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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy · 2026年5月23日

Mitchell Green - 10,000社へのコールドコールから得た教訓 - [Invest Like the Best, EP.464]

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • Mitchell Green(Lead Edge Capital共同創業者兼マネージング・パートナー)は、15年にわたり、コールドコールを起点とする独自の投資マシンを構築...
  • 本エピソードでは、Greenが自ら構築した投資マシンの全容を、その設計思想から運用の細部に至るまで詳細に語った。彼のキャリアの原点である10,000社へのコールドコールか...
  • [00:02:01] コールドコールから生まれた投資マシン Mitchell Greenの投資家としてのキャリアは、まさにコールドコールから始まった。彼と共同創業者のBr...
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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts

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Mitchell Green(Lead Edge Capital共同創業者兼マネージング・パートナー)は、15年にわたり、コールドコールを起点とする独自の投資マシンを構築してきた。彼のファームは、年間9,000社もの企業と接触し、厳格な8つの投資基準でふるいにかけ、最終的に年間5~7件の投資を行う。そのプロセスは、まるでソフトウェア企業のように設計されており、一貫したリターンを生み出すことを目的としている。特筆すべきは、そのLP(Limited Partner)構成のユニークさだ。Lead EdgeのLPの95%は、世界トップクラスの経営幹部や起業家であり、彼らは単なる資金提供者ではなく、案件の発掘、デューデリジェンス、そして投資先企業へのバリュー創出において、ファームの「秘密兵器」として機能する。Greenは、この仕組みを「ダブルやトリプルを狙う」戦略と表現し、ホームラン級の大型案件を追うのではなく、安定した成績を積み重ねることで、LPからの高い継続率(グロス・ドル・リテンション95%以上)を実現している。

本エピソードでは、Greenが自ら構築した投資マシンの全容を、その設計思想から運用の細部に至るまで詳細に語った。彼のキャリアの原点である10,000社へのコールドコールから得た教訓、8つの投資基準の真の役割、売却のタイミングを見極める規律、そしてLPを活用したユニークなバリュー創出モデル。さらに、AI時代におけるソフトウェア企業の競争優位性や、現在の市場の過熱感に対する彼の鋭い分析も飛び出した。投資の世界に「アート」ではなく「サイエンス」と「プロセス」を持ち込んだGreenの思想は、成長投資の新たな規範を示すものとして、非常に示唆に富んでいる。

00:02:01コールドコールから生まれた投資マシン

Mitchell Greenの投資家としてのキャリアは、まさにコールドコールから始まった。彼と共同創業者のBrianは、キャリア初期に合計で約10,000社もの企業に電話をかけたという。「良い会社を知りたければ、10,000社に電話してみろ。すぐにわかる。それは優れたパターン認識だ」とGreenは語る。この膨大な経験から彼が得た最大の教訓は、「規律」と「ノイズの排除」だった。ほとんどの企業は単なるノイズであり、本当に投資すべき企業のシグナルを見極めるためには、厳格なフレームワークが必要だと痛感した。

この経験は、Lead Edgeの企業文化の基盤にもなっている。Greenは「起業家に何かをすると言ったら、必ず実行すること」の重要性を強調する。例えば、「Adobeに知り合いがいるので紹介しましょう」と言ったなら、必ずフォローアップする。この「言ったことを実行する」というシンプルな姿勢が、起業家からの信頼を勝ち得る最も強力な武器になると彼は言う。多くの人が口先だけで終わってしまう中で、実行力で差別化することが、長期的な関係構築の鍵となる。

Lead Edgeは、このコールドコールの文化を組織として体系化している。現在では、22~24歳の若手アナリストたちが年間約9,000社にアプローチする。彼らは単に電話をかけるだけでなく、まるで「調査ジャーナリズム」のように情報を引き出すスキルを持つ。Greenは「人々は自分が話すことが大好きだ。電話をすれば、驚くほど多くのことを教えてくれる」と語る。このボトムアップの情報収集こそが、彼らの投資マシンの第一段階であり、最も重要なインプットとなっている。

00:06:15LPを「秘密兵器」とするユニークな資本構成

Lead EdgeのLP構成は、業界でも極めて異例だ。その95%は、大企業の元CEOや現役の経営幹部、著名な起業家といった「ワールドクラスのエグゼクティブ」で構成されている。Greenはこのモデルを、単なる資金調達の手段ではなく、投資プロセス全体を強化するための戦略的な設計として捉えている。もし20の巨大機関投資家から資金を集める方が楽だっただろうが、彼はあえてこの労力のかかる方法を選んだ。

このLPネットワークは、投資のライフサイクル全体で活用される。まず案件発掘において、もし自動車ソフトウェア企業にアプローチしたい場合、元GMのCEOであるRick Wagner(LPの一人)に連絡を取る。元GMのCEOからのメールは、22歳のアナリストからのコールドメールとは比較にならないほどの効果を発揮する。次にデューデリジェンスでは、製薬会社向けソフトウェア企業を調査する際に、元PfizerのCEOに「この会社のPfizerとの取引規模は本当に拡大可能か」とバックチャネルで確認を依頼する。

投資後もこのネットワークは威力を発揮する。例えば、投資先のToastがレストラン向けの営業を強化したい場合、LPに対して「こういうレストランの紹介をしてほしい」とメールを送る。LPたちは、これまで資金を提供するだけで活用されることのなかった人脈を、実際のビジネスに役立てられることに大きな価値を感じている。Greenは「彼らは単なるLPではなく、クライアントであり、パートナーだ」と語り、この関係性こそが95%という驚異的なLP継続率を支えていると説明する。

00:11:39「ダブルとトリプル」を積み重ねる投資戦略

Lead Edgeの投資戦略は、一発逆転のホームランを狙うのではなく、「ダブルとトリプル」を確実に積み重ねることに重点を置いている。彼らの目標は、3~7年の保有期間で2~5倍のリターン(ネットIRRで約20%)を達成することだ。この戦略の根幹にあるのは、徹底した下方リスクの抑制である。Greenは「これまでに全損した案件はたった1件だけだ」と語る。その理由は、投資先の85%が経常収益(リカーリング・レベニュー)を持ち、約60%が黒字企業であること、そしてレバレッジをほとんど使わないことにある。

売却のタイミングを見極める規律も、この戦略の要である。Lead Edgeは「買い」と同じくらい「売り」に注力しており、3人のパートナーが月に1~2回、全ポートフォリオを対象に「フォワードIRR(将来の内部収益率)」を再評価するミーティングを行う。もしIPOやセカンダリー市場で想定以上の価格がつけば、たとえ企業の将来性を信じていても、躊躇なく売却する。有名な例がToastへの投資だ。彼らはファンドの12%を投じた大型案件だったが、IPO前にセカンダリー市場で「非常識な価格」がついたため、株式の大部分を売却。結果として総投資額の約5倍以上をリターンとして確定させた。

この「売りの規律」は、2020~21年のバブル期に多くのファンドが陥った過ちを避けるためにも極めて重要だとGreenは指摘する。「誰もが4倍を2年で達成できると思ったが、実際には1.6倍を8年かけて達成する羽目になっている」と彼は警鐘を鳴らす。彼らの平均保有期間は約3.5~4年と比較的短く、常に出口戦略を意識した運用が、一貫したリターンの源泉となっている。

00:15:088つの投資基準:予測ではなくフィルターとして

Lead Edgeの投資判断の根幹をなすのが、8つの投資基準(Lead Edge 8)である。その内容は、①売上高1,000万ドル以上、②年間成長率25%以上、③粗利率70%以上、④経常収益モデル、⑤資本効率(累計キャッシュバーンが現在の売上高を下回ること)、⑥最終損益の黒字、⑦顧客集中度の低さ、⑧適正なバリュエーション、である。一見すると、多くのグロース投資家が重視する基準と似ているが、Greenはその使い方に独自の哲学を持つ。

最も重要なのは、これらの基準が「予測的」ではないという点だ。Greenは「8つの基準をすべて満たす案件が、5つしか満たさない案件よりも良いパフォーマンスを上げるという相関は全くない」と明言する。では、なぜ基準が必要なのか。それは「ストライクゾーンを知るため」だと彼は説明する。年間9,000社の候補の中から、深堀りする価値のある企業を絞り込むためのフィルターとして機能するのだ。基準を5つ以上満たす企業は約900社(10%)にまで絞られ、そこからさらにデューデリジェンスを経て、最終的に年間5~7件の投資に至る。

この基準は、若手アナリストの判断をガイドする役割も果たす。投資において最も貴重なリソースは「時間」であり、いかに早く「ノー」と言えるかが重要になる。基準は、そのための共通言語と判断軸を提供する。Greenは「私たちの最大の失敗は、ストライクゾーンにある球を振らなかったことだ」と振り返り、基準を厳格に運用することで、チャンスを逃すリスクを減らすことにもつながると語る。つまり、この8つの基準は、投資の「質」を保証するものではなく、プロセスの「効率」と「規律」を担保するためのツールなのである。

00:29:16投資マシンを動かす文化と人材

Lead Edgeの投資マシンを支えるのは、独自の企業文化と人材育成の仕組みである。Greenは「文化はトップから醸成される」と語り、自らが実践する「手書きの感謝状」を送る習慣が、22歳のアナリストにも自然と浸透していると説明する。彼らはLPや起業家を「自分がされて嬉しいように扱う」というシンプルな原則を徹底しており、その成果を追跡・報告する仕組みも持っている。

特筆すべきは、Greenが全従業員と年に1回実施する1on1ミーティングだ。このアイデアは、Excel KKRのTom Barnesから学んだものだという。ミーティングでは、各従業員の業務内容を「好き(Green)」「嫌い(Red)」「普通(Yellow)」に分類させ、嫌いな業務を特定して排除する方法を議論する。さらに「もし自分がリードエッジを経営するなら何を変えるか」「仕事を楽にするために何ができるか」という質問を投げかける。このプロセスから毎年多くの改善アイデアが生まれ、組織の進化を促進している。

また、若手への権限委譲も文化の重要な要素だ。23歳のアソシエイトがLPと直接面談することを奨励し、出張の際にはLP訪問を組み込むよう促す。Greenは「ここで働くのに十分な頭脳があるなら、LPに会う資格もある」と語る。この取り組みは、若手の成長意欲を刺激するだけでなく、LPとの関係をよりパーソナルなものにする効果も生んでいる。LPは「自分の息子と同じ年齢の子と話ができる」ことに喜びを感じ、結果としてファームへのエンゲージメントが高まるという好循環を生み出している。

00:38:40AI時代の投資機会と市場の過熱感

AIの影響について、Greenは「最大の恐怖は、自分が知らないことだ」と率直に認める。彼はAIがインターネットと同じように、予想もしなかった形で世界を変えると確信している。一方で、現在のAI関連企業への過剰な投資には強い懐疑心を示す。「このAIの設備投資バブルは、悲惨な結末を迎えるだろう。まるで通信バブルの再来だ」と彼は断言する。巨額の資本がAI企業に投じられているが、そのリターンを生み出すために必要な電力や収益の試算が非現実的だと指摘する。

しかし、GreenはAIの長期的な可能性を否定しているわけではない。彼は「AIは今後7,500年で最大の生産性向上をもたらすだろう。電気の発明に匹敵するかもしれない」と語る。問題は投資のタイミングとバリュエーションだ。彼のファンドは「ダブルとトリプル」を狙うため、200倍かゼロかという極端なリターン分布を持つAI企業には投資しにくい。むしろ、AIインフラやデータベースなど、AIの普及によって恩恵を受ける「道具屋」的なポジションの企業に興味を示す。実際に、データベース企業のClickhouseや、Datadogと競合するGrafana Labsへの初期投資がその好例だ。

市場全体については「過熱しており、フロシー(泡立っている)」と厳しい評価を下す。特に、大手テクノロジー企業によるAI関連の巨額な設備投資には警鐘を鳴らす。「資本は溢れているが、4社(Google、Apple、Facebook、Amazon)が流通を支配している。そんな中で巨大なインターネット企業をゼロから作るのは至難の業だ」と語る。彼は、このバブルが弾けた時こそが真の投資機会になると見ており、その時に備えて規律を保つことの重要性を強調する。

00:47:33競争心と規律:スキー競技から学んだ投資哲学

Greenの投資哲学は、彼のもう一つの顔である競技スキー選手としての経験に深く根ざしている。彼は全米ランキング入りしたスキーレーサーであり、その経験が「リスク調整後のリターン行動」に対する独自の感覚を養ったと語る。スキーで時速80マイル(約130km)で急斜面を滑り降りる経験は、恐怖に打ち勝ち、冷静に判断を下す能力を鍛えた。元上司から「恐怖を感じる状況になると、君は買いたくなるだろう」と言われたエピソードは、この感覚を象徴している。

スキーから学んだもう一つの重要な教訓は、「プロセス」と「反復」の重要性だ。彼は幼少期に標高500フィート(約150m)の小さなスキー場で、リフトが動いている間中、ひたすら同じコースを滑り続けた。その経験が、ビデオ分析によるフォームの改善や、絶え間ない自己研鑽の習慣を身につけさせた。この「常に改善を求める姿勢」は、Lead Edgeの組織文化にも色濃く反映されており、彼自身も「常にマシンを改良し続けている」と語る。

Greenは、この競争心と規律が、投資家としての成功に直結していると確信している。「私は生まれつき競争心が強い。そして、それをさらに強化したのがスキー競技だ」と彼は言う。彼にとって投資は「仕事」ではなく「スコアを競うゲーム」であり、そのスコアに勝つために全力を尽くす。Ken GriffinやSteve Cohenといった伝説的な投資家たちも、同じように桁外れの努力をしていると指摘し、「彼らにとってそれは仕事ではなく、生きがいそのものだ」と語る。この「遊びのように仕事に没頭する」姿勢こそが、彼の原動力であり、Lead Edgeというユニークな投資マシンを生み出した源泉と言えるだろう。

結びに

本エピソードは、単なる投資戦略の解説にとどまらず、一貫してリターンを生み出す「機械」を組織として設計・運用するための哲学と実践の集大成である。Mitchell Greenの語る「ダブルとトリプルを狙う」戦略は、一発屋を夢見る多くの投資家とは一線を画し、規律とプロセスを徹底することで、長期的な信頼と成果を勝ち得るという、ある種の職人芸とも言える。特に、LPを単なる資金提供者ではなく、投資プロセスに深く関与する「戦力」として位置づけたモデルは、競争が激化する成長投資の世界において、極めて示唆に富む。彼の「売りの規律」や「ストライクゾーンの厳守」といった考え方は、現在のAIバブルに浮かれる市場に対して、冷静な視点と具体的な行動指針を与えてくれる。このエピソードが特に印象的なのは、Green自身の競技スキー選手としての経験が、投資判断におけるリスク認識や反復の重要性と見事にリンクしている点だ。彼の言葉の一つ一つに、理論ではなく実践から鍛え上げられた重みがある。投資家、経営者、そして組織を構築するすべての人にとって、自らの「マシン」をどう設計すべきかを深く考えさせられる、稀有な内容だった。

要点

  • Lead Edge Capitalは年間9,000社にコールドコールを行い、8つの投資基準でフィルタリングし、年間5~7件の投資を行う「投資マシン」を構築している。
  • LPの95%は世界トップクラスの経営幹部や起業家であり、彼らは案件発掘、デューデリジェンス、投資先へのバリュー創出において「秘密兵器」として機能する。
  • 投資戦略は「ダブルとトリプル」を狙うもので、目標は3~7年で2~5倍のリターン。全損案件は過去1件のみと、下方リスクの抑制に成功している。
  • 8つの投資基準は「予測的」ではなく、候補を絞り込むための「フィルター」であり、若手アナリストの判断をガイドする役割を果たす。
  • 「売りの規律」を重視し、月に2回のポートフォリオレビューでフォワードIRRを再評価。Toastの事例では、IPO前にセカンダリーで売却し、大きなリターンを確定させた。
  • AIの長期的な可能性は認めつつも、現在のAI関連企業への過剰な設備投資は「通信バブルの再来」と批判。バブル崩壊後に真の投資機会が訪れると見る。
  • 競技スキー選手としての経験が、リスク認識、プロセスの反復、そして「恐怖を感じる時に買う」という逆張りの投資哲学を培った。
  • 組織文化の要は「言ったことを実行する」というシンプルな原則と、全従業員との年次1on1によるボトムアップの改善プロセスにある。