
Odyssey CEOオリバー・キャメロン、我々はシミュレーションの中にいると90%確信 | E2358
- Odysseyの共同創業者兼CEOであるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)が、世界モデル(world model)という技術の最前線と、シミュレーション...
- 番組前半はGrokbot(Grokのボット機能)の利用制限問題から始まる。Elon Muskが「Grokbotの提供コストは収益に対して持続不可能なほど高い」とXに投稿し...
- [0:00] Grokbotの利用制限と「1ドルで50ドル」の価値計算 Elon MuskがXに投稿した「Grokbotの提供コストは収益に対して持続不可能なほど高かった...
This Week in Startups / Jason Calacanis
Odysseyの共同創業者兼CEOであるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)が、世界モデル(world model)という技術の最前線と、シミュレーション仮説への自身の確信を語る回である。Cameronは「我々はシミュレーションの中にいる」と90%確信していると明言し、その傍証として自社の世界モデルOdyssey-3の中でリアルタイムに生成された仮想世界を飛ぶ、シミュレーションされたショウジョウバエの脳のデモを披露した。この映像はX上で620万回再生され、ホストのJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)とAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム、番組内では「Lon」と呼ばれる)が「本物のドローン映像かと思った」と驚く出来栄えだった。OdysseyはAmazon、AMD、Nvidia、GVなどから3億7,000万ドルを調達し、ベイエリア、ロンドン、チューリッヒを拠点に、ロボットや自動運転車、ドローンといったフィジカルAI企業向けに基盤モデルを販売している。
番組前半はGrokbot(Grokのボット機能)の利用制限問題から始まる。Elon Muskが「Grokbotの提供コストは収益に対して持続不可能なほど高い」とXに投稿し、週次利用上限を数日で使い切るユーザーが続出した。SpaceXの決算説明会では社長のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)が週80万人の有料ユーザーを抱え、1カ月で倍以上に成長したと説明していた。JasonはLAUNCHとThis Week in Startupsで年間4万ドル未満のAI支出から200万ドル以上の価値を得ていると主張し、AIへの1ドル投資が50ドルの成果を生むという試算を披露する。後半はデータセンターへの世論の反発、Metaのエルパソでの広報攻勢、Andrej Karpathy(アンドレイ・カーパシー)のHackerTube、Googleの宇宙データセンター実験など、AIインフラをめぐる政治と技術の話題が展開された。
Grokbotの利用制限と「1ドルで50ドル」の価値計算
Elon MuskがXに投稿した「Grokbotの提供コストは収益に対して持続不可能なほど高かった」という発言が波紋を呼んだ。具体的なコストや制限の引き下げ幅は明かされなかったが、ユーザーは週次利用上限をわずか数日で使い切る事態に不満を爆発させた。これはSpaceXの決算説明会でMuskが「これまで見た中で最速で成長している製品」と称し、Gwynne Shotwell社長が週80万人の有料ユーザー(1カ月で倍増)を報告した2週間後の出来事である。料金は月30ドルのプレミアムプランから始まり、月100ドル・200ドルのプランで上限が引き上げられる仕組みだ。
Jasonはこの製品への依存度を隠さず、ハロウィンパーティー以外の週末はほぼGrokbotと過ごしたと語る。LAUNCHとThis Week in StartupsではAnthropic、Lovable、Grokbot、ElevenLabsなどに年間4万ドル未満しか使っていないのに、200万ドル以上の価値を得ていると主張する。内訳として、ソフトウェア開発に必要だった開発者5〜6人、デザイナー2人、プロジェクトマネージャー2人の計9人分の職務(年10万ドル×9人で約100万ドル)を自動化し、ポッドキャスト制作やクリップ作成でも2〜3人分の仕事を代替していると説明した。結果として「1ドルにつき50ドルのリターン」という計算になるという。
Jasonはさらに踏み込み、Grokbotが月1,000ドルになっても4人の利用者のうち3人は使い続けると述べ、年間コストが4万ドルから20万ドルに上がっても10対1のリターンは維持されると主張する。UberとLyftが普及期に値引きでユーザーを獲得した後、価格を上げていった「カエルの茹で方」戦略になぞらえ、Muskはそれを率直に言っているだけだと擁護した。一方で、利用上限が可視化されていないことには両ホストとも不満を示し、アプリ上部に使用量バーを常時表示すべきだと提案する。AlexはCursorのダッシュボード(cursor.comのspending画面)で使用量を確認できると実用的な回避策を共有した。
Alexは、Grokbotが消費者向けアプリのような親しみやすい雰囲気を持っていたために、突然の制限強化が「裏切られた」感覚を生んだと分析する。Jasonは、2023〜2024年のチャットボット像(幻覚を起こす、文脈を忘れる、信用できない)で思考停止している人々に警告を発し、「過去90日間の製品を週30時間使っていなければ、このソフトウェアの深さは分からない。過去90日間は過去2年間よりも大きく変化した」と強調した。Alexも、エージェントの真の変化は「能力」ではなく「文脈とアクセス権」を得たことだと指摘し、Slack、Notion、メール、カレンダー、メッセージへの接続と、Grokbot内部の仮想マシンおよび「Vault」機能がブレイクスルーの核心だと説明する。
Jasonは具体的な活用例として、Grokbotにクレジットカードを渡してドメインを登録させ、コンテンツをウェブ公開した経験を語る。さらにFounder University JapanとLAUNCHアクセラレーター向けのジャケット制作を例に挙げ、人間のデザイナーとの往復に100〜200時間かかる作業(25種類のジャケットの調査、ロゴ配置のベストプラクティス、有名シェフのワークシャツ事例の収集、モックアップ作成)を15分の指示で完了させたと述べた。出来上がったのは、テキサスのランチジャケット風でありながらパリ風でもあり日本風でもある「チョアジャケット(chore jacket)」で、内側に「改善(Kaizen)」「生き甲斐(ikigai)」といった言葉を英語で入れる工夫も凝らされた。日本では衣服に日本語を入れると「オタクっぽい」と見られるが英語なら格好いいという文化的発見も共有されている。
Odysseyの世界モデルとシミュレーション仮説
Odysseyのデモは、ポルトガルかスペイン風の街並みを飛ぶ小さな虫の映像で、AlexもJasonも最初はドローンが撮影した実写だと誤解した。Cameronによれば、この世界は世界モデルによって完全に想像され、しかもリアルタイムで生成されている。Odysseyは膨大な視覚観察データでモデルを訓練し、物理法則、力学、因果関係といった宇宙の基本を学習させる。その用途は2つあり、ロボットにとっては行動の結果を予測する「汎用の脳」として機能し、AIエージェントにとっては無限の学習環境を生成する訓練場となる。ショウジョウバエの実験は、FlyWireプロジェクトが解明した脳のマップをオープンソース実装で行動に接続し、リアルタイム生成の世界に放り込んだらどう動くかという試みだった。
Cameronはこの映像がバイラル化した理由を「シミュレーションの中にいるのではないかという問いを完璧に刺激したから」と分析する。Alexはシミュレーション仮説を『マトリックス』(1999年)を参照しながら説明し、感覚を通じてしか世界を知覚できない以上、客観的な検証は不可能だと指摘した。Cameronは「かなり高度なシミュレーションの中にいる」と90%確信していると明言し、Jasonは50対50、Alexはかつては懐疑的だったが「人間が動物の脳を仮想世界に入れて実験しているのを見て、なぜ alien がやらないと言えるのか」と考えるようになったと語る。Jasonは友人Ali Eslamiの論文「Beyond Perception: Proposing Our Reality as an ASI Alignment Simulation」を紹介し、我々の宇宙が超知能のアラインメント(整合性)を訓練・検証するためのシミュレーションだという仮説を提示した。
Jasonは世界モデルの計算資源の配分について核心的な質問を投げかける。イタリア全体をシミュレートするとして、数十万人の生活や橋の下の魚まで全てを高精細に描くのか、それともハエの飛行経路だけを高精細にして他は休眠させるのか。Cameronは後者だと即答し、「ハエの経路の性能を最大化したいなら、そこにGPU時間を集中させる。それ以外は計算不要だ」と説明する。現在Odysseyは1つの世界モデルセッション内で最大20体のエージェントを同時にサポートし、20の異なる視点を生成できるが、これを10億、80億にスケールさせる方法が課題だという。Alexは「もし本当にシミュレーションなら、80億人がいるというのも読んだり聞いたりした知識に過ぎず、実際にはテキサスにいる数人だけかもしれない。日本に行けば日本がポップアップする」と述べ、Jasonは「我々が月に行けたり太陽系の端に探査機を送れたりするのは、シミュレーションの低忠実度の証拠だ」と応じた。
Odysseyのロゴが二重スリット実験にインスパイアされている点も議論された。光を2つのスリットに通すとき、観測すると粒子のパターン、観測しないと波のパターンが現れるというこの実験は、「観測が現実を変える」という解釈で知られる。Cameronは「観測とは何か、我々はまだ本当に理解していない。素粒子の相互作用が観測なのか」と慎重な立場をとりつつ、これが宇宙の「パフォーマンス特性」を示唆する可能性に言及した。Jasonはスーパーマンの例え(クリプトン星人は地球の黄色い太陽の下で超感覚を得るが、スーパーマンは30年かけて調整を学んだ)を引き、知覚の調整という観点から議論を膨らませた。
自動運転の失敗から学んだ世界モデルのビジネス
CameronはOdyssey以前に8年間自動運転車の開発に携わり、そこで「業界は技術の作り方を根本的に間違えていた」と確信したと語る。自動運転の現場では「車の運転の仕方」だけを繰り返し学習させていたため、想定外のエッジケースに対処できず、愚かな挙動に陥った。原因は「車というレンズを通した世界」しか見ていないことにある。世界モデルは、まず物理・力学・因果関係といった汎用的な概念を学習し、その上に数時間の経験を積むという逆のアプローチをとる。人間は17年間世界を学んでから運転を学び、20〜30時間の運転経験で習熟する。世界モデルも同様に、汎用概念を獲得した後、人間の運転映像20〜30時間を見せるだけで堅牢なドライバーになるという。
ビジネスモデルは、ロボットラボ、ヒューマノイドラボ、自動運転車企業、ドローン企業といったフィジカルAI企業に基盤モデルを販売するものだ。顧客はOdyssey-3を自社ロボット向けにポストトレーニング(追加学習)し、現場に配備する。Cameronは「言語モデルの登場以降、ディープテック業界は『全てを自社で作る』から『ポストトレーニングを付加価値とする』方向に大きく転換した」と指摘し、すでに収益を上げていると明言した。調達額はAmazon、AMD、Nvidia、GVなどから3億7,000万ドル、拠点はベイエリア、ロンドン、チューリッヒで、採用も積極的に行っている。
Alexは「学習が視覚入力だけというが、我々は触覚や重量の感覚、紙袋と岩の見分け方など、視覚以外の情報に大きく依存している」と鋭く質問した。Cameronは「世界モデルはテレビの前のソファに座った非常に注意深い学習者で、何千年分もの映像を見ながらノートに力学、動き、人間の協働の仕方などを書き留め続ける。そのノートが膨大な世界の知識になる」と比喩で答える。Odysseyが最も重視する「登り甲斐のある丘」は物理的正確性であり、流体力学、重力などを学習させることが信頼性につながるという。学習目的関数は「訓練時に世界が次にどう進展するかを予測する」という極めてシンプルなもので、そこから汎用的な概念が創発する。
データセンター不信と「AIコンピュートキャンパス」への改名
AlexはABC・ワシントンポスト・イプソスの2026年10月の世論調査を引用する。米国人の66%がデータセンター建設に反対し、支持は30%にとどまる。支持率が最も高いのはMAGA共和党支持者の53%で、30歳以下の80%が反対している。Axiosの報道によれば、OpenAIは中間選挙後にPR攻勢を計画しており、AIの「スピード制限」の提唱、米国主導の国際AI基準策定への関与、AIを「人々の日常を力づけるもの」として売り込むこと、そしてデータセンターを「AIコンピュートキャンパス」と呼び替えることを検討している。OpenAIの最高グローバル問題責任者Chris Lehane(クリス・レハーン)は、中間選挙は2028年大統領選の「予告編」であり、AIがその主要争点になると予測した。
Jasonは、中間選挙や2028年の勝敗に関わらず、勝つのは「最も人間寄りで超知能に反対する」候補者だと主張する。理由は、テクノロジストが「新しい仕事が生まれる」と語る一方で、その議論の選び方は資本スタックのどこにいるかで決まるからだ。Jason自身は資本スタックの上位10%にいて、ユニコーン投資で富を得ているが、下位半分の人々は株式を保有せず、UberやLyft、DoorDashの運転手がロボタクシーや自動配送に置き換えられるのを目の当たりにする。左派は25万ドルの大学院ローンを抱えながら仕事をボットに奪われ、右派は肉体労働をOptimusやFigureのロボットに奪われる。両側から不満が噴出する前に、住宅供給の拡大、貿易学校の無償化、教育の修正、テクノロジーによる医療費の大幅引き下げという3つの施策で下位半分を包摂する必要があると説いた。
Jasonはテキサス州の実例を挙げる。住宅問題は州内でほぼ解決済みで、人々は不満を言わない。大学もUTオースティンが世帯収入10万ドル以下なら無償(Texas Advance Commitment)で、仮に払っても年1万ドル程度と手頃だ。医療は未解決だが、urgent careは「驚くほど安い」という。Alexは、企業がかつての「グリーンウォッシング」ならぬ「ケアウォッシング」をしていると批判する。テキサスではMetaが「エルパソにデータセンターを建てるだけでなく、エルパソを住みやすい場所にしている」という広告を大量に出しているが、住民が実際に恩恵を感じているかは疑問だという。Jasonは「地域に害を与えない、電気代を上げない」は最低条件(table stakes)に過ぎず、かつてのように都市間で税制優遇を競わせる手法は終わったと指摘する。データセンターは建設後は雇用がごくわずかで、建設ピーク時の4,000人の熟練労働者も「出入りするだけで、地元のバーで騒ぐ以上の貢献はない」と手厳しい。
Jasonは具体的な改善策として、地域への直接的な現金・税収の最低保証を提案する。「今後10年間、最低年2,500万ドルの税収を払う。使途がなければ寄付する」と明示し、使途は市議会に議論させるべきだという。さらに、裕福な地域では高額不動産の税収で学校が過剰に潤い、教師1人に対し生徒5〜10人という私立を上回る比率になる現象を挙げ、「Metaなら学校システムを過剰に資金提供し、教師と生徒の比率5対1を実現すると言えば住民に響く」と助言した。Alexも「商業CMやヘルメット姿の作業員ではなく、住民が実感できる目に見える形が重要だ」と同意する。エルパソの人口は約65万人(オースティンの約100万人よりやや少ない)で、300人の運用雇用は人口の0.05%程度、6,000人でも1%に満たないという計算も示された。
自動運転の加速とライドシェアへの要望
Jasonは自動運転関連の株式(Uber、Tesla、Waymo、Pony、Rivian、Lucidなど)に幅広く投資していると明かしつつ、「自分の投資ブックに反するが、自動運転のペースを意図的に落とすことには反対しない」と述べる。テキサスでは他州より規制が緩く、Waymo、Uber、Zoox、Teslaが急速に拡大しており、運転手の仕事が急速に失われる可能性があるという懸念だ。AlexはWaymoを「毎回選ぶ」と語り、その理由として静かで一人になれること、4〜6回に1回遭遇するおしゃべりなUber運転手のストレスがないこと、チップが不要なこと、リラックスできることを挙げた。「禅の時間」と表現し、移動中に仕事もできるという。
Jasonはライドシェアに2つの機能追加を提案する。1つ目はUberXでも好みの設定(温度、音楽の有無)を可能にすること。2つ目は「スモールトーク(雑談)の有無」の選択肢だ。さらに乗車後の評価項目に車内の清潔さ(「清潔だった」「整頓されていた」「散らかっていた」)と匂い(「無臭」「不快な匂い」)を加えるべきだと主張する。Jasonは香料過敏症で、Uber Blackの車内に設置された3つの芳香剤がエアコンの送風で顔に吹き付けられ、涙目とくしゃみに悩まされた経験を語った。「無臭を選べるようにしてほしい。芳香剤はしまえばいいだけなので簡単に解決できる」と述べている。
KarpathyのHackerTubeと「カスタムソフトウェア」の時代
Andrej Karpathy(TeslaのAI責任者やOpenAIの創設メンバーを務めた研究者)がYouTubeの推薦アルゴリズムに飽き足らず、独自のYouTubeを構築した。Hacker Newsの2007年以降の4,300万件のコメントをClaudeに分析させ、年々繰り返し推薦されてきたYouTube動画を抽出。150のトピックにわたる6,454本の動画ライブラリを、ログイン不要・アルゴリズムによるクリック誘導なしで提供する。Claude CodeとOpus 5.5で約2時間で構築したといい、Karpathyは「明らかに優れた視聴体験」と評している。Jasonは「YouTubeは喜ぶべきだ。クリックすれば広告は埋め込まれている。不要な部分を取り除いただけだ」と評価し、「2人の開発者とデザイナーがいれば60日で作れたはずだが、誰も時間をかけなかった」と指摘する。
Jasonは同様の試みとして、Amazonの広告だらけの検索結果に不満を感じ、Claudeに2文のプロンプトを送ってChrome拡張機能「Unsponsored」を作らせた経験を披露する。指示は「スポンサー製品を消したい」だけだったが、Claudeは5つの選択肢(スポンサー製品、ブランドバナーと動画、スポンサーカルーセル、ディスプレイ広告、Amazonブランドプロモーション)を提示し、デフォルトで4つをオフに設定。削除されたリスティングを非表示・減光・枠線で示し、ログと削除件数を記録する機能まで自動で追加した。「美しいブランディングと名前まで作った」とJasonは驚きを語る。これはAmazonの利用頻度をむしろ増やすとしつつ、「利用規約違反の可能性があるので他人には配布しない。ローカルマシンで自分がウェブページをどう見るかは自由だ」と法的な線引きを説明した。
Alexは「非開発者として脳を再訓練する必要がある。これまで新しい製品を考えたことがなかったのは、作る能力がなかったからだ。何かがうまくいかないとき、Claudeと一緒に直せるかもしれないと考えるようにならなければ」と語る。Jasonはさらに、XのDM(ダイレクトメッセージ)を全てClaudeに分析させ、最もフォロワーの多い送信者を特定し、見逃していた有名バスケットボール選手からの「オースティンにいるのでコーヒーでも」という8月のDMに5カ月後に返信した話を披露した。さらに500人に「これはJasonのボットです。Founder University、LAUNCHアクセラレーターなどに応募できます」と一斉送信し、半数が「直接Jasonと話したい」と返信してきたという。LinkedInについては自動化を許可していないことを批判し、「ボットによるDMを許可し、1通0.05〜0.25ドル課金して制限をかけ、1日10〜100通に制限すればいい。受信者が『二度と連絡しないで』と言える権限も与えればいい」と提案した。Alexは「エージェントに敵対的なプラットフォームは負ける。エージェントを受け入れるか、無関係になるかの二択だ」と断言する。
宇宙データセンターという必然の未来
GoogleのProject Suncatcherの最初のプロトタイプ衛星が、Planet Labs製でGoogleのTPU AIチップ4基を搭載し、SpaceXのFalcon 9で打ち上げられ、運用を開始した。搭載モデル「Gemaphore」に宇宙についての俳句を詠ませたところ「Blue marble below / Data streams in silent grace / Starlight feeds my core」と正しい音節で返ってきたという。ただし4基のチップのうち同時に動かせるのは1基のみで、電力が尽きるまで約20分しか稼働できない。2027年にはより高度なチップを積んだ2基の衛星を計画し、Googleは2030年代に経済的に成立する宇宙データセンターを目指す。Alexは「米国人がデータセンターを嫌うなら、低軌道に打ち上げるのは現実的な選択肢か」と問いかけた。
Jasonは「3〜4回の反復を経れば間違いなく実現する。衛星インターネットが10年間の試行錯誤を経てStarlinkで花開いたのと同じだ」と応じる。かつては巨大な衛星で、Netflixを1本見ると帯域制限に引っかかったが、今やStarlinkは「スライスパン以来の偉大な発明」と呼ばれ、AmazonのLeoなど3社の競合も登場する。鍵はStarshipの積載能力で、低軌道に10万〜15万kg(Falcon 9の4〜6.5倍)を運べる。JasonはStarbaseでElon Muskと共に初期プロトタイプの内部を見た経験を語り、「小さなオフィスビルの内部を見上げるようで、200人分の座席を積めるペイロードだった」と振り返る。Starshipが1日複数回打ち上げられれば、この計画は現実味を帯びる。
Jasonは宇宙の経済性を「不動産コストが生涯無料、エネルギーコストも太陽光で生涯無料」と表現する。地上のデータセンターは地表の0.00001%程度しか占めておらず、議論自体が「愚か」だという。低軌道は地表から160km〜2,000km(約1,143マイル)の厚みがあり、Alexの計算では内側の球殻で地表より約5%、外側で約73%広い。Jasonは「単純化して地表と同じ広さとしても1,000倍の面積がある。そこに誰も文句を言わない」と述べ、最終的には宇宙での製造業(宇宙に留まる車や、宇宙の工場・採掘を支える燃料)も始まると予測した。数十億〜数百億ドルの初期投資は、数兆ドル規模のコンピュートを構築するなら3〜4年で回収できるという計算だ。
結びに
この回の核心は、シミュレーション仮説という哲学的な問いと、世界モデルという極めて実用的な技術が同じ人物の口から語られる緊張感にある。Cameronは「90%確信している」と断言しながら、同時にOdyssey-3がロボット企業に販売され収益を上げているビジネスであることを淡々と説明する。ハエの脳を仮想世界で飛ばすデモは、知的好奇心の産物であると同時に、物理法則を学習した世界モデルの能力証明でもあった。Jasonの「1ドルで50ドル」という試算は乱暴だが、9人分の職務の自動化という内訳は具体的で、AI投資の費用対効果を考える際の実践的な枠組みを提供する。データセンターへの世論の反発とMetaのエルパソ広報への批判は、AIインフラが「技術の問題」から「政治と地域社会の問題」に移行したことを示す。そして宇宙データセンターの議論は、地上の反対運動を技術で回避するという、シリコンバレーらしい解決策の方向性を予感させる。KarpathyのHackerTubeとJasonのUnsponsoredは、非開発者がClaudeと共に「自分専用のソフトウェア」を作る時代の到来を告げており、プラットフォームがエージェントを受け入れるか無関係になるかの分岐点が近いことを示唆している。
要点
- OdysseyのOliver Cameronは「我々は高度なシミュレーションの中にいる」と90%確信していると明言。自社の世界モデルOdyssey-3がリアルタイム生成した仮想世界でショウジョウバエの脳を飛ばすデモはXで620万回再生された。
- OdysseyはAmazon、AMD、Nvidia、GVなどから3億7,000万ドルを調達し、ロボット・自動運転・ドローン企業に世界モデルを販売。すでに収益を上げ、ベイエリア、ロンドン、チューリッヒで採用中。
- 世界モデルは「映像を何千年分も見て物理・力学・因果関係をノートに取る学習者」のように汎用概念を獲得し、その後20〜30時間の経験で運転やロボット操作を習得する。自動運転業界が「車の視点だけ」で学習させた失敗の反省に立つ。
- JasonはAI支出年間4万ドル未満で200万ドル以上の価値(1ドル=50ドル)を得ていると主張。開発者5〜6人、デザイナー2人、PM2人分の計9職務を自動化したという内訳を示した。
- Elon MuskはGrokbotの提供コストが「収益に対し持続不可能」と投稿。週80万人の有料ユーザーを抱えるが、Jasonは月1,000ドルになっても使い続けると述べ、使用量バーの常時表示を求めた。
- 米国人の66%がデータセンター建設に反対(30歳以下では80%)。OpenAIは「AIコンピュートキャンパス」への改名や中間選挙後のPR攻勢を計画。Jasonは地域への最低税収保証と学校への過剰投資を提案した。
- Andrej KarpathyはHacker Newsの4,300万コメントから6,454本の動画を抽出したHackerTubeをClaude Codeで約2時間で構築。JasonもAmazon広告除去のChrome拡張「Unsponsored」を2文のプロンプトから作成した。
- GoogleのProject SuncatcherのTPU搭載衛星がFalcon 9で打ち上げられ、宇宙で俳句を生成。JasonはStarshipの積載能力を背景に、低軌道の広大な面積と無料の不動産・エネルギーコストから宇宙データセンターを「明白な最終形」と評価した。