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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy · 2026年5月21日

Krishna Rao - Anthropic CFO、コンピュート、ARR 300億ドルへのスケーリング、フロンティアインテリジェンスへのリターン - [Invest Like the Best, EP.472]

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • AnthropicのCFOであるKrishna Rao(クリシュナ・ラオ)は、同社の急速な成長の中心にある「コンピュート(計算資源)」の調達と配分という、前例のない課題に...
  • Raoは、フロンティア(最先端)の知能に対するリターンが極めて高く、特にエンタープライズ領域でその傾向が顕著であると強調する。同社の売上高は年初に90億ドルの年換算実行レ...
  • [03:14] コンピュート:Anthropicの生命線と「不確実性の円錐」 Raoにとって、コンピュートの調達と配分はCFOとしての業務の30~40%を占める最重要課題...
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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts

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AnthropicのCFOであるKrishna Rao(クリシュナ・ラオ)は、同社の急速な成長の中心にある「コンピュート(計算資源)」の調達と配分という、前例のない課題に日々取り組んでいる。彼はコンピュートを「キャンバス」に例え、その上にすべてが構築されると表現する。本エピソードでは、Raoが「不確実性の円錐」と呼ぶフレームワークを用い、将来の需要予測の難しさと、それに対応するための柔軟性の重要性が語られた。Anthropicは、AmazonのTrainium、GoogleのTPU、NvidiaのGPUという3つの異なるチッププラットフォームを「代替可能(fungible)」に使いこなし、モデル開発、社内利用、顧客需要への対応という3つの用途にコンピュートを動的に配分する独自のオーケストレーション層を構築している。

Raoは、フロンティア(最先端)の知能に対するリターンが極めて高く、特にエンタープライズ領域でその傾向が顕著であると強調する。同社の売上高は年初に90億ドルの年換算実行レートだったが、第1四半期末には300億ドルを超えるまでに急成長した。この驚異的な成長は、モデルの知能向上と、それを活用したプロダクト(Claude Codeなど)の進化によって支えられている。Raoは、Anthropicの文化、資金調達の変遷、投資家との対話、そしてAI業界全体が直面する社会的な認識問題に至るまで、CFOという特権的な立場から得た洞察を惜しみなく共有し、ビジネスとしてのAIの現実と未来への展望を描き出した。

03:14コンピュート:Anthropicの生命線と「不確実性の円錐」

Raoにとって、コンピュートの調達と配分はCFOとしての業務の30~40%を占める最重要課題である。彼はこれを「生命線」と呼び、その意思決定の難しさを「コンピュートを買いすぎれば会社は潰れ、少なすぎれば顧客にサービスを提供できずフロンティアに留まれない」と表現する。このジレンマに対処するための概念が「不確実性の円錐(Cone of Uncertainty)」だ。ビジネスが指数関数的に成長する中で、月次や週次の成長率のわずかな変動が、将来の結果に莫大な差を生む。人間は線形的に考えがちだが、Raoはこの考え方を自ら打破する必要があったと語る。

この不確実性に対応するため、Anthropicは「柔軟性」を最優先事項としている。その最たる例が、3つの異なるチッププラットフォーム(Amazon Trainium、Google TPU、Nvidia GPU)を「代替可能(fungible)」に利用できる点だ。これは一朝一夕に実現したものではなく、複数年にわたる投資の成果である。Raoは「我々はフロンティアラボの中で、最も効率的なコンピュート利用者だと信じている」と述べ、自社のコンパイラを構築し、チップレベルからカスタマイズすることで、1ドルあたりのコンピュートから最大の価値を引き出していると説明する。この柔軟性により、異なる世代のチップを最も適したワークロードに割り当てることが可能になる。

コンピュートの配分は、日常的な経営課題でもある。Anthropicでは、コンピュートの調達だけでなく、その配分についても頻繁に会議が行われる。配分先は主に3つだ。第一に、将来のモデル開発のためのトレーニング用。第二に、社内の研究開発を加速するための内部利用。第三に、顧客需要に応えるための推論用である。Raoは、この配分を巡る議論は「非常に協力的で、非ゼロサム的」な文化の中で行われると強調する。特にモデル開発への配分には下限が設けられており、たとえ顧客対応が難しくなっても、フロンティア知能への長期的な投資を優先する姿勢が明確だ。各チームがコンピュートの使途を提案し、ROI(投資収益率)に基づいたオープンな議論を経て、動的に配分が調整される。

07:31コンピュート効率の驚異的な向上とその源泉

Anthropicは、コンピュートの「効率」を極限まで追求している。Raoは、モデルの進化を車のモデルチェンジに例えつつ、そのアナロジーが当てはまらない点を指摘する。通常、高性能な車は燃費が悪化するが、Anthropicのモデルは、能力が向上するほどトークン処理の効率も向上するという「ウィンウィン」の関係にあるという。Opus 4から4.5、4.6、そして4.7への進化の各段階で、新しいモデルは前世代よりも数倍効率的にトークンを処理できるようになっている。

この効率向上は、モデルの世代交代時だけでなく、その間にも継続的に行われている。研究チームが絶え間なく改善を積み重ねることで、モデルの能力と効率は常に向上し続けている。Raoは、この効率性が社内の研究開発(R&D)にも好循環をもたらすと説明する。例えば、モデルを使って強化学習(RL)を行う場合、その推論プロセス自体がより効率的であれば、RLのプロセス全体も効率化される。つまり、顧客に提供するモデルの能力が向上すると同時に、次の世代のモデルを開発するための内部プロセスも加速されるという、自己強化型のサイクルが存在するのだ。

この効率性は、Anthropicの競争優位の核心である。Raoは「我々の組織内では、1ドルのコンピュートが他のどこよりも遠くまで届く」と自信を見せる。この優位性は、チップメーカーとの深い協力関係によってさらに強化されている。Anthropicは、AmazonのAnnapurna Labsチームと緊密に連携し、チップのロードマップに影響を与えている。同社のワークロードはチップの限界を極限まで押し上げるため、そのフィードバックはチップメーカーにとっても価値が高い。この協力関係により、Anthropicはハードウェアの設計段階から最適化に関与し、自社のニーズに最も適したコンピュートを確保することが可能になっている。

12:33フロンティア知能へのリターン:なぜエンタープライズで価値が爆発するのか

Raoは「フロンティア(最先端)にいることへのリターンは極めて高い」と断言する。一見当然に聞こえるこの主張の背後には、彼の具体的な観察がある。多くの人はモデルの知能をIQのような単一の指標で捉えがちだが、Anthropicはそれを「多次元的」なものとして捉えている。新しいモデルがもたらすのは、単なるベンチマークスコアの向上だけではない。長期間にわたるタスクの実行能力、ツールの使用、コンピューター操作、エージェント的なタスクの遂行能力など、顧客が実際に価値を感じる多様な能力が飛躍的に向上する。

この多次元的な能力向上が、新たな市場(TAM)を次々と切り開いている。Raoは、Anthropicの直近の業績を例に挙げる。同社は年初に約90億ドルだった年換算実行レート売上高を、第1四半期末には300億ドル超にまで成長させた。この急成長は、モデルの知能の飛躍と、その上に構築されたプロダクトによって可能になった。特にエンタープライズ領域では、この傾向が顕著だ。顧客は新しいモデルが登場するたびに、より多くのトークンを消費し、より深くシステムを業務に組み込む。このサイクルが繰り返されることで、フロンティア知能へのリターンは減速するどころか、むしろ加速しているとRaoは主張する。

この文脈で、Raoは「Jevonsのパラドックス」に言及する。AnthropicがOpusファミリーの価格を引き下げたところ、消費量が予想をはるかに超えて増加した。価格低下によって新たなユースケースが経済的に成立するようになり、結果として総消費量が爆発的に増えたのだ。Raoは、価格の安定性を重視し、顧客がモデルから大きなROIを生み出せる環境を整えることが、長期的な成長につながると考えている。同社の純ドル維持率(Net Dollar Retention)は年率換算で500%を超えており、これは顧客が時間の経過とともにAnthropicへの支出を劇的に増やしていることを示している。

27:53プラットフォーム vs. アプリケーション:Anthropicの戦略的バランス

Anthropicは、自社のモデルを基盤とした「プラットフォーム」としての立場と、自らアプリケーションを開発する「プレイヤー」としての立場の間で、どのようにバランスを取っているのか。Raoは、同社の戦略は基本的に「水平型(horizontal)」であり、プラットフォームとしての価値創造に重点を置いていると説明する。彼は、初期のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を引き合いに出し、プラットフォーム自体が大きな価値を獲得すると同時に、その上で構築する顧客がさらに大きな価値を生み出すというエコシステムの構築を目指していると語る。

しかし、Anthropicは自社でもアプリケーションを構築する。その判断基準は2つある。第一に、モデルの将来の能力を先取りして顧客価値を実証できる場合だ。Claude Codeはその好例で、発売当初は市場に同様のプロダクトが存在しなかったが、Anthropicはモデルが将来的にその能力を獲得すると見越して開発を先行させた。第二に、エコシステム全体に価値を示すためのデモンストレーションとしての側面だ。金融サービスやライフサイエンス向けのソリューションは、プラットフォームの構成方法を示すものであり、顧客が同様の価値を創造するための道標となる。

Raoは、この戦略が顧客との競合に対する懸念を生むことを認識している。しかし、Anthropicは「パートナー志向」を強調し、早期アクセスプログラムや緊密な顧客との協業を通じて、エコシステムとの関係構築に努めている。同社がアプリケーションを開発する場合でも、それは同じプラットフォーム上で行われ、顧客と対等な立場であるという。Raoは「私たちの目標は最高のモデルを構築し、その知能が顧客の中に浸透するためのプロダクトやツール、サービスを構築することだ」と述べ、プラットフォームとしての価値最大化こそが最優先事項であると強調する。

43:08資金調達の変遷と投資家との対話:指数関数的成長を信じるまで

RaoがAnthropicにジョインしたのは約2年前、Series Dラウンドのクロージング時だった。当時、同社はまだ真のフロンティアモデルを持っておらず、FTXの破綻処理に伴う株式売却という複雑な状況下にあった。投資家からは「なぜフロンティアモデルが必要なのか」「AIの安全性と大規模なビジネスは両立するのか」「なぜセールスフォースを拡大しないのか」といった疑問が相次いだ。Raoは、投資家がAnthropicを従来のエンタープライズソフトウェアの枠組みに当てはめようとしていたと振り返る。

その後、ビジネスは急成長し、2024年末のSeries Eラウンド時には年換算売上高が10億ドル近くに達していた。しかし、このラウンドの初日はDeepSeekのニュースが飛び込んだ日でもあり、市場は大きなボラティリティに見舞われた。それでも投資家は成長の軌道を評価したが、Raoによれば「エンタープライズでの採用はそんなに早く進むはずがない」という懐疑的な見方は根強く残っていた。Rao自身も、ジョイン当初は「10億ドルに達するのは何年後か」と線形的に考えていたことを認める。しかし、CEOのDario Amodei(ダリオ・アモデイ)は一貫して売上高の予測において彼よりも正確であり、ビジネスの内部メカニズムを理解するにつれ、Raoの考え方は指数関数的なものへとシフトしていった。

Raoは、投資家に最も説明が難しいと感じる点として、「コンピュートの使われ方のパラダイム」を挙げる。従来のソフトウェア企業では、R&D費用と売上原価(COGS)は明確に分離されている。しかしAnthropicでは、同じコンピュートが午前中は顧客への推論(COGS)に、午後や夜間はモデル開発(R&D)に使用される。この「代替可能性(fungibility)」こそが、短期的な収益と長期的な成長を同時に支える原動力であり、従来のビジネスモデルにはない独自の構造である。Raoは、投資家に対して「コンピュート全体のROI」を問うことが、AI企業を評価する上で最も重要な質問の一つだと語る。

58:51Anthropicの文化:協調性、透明性、そして「競争相手は極めて有能」

Anthropicの文化は、同社の競争優位の源泉の一つである。Raoは、7人の共同創業者が今もなお全員在籍し、初期の従業員の大半が残留している事実を挙げ、この文化の強固さを証明する。同社の採用プロセスでは、能力評価と並んで「カルチャー面接」が極めて重視される。どれだけ優秀な候補者でも、カルチャーに適合しなければ採用されない。Raoは、この文化を「信じられないほど協力的」であり、「縄張り意識や尖った態度、手柄の奪い合い」を許容しないと表現する。

この文化を象徴するのが、社内で広く貼られているステッカーに書かれた言葉だ。「我々の競争相手は極めて有能であり、成功は決して約束されていない」。この謙虚さと緊張感が、会社の雰囲気を形作っている。Raoは、マイルストーンを達成しても「床に紙吹雪が舞うようなことはない」と語り、常に次の課題に集中する姿勢を強調する。また、CEOのDario Amodeiは隔週で全社員の前で講話を行い、自らが書いた短い文書に基づいて3~4のトピックを語り、その後、事前に用意されたものではない本音の質問に答える。この「驚くべき透明性」が、社員の信頼と結束を生み出している。

Raoは、この文化が優秀な人材の獲得と維持に直結していると語る。Metaなどが巨額の報酬パッケージで研究者の引き抜きを試みた際、Anthropicは2名の損失で済んだのに対し、他のラボは数十名を失ったという。研究者たちは、最も大きなインパクトを与えられる環境、協力的な文化、そして責任ある方法で変革的な技術を開発するというミッションに魅力を感じている。Raoは、Anthropicの安全性研究への投資(モデル内部を可視化する「解釈可能性」や、モデルが指示に従う「アライメント」の研究)が、結果的にエンタープライズ顧客からの信頼獲得につながっている点も、文化とビジネスが連動した好例として挙げる。

結びに

本エピソードは、単なるAI企業のCFOインタビューを超えて、前例のない速度で成長するビジネスを内部からどのように運営するかという、稀有なケーススタディを提供している。Krishna Raoの語る「不確実性の円錐」や「コンピュートの代替可能性」といったフレームワークは、AI業界の複雑さを理解するための強力なツールとなる。特に印象的なのは、彼が自身の思考を線形から指数関数的なものへと意識的にシフトさせたプロセスと、その過程でCEOのDario Amodeiのビジョンがどれほど正確であったかを認める謙虚さだ。このエピソードが重要なのは、AIの未来を語る際に往々にして欠落しがちな、ビジネスの現実、資本の力学、そして組織文化の重要性を、現場の最高責任者が具体的な数字と事例で語った点にある。Raoの視点は、AIが単なる技術トレンドではなく、真の意味で経済の基盤となりつつあることを強く示唆している。

要点

  • Anthropicは3つのチッププラットフォーム(Amazon Trainium、Google TPU、Nvidia GPU)を「代替可能(fungible)」に利用し、コンピュートの調達と配分に極限の柔軟性を持たせている。
  • 同社の売上高は年初の90億ドル(年換算)から第1四半期末には300億ドル超へと急成長。この背景には、フロンティア知能へのリターンが特にエンタープライズ領域で極めて高いという確固たるテーゼがある。
  • コンピュートの配分は、モデル開発、社内利用、顧客対応の3つに大別され、ROIに基づいた協力的な議論を経て動的に決定される。モデル開発への配分には下限が設定されている。
  • モデルの効率は世代を追うごとに向上しており(Opus 4→4.7)、能力向上と効率向上が同時に達成される「ウィンウィン」の関係にある。
  • Anthropicの戦略は基本的に「水平型プラットフォーム」であり、Claude Codeのような自社アプリケーションは、将来のモデル能力を先取りするか、エコシステムへの価値実証のために限定的に開発される。
  • 投資家にとって最も理解が難しい点は、コンピュートがR&D費用と売上原価の両方に「代替可能」に使われるというパラダイムであり、従来のソフトウェア企業のフレームワークでは捉えきれない。
  • 同社の文化は「協調性」「透明性」「謙虚さ」を核とし、採用プロセスで能力と同等に重視される。この文化が優秀な人材の維持に大きく貢献している。
  • CFOのKrishna Rao自身、ジョイン当初は線形的な思考だったが、ビジネスの指数関数的な成長を目の当たりにし、思考様式を根本から変革する必要があった。
Krishna Rao - Anthropic CFO、コンピュート、ARR 300億ドルへのスケーリング、フロンティアインテリジェンスへのリターン - [Invest Like the Best, EP.472] | Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy | motpod | motpod