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My First Million · 2026年5月21日

資産の80%をS&Pに投入した理由

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この記事でわかること
  • スウェーデンの双子データベースと資産税データを組み合わせた研究によれば、貯蓄と投資の行動パターンの45%は遺伝子によって説明されるという。この衝撃的な事実を皮切りに、Sh...
  • 後半では、話題はYC(Y Combinator)の最新の「Request for Startups」に移る。美的データセンター、企業脳としてのAI、ドローンスウォーム防衛...
  • [0:00] 遺伝子が決める投資行動——スウェーデンの双子研究が示す衝撃の事実 Shaanはまず、スウェーデンの研究者Heinrichによる2014年の研究を紹介する。ス...
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My First Million / Hubspot Media

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スウェーデンの双子データベースと資産税データを組み合わせた研究によれば、貯蓄と投資の行動パターンの45%は遺伝子によって説明されるという。この衝撃的な事実を皮切りに、Shaan PuriとSam Parrは「自分自身を知ること」がビジネスと投資の成功においていかに決定的な要素であるかを掘り下げていく。Mohnish Pabraiのエピソードを引き合いに出しながら、二人は「自分に合ったゲームを選ぶ」ことの重要性を強調する。Pabraiは、自身が「シングルプレイヤー・競争的・数字ベースのゲーム」に向いていることを理解したことで、起業家から投資家へとキャリアをシフトし、大成功を収めた。この「Know Thyself(汝自身を知れ)」の原則は、単なる自己啓発ではなく、ビジネス上の問題の多くが経営者自身の性格の欠陥を映し出す鏡であるという洞察へと発展する。

後半では、話題はYC(Y Combinator)の最新の「Request for Startups」に移る。美的データセンター、企業脳としてのAI、ドローンスウォーム防衛、AIによる個別化医療といった、次世代の起業機会が次々と紹介される。特に、Jack Dorseyが提唱する「AIが経営判断を行い、人間はそのAIに情報を提供するノードとなる」という逆転の発想は、従来の組織構造を根本から覆すものだ。さらに、Nat Friedmanが自身の遺伝子データと血液検査データをAIに与え、脱水症状の改善を指示した逸話は、AIが健康管理の主体となる未来を垣間見せる。エピソード全体を通じて、ShaanとSamは「地面が動いている」という感覚を共有し、次の10年の大きな波に乗るためには、過去の成功パターンにとらわれず、新しいゲームのルールを読み解く感性が不可欠だと結論づける。

0:00遺伝子が決める投資行動——スウェーデンの双子研究が示す衝撃の事実

Shaanはまず、スウェーデンの研究者Heinrichによる2014年の研究を紹介する。スウェーデンは双子のデータベースと、2007年まで存在した資産税のおかげで国民の全金融ポートフォリオを追跡できるという稀有な環境を持っていた。研究者は一卵性双生児(DNA100%共有)と二卵性双生児(50%共有)の投資行動を比較し、遺伝子がどの程度影響するかを分析した。分析対象となったのは、「保有銘柄が少なすぎる」「過剰な取引」「パフォーマンス・チェイシング(前年好調だった銘柄を買う)」「自国バイアス(自国株に過剰投資)」「宝くじ型銘柄を好む」「含み損を抱えた銘柄を売れない(ディスポジション効果)」の6つのバイアスだ。3万人以上の双子を対象としたこの研究の結論は、貯蓄と投資のパターンの45%が遺伝子によって説明されるというものだった。

Shaanはこの研究結果から、投資の本質は金融知識ではなく人間性にあると主張する。金融のトレンドは10年ごとに変わるが、何千年も変わらない人間の行動原理を理解することの方がはるかに重要だというのだ。彼は「変化には言葉ではなく痛みが必要」という持論を展開する。教育レベルを統制した場合、ビジネス書を読んでも投資成績は改善しないが、実際に金融業界で働き痛い損失を経験した人だけが行動を変えられたという研究結果がその根拠だ。

では、遺伝的に不利なバイアスを持つ人はどうすればいいのか。Shaanは4つの対策を提示する。第一に、自分の「得意分野(zone of genius)」に投資すること。Warren Buffettがゆっくり着実な銘柄を好むのは、彼自身がそういう性格だからだ。第二に、「未来に決断を委ねない」ための事前コミットメント。例えば、従業員を雇う際に「3ヶ月後にこの基準を満たしていなければ解雇する」とあらかじめ決めておく。第三に、フィードバックループを短くして、迅速に結果を確認できるようにする。第四に、自分のバイアスが致命的になるゲームを避けること。コントロール志向で慎重な人間が、制御不能で超高速成長を求められるVC資金調達型のビジネスをやれば、自滅するのは目に見えている。

5:07あなたの性格がビジネスを創る——Mohnish Pabraiに学ぶ「Know Thyself」

Mohnish PabraiはMy First Millionの歴代最多視聴回数を誇るゲストだ。彼はかつて年商600万ドル程度の企業を経営していたが、常に燃え尽き感を抱えていた。ある高度なパーソナリティテスト(同僚、両親、知人全員にインタビューする360度評価)を受けた結果、「あなたはシングルプレイヤー・競争的・数字ベースのゲームを好むのに、今やっているのはマルチプレイヤーで数字ベースでないゲームだ」と指摘される。これが転機となり、彼は投資家としてのキャリアを歩み始める。

Pabraiの面白いところは、この「ゲームの選択」をあらゆる活動に適用した点だ。カジノでも彼は、特定のカジノで特定の方法でプレイするシステムを編み出し、ハウスを打ち負かす知的スリルを追求した。慈善活動においても、彼は華やかなガラパーティーや社交界のネットワーキングではなく、「1ドルの寄付が最大の経済的リターンを生む方法」を追求する。具体的には、インドの農村部で優秀だが教育機会のない子供たちを見つけ出し、年間3,000ドルで競争力のある学校に通わせる。これにより、その家族の収入を年1万ドルから5万ドルに引き上げられる。IIT(インド工科大学)はハーバードより入学が難しいと言われるが、Pabraiのプログラムの合格率は通常の10倍に達する。

ShaanとSamは、この「自分に合ったゲーム」を見つけることの難しさについて議論する。Samは、James Currierというメンターから「もっと早く自分の本当の姿を教えてほしかった」と言われたエピソードを紹介する。Currierはサッカー選手として人生を送ってきたが、実はラケットスポーツ(長いリーチと優れた目と手の協調性を活かせる)に向いていたことに後になって気づいたという。Shaanは自分自身の「得意なゲーム」を「新しいトピックを徹底的にリサーチし、逆張りで深掘りすること」と定義する。彼はHamptonのCEOではないが、新規プロジェクトの立ち上げ時に、過去の類似事例の成功と失敗を研究し、専門家に話を聞き、自分が犯しうるミスを事前に把握する作業に没頭する。

23:46生産的なプラシーボ——真実より有用性を選ぶ思考法

Shaanは、先の双子研究に対して意外な反応を示す。彼は「この研究の結論が真実かどうかは重要ではない。私が信じるべきは、良い結果を導く信念だ」と主張する。彼はHoward Marks(オークツリー・キャピタル共同創業者)の言葉を引用する。S&P500の平均年間リターンは10%だが、実際に10%の年がどれだけあるかというと、ほとんどない。平均は中央値や最頻値とは異なる。同様に、「平均水深5フィートの川を渡る多くの人が溺れる」ように、平均値は現実を正確に反映しない。

Shaanは「生産的なプラシーボ(productive placebos)」という概念を提唱する。重要なのは「何が真実か」ではなく「何が有用か」だ。たとえ遺伝子が45%を決定するという事実があったとしても、「それでも55%は自分でコントロールできる」と解釈すれば、それは前向きな行動を促す。Samはこれに異を唱え、「事実をどう活用するか」が重要だと主張する。二人のアプローチは対照的だが、結論としては「自分のバイアスを認識し、特に弱い部分を警戒する」という点で一致する。

Samは自身の投資行動を振り返り、6つのバイアスのうち「含み損を抱えた銘柄を売れない(ディスポジション効果)」が最も顕著だと認める。彼は感情的に愛着を持った銘柄を手放せない傾向がある。一方Shaanは「過剰な活動」が自分の問題だと分析する。彼はThe Hustleを売却した後、資産の80%をS&P500に投入した。Howard Marksがポッドキャストで「現在のS&P500は23倍のPERで割高であり、今後10年のリターンは-2%から2%の間になる可能性が高い」と警告したにもかかわらず、Samは動じない。彼は「アメリカの歴史を研究し、長期的には年率8%のリターンが続くと信じている。たとえMarksの予測が当たっても、私の40年計画には影響しない」と語る。

33:39YCのRequest for Startups——次世代の起業機会を読む

Samは、YC(Y Combinator)が定期的に発表する「Request for Startups(RFS)」に注目する。YCはAirbnbやDropboxを初期に支援した世界で最も成功したアクセラレーターだ。かつてのRFSは「弁護士向けのより良いソフトウェア」といった地味なものだったが、近年は「癌を治す方法」のような壮大なテーマに変わってきている。今回のエピソードでは、その中から特に印象的な3つのアイデアが取り上げられる。

第一のアイデアは「美的データセンター(aesthetic data centers)」だ。Daniel Gross(元Apple AI責任者、YCパートナー)が提唱したもので、AI競争に勝つために大量のデータセンター建設が必要だが、アメリカ国民の多くはAIを嫌っているという問題に端を発する。人々はデータセンターが電力料金を上げ、水を消費すると懸念するが、実際にはゴルフ場の方が100倍もの水を使っている。そこで、データセンターの建設費は数十億ドル単位だが、建築的に美しくするための追加コストはごくわずかであることを活かし、地域社会に受け入れられるデザインを採用すべきだという提案だ。

Samはこのアイデアに歴史的な類似例を見出す。John D. Rockefeller Jr.は、父親が築いたStandard Oilの悪評を払拭するため、大恐慌下のニューヨークでRockefeller Centerを建設した。これは1万人を雇用し、都市を活性化する公共事業であり、同時に「評判のロンダリング(reputation laundering)」として機能した。また、携帯電話基地局が嫌われた時代には、塔をヤシの木や松の木に見せかける「モノパイン」「モノパーム」という偽装技術が使われた。Andrew Carnegieも、過酷な労働環境で知られる鉄鋼業を営みながら、2,500もの公共図書館を建設した。これらの事例は、大規模インフラを社会に受け入れさせるための戦略として示唆に富む。

42:15企業脳としてのAI——人間がAIに仕える未来

Shaanは「企業脳(The Company Brain)」というコンセプトを紹介する。現在のAIの使い方は「スマートなアシスタント」、つまり人間が質問してAIが答えを返す、あるいはタスクを委任するというモデルが主流だ。しかし、Shaanは逆の方向性が来ると予測する。すなわち、AIが経営判断を行い、人間はそのAIに情報を提供するノードとなるというモデルだ。Jack Dorsey(Block創業者)はこの考え方を最も声高に主張する一人で、Blockでは数万人を解雇し、組織構造を根本から変えようとしている。

Shaanは自身の経験からもこの変化を実感している。当初は「これをやってくれ」とAIに指示を出す使い方だったが、今では「質問をしてくれ。私が答えを提供するから、最適な判断を教えてくれ」という使い方に変わったという。この「AIが思考し、人間が実行する」という逆転の発想は、従来の組織論を根底から覆す。

さらにShaanは、調査会社Citriniの事例を紹介する。Citriniは「AIが生産性を向上させればさせるほど、雇用が減り、賃金が減り、消費が減り、経済が縮小する」という逆説的なシナリオを発表し、市場に大きな売りを引き起こした。その後、彼らは第二のレポートで、未来のアナリストの仕事とは「AIに代わって現場で一次データを収集すること」だと主張する。実際に彼らは研究者をホルムズ海峡に派遣し、現地の漁師に賄賂を渡してボートで海峡に出てもらい、通過する船舶の実態を調査した。AIはスプレッドシートや決算報告書を読むのは得意だが、現地に行って生の情報を収集することはできない。未来のホワイトカラー労働者は、AIに「餌(高品質な一次データ)」を与える存在になるというのだ。

51:10ドローンスウォーム防衛と地殻変動——変化する戦争とビジネスのルール

YCのRFSに含まれるもう一つのテーマは「ドローンスウォーム防衛」だ。イランが小型のドローンスウォームを送り込み、AWSのデータセンターを破壊した事例が紹介される。問題は、米軍の現在の防御システムが1発200万ドルのミサイルで200ドルのドローンを撃ち落とすという非対称なコスト構造にある。Palmer Luckeyが創業したAndurilのような企業がこの分野で注目されている。

Samはこの話題から、より大きな「地殻変動」の話へと展開する。シリコンバレーで成功するための「ゲームのルール」は常に変化してきた。FacebookやTwitterの時代、次はAirbnbやUberのようなリアルワールド・マーケットプレイスが台頭した。その後、暗号通貨の波が来て、今はAIの時代だ。重要なのは、次の大きな波は決して前の波と同じ形をしていないという点だ。OpenAIは営利企業ですらなく、「非営利の研究機関」としてスタートした。Samがシリコンバレーに移った当時、研究ラボを立ち上げようとする起業家など一人もいなかった。しかし、それが次の10年の最大の勝者となった。

Shaanは「地面が動いている」という感覚の重要性を強調する。過去の成功パターンに固執するのではなく、新しいゲームのルールを読み解く感性が不可欠だ。PalantirのAlex Karpは「シリコンバレーはもっと米軍や政府と関わるべきだ」と宣言している。かつてはスーツを着て現れる人は「政府関係者か」と冗談のネタにされたが、今や防衛テックはクールな分野になった。この変化を敏感に察知できるかどうかが、次の10年の勝敗を分ける。

57:33AIによる個別化医療——Nat Friedmanの実験と未来予測

エピソードの最後は、AIによる個別化医療の衝撃的な事例で締めくくられる。Nat Friedman(元GitHub CEO、現在はMetaのAIプログラムのブレーンの一人)は、自身の遺伝子データと血液検査データをAI(Claude Code)に与え、「分析せよ」と指示した。AIは「慢性的な脱水症状です」と診断した。そこでFriedmanは「脱水を改善するために必要なことは何でもしろ」と命令する。AIは彼の家の全システム(カメラ、テレビ、Alexa、WhatsApp)に接続されており、「4時間座りっぱなしで水を飲んでいない。キッチンに行って水を飲め」と指示を出し、カメラで実際に水を飲むのを確認して「よくやった」と褒めた。

さらにFriedmanは、AIにマグネシウムサプリメントの摂取を指示され、自動運転のTeslaが勝手に最寄りのWhole Foodsにルートを変更したというエピソードも語った。Shaanはこれを「未来はすでにここにある。ただ不均等に分布しているだけだ」という有名な言葉で表現する。GitLabの創業者Sid Sijbrandijは自身の癌をAIを使って治療している(完治したとの情報もある)。Shaanの友人もAI専門家として自身の癌治療にAIを活用し、数ヶ月ごとに良い知らせを受け取っているという。

Samは「ある閾値を超えた富裕層なら、こうしたAIによる管理を受け入れるだろう」と述べるが、Shaanは「それはお金の問題ではなく、性格の問題だ」と反論する。Elon MuskがSNLで言った「私はロケットと自動運転車を作った。普通の人間だと思うか?」という言葉を引用し、偉大なことを成し遂げる人は常識では測れないものだと締めくくる。

結びに

このエピソードの核心は、「自分自身を知ること」と「変化の兆候を読み取ること」の二つに集約される。遺伝子研究が示すように、私たちの行動パターンの多くは生まれつきのものだが、それを認識した上で「自分に合ったゲーム」を選択することは可能だ。Mohnish Pabraiの例は、自分の性格に合わないビジネスから撤退し、真に適したフィールドで圧倒的な成果を上げた好例である。同時に、YCのRFSやNat Friedmanの実験は、AIがもたらす地殻変動の只中に私たちがいることを痛感させる。美的データセンター、企業脳としてのAI、ドローンスウォーム防衛、個別化医療——これらのテーマは、次の10年のビジネスチャンスを予感させる。ShaanとSamが繰り返し強調するのは、「過去の成功パターンに固執せず、地面が動いている感覚を研ぎ澄ませ」というメッセージだ。このエピソードは、投資家、起業家、そしてこれからキャリアを築こうとするすべての人にとって、自分自身と向き合い、変化を恐れずに新しいゲームに飛び込む勇気を与えてくれる。

要点

  • スウェーデンの双子研究によれば、貯蓄・投資行動の45%は遺伝子で説明される。教育や読書ではこの影響は克服できず、実際の損失経験だけが行動変容をもたらす。
  • Mohnish Pabraiは「シングルプレイヤー・競争的・数字ベースのゲーム」に適性があることを認識し、起業家から投資家に転身して成功した。慈善活動でも同じ原則を適用し、1ドルの寄付が最大の経済的リターンを生む方法を追求している。
  • 「生産的なプラシーボ」の考え方:真実よりも有用性を優先し、「遺伝子が45%を決める」という事実を「それでも55%は自分でコントロールできる」と解釈することで前向きな行動を促す。
  • 美的データセンターは、数十億ドルの建設費に対して微々たる追加コストで地域社会に受け入れられるデザインを採用するというアイデア。Rockefeller Centerやモノパイン(携帯基地局の偽装)などの歴史的先例がある。
  • 「企業脳」モデルでは、AIが経営判断を行い、人間はAIに高品質な一次データを提供するノードとなる。Jack DorseyはこのモデルをBlockで実践し、組織構造を根本から変革している。
  • ドローンスウォーム防衛は、200万ドルのミサイルで200ドルのドローンを撃ち落とす非対称コスト構造を解決する新市場。Andurilのような企業が注目される。
  • Nat Friedmanは自身の遺伝子データと血液検査データをAIに与え、脱水症状の改善を指示。AIは家の全システムと連携して彼の行動を管理し、自動運転車までルート変更した。これはAIによる健康管理の未来を予見させる。
  • 次の10年の大きなビジネスチャンスは、過去の成功パターンとは全く異なる形で現れる。OpenAIが非営利研究機関としてスタートしたように、新しいゲームのルールを読み解く感性が不可欠だ。