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Acquired · 2026年5月15日

特別編:Solana(CEO Anatoly Yakovenko と共に)

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この記事でわかること
  • 概要 Solanaの共同創業者兼CEOであるAnatoly Yakovenkoが、AcquiredのホストBen GilbertとDavid Rosenthalと対談。暗...
  • [6:51] 創業の経緯——暗号資産の冬に生まれたプロジェクト YakovenkoはSolanaの創業経緯を「積極的な戦略ではなく、生き残りのための選択だった」と振り返る...
  • しかし、この逆境がチームの質を高めることにつながった。YakovenkoはQualcommで10年以上共に働いてきたプリンシパルエンジニアやシニアディレクター級の人材を引...
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Acquired / Ben Gilbert and David Rosenthal

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概要

Solanaの共同創業者兼CEOであるAnatoly Yakovenkoが、AcquiredのホストBen GilbertとDavid Rosenthalと対談。暗号資産市場の暴落期である2017-2018年の「暗号資産の冬」に創業されたSolanaは、イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題——トランザクション速度の遅さと高額なガス代——に対する根本的な解決策を提示する。YakovenkoはQualcommでの無線通信エンジニアとしての経験を活かし、「Proof of History」という独自の時間軸概念を考案。これにより、Solanaはイーサリアムの約10〜65トランザクション/秒に対し、理論上65,000トランザクション/秒以上を達成している。会話は技術的な深掘りから、コミュニティ形成、競合との関係性、そして「検閲耐性」を最優先するSolanaの哲学まで、幅広くカバーされている。

6:51創業の経緯——暗号資産の冬に生まれたプロジェクト

YakovenkoはSolanaの創業経緯を「積極的な戦略ではなく、生き残りのための選択だった」と振り返る。2017年末から2018年初頭にかけての暗号資産ブームのピーク時にプロジェクトを開始したが、その後の暴落は「非常に速く、残酷だった」。資金調達の約束をしていたファンドが次々と破綻し、「申し訳ない、資金提供できない」と言われたという。

しかし、この逆境がチームの質を高めることにつながった。YakovenkoはQualcommで10年以上共に働いてきたプリンシパルエンジニアやシニアディレクター級の人材を引き抜くことに成功。「私が声をかけるとすぐに『どこにサインすればいい?』と言ってくれた」と語る。Zoomの創業者Eric YuanがWebExからチームを引き連れた状況に例えられるこの動きは、Yakovenkoにとって「自分たちの設計が正しいという大きな自信になった」という。

資金調達の難しさは続いた。暗号資産ネイティブの投資家は他の技術パラダイムに注目しており、非暗号資産系の投資家は「この分野は放射能汚染されている」と距離を置いた。そんな中、Foundation、Slow Ventures、Multicoinといった数少ない支援者が一貫してバックアップし続けた。また、Solanaを支えたもう一つの重要なコミュニティが「バリデーター」たちだった。彼らはイーサリアムネットワーク上でノードを運営する「真の信者」で、技術的に深い理解を持ち、どんなネットワークでも率先してテストする人々だった。「彼らはいつも最初に資金を提供し、質問もせずに『やろう』と言ってくれた」とYakovenkoは感謝を述べる。

12:08暗号資産との出会いとQualcommでの経験

Yakovenkoが暗号資産に初めて触れたのは2008年の金融危機の頃。ビットコインをCPUでマイニングしたが、その鍵を紛失してしまったという。GPUマイナーやFPGAの開発を考えたが、常に誰かが先に製品化していた。最も印象的だったのは、ASIC(特定用途向け集積回路)を開発した企業が、顧客への出荷を6ヶ月間遅らせ、自社で先にマイニングしたというエピソード。「顧客をフロントランニングする完璧な例。暗号資産の本質——完全な無法地帯のピアツーピアシステム——を象徴している」と語る。

Qualcommでは2008年当時、フィーチャーフォン向けOS「Brew」の開発に従事していた。これは世界初のモバイルアプリストアを搭載したOSで、C言語と手書きの仮想テーブルで構築されていた。「16ビットのARMチップで、メモリもほとんどない環境での開発は、すべての最適化を徹底的に考えさせられた。ハードウェアに限りなく近いところで仕事をする経験だった」と振り返る。この経験が、後にSolanaの設計思想に直接的に活かされることになる。

15:08スケーラビリティ問題の本質——なぜ既存システムは遅いのか

Yakovenkoは、ビットコインやイーサリアムが抱える根本的な問題を「検証可能性とスケーラビリティのトレードオフ」として説明する。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)システムは、すべてのデータを受信すれば、最初から最後まで「熱力学的セキュリティ」を検証できるという優れた特性を持つ。これは「ブラックボックスの中で、誰とも通信せずに検証できる」という点で、金(ゴールド)のような客観的な価値保存手段としてのビットコインの主張を支えている。

しかし、この特性には代償がある。チェーンが成長する速度を制限せざるを得ないのだ。「1兆ドルの資産を抱える人々は、スループットを上げるとチェーンが急速に成長して使えなくなることを恐れている」とYakovenkoは指摘する。イーサリアムのトランザクション処理能力は、ガス代の制限や操作の複雑さにもよるが、1秒あたり11〜65トランザクション程度。Uniswapだけで1日あたり10万〜20万トランザクションを処理しており、これだけでイーサリアムネットワークの容量の大部分を消費している。

一方、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)は、熱力学的エネルギーではなく、ネイティブトークンの価値に基づいて検証を行う。しかし、このトークンは「コンピュータ内部で仮想的に製造された独占通貨」であり、熱力学的な重みを持たない。そのため、最初の信頼の確立(ルート・オブ・トラスト)が必要になる。Yakovenkoはこれを「ブラウザのVeriSign証明書」に例え、「一度信頼を確立すれば、あとはそのセッションを継続するだけ」と説明する。Solanaはこの「弱い主観性」を完全に受け入れ、最速の通信ネットワークの構築に集中する道を選んだ。

32:11Proof of History——無線工学から生まれた革新

Yakovenkoの最大のブレイクスルーは、Dropboxに在籍中に起きた。「コーヒーを2杯とビールを1杯飲んで、午前4時まで起きていた」という深夜のひらめきが、Proof of Historyの概念を生み出した。

このアイデアの核心は、無線通信におけるTDMA(時分割多元接続)の原理にある。複数の無線塔が同時に同じ周波数で送信すると電磁波が干渉するため、各塔に同期した時計を与え、交互に送信させるというのが基本的な解決策だ。ビットコインのプルーフ・オブ・ワークでも同様の問題が発生する。複数のブロックが同時に生成されるとフォークが生じ、ネットワークに「ノイズ」が発生する。このノイズの解決には遅延が伴う。

Yakovenkoのアイデアは、プルーフ・オブ・ワークで使われるSHA256ハッシュ関数を、並列処理ではなく「単一コア、単一スレッドで強制的に遅く再帰的に実行させる」というものだった。これにより、特定のアクションの前に強制的な遅延が発生したことを証明できる「時間の矢」が作れる。「数学的な時間の概念は存在しない。アインシュタインの方程式でも時間は前後する。しかし、この方法で暗号学的に時間の経過を証明できる」とYakovenkoは興奮を込めて語る。

このProof of Historyにより、Solanaは「ターン制ゲーム」から「スケジュール制ゲーム」へとパラダイムを転換した。従来のBFT(ビザンチン故障耐性)システムでは、各参加者が順番に発言し、他の全員が確認してから次の発言に移る。Solanaでは、すべての発言タイムスロットを事前にスケジュールし、各参加者に割り当てられた時間内に発言しなければ機会を失う仕組みだ。「これはZoomのミュートボタンを順番に回すようなもの。自分の番に話さなければ、話せない」とYakovenkoは説明する。この方式により、同期のオーバーヘッドが劇的に削減される。

38:37驚異的なスループットとその限界

Solanaネットワークの現在のベンチマークは約50,000トランザクション/秒で、ピーク時には65,000を超える。これはVisaの処理能力に匹敵する。ただしYakovenkoは「ベンチマークはゲームだ」と警告する。「TSMCが3ナノメートルプロセスと主張するのと同じで、理想的な条件下での理論値」という意味だ。

実際のアプリケーションでは、Serum(Solana上で動作する中央指値注文帳型取引所)の各マーケットは1メガバイトのバッファとして実装されており、各注文には1メガバイトの読み取りと書き込みが必要だ。これらはより複雑なトランザクションだが、並列化は可能である。

ハードウェアレベルから逆算すると、理論上の限界はさらに高い。1ギガビットのネットワーク帯域幅があれば、理論上は700,000トランザクション/秒をサポートできる。そして、AMDがコア数を倍増させ、NvidiaがGPUのレーン数を増やし、PCIeバスが高速化するにつれて、この限界はさらに引き上げられる。「ハードウェアの仕様だけを見れば、数千万トランザクション/秒は可能だ。ただし、ソフトウェアをそこまで最適化するには血と汗と涙が必要だが」とYakovenkoは語る。

重要なのは、Solanaがすでに「人間が世界で行うあらゆること」を処理できるスループットを超えている点だ。Twitter全体で5,000メッセージ/秒、Nasdaqでも200〜300トレード/秒程度である。Solanaの真の価値は、機械同士が情報を合成し、価格を発見し、価値を創造する「金融システムの基盤」として機能することにある。

47:38実際のユースケース——Audiusと分散型音楽配信

Solana上で構築されている代表的なプロジェクトとして、YakovenkoはAudiusを挙げる。Audiusは分散型のSpotifyとも言える音楽配信プラットフォームで、現在400万人のユーザーを抱えている。「音楽業界はアーティストからファンまで、あらゆる金融面で搾取的だ」とYakovenkoは指摘する。

Audiusの価値提案は、従来のWeb2ビジネスモデル——データの収奪、不要な情報の押し付け、アーティストへの不当な低報酬——からの脱却にある。アーティストは自身の秘密鍵でコンテンツに署名し、ファンは直接アーティストに接続する。再生回数やファンとアーティストの関係性はすべてオープンな分散型プラットフォーム上で管理される。「アーティストは誰から何回ストリーミングされたかを正確に把握し、直接報酬を受け取れる」とYakovenkoは説明する。

この文脈でYakovenkoは、インターネットの本来あるべき姿についても語る。「1985年の自分に『インターネットは誰でも誰とでも接続でき、誰でもビジネスを始められ、誰でも自分のウェブサイトを持てる』と説明すれば、当然分散型になると考えるだろう。しかし現実は5大企業による中央集権だ。ブロックチェーンによるWeb3への進化は、1985年の自分が想像した通りの世界を実現する可能性がある」と述べる。

55:23検閲耐性——Solanaの「宗教」

Solanaコミュニティの最優先事項は「検閲耐性の最大化」だとYakovenkoは断言する。これを説明するために、彼は「核攻撃検知センサー」の比喩を用いる。複数の独立したセンサーが協調して動作し、システムを破壊するために必要な最小の参加者数(Nakamoto係数)を最大化することが重要だ。

SolanaのネイティブトークンSOLは、この検閲耐性を実現するための仕組みとして機能する。トークンの保有量がネットワーク内での投票権(検閲する力)の重みを決定し、その最小セットを最大化することが目標だ。「もし私たちが何らかの支配権を維持しようとしても、ネットワークはいつでも私たちを排除できる。だからこそ、トークンは自由に移転可能で、自由に再割り当て可能でなければならない」とYakovenkoは説明する。

この「検閲耐性の最大化」という目標は、ビットコインが「価値保存」を宗教とするのと同様に、Solanaコミュニティの宗教である。そして、この目標を達成するためには、ネットワークのスループットを最大化し、より多くの参加者がより多くのメッセージを処理できるようにすることが不可欠だというのがYakovenkoの信念だ。

1:02:41イーサリアムとの関係——競争と共存

イーサリアムとの関係についてYakovenkoは、1990年代のLinuxとMicrosoftの関係を引き合いに出す。「オープンソースコミュニティを殺すことはできない。イーサリアムを殺すことは、イーサリアムが私たちを殺すのと同じくらい不可能だ。週末に自分の時間を使って、ただ楽しいからコードを書きたいと思う人々がいる限り、それを殺すことはできない」。

ただし、機能が重複する部分では競争が発生する。この競争は健全であり、相互に改善を促す。「カーネルエンジニア同士はみんな友達だ。カンファレンスで会えば、同じバーで酒を飲みながらコンセンサスについて語り合う。WindowsとLinuxのカーネルエンジニアが同じように交流するのと同じだ」。

アプリケーション開発者に対して、Solanaを選ぶべき理由を問われると、Yakovenkoは明確に答える。「私たちは10億ユーザーのための超接続世界を、シャード(分割)も仲介者もなしに保証する。それが最初に実現するのはSolanaだ。もしあなたのビジョンがx86やIntelよりも大きいなら、Solanaがその場所だ」。さらに、イーサリアム2.0はまだ理論上の概念であり、Solanaはすでに実稼働しているという事実も強調する。

1:11:33将来のビジョン——Androidとの競争

Solanaエコシステムの将来像についてYakovenkoは、GoogleのAndroidとの競争を意識している。「Androidには5,000人のエンジニアが働いている。5,000人のエンジニアには年間10億ドルのコストがかかる。私たちにはそんな資金を調達する方法はない」。そのため、Solanaはトップダウン型の中央集権システムではなく、草の根のコミュニティ主導で成長する必要がある。

成功の姿は「本当にクールなものを作り続ける素晴らしいエンジニアの集団と、それを可能な限り高速に動作させるハードウェアを構築するバリデーターの集団」だとYakovenkoは描く。「誰かに何かを指示する単一の中央権威が存在しない」ことが理想だという。

最後にYakovenkoは、エンジニアでなくてもSolanaエコシステムに貢献する方法を提案する。「ハッカソンの提出作品を見て、何が良いかを私たちに教えてほしい。情報を統合することは、この分野で最も難しい仕事の一つだ。あなたの巨大な脳——宇宙で最も先進的な技術——を使って、他のチームが構築しているものを評価し、本当に高品質なものを教えてほしい」。

まとめ

このエピソードの核心は、Solanaが単なる「イーサリアムキラー」ではなく、根本的に異なる設計思想に基づくブロックチェーンであるという点だ。Qualcommでの無線通信の経験から生まれたProof of Historyは、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題に対する独創的な解決策を提供する。しかし、技術的な優位性だけでなく、暗号資産の冬という逆境の中で形成された「真の信者」コミュニティの存在が、Solanaの現在の成功を支えている。Yakovenkoの語り口からは、競合を「殺す」のではなく、より大きな暗号資産エコシステム全体の発展を願う姿勢が感じられる。検閲耐性を最優先するという明確な哲学と、実際に動くプロダクトを提供しているという事実が、Solanaを他のレイヤー1プロトコルと一線を画す存在にしている。

要点

  • Solanaは2017-2018年の暗号資産の冬に創業され、資金調達の失敗や市場の暴落を乗り越えて成長した。初期の支援者はバリデーターコミュニティの「真の信者」たちだった。
  • Proof of Historyは、SHA256ハッシュ関数を単一コアで強制的に逐次実行させることで「時間の矢」を暗号学的に証明する仕組み。無線通信のTDMA(時分割多元接続)の原理をブロックチェーンに応用したもの。
  • Solanaの現在のスループットは約50,000トランザクション/秒(ピーク時65,000以上)で、イーサリアムの約10〜65トランザクション/秒を圧倒する。ハードウェアの理論限界は700,000トランザクション/秒。
  • Solanaの設計思想は「検閲耐性の最大化」にあり、ビットコインが「価値保存」を宗教とするのと同様、これがコミュニティの最優先事項。
  • イーサリアムとの関係は競争と共存。Yakovenkoは「オープンソースコミュニティを殺すことは不可能」と述べ、相互の技術的改善を促進する健全な競争を評価する。
  • Audius(分散型音楽配信プラットフォーム)はSolana上の代表的なユースケースで、400万人のユーザーを獲得。アーティストとファンを直接接続し、中間業者を排除する。
  • Solanaの長期的なビジョンは、GoogleのAndroidと競争できるエコシステムの構築。トップダウンではなく、草の根のコミュニティ主導で5,000人のエンジニアが貢献する分散型の開発体制を目指す。
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