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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy · 2026年5月21日

Gavin Baker - Watts and Wafers - [Invest Like the Best, EP.473]

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • 本エピソードは、Atreides Managementの創業パートナー兼CIOであるGavin Baker(ギャビン・ベイカー)をゲストに迎えた6度目の対談である。中心テ...
  • ベイカーはまず、2025年3月から4月にかけての市場環境を「資本主義の歴史全体を通じて最も異常な瞬間」と評する。彼の主張の核心は、Anthropicが1ヶ月で110億ドル...
  • [00:13:23] Watts(電力)とWafers(ウェハー):AIインフラの二大制約 ベイカーは、AIの成長を制約する二つの物理的要素として「Watts(電力)」と...
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Invest Like the Best with Patrick O'Shaughnessy / Colossus | Investing & Business Podcasts

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本エピソードは、Atreides Managementの創業パートナー兼CIOであるGavin Baker(ギャビン・ベイカー)をゲストに迎えた6度目の対談である。中心テーマは「Watts(電力)とWafers(ウェハー)」、すなわちAIの次なるフェーズを決定づける二つの物理的制約である。ベイカーは、電力不足は2027年から2028年にかけて新たなエネルギー源の稼働により緩和し始め、長期的には軌道上コンピューティング(Orbital Compute)がこの問題を根本的に解決すると主張する。一方、ウェハーについては、今回のサイクルがドットコムバブルと決定的に異なる点を指摘し、TSMCのキャパシティ決定がおそらく最も重要な変数であると論じる。さらに、Elon MuskのTerrafab計画、GPUの推論処理における機能分離(Disaggregation)、新興チップ企業の役割、そしてAIの経済的価値が今後もフロンティアモデルに集中し続けるのかという核心的な問いについても深く掘り下げている。会話は、歴史的な視点と具体的なデータに基づき、AIインフラストラクチャーの現状と未来に対する鋭い洞察に満ちている。

ベイカーはまず、2025年3月から4月にかけての市場環境を「資本主義の歴史全体を通じて最も異常な瞬間」と評する。彼の主張の核心は、Anthropicが1ヶ月で110億ドルのARR(年間経常収益)を追加したという事実にある。これは、Palantir、Snowflake、Databricksといった過去10年間で最も成功したSaaS企業が10年かけて築いたビジネスを、たった1ヶ月で上回る規模である。この前例のない成長率は、AIが単なるトレンドではなく、経済の根本的な構造変化であることを示している。同時に、この期間中に市場は売り圧力にさらされ、AI関連銘柄は歴史的に見て割安な水準で取引される機会が生まれた。ベイカーは、この状況を「ペントアップ・アルファ(将来のパフォーマンスの源泉)」が蓄積される好機と捉え、積極的にポジションを積み増したと語る。彼は、DeepSeekの登場時にも同様の現象が起きたと指摘する。DeepSeekの論文発表直後、市場はAI関連株を売り浴びせたが、実際にはアジアのAWS可用ゾーンでのGPU価格が高騰し、推論モデルが従来モデルよりもはるかに多くの計算資源を消費することが明らかになった。つまり、市場の恐怖は誤ったシグナルであり、真の需要はむしろ加速していたのである。

00:13:23Watts(電力)とWafers(ウェハー):AIインフラの二大制約

ベイカーは、AIの成長を制約する二つの物理的要素として「Watts(電力)」と「Wafers(ウェハー)」を挙げる。電力に関しては、短期的な不足は2027年から2028年にかけて緩和されると予測する。その根拠は、資本主義の力が問題解決に向けて動き出しているからだ。例えば、風力タービンの大型ブレードを鋳造するための工作機械は、西側諸国では80年間製造されていなかったが、現在は各社が生産能力の増強計画を発表している。しかし、ベイカーは、真のボトルネックはエネルギーそのものではなく、ゾーニングや承認といった規制・政治的なプロセスであると指摘する。多くの企業は中間選挙(midterms)後の状況を見極めてから行動を起こそうとしており、これが建設の遅延要因となっている。長期的な解決策として、ベイカーは「軌道上コンピューティング(Orbital Compute)」に注目する。これは、巨大な宇宙ステーションのようなデータセンターを想像する人も多いが、実際にはBlackwellラック(高さ8フィート、奥行き4フィート、幅3フィート、重量3,000ポンド)と同程度のサイズのラックを、太陽同期軌道上に配置するというものだ。各ラックは長大なソーラーパネルとラジエーターを備え、レーザー(既にStarlinkで使用されている技術)で相互接続されることで、仮想的なデータセンターを形成する。SpaceXのエンジニアたちは、この課題に対する解決策に自信を持っており、特にStarshipの再利用可能な打ち上げ能力が経済性を根本から変えるとベイカーは見ている。

00:26:24TSMCの供給規律とバブルのリスク

ウェハー、すなわち半導体製造能力については、TSMCの意思決定が最も重要な変数であるとベイカーは強調する。歴史的に見て、鉄道、運河、インターネットなど、あらゆる基盤技術の普及期にはバブルが発生してきた。Carlota Perezの理論を引用し、市場は効率的であるがゆえに、新技術の可能性を過大評価し、投資家の間で「多様性の崩壊(diversity breakdown)」が起こると説明する。しかし、今回のAIブームが過去のバブルと決定的に異なる点は、その資金調達が依然として主に営業キャッシュフローによって賄われていること、そして何より、ドットコムバブル期の光ファイバー(99%が未使用)とは異なり、現在のGPUはほぼ100%の稼働率で稼働していることである。ベイカーは、もしTSMCがJensen Huang(Nvidia CEO)の要望通りに無制限にキャパシティを拡大すれば、Nvidiaは2026年か2027年に2兆ドルから3兆ドルものGPUを販売できる可能性があると試算する。しかし、それは需要を超えた過剰供給を招き、バブル崩壊の引き金となる。TSMCが供給を適度に制限し続けることが、バブルを回避するための「Goldilocksゾーン」を維持する鍵である。問題は、IntelやSamsungといった競合他社が規律を守らずにキャパシティを拡大し、TSMCに追随を強いる可能性があることだ。ベイカーは、バブルの発生を監視する上で最も重要な指標は「TSMCのキャパシティ決定」であると断言する。

00:35:33フロンティアモデルの価値と継続的学習のインパクト

AIの経済的価値が、なぜこれほどまでにフロンティアモデル(最先端のAIモデル)に集中しているのか。これはベイカーが最も重要視する問いの一つである。彼は、Gemini 1.5 Proが登場した際にその性能に衝撃を受けたが、現在ではそのモデルは「耐え難いほど劣っている」と感じると述べる。この急速な陳腐化は、フロンティアモデルが生み出すトークン(出力)の価値が、非フロンティアモデルと比較して圧倒的に高いことを示している。ベイカーは、この現象を「Richard SuttonのBitter Lesson( bitter lesson:より多くの計算資源を用いるアプローチが、人間の精巧なアルゴリズム設計を常に凌駕するという教訓)」の観点から分析する。彼は、ASI(人工超知能)の実現が近づくにつれ、AI自身が自らの効率を高めるためにBitter Lessonに一時的な違反が生じる可能性を指摘する。また、AIの能力を劇的に変える可能性のある技術として「継続的学習(Continual Learning)」と「メモリ」を挙げる。現在のモデルは、新しいタスクを学習するたびに大規模な再トレーニングが必要だが、継続的学習が実現すれば、人間のようにリアルタイムで知識を更新できるようになる。これは「急速なテイクオフ(fast takeoff)」につながる可能性があり、ベイカーはこの分野の進展を注視している。さらに、AIの料金体系が「定額制(all-you-can-eat)」から「従量課金制(pay-by-the-drink)」に移行している点も重要である。これは、ユーザーがより多くのトークンを消費するインセンティブを生み、結果としてAI市場全体の成長を加速させる。ベイカーは、このシフトによりOpenAIとAnthropicのARRが今年中に2,000億ドルを超える可能性もあると予測する。

00:40:01新興チップ企業の役割とGPUの機能分離

Nvidiaの支配的な地位に対し、多くの新興チップ企業が挑戦している。ベイカーは、これらの企業が成功するための条件として「Different and Hard(異質で、かつ実現が困難であること)」を挙げる。単にNvidiaのGPUを模倣しようとするのではなく、チップ設計における「Iron Triangle(攻撃、防御、機動性のトレードオフ)」の異なる点を選択し、それを実現するのが難しい技術である必要がある。例えば、Atreidesがベンチャー投資を行ったCerebrasは、ウェハー全体を一つのチップとして使う「Wafer Scale Computing」という、極めて困難なアーキテクチャを採用している。このアプローチは、メモリ容量と計算能力の比率において独自の優位性を持つが、チップ間の接続(I/O)に課題がある。ベイカーは、このような「異質で困難な」アプローチこそが、Nvidiaの追随を許さない唯一の道であると論じる。さらに、彼はGPUの「推論処理の機能分離(Disaggregation)」がもたらす影響を強調する。推論処理は、プロンプトを理解する「Prefill(プリフィル)」と、回答を生成する「Decode(デコード)」の二つのフェーズに分けられる。Prefillはメモリ容量に、Decodeはメモリ帯域幅にそれぞれ制約される。この分離により、各フェーズに特化したチップ(例えば、CerebrasやGroqのLPU)を組み合わせることで、旧世代のGPU(HopperやAmpere)でも実用的な性能を発揮できるようになる。これはGPUの耐用年数を劇的に延ばし、GPUを担保とした融資(Private Credit)のコストを低下させ、AIインフラ建設の資金調達を促進する効果がある。

00:48:40AIネイティブ創業者とアプリケーション層の苦境

AIインフラやモデル層ではなく、AIを活用して新しいアプリケーションを構築する「AIネイティブ」な創業者たちは、現在深刻な困難に直面しているとベイカーは指摘する。彼らの多くは、自社のアイデアが「誰にとっても明らか(obvious to everyone)」になってしまう前に、十分なスケールを達成できるかどうかというジレンマを抱えている。Jensen Huangが提唱する「AIの5層ケーキ(Five Layer Cake)」において、現在の利益はエネルギー、データセンター、チップ、そしてモデル層に集中しており、アプリケーション層にはほとんど還元されていない。CursorやCognitionといったコーディングに特化した企業は、早期にスケールを達成した稀有な成功例である。ベイカーは、アプリケーション層の企業が持続可能な競争優位を築くためには、「トークンパス(Token Path)」の中に位置することが不可欠であると主張する。これは、AIモデルが処理するデータの流れ(トークン)の中に自社のサービスが組み込まれている状態を指す。Databricksはその好例である。しかし、多くの垂直特化型スタートアップは、フロンティアモデル企業がいつでもその領域に参入できるリスクに晒されている。もしフロンティアトークンと非フロンティアトークンの価格差が縮小すれば、アプリケーション層に爆発的な価値創造の機会が生まれるが、現時点ではその兆候は見られない。むしろ、AIはアプリケーション層において、CursorやCognitionの成功を差し引いても、数兆ドルもの価値を破壊してきたとベイカーは冷徹に評価する。

01:00:06多様性の崩壊と市場のシグナル

ベイカーは、投資家の間で「多様性の崩壊(diversity breakdown)」が起きつつあることに警鐘を鳴らす。つまり、AIに対して強気でない投資家を見つけることが難しくなっているというのだ。彼は、市場のクロスセクションにおける評価額の矛盾を指摘する。例えば、半導体製造装置メーカーは来期の年率化利益の40倍で取引されている一方で、DRAMメーカーは一桁台半ばの倍率で取引されている。このような評価格差は、市場がNvidiaの圧倒的なシェア喪失を織り込んでいることを示唆するが、それは現実的ではない。また、低品質な企業(高コストで信頼性の低いサプライヤー)が、供給不足を背景に株価を急騰させている現象も、バブルの兆候であると彼は見る。これは、コモディティ相場の強気相場において、高コスト生産者が最も大きく上昇するのと同様のパターンである。しかし、ベイカーは、Nvidiaのような高品質な企業の評価額が依然として合理的であることから、全面的なバブルには至っていないとも考える。彼は、投資家が「バスケット(basket)」に分類されるリスクについても言及する。市場では、銅関連、光関連、DRAM関連といったテーマ別のバスケットが形成され、銘柄の値動きが本来のファンダメンタルズではなく、バスケット全体の動きに引きずられる現象が起きている。このような状況下で、誤ったバスケットに分類されている銘柄(例えば、銅需要減少の影響を受けると誤解されているが実際にはスイッチを提供するAstera Labs)に投資機会が存在すると指摘する。

01:05:42ハイパースケーラーの戦略評価

ベイカーは、Google、Meta、Amazon、Microsoftの4大ハイパースケーラーについて簡潔に評価を下す。Googleは、かつてTPUの優位性で他社をリードしていたが、そのアドバンテージは失われつつある。しかし、依然として最大の計算資源とYouTubeのデータ(特にロボティクス分野で価値が高い)を有しており、そのポジションは揺るがない。Metaについては、Mark Zuckerbergが同社を真のAIファースト企業に変革した功績を高く評価する。特に、AI人材への積極的な投資と、Llamaモデル(Muse)がPareto Frontierに迫る性能を達成した点を称賛する。Amazonは、Trainiumチップの開発と、物流におけるロボティクスの活用で優位に立つと見る。Microsoftについては、Satya Nadella CEOの決断力を評価する一方で、OpenAIとの関係性について鋭い疑問を投げかける。Nadellaは、自社のGPUをOpenAIやAnthropicに提供する代わりに、自社製品(Copilot)の改善に振り向けるというリスクのある決断を下した。この決断は短期的な株価を犠牲にしたが、フロンティアモデルがAPIで利用できなくなる未来に備えた長期的な戦略であるとベイカーは解釈する。しかし、Microsoftが自社で優れたAIモデルを開発できるチームを持っているかについては懐疑的である。最後に、ベイカーは、AmazonとNvidiaがスタートアップとの連携に最も積極的であり、これが長期的な競争優位になると指摘する。一方、AMD、Microsoft、Metaのスタートアップとの関与は極めて限定的であり、これは優秀な人材の獲得や技術の進化において不利に働く可能性がある。

結びに

本エピソードの核心は、AIの未来を「Watts(電力)」と「Wafers(ウェハー)」という物理的制約から読み解くという、極めて実践的かつ洞察に富んだフレームワークにある。Gavin Bakerの分析は、単なる楽観論や悲観論ではなく、歴史的なパターン、具体的な数値、そして企業の戦略的決定に基づいている。彼の主張で特に印象的なのは、TSMCのキャパシティ決定がバブルの有無を左右するという点と、GPUの機能分離が半導体業界のビジネスモデルを根本から変える可能性があるという点である。また、アプリケーション層の企業が直面する厳しい現実と、フロンティアモデルへの価値集中というパラドックスは、AI投資家にとって重要な警告である。このエピソードは、AIブームの喧騒に惑わされることなく、本質的な構造を理解したいと願うすべてのビジネスパーソンにとって、必聴の内容である。

要点

  • Anthropicは1ヶ月で110億ドルのARRを追加し、これはPalantir、Snowflake、Databricksの3社が10年かけて築いたビジネスを上回る、資本主義史上類を見ない成長である。
  • AI投資におけるバブルの有無を監視する上で最も重要な指標は、TSMCのキャパシティ決定である。TSMCが供給を適度に制限し続けることが、過剰投資とその後の暴落を防ぐ鍵となる。
  • 長期的な電力問題の解決策は「軌道上コンピューティング(Orbital Compute)」にある。これは巨大な宇宙ステーションではなく、レーザーで接続されたラック群であり、SpaceXのStarshipによる再利用可能な打ち上げが経済性を実現する。
  • GPUの推論処理における「Prefill(プリフィル)」と「Decode(デコード)」の機能分離は、旧世代のGPUの耐用年数を劇的に延ばし、AIインフラへの資金調達コストを低下させる。
  • AIの経済的価値は依然としてフロンティアモデルに集中しており、アプリケーション層ではCursorやCognitionのような例外を除き、価値が破壊されている。この傾向が続くかどうかは、最も重要な未解決の問いである。
  • AIネイティブなスタートアップが成功するためには、単に優れたアイデアを持つだけでなく、それが「誰にとっても明らかになる前にスケールを達成できるか」、あるいは「異質で実現が困難(Different and Hard)」である必要がある。
  • 新興チップ企業がNvidiaに対抗するには、単なるGPUの模倣ではなく、Wafer Scale Computingのような「異質で困難な」アーキテクチャを採用する必要がある。
  • 市場では「多様性の崩壊」が進んでおり、AIに対して強気でない投資家はほとんどいない。しかし、Nvidiaのような高品質銘柄の評価額は依然として合理的であり、全面的なバブルには至っていない。