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Acquired · 2026年5月15日

ACQ Sessions: Jason Calacanis

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この記事でわかること
  • オーバービュー Acquiredの新フォーマット「ACQ Sessions」の初回エピソードは、ホストのBen GilbertとDavid Rosenthalが、All-...
  • [0:08] 原点:ブルックリンからシリコンバレーへ Jason Calacanisは、1987年の株式市場の暴落で父親が経営するバーを連邦政府に差し押さえられ、大学進学...
  • 彼の最初のビジネスは「Jason's Hot Tapes」というVHSテープの販売だったが、同時にソフトウェアのクラッキングや「phone phreaking」(電話回線...
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Acquired / Ben Gilbert and David Rosenthal

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オーバービュー

Acquiredの新フォーマット「ACQ Sessions」の初回エピソードは、ホストのBen GilbertとDavid Rosenthalが、All-inポッドキャストの司会者であり、シリアルアントレプレナー、エンジェル投資家であるJason Calacanisを迎え、ワイン片手にスクリプトなしで繰り広げる約2時間の深掘り対談である。Calacanisは、ブルックリンの貧しい家庭から這い上がり、雑誌『Silicon Alley Reporter』で成功を収め、Weblogs, Inc.をAOLに売却、その後エンジェル投資家としてUberやCalmなどの初期投資で名を馳せ、現在はAll-inポッドキャストで世界的な知名度を得るに至った。このエピソードの核心は、50代を超えてなお加速するキャリアの原動力、All-inという現象がなぜ機能しているのか、そしてシリコンバレーにおける富、政治、友情の複雑な関係性を、Calacanisの生々しい語り口で明らかにすることにある。

0:08原点:ブルックリンからシリコンバレーへ

Jason Calacanisは、1987年の株式市場の暴落で父親が経営するバーを連邦政府に差し押さえられ、大学進学目前で経済的基盤を失った経験から物語を始める。父親は「息子よ、大学の学費は出せない。うまくいけば刑務所に行くかもしれないから、母親の面倒を見てくれ」と言い残したという。Calacanisは昼間にレーザープリンターの修理で働きながら、夜間はブルックリン・カレッジに通い、週4日、午後6時から9時まで授業を受けた。彼は「成績の悪い学生だった」と認めつつ、高校時代に300ボー・モデムやPCジュニアを与えられたことが、その後の人生の方向性を決めたと振り返る。

彼の最初のビジネスは「Jason's Hot Tapes」というVHSテープの販売だったが、同時にソフトウェアのクラッキングや「phone phreaking」(電話回線のハッキング)も行っていた。しかし彼は、技術そのものではなく、技術について書く道を選ぶ。高校の友人Brian Alveyと共に、ダイヤルアップサービスやCD-ROMについてのZine(雑誌)『Cyber Surfer』を創刊したことが、後のメディアキャリアの始まりだった。

1994年から95年頃、Internet WorldでJerry Colonnaと出会い、ColonnaとFred Wilsonが立ち上げようとしていたベンチャー企業(後のFlatiron Partners)でビジネスプランを読む仕事を依頼される。JPモルガンとソフトバンクの孫正義が主要なLPとなるこのファンドで、Calacanisは24歳にしてVCの仕事に触れることになる。彼はFlatironにGeoCities(当時はBeverly Hills Internet)への投資を提案し、同社は後にYahoo!に約30〜40億ドルで売却され、Flatironの大成功の一因となった。

Fred WilsonはCalacanisに「君はSilicon Alley Reporterをやっている。我々や我々が投資する企業について書いている。どちらをやりたいんだ?」と問いかけた。Calacanisは「雑誌を続けます」と答えた。彼はこの雑誌を自身のクレジットカードで資金調達し、27歳で100人の従業員を抱え、年間1000万ドルの収益を生み出す企業に成長させた。ニューヨーク・タイムズの表紙を飾り、チャーリー・ローズの番組にも出演し、ニューヨーカー誌に8000語の特集記事が掲載されるなど、当時のニューヨークで「インターネットの王様」として注目を集めた。

11:32All-inの誕生:ポーカー仲間が世界最大のテクノロジーポッドキャストになるまで

All-inポッドキャストの起源は、CalacanisとChamath Palihapitiyaの友情に遡る。二人はAOL時代に知り合い、その後ポーカーを通じて親交を深めた。CalacanisはChamathを自身のポッドキャスト『This Week in Startups』に招き、彼の魅力を引き出すことに成功する。2020年、CNBCのスタジオを出たChamathから「君とポッドキャストをやりたい」と電話があり、Calacanisはポーカー用語から「All-in」という名前を提案した。

当初はCalacanisとChamathの二人だけの番組だったが、パンデミックが発生し、David SacksとChamathがマスクについて意見を交わしたことをきっかけに、現在の4人体制が自然発生的に形成された。Calacanisは「Friedberg(David Friedberg)と私はAll-in以前は親友ではなかった。知ってはいたが、ベストではなかった」と明かす。しかし、ポーカーゲームを通じて築かれた関係が、番組のケミストリーを生み出した。

CalacanisはAll-inの成功要因を3つ挙げている。第一に「ビリオネア・ポルノグラフィー」—通常、そのレベルの富を得た人々は隠遁するが、All-inのメンバーはボートやジェット機から配信し、リアルタイムで巨額のトレードについて語る。第二に「情報優位性」—彼らは投資家として週に20件以上のミーティングを行い、最先端の情報にアクセスしている。第三に「関係性とカリスマ性」—聴衆は彼らの世界に一時的に参加する楽しさを感じている。

CalacanisはAll-inの成功について「デンタリスト(歯科医)が聴いていることに気づいた時、これはテクノロジーを超えたと悟った」と語る。タホでスキー中にレストランの女性から「あなたのポッドキャストを週2回聴いています」と言われ、「業界の方ですか?」と尋ねると「私はリノの歯科医です」と返ってきたというエピソードが、番組のクロスオーバーを象徴している。

23:47キャラクターの演出と司会術:McLaughlin Groupから学んだ「ポイントガード」の役割

CalacanisはAll-inにおいて、意図的にキャラクターアークを設計したことを初めて公言する。Friedbergには「Sultan of Science(科学のスルタン)」というキャラクターを与え、科学ネタを話す場を設けた。Sacksには政治の「赤身の肉」を与え、Friedbergには「キヌア」を与えるという比喩を使い、両者がそれぞれの得意分野で輝けるように設計した。

司会者としての技術は、1980年代の政治討論番組『The McLaughlin Group』から学んだという。司会者のMcLaughlinは、気に入らない回答には「Wrong!」と切り捨てるスタイルで、視聴者を引きつけた。しかしCalacanisは、このスタイルがSacksのような熱心な討論者を刺激しすぎることに気づき、現在は「会話」を維持するよう努めている。

彼は「インタラクション」と「割り込み」の違いを意識し、聴衆の理解度を測りながら進行する。例えば「フェアマーケットバリュー」のような専門用語が出た時は、自分が知らないふりをして「説明してくれ」と促す。これは「聴衆の代弁者」としての役割であり、彼がUberの初期投資家であることを知っている聴衆には「彼は知らないわけがない」と理解されているという。

35:48シリコンバレーと富の関係:なぜAll-inは「キャンディ化した野菜」なのか

Calacanisはシリコンバレーの富に対する奇妙な態度を批判する。ZuckがAcuraを運転していたことや、David FiloとJerry Yangが古い車に乗っていたことを例に挙げ、「かつては富を隠すことがクールだった」と指摘する。All-inはこのタブーを打破し、プライベートジェットやボートから配信するスタイルが「ビリオネア・ポルノグラフィー」として人気を集めている。

彼は「世界は不公平だが、アメリカではかつてないほど公平になった」と主張する。MITの講義が無料で受けられ、Googleが無料のUXデザイン講座を提供し、その修了者の平均初任給が8万ドルであることを例に挙げる。しかし、この「メリトクラシー」という言葉自体が人々を不安にさせるとも指摘する。「シリコンバレーはメリトクラシーだと言うと、人々は『違う』と怒る。でも実際はそうなんだ」。

All-inが提供する価値について、Ben Gilbertは「キャンディ化した野菜」という表現を使う。Stratecheryのような「野菜だけ」のコンテンツは知的だが楽しくはなく、Jon Gruberのトークショーのような「キャンディだけ」のコンテンツは楽しいが深みがない。All-inはその両方を兼ね備えているという。

51:55サンフランシスコvsマイアミ:規制と政治がテクノロジーに与える影響

Calacanisはサンフランシスコの政治状況に強い不満を表明する。「ブルックリンが一番好きで、次がLA、そしてサンフランシスコが一番好きじゃない」と率直に語る。それでもシリコンバレーに留まる理由は、VCとしてのキャリアを築くためだったと説明する。

特に批判の対象となるのは、サンフランシスコの監事Dean Prestonである。PrestonはAwayの創業者とSlackのStewart Butterfield夫妻が自宅を売却した際に120万ドルの移転税を徴収したことを誇示したが、Calacanisは「彼らはSlackで数十億ドルの富を生み出した。Slackのシェフ一人が10億ドルを稼ぎ、12億ドルの税金を支払った。その桁違いの税収と比較して、120万ドルを誇るとは愚かだ」と痛烈に批判する。

一方、マイアミのFrancis Suarez市長は、ベンチャーキャピタルを調達した企業をツイートストームで称賛している。Calacanisは「カリフォルニアは今後10〜20年、政治と規制のせいで損害を受けるだろう」と予測し、オースティンやマイアミへの移住の可能性を示唆する。

58:5050代のエネルギー:Tony Hsiehの死が変えた人生観

Calacanisは現在、キャリアの中で最も生産的な時期を迎えている。その転機は親友Tony Hsiehの死だった。「何に喜びを感じ、何に感じないかを深く考え直した」と語る。弁護士との条件交渉、HR、会計、税務といった業務には一切喜びを感じず、それらをチームに委任する決断をした。

現在の喜びは、毎日のポッドキャスト配信だ。「Tobi(Shopify CEO)とのインタビューの後、エネルギーが11になった。なぜこれを毎日やらないのか?」と自問し、週5日の配信を決意。Molly Woodを共同ホストに迎え、『This Week in Startups』は現在週6日配信している。

投資面では、エンジェルシンジケートが世界最大規模に成長し、キャリア全体で1億8500万ドルを配分、現在は年間5000万ドルのペースで投資している。チームは22人(メディア10人、投資12人)で、投資チームは週60件の初回ミーティングと15〜20件のセカンドミーティングをこなす。Calacanis自身はポッドキャスト、創業者との面談、LP資金調達に集中し、運営は旧友のMike Savinoに任せている。

「私は51歳だ。もうすぐいなくなる。友人を二人若くして亡くした。妻に言ったんだ。『あと1年かもしれないし、25年かもしれない。でも、この人生を意味あるものにしたい』と。最大化すべきはお金じゃない」。

1:19:09エンジェル投資の極意:Calmの事例と9つのチェックリスト

Calacanisの投資キャリアの中で最も誇るべき案件はCalm(瞑想アプリ)だ。評価額400万ドルの時に37万8000ドルを投資し6%を取得。その後、同社は2億5000万ドルの評価額になるまで追加資金調達をせず、希薄化が一切なかった。創業者のAlexとMichaelは、40人の投資家に断られた後、「本当に君のお金を使っていいのか」と悩んだという。Calacanisは「私が投資するのは、会社が死ぬかもしれない段階だ」と語る。

彼は投資判断のための9つのポジティブ要素と15のレッドフラグからなるチェックリストを開発し、チームに教育している。その一つが「ワールドクラスのデザイン」だ。CalmはHeadspaceより、RobinhoodはE-Tradeより優れたUXを持っていた。しかし、チームが「ワールドクラスのデザイン」と言って持ってくる案件の多くは、テンプレートを使った「用を足すだけのデザイン」だと指摘する。

もう一つの重要な指標は「プロダクト・ベロシティ」だ。6月に会った会社が7月に何を変えたか。変更ログやロードマップを確認する。Travis Kalanick(Uber)やRahul Vohra(Superhuman)のような創業者は、毎週のように新機能をリリースする。

1:30:58AdobeのFigma買収とベンチャーキャピタルの殿堂

エピソード後半では、AdobeによるFigmaの200億ドル買収について議論が展開される。市場はAdobe株を売り浴びせたが、Calacanisは「彼らは正しいことをしたのに、市場はそれをディスカウントした。まるでウォリアーズがKevin Durantを獲得したのにオッズを下げるようなものだ」と批判する。Figmaのネットワーク効果とAdobeのチャネルを組み合わせれば、長期的には大きな価値を生むというのが彼の見解だ。

さらに、ベンチャーキャピタルの「マウント・ラッシュモア」を誰が構成するかという議論に発展する。CalacanisはDon Valentine(Sequoia)、John Doerr(Kleiner Perkins)、Paul Graham(Y Combinator)などを候補に挙げ、Benchmarkの「Fab Four」時代を称賛する。一方、Andreessen Horowitzについては「魂がない。ベンチャーのインデックスファンドだ」と厳しく評価し、「Nickelbackがアルバムをたくさん売ったようなもの」と皮肉る。

彼は「ベンチャーキャピタルの殿堂」を実際に設立するアイデアを提案する。毎年3〜4人を選出し、影響力とレガシーに基づいて評価する。スポーツの殿堂のように、現役引退から一定期間経過した人物のみを対象とし、リターンではなく「ゲームへの影響」を基準とするという構想だ。

まとめ

このエピソードは、Jason Calacanisという稀有な人物の人生観、ビジネス哲学、そして人間関係の本質に迫る貴重な記録である。彼の最大の魅力は、成功にもかかわらず「まだまだこれから」という姿勢を崩さず、自らを「ポッドキャストのパンチングバッグ」にすることで番組を成立させる自己認識の高さにある。All-inが単なるテクノロジーニュース番組を超えて、政治的に分断された世界で「友人として意見の異なる相手と議論する」というモデルを示したこと、そして50代でなお「マウント・ラッシュモア」を目指して加速し続けるエネルギーは、聴く者に深い印象を残す。

要点

  • Jason Calacanisはブルックリンの貧困家庭出身で、父親のバーが差し押さえられた経験が彼の「絶対に成功する」という原動力となった
  • All-inポッドキャストは、ポーカー仲間だった4人がパンデミック中に自然発生的に形成し、Calacanisが意図的にキャラクター設計(Sultan of Scienceなど)を行ったことで成功した
  • All-inの成功要因は「ビリオネア・ポルノグラフィー」「情報優位性」「関係性とカリスマ性」の3つ
  • Calacanisは司会者としてMcLaughlin Groupから学び、「ポイントガード」として聴衆の代弁者になる技術を磨いている
  • 親友Tony Hsiehの死を機に、喜びを感じない業務(法務、会計など)をすべて委任し、ポッドキャストと初期投資に集中する人生にシフトした
  • エンジェル投資では9つのポジティブ要素と15のレッドフラグからなるチェックリストを開発し、Calmのような「死にかけの会社を救う」投資を最も誇りに思っている
  • サンフランシスコの政治(特にDean Preston監事)を激しく批判し、カリフォルニアの規制がテクノロジー産業を損なっていると主張
  • ベンチャーキャピタルの「殿堂」設立を提案し、Andreessen Horowitzを「魂のないインデックスファンド」と評する一方、SequoiaやBenchmarkを高く評価している