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Latent Space:AIエンジニアポッドキャスト · 2026年7月28日

Codex、0から1000万ユーザーへ:ChatGPT Workの構築 — Akshay Nathan、OpenAI

AI generated article / ja / study
この記事でわかること
  • OpenAIのプロダクトエンジニアリング責任者であるAkshay Nathan(アクシェイ・ネイサン)が、コード生成ツール「Codex」から派生したナレッジワーク向け...
  • Akshayは、OpenAI社内でCodexが非エンジニアの間で予想外に普及したことを「ChatGPT Work」開発の決定的なきっかけだったと振り返る。戦略財務やマ...
  • [5:28] ChatGPT Work誕生の背景:社内の非エンジニアがCodexを使い始めた瞬間 ChatGPT Workの開発は、OpenAI社内での意外な観察から...
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出典Podcast

Latent Space:AIエンジニアポッドキャスト / Latent.Space

要点
  1. OpenAI社内でCodexが非エンジニア(戦略財務、マーケティングなど)に予想外に普及したことが、ChatGPT Work開発の決定的なきっかけとなった。彼らはCodexを使うことに「超能力」を感じ、誇りを持っていた。
  2. CodexとChatGPT Workは同じエージェントハーネスを共有しているが、UXには意図的な差異がある。CodexモードではGitの差分を表示する一方、Workモードでは技術的詳細を抽象化し、アーティファクトを直接表示する。
  3. OpenAlは製品を「開発者向け」「ナレッジワーカー向け」と分断せず、統合する道を選んだ。その理由は、AIによってすべての仕事の境界線が曖昧になり、ユーザーを「箱詰め」するリスクを避けるためである。
  4. モデル選択において、OpenAIは「デフォルトが最良であるべき」という哲学を持つ。パワーユーザー向けのオプション(Soul Ultra、マルチエージェント)は用意されているが、ほとんどのユーザーはデフォルト設定で十分なパフォーマンスを得られる。
  5. 「サイト(Sites)」は、スプレッドシートやスライドデッキに代わる新しい知識作業のフォーマットとして台頭している。OpenAI社内では、月次レポートがサイトに置き換わりつつある。
  6. AI時代の生産性を測る新しい指標として、Akshayは「アットバット(at bats)の質」を提案する。これは「アイデア→構築→フィードバック→検証」のサイクルを高品質に回せるかどうかを測る概念であり、コードのコミット数やトークン消費量といった従来の代理指標はもはや機能しない。
  7. 「モーション(動き)」と「プログレス(進歩)」を混同してはいけない。AIによって「動き」は容易になったが、真の進歩には、チームとして何を達成したいのかという明確なビジョンと、それを検証する規律が必要である。
  8. LLMは「新しいアイデアを出して」という指示には依然として弱い。真に価値のあるアイデアは、ユーザーとの対話や日々の摩擦から生まれるものであり、AIはそのプロセスを加速するツールであって、代替するものではない。
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他のエピソード

OpenAIのプロダクトエンジニアリング責任者であるAkshay Nathan(アクシェイ・ネイサン)が、コード生成ツール「Codex」から派生したナレッジワーク向けエージェント「ChatGPT Work」の開発背景とそのビジョンを語った。彼のキャリアは、Airtableでのノーコード・ローコード製品の開発から始まり、OpenAIにジョインした後も「コードを書けない人々にソフトウェアの力を届ける」という一貫したテーマを持っている。ChatGPT Workは、2026年7月のローンチからわずか2週間でCodexと合わせて1,000万ユーザーを達成し、その成長は主にエンジニア以外のナレッジワーカーによるものだ。このエピソードでは、なぜOpenAIがCodexとChatGPT Workを統合したのか、その共有エージェントハーネスの設計思想、そしてAIが知識労働の本質をどう変えつつあるのかが深く掘り下げられている。

Akshayは、OpenAI社内でCodexが非エンジニアの間で予想外に普及したことを「ChatGPT Work」開発の決定的なきっかけだったと振り返る。戦略財務やマーケティング部門の社員が、まるで「超能力を手に入れた」かのように誇らしげにCodexを使いこなす姿を見て、エージェントの力は開発者だけのものではないと確信したという。このエピソードは、単なるプロダクトローンチの裏話ではなく、AIエージェントが「コードを書く」という行為から解放され、あらゆる知識作業のプラットフォームへと進化する過渡期の記録である。ホストのswyxとVibhuは、Akshayに製品の詳細な設計判断から、AI時代の生産性の定義、さらにはチームマネジメントの哲学に至るまで、幅広く質問を投げかけている。

5:28ChatGPT Work誕生の背景:社内の非エンジニアがCodexを使い始めた瞬間

ChatGPT Workの開発は、OpenAI社内での意外な観察から始まった。Codexがリリースされた後、製品開発チームはユーザーリサーチ(UXR)セッションを実施した。そこで彼らが目にしたのは、本来のターゲットであるソフトウェアエンジニアではなく、戦略財務(Strategic Finance)やマーケティング部門の社員がCodexを日常的に活用している姿だった。Akshayは「彼らがCodexを使っていることに、どれほど誇りを感じているかに衝撃を受けた」と語る。彼らは「本来、自分たちが使うべきツールではない」と感じながらも、そこに「超能力(superpower)」を感じていたのだ。

この発見は、OpenAIのプロダクト戦略に大きな転換をもたらした。すでに数億人のユーザーを抱えるChatGPTという巨大な流通基盤がある。そのユーザーに、Codexが持つエージェントの力をどう届けるか。これが「スーパーアップへの統合(the merge)」と呼ばれるプロジェクトの核心であり、ChatGPT Workという製品の出発点となった。Akshayは「この力は開発者だけのものではなく、私たちが考えていたよりもずっと早い段階で、すべての人に拡張できるものだと気づいた」と述べている。

ChatGPT Workのポジショニングについて、Akshayは「仕事(work)という言葉に限定されるべきではない」と強調する。彼のチームは「プロダクティビティ(生産性)」という名前を掲げており、それは企業内の業務に限らず、個人の生活における生産性も含む。実際、社内Slackには、ChatGPT Workを使って配達されなかった荷物の写真から、近隣のアパートを特定し、荷物の場所を突き止めたという投稿があったという。「仕事」と「個人の生活」の境界線が曖昧になる中で、OpenAIは「プロダクティビティ」という広い概念で製品を捉えている。

7:17CodexとChatGPT Work:共有ハーネスと差異化されたUX

CodexとChatGPT Workは、同じエージェントハーネス(agent harness)を共有している。これは、エージェントがツールを呼び出し、コードを実行し、ファイルを操作するための基盤となるシステムだ。Akshayは「ハーネスは両方の製品で共通です。ナレッジワーク向けにプラグインやコンピューターユース、アーティファクトの改善を行いましたが、その力はどちらの体験でも得られます」と明確に述べている。つまり、ユーザーは「Codexモード」と「Workモード」のどちらを選んでも、同じエージェントの能力を利用できる。

しかし、ユーザーインターフェース(UX)には意図的な違いが設けられている。最大の違いは、Gitの状態や差分(diff)の表示方法だ。Codexモードでは、エージェントがファイルに加えた変更がGitの差分として詳細に表示される。これは開発者にとっては自然なワークフローだが、ナレッジワーカーにとってはノイズでしかない。ChatGPT Workモードでは、こうした技術的な詳細は抽象化され、ユーザーはエージェントが生成したスプレッドシートやサイトなどの「アーティファクト」を直接確認できる。また、サンドボックス(隔離実行環境)のデフォルト設定も異なり、Workモードではより安全なデフォルトが適用される。

Akshayは「ユーザーを一つのタブや体験に閉じ込めたくない」と語る。デスクトップアプリ上では、Codexの機能とChatGPT Workの機能は相互に利用可能であり、ユーザーは意識的にモードを切り替える必要はない。この設計思想の背景には、「AIによってすべての仕事の境界線が曖昧になる」という確信がある。エンジニアが戦略文書を作成し、マーケターがコードを書き、財務担当者がインタラクティブなサイトを構築する——そうした未来を見据え、OpenAIは製品の境界を意図的に曖昧にしているのだ。

12:07なぜ統合したのか:スーパーアップ戦略と「箱詰め」のリスク

OpenAIがCodexとChatGPT Workを統合した理由は、単なる機能の集約ではない。Akshayは「すべての人の仕事はAIによって劇的に変化している。数ヶ月ごとに、自分がまったく異なる仕事をしていることに気づく」と指摘する。エンジニア、デザイナー、ストラテジスト、オペレーション担当者——これらの役割の境界線は、AIの浸透によって急速に溶解しつつある。もしOpenAIが「これは開発者向け」「これはナレッジワーカー向け」と製品を分けてしまえば、ユーザーを不必要に「箱詰め(box them in)」してしまうことになる。

この統合判断は、製品の「プリミティブ(基本要素)」を統一するという決断に表れている。プラグイン(外部サービス連携)は、ChatGPT WorkとChatGPT(クラウド版)の両方で統一された。Akshayは「私たちは、ユーザーがどの体験にいるべきかを決めつけるのではなく、ユーザー自身が選択できるようにすべきだ」と語る。ただし、これはすべての機能を完全に同一にするという意味ではない。先述の通り、Gitの表示やサンドボックスの設定には意見(opinionated)を持った差異が存在する。

この統合の背景には、OpenAIが目指す「スーパーアップ」戦略がある。ChatGPTはすでに数百万人のユーザーを持つプラットフォームであり、そこにエージェントの力を統合することで、単なるチャットボットから「あらゆる知識作業のプラットフォーム」へと進化させようとしている。Akshayは「私たちは、ユーザーが『どのバージョンのAGIを使いたいか』を選ぶ必要がない世界を目指している。AGI自身が判断すべきだ」と述べ、このビジョンを強調した。

16:24モデル選択とデフォルトの哲学:シンプルさとパワーのバランス

ChatGPT Workのローンチと同時に、OpenAIは新しいモデル「5.6」もリリースした。これにより、ユーザーは複数のモデル(Terra、Soul、Soul Ultraなど)と、推論レベル(reasoning level)を選択できるようになった。しかし、Akshayは「デフォルトが最良であるべきだ」という強い信念を持っている。彼は「私たちは、ほとんどのユースケースに最適なデフォルトを選びました。パワーユーザー向けにオプションは用意していますが、最初はデフォルトを試すことをお勧めします」とアドバイスする。

モデル選択の複雑さを軽減するために、OpenAIは「スライダー」というUIを導入した。これは、複数の次元(速度、効率、品質、徹底性)を一つの軸に投影したもので、ユーザーは直感的に「スピードと効率」と「品質と徹底性」の間で調整できる。Akshayは「現在のオプションは多すぎるかもしれない。私たちはこれをさらに簡素化する作業を進めている」と認めつつも、パワーユーザーが細かい制御を求めるニーズにも応えている。

注目すべきは、Soul Ultraやマルチエージェントモードの位置づけだ。Akshayは「Ultraやマルチエージェントは、非常に複雑なタスク、探索的なタスク、あるいは並列化が可能なタスクに最適です。しかし、ほとんどのタスクはこれらのカテゴリに該当しません」と述べ、過度なチューニングを戒める。また、彼は「6ヶ月前にできなかったことが、今ではできるようになっている」と指摘し、モデルの進化が速いことを踏まえ、定期的に「再試行」することを推奨している。これは、AIエージェントの活用において最も実践的なアドバイスの一つと言える。

20:26アーティファクトとサイト:スプレッドシートとスライドデッキを置き換える

ChatGPT Workの中核的な新機能の一つが「アーティファクト(Artifacts)」と「サイト(Sites)」だ。アーティファクトとは、エージェントが生成した高忠実度の成果物(スプレッドシート、ドキュメント、インタラクティブなWebページなど)を指す。Akshayは「以前のモデルと比較して、アーティファクトの品質は劇的に向上している」と語る。例えば、エージェントに「退職金計算用のスプレッドシートを作成して」と依頼すると、実際に操作可能なExcelファイルが生成される。ユーザーはExcelライセンスを持っていなくても、ブラウザ上でそのスプレッドシートを操作し、編集できる。

特に注目すべきは「サイト」の台頭だ。Akshayは「OpenAIの社内では、月次レポートがスライドデッキやスプレッドシートから、サイトに置き換わりつつある」と明かす。サイトはHTMLベースで無限の柔軟性を持ち、PowerPointやExcelでは表現が難しかった複雑なデータの可視化やインタラクションが可能になる。ホストのswyxは、自身の体験として、ボードゲーム「Strada」のルールを写真で撮影し、それをChatGPT Workに読み込ませて、完全にプレイ可能な3Dゲームサイトを生成した事例を紹介した。このプロセスでは約17億トークンが消費されたという。

この「サイト」というフォーマットは、知識作業のアウトプットを根本的に変える可能性を秘めている。従来、AIとの対話結果はマークダウン形式のテキストで出力されることが多かったが、Akshayは「マークダウンは人間が読むのに最適な形式ではない。HTMLのサイトの方がはるかに表現力が高い」と指摘する。ユーザーはもはや長大なテキスト出力を読む必要はなく、インタラクティブなサイトを通じてデータを探索し、仮説を検証できる。これは、AIエージェントが「情報を提供するツール」から「作業環境そのもの」へと進化していることを示している。

33:55エージェントの民主化:開発者からナレッジワーカーへ、そしてすべての人へ

Akshayは、OpenAIのエージェント戦略を「シーケンシャルな拡大」として明確に定義している。第一段階は「開発者」向けのCodex。開発者は初期採用者であり、摩擦や設定の手間を厭わない。第二段階が「ナレッジワーカー」向けのChatGPT Work。ここでは、製品をより理解しやすくし、アーティファクトやコンピューターユースなど、開発者とは異なるニーズに応える機能を追加する必要があった。そして第三段階は「すべての人」——仕事かプライベートかを問わず、あらゆる人がエージェントの力を享受できる世界だ。

このビジョンを体現するのが、ChatGPT Workの「パーシステントコンピューター(永続的なコンピューティング環境)」だ。ユーザーは、セッションをまたいでファイルを保存し、エージェントに継続的なコンテキストを与えることができる。Akshay自身は、ChatGPT Workを家計管理や食事計画の立案に活用しており、「以前はOpenClawでやっていたことを、今はChatGPT Workで完全に置き換えた」と語る。OpenClawは、OpenAIが以前リリースした個人用エージェント製品であり、そのアイデア(スケジュールタスク、ファイルシステム、長期コンテキスト)はChatGPT Workに受け継がれている。

ただし、Akshayは「すべてのユーザーがすぐにエージェントの力を理解できるわけではない」と認める。特に、製品の「ショー・ノット・テル(見せて教えるな)」の原則はまだ完全には達成されていない。ユーザーが「こんなこともできるのか」と気づく瞬間をいかにデザインするかが、今後の大きな課題だ。彼は「3ヶ月前にはモデルができなかったことが、今ではできるようになっている。想像力の限界を押し広げ続けることが最も重要だ」とアドバイスする。この「再試行の文化」こそが、AIエージェントを最大限に活用するための鍵である。

1:00:25AI時代の生産性とチームビルディング:モーションとプログレスの区別

エピソードの後半では、AIがプロダクト開発そのものをどう変えているかについて議論が展開された。Akshayは「アイデアから実際のプロダクトまでのスピードは劇的に向上した。5〜10年前と比べて、構築できるものの範囲は格段に広がっている」と語る。しかし、同時に「アイデアとテイスト(審美眼)がボトルネックになる」と警告する。誰でも構築できる時代において、差別化要因は「何を作るか」というアイデアと、その「質」を見極めるテイストになるからだ。

興味深いのは、Akshayが「LLMに『新しいアイデアを出して』と指示しても、うまくいかない」と述べている点だ。彼は「アイデアは真空状態から生まれるものではない。ユーザーとの対話や、日々の摩擦、フィードバックから生まれる」と指摘する。AIは既存の知識を組み合わせることは得意だが、真に「グラウンディングされた(現実に根ざした)」新しいアイデアを生み出すことは、依然として人間の役割だという。

生産性の測定方法について、Akshayは「コードのコミット数やプルリクエスト数、消費トークン数といった従来のプロキシ(代理指標)は、もはや機能しなくなりつつある」と指摘する。彼が提案する新しい指標は「アットバット(at bats)」の質だ。これは野球の打席数に例えられた概念で、「アイデアを生成し、構築し、フィードバックを得て、仮説を検証する」というサイクルを、どれだけ高品質に回せるかを測る。彼は「モーション(動き)とプログレス(進歩)を混同してはいけない」と警鐘を鳴らす。AIによって「動き」は格段に容易になったが、真の「進歩」には、チームとして何を達成したいのかという明確なビジョンと、それを検証する規律が必要だ。

結びに

このエピソードがリスナーに残すのは、AIエージェントが「コードを書くツール」から「知識作業のためのオペレーティングシステム」へと進化する過渡期の生々しい記録である。Akshay Nathanの語る「非エンジニアがCodexに感じた超能力」という逸話は、技術の民主化がもたらす本質的な価値を象徴している。OpenAIがCodexとChatGPT Workを統合した判断は、単なるプロダクト戦略ではなく、「AIはすべての人の仕事の境界線を溶解する」という確信に基づいている。

特に印象的なのは、「モーションとプログレスの区別」というフレームワークだ。AIによって「何かをしている感覚(モーション)」は簡単に得られるようになったが、真の価値は「目的に向かって進んでいるか(プログレス)」を厳密に問い続けることにある。これは、AIエージェントを導入するすべての組織にとって、最も重要な教訓だろう。また、「3ヶ月前にできなかったことを再試行する」というアドバイスは、急速に進化するAIの世界で、ユーザーが自らの想像力をアップデートし続けることの重要性を教えている。

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