
NFLからスタートアップCOO、そして暗号資産を規制する下院議員へ(アンソニー・ゴンザレス議員)
- 概要 本エピソードは、Acquired 初の現職米国連邦議会議員をゲストに迎えた特別編。共和党下院議員アンソニー・ゴンザレス(オハイオ州選出)は、キューバ移民の子として育...
- [5:00] キューバ移民の子として——家族の物語とオハイオへのルーツ ゴンザレスの家族史は、アメリカン・ドリームの縮図であると同時に、冷戦の影を色濃く反映している。彼の...
- 父はミシガン大学に進学し、名将ボ・シェンベクラーの下でフットボールをプレーした。その後、オハイオ北東部で鉄鋼会社を創業し、現在も経営を続けている。ゴンザレスが生まれる直前...
英語Podcastの要点を、聴く前に日本語で把握したい人。
Acquired / Ben Gilbert and David Rosenthal
概要
本エピソードは、Acquired 初の現職米国連邦議会議員をゲストに迎えた特別編。共和党下院議員アンソニー・ゴンザレス(オハイオ州選出)は、キューバ移民の子として育ち、オハイオ州立大学でフットボールのスター選手として活躍、NFL のインディアナポリス・コルツでペイトン・マニングからタッチダウンパスをキャッチした後、スタンフォード GSB で MBA を取得、ベンチャー支援スタートアップの COO を経て、2018 年に下院議員に初当選した異色の経歴を持つ。金融サービス委員会で暗号資産・Web3 規制の最前線に立ちつつ、科学・宇宙・技術委員会でも NASA などを監督する彼が、2021 年 1 月 6 日の議会襲撃事件後のトランプ大統領弾劾に賛成票を投じた 10 人の共和党議員の一人として下した決断の内幕、そして「do no harm(害をなすな)」をモットーとする暗号資産規制のビジョン、中国との競争、アメリカの民主主義の危機について、ホストのベン・ギルバートとデイヴィッド・ローゼンタールが深く掘り下げる。率直で知的な対話は、政治の内側から見える現実と、テクノロジーへの深い理解が融合した稀有な内容となっている。
キューバ移民の子として——家族の物語とオハイオへのルーツ
ゴンザレスの家族史は、アメリカン・ドリームの縮図であると同時に、冷戦の影を色濃く反映している。彼のキューバ人の祖父母は新婚旅行でニューヨークからマイアミへ車で向かう途中、オハイオで資金が尽きて立ち往生した。そこで知り合いを作り、なんとか帰路に就いたが、これが後に一家がオハイオに定住する伏線となる。祖父は常にアメリカの民主主義を敬愛していたが、当時のキューバは「民主主義と自由の灯台」とはほど遠く、汚職が蔓延していた。カストロが政権を掌握すると、祖父は民主化運動に参加していたために弾圧の対象となった。カストロの側近から地方裁判所の運営を任せるという誘いを受けたが、祖父はカストロの本質を見抜いて断った。当時、カストロの申し出を断ることは死を意味したため、一家はハバナ近郊のジャングルに潜伏し、ビザの処理を待った。合法的に米国へ渡った後、マイアミに数日滞在し、祖父が以前勤めていたシンシナティの学校に「仕事に戻れますか」と電話をかけた。学校は「もちろん来なさい」と応じ、一家はオハイオの労働者階級の地域に小さな家を借りた。そこで父は育ち、母と出会い、結婚した。
父はミシガン大学に進学し、名将ボ・シェンベクラーの下でフットボールをプレーした。その後、オハイオ北東部で鉄鋼会社を創業し、現在も経営を続けている。ゴンザレスが生まれる直前のことだ。彼は「自分が最もくつろげる場所」と語るこの地域で育ち、父が 12〜14 時間働く日々だったため、父に会うためには事務所に足を運ぶ必要があった。この「ハードスクラブル(質実剛健)」なコミュニティこそが、彼のアイデンティティの核であり、今も誇りを持って代表する故郷である。
NFL からスタンフォード GSB へ——異色のキャリアパス
ゴンザレスのフットボール人生は、ミシガン大学へのリクルート訪問での衝撃的な出来事から始まる。幼少期からミシガンファンだった彼は、母と共にアナーバーを訪れたが、コーチ陣は同じポジションの他のリクルート候補に夢中で、彼にまったく注意を払わなかった。16 歳の彼は「試合を見ていないのは明らかだ」と感じ、1 時間半で帰る決断をした。母は「心が張り裂けそうだった」と後に語ったという。
その翌週、オハイオ州立大学の「ジュニアデー」に参加した。当時 2 年目のジム・トレッセルコーチは、到着するなり彼を個別にオフィスに招き、プログラムの優先順位と彼の適性について丁寧に説明した。この対応の差が決定的だった。数週間後、マッシロンでの晩餐会でトレッセルから奨学金のオファーを受けたゴンザレスは、父から「ありがとうと言って断れ」と指示されていたにもかかわらず、「あなたの下でプレーできることを光栄に思います」と即答した。父への報告は後日になったという。
オハイオ州立大学では哲学を専攻した。祖父が弁護士だったことから、自身も法律家を志し、「弁護士になりたいなら哲学と英語を専攻すべきだ」という助言に従ったのだ。NFL でプレーした後、ロースクールに進む計画だった。2007 年の NFL ドラフトで 1 巡目に指名され、インディアナポリス・コルツに入団。2 年間は順調で、ホール・オブ・フェイムのワイドレシーバー、マービン・ハリソンの後継者として期待された。しかし 3 年目の開幕戦で負傷し、以降は怪我が絶えなくなった。
この 3 年目と 4 年目の間に、ハーバード・ビジネス・スクールの 1 週間のビジネスプログラムに参加した。初日の授業を終えた後、母に電話して「フットボールが終わったらビジネススクールに行くと決めた」と伝えた。GMAT の勉強を始め、キャリアが終わるまで結果を保留した。キャリアの終わりが近づいた時、スタンフォードに出願した。最終的なプレシーズンゲームのロッカールームから、エッセイを書き始めたという逸話を持つ。その後、ニューイングランド・ペイトリオッツに移籍したが、6 週間で 3 回の手術を受けるなど怪我が続き、ビル・ベリチックから「君は好きだが、怪我をしている選手は置いておけない」と解雇された。ゴンザレスが「引退してビジネススクールに行こうと思います」と告げると、ベリチックは「スタンフォードか。良い学校だ。幸運を」と答えたという。これが彼の NFL キャリアの終わりであり、新たな章の始まりだった。
なぜ今、政治なのか——2016 年選挙が変えた人生設計
ゴンザレスは元々、NFL とビジネスキャリアを積み、家族を養い、子供が成長した後に公職に就く計画だった。この計画を根本から覆したのが 2016 年の大統領選挙だった。「政治がまったく認識できなくなった」と彼は振り返る。国が危険な方向に進んでいると感じ、自分に何ができるかを真剣に考え始めた。結論は「下院議員に立候補する」というものだったが、これは結婚時に妻と交わした約束とはまったく異なる選択だった。
彼はこの決断を「スタートアップを立ち上げるのと同じ」と捉えた。まず 15〜20 回の「カスタマーインタビュー」を実施し、有権者の動機や関心事を理解しようと努めた。そこで見出したメッセージは「経済問題」と「団結」だった。2016 年の選挙を「怒りと分裂」と解釈する向きが多かったが、ゴンザレスはオハイオ北東部の現実は「根本的に経済の物語」だと確信していた。父が鉄鋼会社を創業した当時、90 マイル圏内に 5〜6 あった自動車工場は現在 1 つだけ。LTV スチールの巨大工場はかつて 2 万人を雇用していたが、今は 500 人未満だ。父は幼い頃、煙突から煙が出ている限り「すべては大丈夫」と言っていたという。この産業空洞化こそが、2016 年の真の教訓だと彼は考えた。
選挙戦略は「良いチームを作り、資金を集める」というシンプルなものだった。彼は Salesforce のカスタムダッシュボードを自作し、資金調達を営業活動のように管理した。初回選挙にはプライマリー(党内予備選挙)で 200 万ドルが必要とされ、初月に 60 万ドルを集めた。連邦選挙法では個人からの寄付は 2,700 ドルが上限であるため、小口の寄付を積み上げる必要がある。彼は「強さは強さを呼ぶ」というスタートアップの原則を政治に応用し、早期の資金調達で「ただの元フットボール選手ではない」というシグナルを市場に送った。1 年間、毎朝 7 時に家を出て、午後 11 時までフォローアップのメールを書く日々だったが、「競争中毒」の彼にとっては「これまでで最も楽しい経験」だったという。
1 月 6 日と弾劾投票——民主主義への誓い
2020 年大統領選挙後、ゴンザレスは「事態は非常に危険な方向に進む」という深い不安を抱えていた。ホワイトハウスのレトリック、有権者からの声、そして「選挙は盗まれた」という主張が広がる様子を見て、「国民の半数が選挙が盗まれたと信じれば、本当に暴力的な結果になる」と予感していた。彼は側近に「カメラを用意してくれ。人々に直接話さなければ」と指示した。
1 月 6 日当日、彼は早朝 4 時 35 分に自宅を出た。通常 15 分の通勤時間が、全米から集まったバスの列のために 45 分かかった。モールはすでに人で埋め尽くされ、見たことのないようなプラカードが掲げられていた。彼はスタッフに帰宅を命じたが、スタッフは残ることを主張した。下院本会議場では、彼はバルコニー席からペンス副大統領が正しい行動(選挙人投票の認定)を取ることを確認した。しかし、テッド・クルーズ上院議員が異議を唱えた瞬間、「吐き気がした」という。その場を離れようとした時、窓の外で群衆が警備を突破するのを目撃した。
彼はオフィスに戻り、灯りを消し、静かにするよう指示を受けた。議員であることを悟られないよう、ジーンズとランニングシューズに着替え、「もしドアを破って入ってきたら、飛び越えて逃げよう」と考えた。ホワイトハウスに連絡を試みたが、トランプ大統領が事態を収拾するのに約 3 時間を要した。「3 時間が 15 時間に感じられた」と彼は振り返る。彼の確信は「これは元大統領が扇動した、許しがたい国家への攻撃であり、彼はそれを楽しんでいた」というものだ。周辺にいた複数の人物からも同じ結論を得たという。
弾劾投票について、彼は「明らかに弾劾に値する行為だが、残り任期が 3 日しかない中で弾劾が正しいのか」と迷った。最終的に「将来の全ての大統領に対して、もしこのような馬鹿げた計画を企て、支持者を議会に差し向け、死者を出し、国家に深い傷を負わせれば、必ず弾劾されるというメッセージを送らねばならない」と結論づけた。彼は「人生で二つの誓いを立てた。妻への誓いと憲法への誓いだ。どちらも破るつもりはない」と語る。この投票が自身の政治生命を事実上終わらせることを認識していたが、それでも戦うつもりだった。しかし、家族との話し合いを重ねた末、「子供たちにとって政治が最善の場所ではない」と判断し、再選を断念した。
暗号資産規制の最前線——「do no harm」の原則
ゴンザレスが暗号資産に本格的にのめり込んだきっかけは、ナンタケット島での家族旅行中に聴いた Kevin Rose のポッドキャスト「Modern Finance」だった。そこで Flamingo DAO について初めて知り、「これは社会にとって信じられないほどインパクトがあり、インターネットや資本市場、金融商品へのアクセスに関する多くの問題を解決できる」と直感した。彼はその後数ヶ月を費やして、L1、L2、トークンの違い、DeFi アプリケーションについて徹底的に学んだ。
特筆すべきは、彼が「実際に触ってみる」ことを重視した点だ。議員として暗号資産に投資することは適切ではないと考えたが、「ホワイトペーパーを読むだけでは限界がある」と判断。数百ドルをイーサリアムに充て、実際に DeFi を操作してみた。しかしガス代の高さにすぐに挫折し、最終的に全額を United Way に寄付した。この経験から「読むだけよりもはるかに多くを学んだ」と語る。
彼は現在の議会の暗号資産に対する理解度を 3 層に分類する。90% の議員は「まったく理解していない」。次の 5% は金融サービス委員会のメンバーで「基礎を学びつつある」。残りの 5% がゴンザレスのような「深く理解し、明確な規制の枠組みについて確固たる見解を持つ」議員だ。この 5% が両党で協力し、残りの 90% を引っ張っていくのが委員会の役割だと彼は説明する。
ゴンザレスが提唱する規制の基本原則は、ビル・クリントン政権が初期のインターネットに対して採った「do no harm(害をなすな)」のアプローチである。当時、チャットルームなど問題も多かったが、クリントンは「まずは息を吹き込ませ、理解が深まってから規制を考える」という姿勢を貫いた。ゴンザレスは「暗号資産にも同じマントラが当てはまる」と主張する。悪いことは確かに起きている(脱税など)が、業界全体を破壊する前に、理解を深めながら「一口サイズ」で規制すべきだという。
具体的な第一歩として、彼は「ペイメント・ステーブルコイン(法定通貨に裏付けられたステーブルコイン)」の規制を提案する。Terra Luna の暴落を受けて、議員たちはアルゴリズム型ステーブルコインと法定通貨裏付け型の違いを理解し始めた。法定通貨裏付け型については、準備資産の質、監査要件、償還ルール、消費者保護など、比較的合意が得やすい。一方、アルゴリズム型については「何であるかが明確ではない」として、現時点では規制に含めず、後日対応すべきだと主張する。
NCAA とカレッジスポーツの未来——名前・肖像権(NIL)をめぐる混乱
ゴンザレスはオハイオ州立大学での自身の経験から、カレッジアスリートの名前・肖像権(NIL)問題に深く関わってきた。「カレッジアスリートだけが、自分の名前や肖像を活用できない唯一のアメリカ人だった」という問題意識が原点だ。彼自身、スタンドで自分のジャージを着たファンを見たり、eBay で自分のサインが売られているのを見て、「何も得られない」という違和感を抱いていた。しかし同時に「オハイオ州立大学から得たものの方が、私が貢献したものよりはるかに大きい」とも強調する。
彼の妻はスタンフォード大学の水泳選手だった。スタンフォードは全米でも最も学費の高い大学の一つだが、水泳選手はスイミングレッスンを教えて生活費を稼ぐことさえ禁じられていた。「アサートンの裕福な家庭は、スタンフォードの水泳選手に子供の泳ぎを教えてもらうために大金を払っただろう」と彼は指摘する。
カリフォルニア州が NIL を合法化する法律を可決したことを皮切りに、全米の州がバラバラの法律を制定し始めた。ゴンザレスは「全国統一基準」を提唱し、超党派で法案を提出してきた。しかし NCAA が最高裁で敗訴した後、NCAA は「NIL を合法とするが、一切 enforcement しない」という立場を取り、結果として「無法地帯」が生まれた。
現在、大学スポーツでは「collective(団体)」と呼ばれるブースター組織が、大学と公式な関係を持たずに「マーケティング資金」と称して選手を事実上「買う」仕組みが横行している。クォーターバックが 800 万ドルの NIL 契約を結ぶ事例も出ているが、その契約の仲介手数料は NFL のエージェント手数料上限 3% に対し、20% に達する可能性がある。さらに、コーチは自分と無関係の collective が適切な選手を「買ってくれる」ことを祈るしかない。
ゴンザレスは、このまま放置すればカレッジスポーツは完全なプロ化に向かい、その結果、収益を生まないほとんどの競技(陸上、ソフトボール、水泳など)が廃止されると警告する。フットボールと男子バスケットボールが稼いだ資金で他の競技を支える現在のモデルが崩壊すれば、特に恵まれない背景を持つ学生にスポーツを通じた機会を提供するという重要な社会的機能が失われる。
アメリカ民主主義の危機——真の分断線
ゴンザレスは「現代の最大の政治的な戦いは、共和党対民主党ではない」と断言する。真の分断線は「アメリカの民主主義を信じるか否か」にある。彼は左右両方の陣営で、自分たちの望む結果が得られないと「建物を破壊し、法律を廃棄し、裁判所を攻撃する」傾向が強まっていると警鐘を鳴らす。
彼はアメリカの民主主義の本質を「個人の主権」に求める。建国以前、政府は「政府による、政府のための、政府のもの」だったが、アメリカは初めて「人民による、人民のための」政府を創設した。この実験は、前例のない富と繁栄を生み、より多くの人々を貧困から救い、より多くの自由をもたらし、世界史上最長の持続可能な平和を実現した。もちろん完璧ではない——3/5 妥協を「建国の原罪」と呼ぶ——が、中国の共産主義やロシアの権威主義と比較すれば、進むべき道は明らかだと彼は主張する。
民主主義を「参加型スポーツ」と表現するゴンザレスは、問題解決の「一つのトリック」として「予備選挙(プライマリー)での投票率向上」を挙げる。現在、有権者の約 20% しか予備選挙に参加しない。多くの選挙区はゲリマンダリング(選挙区操作)により、実質的に予備選挙の勝者が本選挙でも勝利することが確定している。もし予備選挙の投票率が 20% から 50% に上がれば、「政治は劇的に穏健化する」と彼は確信する。
アメリカの産業政策——ダイナミズムとレジリエンスの追求
ゴンザレスは、父の鉄鋼会社を通じて産業空洞化を目の当たりにしてきた。LTV スチールの工場閉鎖は、地域社会に貧困、絶望、オピオイド禍をもたらした。この経験から、彼は経済政策を「持続可能性(sustainability)」「ダイナミズム(dynamism)」「レジリエンス(resilience)」の 3 つの柱で捉える。
ダイナミズムとは「アメリカが全ての重要技術で世界をリードし続けること」を意味する。AI、機械学習、そして次の大きな波をアメリカで生み出し、その経済的価値と雇用を国内に取り込む必要がある。FTX がバハマに拠点を置いている現状を「気が狂いそうになる」と彼は表現する。
レジリエンスについては、COVID-19 が「効率性だけを追求すると、どこかでトレードオフが生じる」ことを明らかにしたと指摘する。全てを国内で生産する必要はないが、半導体のような「ミッションクリティカル」な技術とサプライチェーンは、国内または友好国に確保すべきだ。TSMC が台湾に集中している現状は、地政学的リスクをはらむ。
持続可能性とダイナミズムの間には「囚人のジレンマ」が存在する。アメリカが高コストでクリーンな鉄鋼を生産しても、中国が低コストで汚い鉄鋼を生産し続ければ、地球全体の環境は改善しない。ゴンザレスは「答えはイノベーションしかない」と断言する。クリーンで安価な代替技術を開発し、世界中の誰もが「これが最善だ」と選択するようにするしかない。これは 20〜50 年の長期的な取り組みだが、政府が R&D に投資すべき領域だと彼は主張する。民間企業だけでは 50 年単位の研究開発を支えられないからだ。
オハイオ州の具体例として、コロンバスでは Drive Capital などのベンチャーキャピタルを中心に保険テックのエコシステムが育ちつつあり、さらに Intel の大規模投資が加わることで「シリコン・ハートランド」が形成されつつある。クリーブランド・クリニックと大学病院という世界有数の医療機関のイノベーションを地域経済に結びつけることも課題だ。
まとめ
このエピソードが聴き手に残すものは、アメリカ政治の内側で起きている現実と、それを変えようとする一人の人物の誠実な葛藤である。ゴンザレスは、自身の政治生命を犠牲にしてでも憲法への誓いを守ることを選び、同時に、テクノロジーを深く理解した上で「do no harm」の原則に基づく規制を提唱する。彼のキャリアは、フットボール、ビジネス、政治という一見無関係に見える領域が、リーダーシップ、競争心、そして「愛し敬う人々と働く」という価値観で一貫して結ばれていることを示している。民主主義の危機とテクノロジーの可能性が交差するこの時代に、一人の議員がどのように思考し、行動し、そして次の章へと進もうとしているのか——そのプロセスを追体験できる貴重な記録である。
要点
- ゴンザレスはキューバ移民の子としてオハイオで育ち、オハイオ州立大学でフットボールのスターに、NFL のコルツでペイトン・マニングとプレーした後、スタンフォード GSB で MBA を取得、ベンチャー支援スタートアップの COO を経て下院議員に当選した異色の経歴を持つ。
- 2021 年 1 月 6 日の議会襲撃事件後、トランプ大統領の弾劾に賛成票を投じた 10 人の共和党議員の一人。この決断が自身の政治生命を事実上終わらせることを認識しつつ、憲法への誓いを優先した。
- 暗号資産規制については「do no harm(害をなすな)」の原則を掲げ、クリントン政権の初期インターネット対応をモデルとすべきと主張。まずは法定通貨裏付け型ステーブルコインから「一口サイズ」で規制し、アルゴリズム型は理解が深まるまで規制に含めない方針。
- 自身も数百ドルで実際に DeFi を操作した経験を持ち、議員として「触って理解する」ことの重要性を強調。投資ではなく学習目的であり、全額を United Way に寄付した。
- NCAA の名前・肖像権(NIL)問題では、全国統一基準の法制化を推進。現在の「collective」による無法地帯が続けば、カレッジスポーツのプロ化と非収益競技の廃止につながると警告。
- アメリカの産業政策を「持続可能性」「ダイナミズム」「レジリエンス」の 3 軸で捉え、重要技術とサプライチェーンの国内・友好国への回帰を主張。気候変動対策は「イノベーションによる解決」が唯一の道であり、政府の長期 R&D 投資が不可欠。
- 民主主義の最大の危機は「アメリカの民主主義への信頼喪失」であり、解決の鍵は予備選挙の投票率向上(現在約 20%)にあると指摘。有権者の積極的な参加が政治の穏健化をもたらす。