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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy · 2026年5月21日

ポール・テューダー・ジョーンズ - 市場50年の教訓 - [Invest Like the Best, EP.470]

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • ポール・テューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)は、1987年のブラックマンデーを的中させ、40年以上にわたり驚異的なリスク調整後リターンを生み出してき...
  • [04:44] トレーダーと投資家の本質的差異:リスク管理と複利の力 ジョーンズは、トレーダーと投資家の違いを、そのリスク管理と収益の源泉から明確に区別する。彼自身が運用...
  • 彼のトレーディング観は、1976年にコモディティ取引所の pits(立会場)でキャリアを始めた経験に深く根ざしている。当時はインフレが猛威を振るい、シルバー相場はバンカー...
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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts

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ポール・テューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)は、1987年のブラックマンデーを的中させ、40年以上にわたり驚異的なリスク調整後リターンを生み出してきた、マクロトレーディングの生ける伝説である。本エピソードは、Invest Like the Bestのパトリック・オショーネシーが、彼のトレーディング哲学、人生観、そしてAIや市場バブルに対する鋭い見解を引き出した、稀有な深さを持つ対話である。ジョーンズは、投資家とトレーダーの本質的な違いを鮮やかに描き出し、自身のキャリアを「NFLの右ガードのように毎日塹壕で戦う」ものと表現する一方、ウォーレン・バフェットのような長期投資家を「複利の天才」と称賛し、過去の自身の誤った認識を率直に謝罪する場面もある。このインタビューは、単なる市場分析を超え、幼少期の親切な体験がその後の慈善活動(Robin Hood財団の創設)に与えた影響、人生における「神、家族、友人、奉仕」の重要性、そして「親切で殺せ(Kill 'em with kindness)」という母の教えに至るまで、彼の人間性の全体像に迫るものとなっている。2026年2月中旬に収録されたこの会話は、その後の地政学的混乱を予見させるかのような、AI規制の欠如に対する強い警鐘も含んでおり、現代の投資家にとって極めて示唆に富む内容である。

04:44トレーダーと投資家の本質的差異:リスク管理と複利の力

ジョーンズは、トレーダーと投資家の違いを、そのリスク管理と収益の源泉から明確に区別する。彼自身が運用するBBIファンドは、40年間にわたりS&P500との相関がマイナス0.12であり、そのリターンの100%がアルファ(市場とは無関係な超過収益)であると説明する。これは、市場のトレンドに乗る長期投資家とは全く異なる世界であり、彼は「アメリカを信じてじっとしていればいい」バフェットのような投資家を羨む一方で、自身は50%のドローダウン(資産減少)に耐える精神的な余裕はないと認める。

彼のトレーディング観は、1976年にコモディティ取引所の pits(立会場)でキャリアを始めた経験に深く根ざしている。当時はインフレが猛威を振るい、シルバー相場はバンカー・ハントの買い占めにより50ドルまで高騰した後、わずか8週間で10ドル以下に暴落した。この「最も裕福な男が一瞬で破産する」光景を目の当たりにした経験が、「生涯、何かを所有したり信頼したりすることはない」という彼のトレーディング哲学の基盤となった。同時に、祖父から教えられた「お前の価値は、明日小切手を書ける金額だけだ」という教えが、流動性(liquidity)を何よりも重視するDNAを形成した。

しかし、ジョーンズは長年にわたりバフェットを過小評価していたことを悔いる。Acquiredポッドキャストでバフェットが9歳で複利の力を理解していたことを知り、「私は最大の愚か者だった」と告白する。バフェットはコロンビア大学でベンジャミン・グレアムを求め、さらにチャーリー・マンガーと組むことで、成長企業の複利効果を活用する戦略を完成させた。ジョーンズは「What I Realize Now(今になって気づいたこと)」という本を書きたいと述べ、自身のキャリアを通じて複利を「見事に避け続けてきた」ことを認め、バフェットを「複利の元祖(OG)」と最大限の賛辞を送る。

23:48AIのリスク管理の欠如:規制なき進化への警鐘

ジョーンズは、AIを「歴史上最大のリスクの一つ」と断じ、その開発プロセスに内在する危険性を鋭く指摘する。問題の核心は、AIが「ビルド、ブレイク、イテレート(作っては壊し、修正する)」という従来のイノベーションモデルで進められていることにある。しかし、このモデルは、テールイベント(発生確率は低いが影響が甚大な事象)が数億、あるいは数十億人の命に関わる可能性がある場合には全く適切ではないと警告する。

彼は約18ヶ月前に参加した35〜40人の専門家による会合で、大手AIモデル企業のモデラーに「AIの安全性はどのように解決されるのか」と質問した。その時のコンセンサス回答は、「おそらく、5000万人か1億人が事故で死んだときに、ようやく何かをするだろう」というものだったという。この回答にジョーンズは強い衝撃を受け、AIには「国民投票(plebiscite)」がなく、一般市民がその開発ペースについて賛否を表明する手段がないことを問題視する。彼は、原爆投下から18ヶ月後に米国が原子力委員会(Atomic Energy Commission)を設立したことを例に挙げ、AIにおいても同様の迅速な規制枠組みの構築が不可欠だと主張する。

具体的な規制案として、ジョーンズは「AIコンテンツへの透かし(watermarking)の義務化」を最優先課題に挙げる。これを故意に3回違反した場合には禁固刑も辞さない厳格なルールを提案し、「何が真正な人間の成果で、何がそうでないかを知りたい」と述べる。彼は今年に入ってから既に、深刻な人々から「あの映像を見たか?」と問い合わせを受け、それが全てディープフェイクだったという経験を語る。さらに、同会合では「人間の脳にチップを埋め込み、知識やパワーにアクセスする未来」を想定する科学者が少なからずいたことに触れ、人間と機械の融合が「不可侵の権利を持つべき未来」として受け入れられている現状に強い違和感を示す。彼は「私は反対票を投じる。ほとんどの人間も反対するだろう」と断言する。

28:51トレーディングの極意:ボクシング、情報過多、そして「絶妙な執行」

ジョーンズはトレーディングをボクシングに例える。市場という相手とリングに立ち、ジャブを打ち合い、隙を窺い、そして稀に訪れる大きなチャンス(2020年のビットコイン、2022年の2年国債レート)で一発のノックアウトパンチを打つ。この「大きな窓」が開く瞬間は、多くの場合、中央銀行や政府の政策ミス、あるいは市場が行き過ぎた時に訪れる。例えば、現在進行形の事例としてドル円を挙げ、円は著しく過小評価されているが、触媒(catalytic moment)が必要だと説明する。新たに選出された首相がレーガンやサッチャーのような改革志向であることが、その触媒となり得る。

彼が最も重視するのは「絶妙な執行(exquisite execution)」である。これは、恐怖の極致で買い、熱狂の頂点で売るという、イーライ・タリスから学んだ原則だ。タリスは、不作で綿花が大暴落した週末の後、市場が寄り付きからストップ安(limit down)となる中、妻とその友人たちをオフィスに招き、笑顔で接待していたという。この逸話は、「困難な時にこそ、強気でいること(When the going gets tough, the tough get going)」の重要性をジョーンズに刻み込んだ。

しかし、現代のトレーディングは情報過多により格段に難しくなっていると彼は嘆く。1日に800〜1000通のメールが届く環境では、かつてのように1日の高値・安値に集中することが困難になった。彼は毎日、朝6時15分に起床し、45分のハードな有酸素運動を行い、市場の寄り付き前に準備を整える。夜中2時半か3時にも一度起きて30分〜45分ほどアジア市場をチェックし、分析作業を行うというルーティンを数十年にわたって続けている。この規律こそが、25もの異なる商品を同時にトレードする彼のパフォーマンスを支えている。

34:30バブルの歴史と現在地:レバレッジ、株式供給、そして逆資産効果

ジョーンズは、歴史上の大きな暴落のほとんどに共通する原因として「過剰なレバレッジ」を挙げる。1987年の暴落は100%ポートフォリオ・インシュアランス(一種のデリバティブ戦略)が原因であり、1998年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)もデリバティブのポジションが引き金となった。2000年のバブル崩壊は、99年と2000年のIPO(新規株式公開)に伴うロックアップ解除による「売りのカスケード(連鎖)」が特徴だった。

現在の市場について、彼は「バブルか?」と問われれば、明確に「ソブリン債務バブルの中にいる」と答える。米国の株式時価総額はGDPの252%に達しており、これは1929年の65%、1987年の85〜90%、2000年の170%をはるかに超える水準である。仮にPER(株価収益率)が過去25〜30年の平均値に回帰すれば、株価は30〜35%下落する計算になる。これはGDPの89%に相当する資産価値の喪失であり、逆資産効果(reverse wealth effect)を通じて税収の10%を占めるキャピタルゲイン税が消失し、財政赤字が爆発的に拡大する悪循環を招く。

さらに、彼は現在の市場を2000年のバブル崩壊前夜と比較する。当時はIPOラッシュの後、ロックアップ解除による株式供給の増加が継続的な売り圧力となった。現在も同様に、今後1年間に計画されているIPOの規模は市場時価総額の5〜6%に達すると見積もられる。これまで10年間、自社株買いによって年間2〜3%の株式が市場から吸収されてきたが、ハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)の設備投資需要がキャッシュフローを圧迫し、自社株買いが減少する一方でIPOによる株式供給が増加すれば、需給は大きく悪化する。彼は「テクノロジー株が冴えないのはそのためであり、今後も続くだろう」と予測する。

42:10人生の四大要素と「親切で殺せ」の哲学

ジョーンズは、充実した人生の構成要素を「神、家族、友人、奉仕」の4つに集約する。彼にとってトレーディングは、これらのより重要な目的を達成するための「道具」に過ぎない。彼は自身の葬式を想像し、そこで流れる曲を選ぶことに喜びを感じると語るほど、家族や友人との関係を最重視している。「人生の終わりに振り返るとき、1987年の暴落やビットコインのことを考えているだろうか?いや、誰を愛し、誰に愛されたかを考えているはずだ」と述べ、職業的な成功は「より意味のあること」を行うための手段であると強調する。

彼の慈善活動の原点は、3歳の時に市場で迷子になった際、年老いた黒人男性に助けられた経験にある。その男性の名前を知らなかった彼は、その後10年以上にわたり毎晩の祈りでその男性を祝福し続けた。この「単純な親切心」が、後にユージン・ラングの「I Have a Dream」プログラムに触発され、1987年の暴落直後にRobin Hood財団を設立する原動力となった。彼は「一つの親切な行為が、より良い方向への波を生み出し、変革的で倍加的な力を持つ」と確信する。

インタビューの締めくくりとして、ジョーンズは母の教えを紹介する。「親切で殺せ(Kill 'em with kindness)」。彼は、現代社会に蔓延する敵対心や批判の応酬に対し、意図的に親切を実践することこそが幸福の秘訣だと説く。「今日一日、この一つの外向的な行為に集中する。それを繰り返せば、『すべき』は『である』に変わる。やがて親切は自然で本能的なものになる」。彼は、このシンプルな哲学が、分断が進む世界にこそ必要だと力強く語る。

50:51Robin Hood財団の創設とインパクト投資の原点

1987年のブラックマンデーの翌日、ジョーンズは1929年の大恐慌の再来を確信し、友人たちと共にRobin Hood財団を立ち上げた。彼の最大のマクロ判断ミスが、この慈善活動の始まりだったという皮肉を彼自身が語る。財団の運営には、ビジネスの原則を徹底的に適用した。最も効果的な貧困対策の方法を探求し、失敗から学びながら、アフタースクールプログラム、チューターの導入、10代の妊娠や暴力といった社会的課題への対応など、支援の幅を広げていった。

彼は、ブルックリンの Bed-Stuy(ベッドフォード=スタイベサント)地区で、自らチャータースクール「Excellence Boys Charter School」を設立した。優秀な教育チームを集め、わずか4〜5年でニューヨーク市の543の小学校中でトップの成績を達成した。この経験から、情熱だけでは不十分であり、「偉大な教育学(pedagogy)」と計画が必要であることを学んだ。彼は慈善活動を通じて出会った人々こそが「最も素晴らしく、最も与える心を持った人々」であり、それが人生のあらゆる側面を輝かせたと述べる。1990年代の金融コミュニティは、富を社会に還元することに非常に積極的であり、Robin Hoodはその象徴的な存在となった。

55:33ジャーナリズム教育の力と未来への適応

ジョーンズは、ビジネススクールの学位よりも「ジャーナリズム101」の方が重要だと断言する。彼は父が経営する小規模な法律・金融専門紙でコピーエディターや一面編集者を務め、ジャーナリズムの基礎を叩き込まれた。その最大の教えは、「結論を最初に書く」という逆ピラミッド構造である。最も重要な情報を最初の段落の最初の文に置き、続く段落でその次に重要な情報を、という具合に情報を階層化する。これは、彼がトレーディングにおいて、無数の変数の中から「今、この瞬間に最も重要なこと」を瞬時に判断するための思考の枠組みそのものとなっている。

彼は、AIによって仕事が奪われる「仕事のない世界」に対する見方を、最近修正しつつある。かつては、仕事が人間の「重要性(significance)」を定義する以上、その喪失は大きな不幸を招くと悲観的だった。しかし、アスリートが競技に、あるいは彼自身が友人とのブリッジに重要性を見出すように、人間は適応力に優れており、別の方法で重要性を見つけることができるのではないかと考えるようになった。その新しい方法の一つが、「意図的な親切心」の実践かもしれないと示唆する。彼は、AIがもたらす最大の課題は、4〜5年後に多くの若者がキャリアの意味を見失うことにあると予測する。

結びに

このエピソードがリスナーに残すものは、市場のテクニカルな分析手法だけではない。それは、50年にわたるトレーディングの第一人者が、自身の成功と失敗、そして人生の意味について、驚くべき率直さとユーモアを交えて語る、稀有な人間ドキュメントである。ポール・テューダー・ジョーンズは、複利の力を軽んじた過去の自分を笑い飛ばし、AIの危険性に警鐘を鳴らし、そして「親切」という最もシンプルな行動が持つ変革の力を、幼少期の記憶と結びつけて熱く語る。彼の言葉は、投資家としてだけでなく、一人の人間としてどう生きるべきかを問いかける。このエピソードが重要なのは、市場の勝ち組が持つ「人間性」の深みを、これほどまでに生々しく伝えているからである。

要点

  • ポール・テューダー・ジョーンズは、トレーダーと投資家の違いを、リスク管理の方法と収益の源泉(アルファ vs ベータ)で明確に区別する。彼のBBIファンドはS&P500との相関がマイナス0.12であり、100%がアルファである。
  • 彼はウォーレン・バフェットを「複利の元祖」と称賛し、過去にバフェットを過小評価していたことを率直に謝罪した。バフェットが9歳で複利の力を理解していたという事実に衝撃を受けたという。
  • AIの開発プロセス(ビルド、ブレイク、イテレート)は、テールリスクが数十億人の命に関わる可能性がある場合には全く不適切であり、原爆開発後の原子力委員会設立のような迅速な規制枠組みが必要であると主張する。
  • 彼はAI規制の第一歩として、全AIコンテンツへの透かし(watermarking)の義務化を提案し、違反者への厳罰化を求める。これは、ディープフェイクによる社会的信頼の崩壊を防ぐためである。
  • 現在の米国株式市場は、時価総額がGDPの252%に達し、過去最大の「ソブリン債務バブル」にある。PERが平均回帰すれば30〜35%の下落は避けられず、逆資産効果が財政を直撃するシナリオを描く。
  • 彼のトレーディングの極意は「絶妙な執行(exquisite execution)」であり、恐怖の極致で買い、熱狂の頂点で売る。この原則は、師匠イーライ・タリスから学んだ「困難な時にこそ強気でいる」姿勢に基づく。
  • 人生の四大要素は「神、家族、友人、奉仕」であり、職業的な成功はこれらを実現するための手段に過ぎない。彼は自身の葬式で流れる曲を選ぶことを楽しみにするほど、家族と友人との関係を最重視する。
  • 彼の慈善活動(Robin Hood財団)は、3歳の時に見知らぬ黒人男性から受けた「単純な親切」が原動力となっている。この経験は、一つの親切が持つ「変革的で倍加的な力」を彼に教えた。