給量(全供給の約38%が将来のエミッション用に確保されている)についても、コミュニティからは透明性向上を求める声が上がっている。コミュニティメンバーのJohn Charbonneauが提案した「HIP4」では、これらの未発行トークンを焼却するか、発行計画を明確にするよう求めている。Schamis氏は「私はチームがコミュニティの声に耳を傾けていると確信している。しかし、彼らには優先順位があり、情報開示が最優先事項ではないかもしれない。だからこそ、我々のようなファンドの役割は、その情報を市場にわかりやすく伝えることだ」と語る。
ステーブルコイン戦争とCircleへの見解
Schamis氏は、自身のファームAtlas Merchant CapitalがかつてCircleのSPAC上場を目指していた経緯を持つ。その経験から、ステーブルコイン市場の将来について独自の見解を述べる。同氏は「ステーブルコイン市場には競争が激化するだろう。USDHのような新しいプレイヤーが登場し、金利スプレッドのマージンは縮小していく」と予測する。しかし同時に、「Amazonのような大企業が毎日何億ドルもの資金をブロックチェーン上で動かす時代になれば、規制面で最も信頼できる1〜2社が勝ち残る」とも指摘。Circleはそのポジションを狙っているが、競争は避けられないという。
ホストのLGが「Amazonが自社のステーブルコインを作る可能性は?」と質問すると、Schamis氏は「Amazonは自社の配送網を作ったように、いずれは自社のステーブルコインを作るかもしれない。しかし、それは簡単なことではない」と慎重な見解を示した。
暗号資産市場全体の見通し——サイクルか、それとも構造的成長か
Schamis氏は、暗号資産市場を「オール・オア・ナッシング」で語る風潮に批判的だ。「ビットコインが世界の基軸通貨になるか、それともすべてがゼロになるか、という二択ではない。金(ゴールド)はもはや世界の通貨ではないが、25兆ドルの時価総額がある。同じように、暗号資産にも価値保存手段としての明確なユースケースが存在する」と語る。
ビットコインの時価総額(約2.4兆ドル)と金(約25兆ドル)を比較すれば、まだ10倍以上の成長余地があるというのが同氏の基本的なスタンスだ。ただし、「10年後のビットコインが今より高いことは確信できるが、10週間後の価格を予測するのは不可能だ」とも認め、短期的な値動きの予測を避ける姿勢を貫いた。
まとめ
このエピソードの核心は、Hyperliquidが「収益を生み出しているにもかかわらず、アクセスが困難であるがゆえに過小評価されている」という逆説的な状況にある。Schamis氏は、ウォール街のベテランとしての経験を活かし、伝統的な金融の枠組み(キャッシュフロー、バリュエーション、希少性)でHYPEを分析。その結果、暗号資産の中でも異例の「割安感」があると結論づけている。
同時に、HIP3やビルダーコードといった技術的イノベーションが、Hyperliquidを単なる永久先物取引所から「すべての金融のインフラ」へと進化させる可能性を示唆。ただし、トークンロック解除や情報開示の不透明さといった課題も浮き彫りになった。
このエピソードが重要なのは、単なる「買い推奨」ではなく、暗号資産への投資判断において「収益力」と「アクセスのしやすさ」という二つの軸で評価する枠組みを提供している点にある。Schamis氏の「キャッシュフローこそが究極の指標」というメッセージは、投機的な要素が強い暗号資産市場において、一つの確かな羅針盤を示している。
要点
- Hyperliquidはオンチェーン永久先物取引所で圧倒的なシェア(50%以上)を持ち、月間取引高は3000億ドル、1日あたりの収益は約300万ドルに達する
- HYPEトークンの年間フリーキャッシュフローは10億〜15億ドルと推定され、その99%が自社買い戻しに使用されている
- CoinbaseやRobinhoodに未上場であることが「希少性」を生み、同時に過小評価の原因にもなっている
- HIP3により、第三者がHyperliquidの技術基盤を借りて任意の資産(米国株、不動産、プレIPO株など)の永久先物市場を立ち上げられる
- ビルダーコードにより、PhantomやMetaMaskなどのウォレットが簡単に永久先物取引機能を追加できる
- 2024年11月のトークンロック解除を巡る不透明感が短期的なリスク要因だが、Schamis氏は大量売却の可能性は低いと見る
- 暗号資産市場全体としては、金との比較からビットコインに10倍以上の成長余地があるが、短期的な価格予測は不可能
- Schamis氏のファンドは2024年11月中旬に上場予定で、ティッカーは「PURR」に変更される